この記事では、神経ダイナミックテストの一つであり神経系モビライゼーションにも応用される「腹臥位膝屈曲(PKB:prone knee bend)」について記載していく。

 

※PKBは『大腿神経伸張テスト(femoral nerve stretchingtest: FNST)』と呼ばれることもある。

 

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目次

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PKBとは

 

PKBの適応

腰部および大腿神経の走行に沿った領域(鼠径部、股関節、大腿、膝関節)の症状

 

PKBの方法

患者腹臥位でPTは膝を他動的に屈曲させていく。

 

PKBの感作運動

股関節伸展(股関節伸展を加えることにより神経に対する検査の特異性は低下すると言われている)

 

PKBの正常反応

大腿前面の伸張感
可動域:110°~150°

 

 

PKBの備考

 

可動域には個人差がみられるため、左右比較が重要となる。

 

患者は腹臥位とし、ベッドの孔を使用し、頸椎の回旋が起こらないようにする。

 

このような孔がない場合には、患者の両手を額の下に置く。

 

大腿を平行に位置させ、股関節の内転・外転が起こらないようにする。

 

また、アレンジとして以下の動画の様に側臥位で実施することも可能である。

 

厳密なテストとはならないが、腹臥位でのアプローチに比べて、神経系への刺激をモビライゼーションとしても利用しやすいというメリットがある。

 

 

スランプテストを側臥位で、なおかかつ大腿神経へフォーカスしたアプローチと考えると理解しやすいかもしれない。

 

側臥位でのポイントは脊柱をスランプ位(脊柱を頭頸部も含めて屈曲位)+(膝関節屈曲位を保持しつつ)股関節伸展となる。

 

この動画で対象者が頸椎を伸展させるのは、伸展により神経系が緩む(屈曲位に戻すことで再びテンションが加わる)ことを狙っている。

 

もし、このテストによって疼痛が誘発され、尚且つ頭頸部の屈伸で疼痛に変化が現れ(屈曲で疼痛増強・伸展で緩和)、尚且つ繰り返しの刺激によって変化(疼痛や可動域の改善)が現れるようなら、エクササイズとして適応となる。

 

セルフエクササイズとして以下の方法がある。

 

※神経系へ加わる強度は、強度は前半が弱め、後半が強めということになる。

 

 

 

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