この記事では、『アドレナリン受容体』に関して解説していく。

 

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アドレナリン受容体の種類

 

アドレナリン受容体とは、漠然と「カテコールアミンが作用する受容体」という意味として用いられる。

 

つまり、アドレナリンのみならず、ノルアドレナリンとも結合する受容体である。

 

アドレナリン受容体はα受容体(α1・α2受容体)とβ受容体(β1・2・3受容体)に分類される。

 

①β受容体

 

β1受容体:主に心筋の収縮に関与

β2受容体:平滑筋の弛緩に関与

β3受容体:脂質代謝に関与

※β受容体は全て興奮性Gs共役型の受容体である。

 

 

②α受容体

 

α1受容体:興奮性Gq共役型受容体で、シナプス後膜(血管平滑筋など)に局在している

α2受容体:抑制性Gi共役型受容体で、抑制性のアドレナリン受容体である。

 

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アドレナリンα2受容体作動薬

 

前述したように、α2受容体は抑制性の受容体である。

 

そして、α2受容体は中枢神経や様々な細胞に存在し、カテコールアミンと結合することで、様々な神経系の機能に抑制をかけている。

 

痛みに関しても、ノルアドレナリンとアドレナリン2α受容体が結合することで、疼痛伝達の抑制に重要な役割を果たしているとされ、このα2受容体を活性化させる薬剤を『アドレナリンα2受容体作動薬』と呼ぶ。

 

 

アドレナリンα2受容体作動薬と鎮痛の関係

 

・鎮痛メカニズムの一つに下降性疼痛抑制系があり、これはセロトニン系とノルアドレナリン系に分けられる。

・ノルアドレナリン系は脊髄後角にて神経伝達物質としてノルアドレナリンを放出する。

脊髄後角の前シナプス・後シナプスに存在するアドレナリンα2受容体は、カテコールアミンであるノルアドレナリンとも結合する。

アドレナリンα2受容体は抑制性の受容体であることから、脊髄後角においてノルアドレナリンと結合することで鎮痛に関して下記のような効果をもたらす

 

・前シナプスではCa2+チャネルを抑制し、神経伝達物質の放出を減少させる。

・後シナプスではK+チャネルを開いて細胞膜を過分極させ、興奮性を低下させる

 

 

つまり、アドレナリンα受容体作動薬は、α2受容体を活性化させることにより、上記の効果を強化することが期待できる。

 

※ちなみに、α2受容体を活性化させるのではなく、α2受容体と結合するノルアドレナリンの放出自体を促進させる効果があるのは抗うつ薬である「三・四環系抗うつ薬」や「SNRI (セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」である。

 

 

α受容体は末梢神経感作として痛みに関与する場合もある

 

本来であれば、侵害受容ニューロンにアドレナリンα2受容体は発現しないが、末梢神経が損傷すると側芽や細胞体にα2受容体が発現することがある。

 

通常侵害受容器にはα2受容体がないので、交感神経終末から放出されるノルアドレナリン、血中を循環するカテコールアミンでは、興奮しない。

 

しかし、α受容体が発現すると、痛覚系がノルアドレナリンの感受性を獲得してしまい、「化学的ストローク」といった末梢神経感作の一因になる可能性も言われている。

関連記事⇒『HP:痛みの増強に関与する様々な末梢神経感作とは!?

 

 

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