この記事では、私たちが一般的に用いている「ストレス」という用語について、もう少し厳密な定義として「ストレッサー(ストレス刺激)」と「ストレス(ストレス反応)」に分類して、理解を深めていこうと思う。

 

ストレッサー(ストレス刺激)とストレス(ストレス反応)

 

私たちの全ての器官は、それぞれの機能を発揮するとともに、協力し合い、人体が一定の環境下で生存し、繁殖できるようにしている。

 

そして、人体を一定の環境下に保つ働きを『ホメオタシス(恒常性)を維持する』と表現する。

 

医学の世界では、人体を含めた多くの生物のホメオタシスを乱すものを『ストレッサー(ストレス刺激)』、その乱れを元に戻そうとする力とそれに付随する反応を『ストレス(ストレス反応)』と呼ぶ。

 

他方で一般社会では、ストレッサーとストレスの区別はされておらず、この2つをまとめて「ストレス」という言葉で表現されることが多い。

 

例えば「毎日、嫌な上司に会うのはストレスだ。そのストレスで胃が痛くなる」という表現に関して厳密には、上司に会うのはストレッサー(ストレス刺激)で、胃が痛くなることがストレス(ストレス反応)ということになる。

 

 

ストレッサーの分類

 

ストレッサーは下記の2つに分類される。

 

身体的ストレッサー

 

  • 物理的ストレッサー(寒冷・高温・熱傷・手術・外傷など)
  • 化学的ストレッサー(薬品・化学物質など)
  • 生物学的ストレッサー(ウィルス・真菌・花粉・病気など)

 

 

精神的ストレッサー

 

精神的ストレッサーとしては以下があげられる。

 

『家族やペットや友人の死・対人関係の悪化・試験・事業の失敗・破産・社会不安など』

 

動物も人間と同様な身体的ストレッサーを受けてしまい、人間と同様なストレス反応を示してしまう。しかし、精神的ストレッサーに関しては、人間ほど過敏に、または過大には反応しない。

それは、人間が大脳を著しく発展させ、考える力を獲得したためではないかと考えられている。

このブログで対象としている「疼痛」もストレッサーになり得る。

そして、急性疼痛は身体組織の損傷によって生じるため、身体的ストレッサーに該当する。

 

一方で、慢性疼痛は身体的ストレッサーのみならず、痛みのために「生活が制限される」「遊びに行けない」「仕事に行けずにお金に困る」「この痛みはずっと続くかと思うと不安」などの精神的ストレッサーも付随した状態である。

 

そして、身体的ストレッサー・精神的ストレッサーが複合された状態によって生じるストレス反応は、多彩な症状として表れてしまう可能性がある。

 

 

慢性疼痛とストレッサー

 

そして、慢性疼痛の感覚的・認知的・情動的側面へ介入することは、
言い換えれば「身体的・精神的ストレッサー」へアプローチしているという事にもつながるし、
更には「ホメオタシス(恒常性)の正常化を促進させている」と言い換えることも可能である。

 

つまり、物は言いようで、神秘的で崇高な表現をしようとすれば、何とでも言い換えることは可能であり、これは自然治癒力も同様と言える。