この記事では、様々なニューロパチー(末梢神経障害)を記載していく。

 

高齢者では複数のニューロパチーを合併していることも多く、これらも踏まえたうえで臨床推論・アプローチしていく必要があるため、是非ざっくりとだが理解しておいてもらいたい。

 

末梢神経の障害(ニューロパチー)

 

ニューロパチー(Neuropathy)は、末梢神経の正常な伝導が障害される病態の総称で、障害される神経の種類は運動神経、感覚神経、自律神経に及び、ミクロ的な障害部位は軸索であったり髄鞘(シュワン細胞)であったりする。

 

例えば、糖尿病性ニューロパチーやビタミンB1欠乏や薬によるものは左右対称(主に手足)に症状が出現することが多く、「椎間板ヘルニア」や「長時間どこかに身体を押しつけることによる神経圧迫」は、その神経の支配領域にだけ症状が出現する。

 

あるいは、関節リウマチなど膠原病によるものは非対称で、尚且つ様々な部位へ出現する。

 

高齢者の神経は圧迫に弱いので、長時間同じ姿勢をとり椅子の肘かけに腕を押しつけることによる下垂手(橈骨神経性麻痺)、足を外向きにして寝て下垂足(腓骨神経麻痺)を起こすなどに注意が必要である。

 

こうした圧迫によるニューロパチーは自然に治るが、早く治るためには血流を良くすることが大切なため、炎症が強い時以外はよく動かし、温めることが重要となる。

 

※ちなみに、長時間の正座や、上記の例を含めた神経の圧迫(に伴う阻血)による一過性の痛みは「神経障害性疼痛」ではなく、「神経因性疼痛」と表現される。

関連記事⇒『HP:神経因性疼痛

 

 

糖尿病で起こるニューロパチー(末梢神経障害)

 

例として、慢性的な糖尿病では以下の様なニューロパチーが起こる可能性がある。

 

・脳神経の障害:眼球が動きにくい(物が二重に見える)

・顔面神経麻痺:片側の顔のまぶたや口元が垂れる

・感覚障害:しびれ、感覚鈍麻(手足が特にしびれるなど⇒手袋靴下型ニューロパチー)

・自律神経障害:起立性低血圧

・・・・・・その他、足の潰瘍や壊疽・排尿障害など

 

 

高齢者でよく起こるニューロパチー(末梢神経障害)

 

高齢者は背中から胸部の横~前にかけて分布する肋間神経などでよく神経痛を起こすことが、若者に比べて多い。

 

また、三叉神経・肋間神経・坐骨神経(を含めた下肢の神経)は帯状疱疹の起きやすいため、神経痛がある時は必ず皮膚も確認する必要がある。

 

高齢者の末梢神経は圧迫に弱く、以下のような場面でニューロパチーを起こしてしまうことがある。

・椅子の肘かけに腕を押しつけて寝て手が垂れる橈骨神経麻痺が生じる。

・背臥位で寝る際に、股関節が外旋位で腓骨頭周囲がベッドに押しつけられて圧迫されることで腓骨神経麻痺が生じる。

 

上記の様なニューロパチーは不全麻痺(少しでも動かすことが出来る)であり、一過性で時間が経てば治ることが多い。

 

しかし、高齢者では治るまで長くかかることがあり、中には時間がたっても治らないもの存在する。

 

例えば前述した腓骨神経麻痺は、入院により長期間の臥床を余儀なくされると、場合によっては重度な腓骨神経の不全麻痺が生じてしまう。

 

そして、長時間あるいは頻回な腓骨神経の圧迫による末梢神経障害は、特に高齢者であるほど治るまでに時間を要す可能性もある。

 

※腓骨神経は足関節の背屈(つま先を上げる)に関与するため、神経障害によって力が入りにくくなると、すり足気味であったり、躓き易かったりといった弊害が起こってしまう。

 

したがって、背臥位での臥床時は、必要に応じて膝下に枕を敷くなどにより、膝の外側(下腿近位外側・腓骨頭の腹側)が圧迫されないような工夫が必要となるかもしれない。