扁桃体と前頭前野の結びつきには個人差がある。

 

この事実からうかがえるのは、不安に強い人は前頭前野の抑制中枢を活性化し、抑制のメッセージを迅速かつ効率的に扁桃体に送ることで、不安反応をうまく沈めているとい可能性だ。

 

結びつきが強ければ、前頭前野から扁桃体へとメッセージは瞬時に送られ、パニック反応を速やかに抑えられる。

 

一方、不安に弱い人は、扁桃体を含めたパニックに関わる中枢がもともと反応しやすい。

 

加えて前頭前野の働きが弱いため、不安のコントロールがうまく行きにくい。

 

そのうえ、恐怖の中枢と抑制の中枢の結びつきが弱いため、不安を鎮めるのが人に比べてさらに困難になってしまう。

 

恐怖を感じにくい人は、生まれつき扁桃体と前頭前野の結びつきが強く、だから感情のコントロールがもともと上手い可能性もある。

 

しかし、それよりも「年月をかけて幾度も繰り返された経験や学習が、感情と抑制の中枢を結ぶ回路を強めた」という説のほうが可能性が高い。

 

生まれつきではなく、運動などで体を鍛えれば筋肉を強くしたり柔軟性を高めたり出来るのと同じように、訓練を行えば、脳の各領域を結ぶ経路を強くすることができる。

 

こうして認識の変更を何度も繰り返せば、恐怖や快楽に直面した時の脳の反応に、たしかな変化が生じるようになるのである。