この記事では「理学療法士の講習会(研修会・勉強会)を紹介します(モビライゼーション)」と題して、関節モビライゼーションに関する講習会(研修会・勉強会)を開催している団体について記載していく。

 

個人的には、各々の相性があるので一概に「理学療法士・作業療法士は○○の講習会(研修会・勉強会)への参加がお勧め!」というものは無いというスタンスである。

 

ただ、「どんな講習会(研修会・勉強会)に参加すべきか一概に言えない」とバッサリ切ってしまっては、何のアドバイスにもならないので、主観を述べてみる。

 

ただ、重複するが各々に相性があるので、結局は一概に言えないし、他のブログにも書いてある「講習会(研修会・勉強会)の選び方」なども参考にしながら自身に合うものを探してみてほしい。

 

「講習会(研修会・勉強会)を紹介します」などといったタイトルだが、掲載している団体は、ネット上にあがっている有名どころを列挙しているだけである。

 

※以前は問い合わせで「お勧め」を聞かれて答えたりしたこともあったが、現在は答えていない(理由は割愛する)。

 

また、記事の後半では関節モビライゼーションに限らず、その他の理学療法士・作業療法士を対象とした講習会(研修会・勉強会)を選ぶ際のポイントも自分なりに考えてみた。

 

だたし、あくまで主観であり、この記事に記載されている内容について責任も負いかねる点はご了承いただきたい。

 

タイトルを「講習会(研修・勉強会)」としたのは、多くの方に観覧してもらう目的で記載しただけで、それ以上の意味はない。

 

でもって、この言葉を使い続けると表現が冗長になり過ぎるので、以降の文中表現は「講習会(研修・勉強会)」を「講習会」に統一して記載していく。

 

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目次

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関節モビライゼーションの講習会(研修・勉強会)の一覧

 

関節モビライゼーションの講習会を考えた場合に、「関節モビライゼーションを含めた徒手理学療法を提唱している学派」という視点で、まずは列挙してみる。

 

関節モビライゼーションは様々な種類があるが、「関節副運動2型」に着目した学派が「一般的に言われている関節モビライゼーション」に該当するのではと思われ、その手法を含めた概念を提唱している学派ということになり、具体的には以下などが挙げられる(ついでに各学派に関する教本の一部も掲載しておく)。

 

 

 

・・・・・・・・・・・などなど。

これらの団体は単発としのみならず、コースとしても講習会を開いているので、個人的には「まずは学ぶ団体を一つに絞って、コースとして一通りの治療手技を学んでみる」というのをお勧めする。

 

そして、各学派は統一されたコンセプトを持っているため、「腰部はこの学派」「頚部はこの学派」「上肢はこの学派」「下肢はこの学派」などと言ったように、部位別に様々な学派の講習会に参加していると、テクニックは一通り身につくが、根幹となるコンセプトが理解できておらず、応用が利かない(ということも起こったりする可能性がある)。

 

なので、(重複するが)一つの学派に統一して受講してみた方が良いのではと感じる。

 

これらの学派は、コースとして数年かけて一通りの手技を学ぶことも出来るので、そういうのも視野に入れてみても良いのではないだろうか?

 

※特に優劣があるわけではない。

 

補足としては、「海外の徒手理学療法学派(つまりはマニュアルセラピーを提唱している学派)」の講習会をコースとして学ぶ際には「海外の徒手理学療法(マニュアルセラピー)=関節モビライゼーション」ではない点に注意しなければならない。

関連記事⇒『マニュアルセラピーとは

 

そもそも海外の徒手療法学派は「関節モビライゼーションだけで治療する学派」ではなく、関節モビライゼーションは問題解決手段の一つにすぎないというスタンスをとっている(意外とこの点を誤解している人が多く、これは「海外の徒手療法が、誤った情報のもとに日本に輸入されてきたからだ」と言っている人もいる)。

関連記事⇒「エビデンスの限界

 

つまりは、関節のみならず、筋・筋膜、神経系などを(評価や運動療法も含めて)包括的に学んでいくケースが多い。

 

※ただし、講習会によって「どの組織にフォーカスを強く当てているか」といった違いがある(例えば関節に強くフォーカスを当てていたり、各組織に万遍無く学べるなど)。

 

従って、この記事のタイトルである「「関節モビライゼーションの講習会(研修・勉強会)」ということを考えると、「関節モビライゼーションだけを学びたい」のであれば、やや効率が悪いというのがデメリットと言えなくもない。

 

※まぁ、系統的に学んだほうが後々役に立つと思うが、多様な考えがあると思うので・・・

 

 

また、海外の徒手理学療法学派のセミナーは高額であったりする事もある(外人講師を招いた場合は特に)。

 

例えば、外人講師のセミナーでは以下のデメリットがある。

 

  • 海外講師の渡航料なども受講料へ上乗せされる可能性がある。

     

  • 座学・実技ともに通訳も加えると2倍の時間がかかってしまう。つまりは、(大げさな表現をするのであれば)実技練習の時間も2分の1に削られてしまう。
    ※もちろん、実技指導も通訳付きなので各受講生に一通り指導して回るのに時間がかかり、非効率な場合もある(アシスタントの数が充足していれば、この限りではないが)。

 

海外講師の講習受けるメリットは多いが、ここでは敢えてデメリットを取り上げてみた。

 

そう考えると費用対効果でベストなのは、「システム化された海外徒手理学療法学派の正規な講師ライセンスを取得している日本人に学ぶ」という解釈が成り立つかもしれない。

 

 

その他の関節モビライゼーション講習会(研修・勉強会)

 

学派という垣根を越えた講習会を開いている場合もあったりする。

 

その様な場合は、「多くの学派を学んで来て、それらの良いとこ取りをしたり、独自にアレンジしたり」といったことがなされているかもしれない。

 

例えば、以下の様な団体がある(ついでに各団体関連の書籍の一部や関連動画も掲載しておく)。

 

徒手理学療法学会

 

 

 

 

関連サイト⇒『(外部リンク)徒手理学療法学会

 

 

日本臨床徒手医学協会

 

 

 

 

関連サイト⇒『(外部リンク)日本臨床徒手医学協会

 

標準徒手医学会

 

標準徒手医学会

 

その他にも、日本理学療法士協会主催な講習会として徒手療法を学べたりもする。

 

 

ここまで解説してきた講習会の中には、コースとして受講できるものもあるし、単発として開催されている場合もある。

 

そして、コースで学ぶにあたってのメリット・デメリットは前述した通りである。

 

単発講習会のデメリット(コースで学ぶメリットの逆)もあるが、「自分の都合の良いときに、自分の興味のある要素だけを学べる」といったメリットもある。

 

また、「学派という垣根を超えて関節モビライゼーションの講習会」を選ぶ際は、「どんな徒手理学療法をどの様な経歴で学んできた人が開催している講習会なのか」というのが一つの目安になるのではと感じる。

 

「じゃあどんな経歴なら信頼できそうか」といった詳細は(肝心なポイントかもしえないが上手く説明できそうもないので)割愛するが、関節モビライゼーションの基本を忠実に押さえつつ、(独自にブッ飛んだアレンジを加えていない)適切な内容を教えてくれる人かどうかが経歴から多少は読み取れる場合がある。

 

※ブッ飛んだアレンジは、基礎を教えてもらった後に自分が臨床で活用するうちにどうとでもなる。

 

もちろん、「多くを学んでいる人の講習会=良い講習会」という方程式は必ずしも成り立たないと思うが、当たり外れは少なくなるのではないかという観点から記載してみた。

 

※この辺は主観が入っているので、各々で判断してもらいたい。

 

 

もう一つの補足として、様々なコース講習会には「認定試験に合格して認定セラピストになる」というシステムが存在し、そのシステムに乗っかるというのはメリット・デメリットの両方がある。

 

メリットとしては、その資格取得を目指すことは、体系化された徒手療法を一定期間集中して学び成長するための強力なインセンティブとなり得る点だ。

 

一方で、一度取得した認定資格の中には「一定条件(金銭的・時間的努力)を満たさなければ更新出来ない」というシステムもあったりして、この点はデメリットと言える。

 

関連記事

⇒『認定理学療法士・作業療法士のメリットは?

⇒『サンクコスト! あなたは呪縛に陥っていないと言えるのか?

※個人的には(徒手理学療法系に限らず)いくつかの資格を取得したが、更新のためのデメリットを考えて手放すのにかなりのエネルギーを要した。

 

 

基本に忠実な講習会(研修会・勉強会)のメリット

 

基本に忠実かどうかというのは、長期的に見ても成長を見込める要素だと個人的には感じる。

 

例えば野球のバッティングに例えると、基本を忠実に教えてくれる高校野球の監督に学ぶのと、イチローに学ぶのでは、必ずしもイチローに学んだほうが成長出来る訳ではない点にある。

 

海外の学派は古典的ではあるものの、奇をてらっておらず、長く月日を経てブラッシュアップされ生き残ってきたという強みもある。

 

また、受講システムも洗練されている場合が多い。

 

あるいは、(良くも悪くも)徒手理学療法を客観的にとらえたエビデンスが蓄積されている場合もある。

 

他者が編み出したアレンジしまくられた独自性の強い手法を学ぶのも良いが、(前述したように)そういうアレンジは基礎を教えてもらった後に自分が臨床で活用するうちにどうとでもなるのではと感じる。

 

※奇をてらった独自性の強い手法を否定はしないが、それらは「基本を忠実に学んでから」でも遅くはない気がする。

 

※奇をてらった手法から先に学んでしまうと、後に引き返せなくなる可能性がある、あるいは徒手療法に幻滅してしまう可能性がある。

 

※まぁ、どっちもメリット・デメリットがあるので、結局は「自分の相性とも合わせて考えてみる」という必要が出てくるのだが・・・・

 

 

無料な講習会(研修・勉強会)という視点

 

一番理想的なのは無料な講習会だろう。

 

昨今は理学療法士・作業療法士の給料は決して高くない。

関連記事⇒「理学療法士の将来性に関するデータ

 

そんな中で、なるべく自分の財布を痛めずに自己研鑽ができるのであれば、それに越したことはない。

 

※「価値のある内容は、無料では学べない」というスタンスも一つの側面は突いているが、研修貧乏になってしまうのは可能な限り避けたいところだ(「今は貧乏でも、これは将来の投資なんだ。でもって将来は金持ちになれるんだ」や「お金だけがすべてではない。貧乏とか関係ない」と言い張るのなら、それも一つの考えだとは思うが)。

 

そうなると、無料(あるいは低額)で主催している「地域密着型な講習会」というのはお勧めである。

 

そもそも、関節モビライゼーションを含めた実技系の勉強会は、「優れた指導者」に「繰り返し」指導してもらうのが上達する一番の早道ではと感じる。

 

そして、「優れた指導者」を取るか、「頻繁に学べる環境」を取るかで考えると、個人的には後者のほうが良いと感じる。

 

極論として、「2年に1度世界的に有名な指導者に学ぶ」よりも「そこそこ優秀な指導者に毎日学ぶ」なほうが上達が早い可能性もあったりする。

 

そういう意味で、もし無料で学べる機会が沢山ある環境(あるいは少額で学べる環境)があるのであれば「無名な講師であろうと」積極的に参加してみてほしい。

 

※無名というのは少し語弊があるかもしれない。ある程度の技量や指導力が必要とは思う。

 

※これはPNFなど、どの講習会にも言えることかもしれない。

 

※もちろん臨床でも活用するというのは大前提であり、+αとして話をしている。

 

 

例えば、地域によって様々な特色があったりする。

 

そして、関節モビライゼーションに精通した指導者が多くいる地域では、関節モビライゼーションの講習会が多く開催されていたりもする。

 

これはPNFなど他のコンセプトでも当てはまる。

 

なので、「遠方へ出向いて、自分の興味がある講習会に高額を払って参加する」のも良いが、「まずは地域で頻回に開催しているコンセプトを無料で学んでみる(そして+αとして同様なコンセプトを数年に1度、有料で学んでみる)」という考えもアリかもしれない。

 

もちろん、その地域には馴染みのないコンセプトをあえて学んで、その地域での優位性を出すという考えもアリかもしれないが、、、

 

当然のことながら、職場でそれらが学べる環境は、ベストかもしれない。

 

※ただし時として、強制的に一つのコンセプトを学ぶよう押しつけられる可能性はあるかもしれない。

 

※あるいは、「期待していたほど指導してくれないな・・」と肩透かしを食らうこともあるらしい。

 

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実技系講習会(研修会・勉強会)に参加する意義

 

実技系の講習会に参加する意義は何だろう?

 

有名なコンセプトであれば書籍として多く出回っており、詳細は書籍に書かれてある。

 

なので、それを臨床に落とし込んで実践すれば良いだけで、講習会に参加するなど無意味だという考えもある。

 

そして、「センスの塊」の様なゴッとハンドであれば、その主張もあながち間違えではないだろう。

 

ただし、一般論として「教科書で得ることのできない要素」を学べるという意味で実技系講習会に参加する意義はある。

 

徒手療法は実技練習を重ねれば重ねるほど上達するものである。

 

そして、実技練習に参加する肝は、何といっても「指導者の実技を体験できる」であったり「他の受講生の実技を体験できる(上手な人のも、下手な人のも)」という点にある。

 

そして、その感覚を覚えておくことや、自身も他者に徒手療法を施行して「同じ専門家である受講生」や指導者にフィードバックを仰ぐことが、講習会に参加する何よりのメリットとなる。

 

また、教科書でダラダラと書かれてあったり、私のブログでもダラダラと書いたような内容が「数秒で体感・習得出来る」というメリットがある(ちょっと大げさに書きすぎたか??)。

 

結局、教科書を読んでも「分かった気になっているだけ」というのは良くある話ではないだろうか?

 

※これはDVDなどを観て分かった気になってしまうのも同様だと思われる。
これは正しく「百聞は一見に如かず」ならぬ「百見は一体験に如かず」と言えるだろう。

 

※当然ながら「期待していたが誇大広告な類だった」というのも、厳密には「体験しなければ検証のしようがない」とうことになる。

 

※これは実技系講習会に当たり外れがどうしても出てくるという、負の側面であったりもする。

 

また、ここまで記載してきた「実技系講習会を受講することのメリット」を考えると、「人数制限をしておらず受講生の人数が膨大で、にも関わらず講師が少数といったアンバランスがある場合」は、(どんなに有名な講師が開催している講習会であったとしても)やめた方が良いかもしれない。

 

※実技系講習会の最大のメリットである「体験(や実技のフィードバック)の機会」が少ないから

 

このブログでも記載しているような「理屈」など教科書、あるいはDVDを見ればだれでも学べる。

 

わざわざ講習会に出向くメリットは、何といっても前述した「実技系講習会ならでは」の要素なのだ。

 

 

理学療法士・作業療法士の講習会(研修会・勉強会)の補足

 

もしあなたが、何らかの実技系講習会に参加したなら、それを職場で院内勉強会として伝達してみてほしい。

 

もしかすると、「休みを返上して高額な受講料を支払って参加した講習会」であればあるほど、「無料で教えること」に抵抗がある場合もあったりするかもしれない。

 

もちろん、他者へ教えるのは手間だし、面倒くさく感じることもあるだろう。

 

ただ、指導する側になって初めて気付くことがあり、その気づきは非常に貴重となる。

 

「どの様にしたら技術が上達してもらえるだろう」「どの様にしたら理解してもらえるだろう」などと試行錯誤して考えることは、そのコンセプトへの理解度・技術力ともに高めてくれる。

 

同僚に指導しても、同僚は(あなたの様に数日もかけてみっちりと実技練習をしてきた訳ではないので)上手く出来ないかもしれない。

 

そこで更に同僚が上達するために創意工夫をしてみたり、「こういう風な過ち・エラーを一般的に起こし易いのだな」と気づいたりすることは、自身が臨床実践する際も(不思議と)役に立ったりする。

 

 

理学療法士・作業療法士の講習会(研修会・勉強会)まとめ

 

冒頭でも述べたが、この記事は理学療法士・作業療法士が講習会を検討するにあたっての一個人の意見に過ぎない。

 

※また、ここで記載した団体に関しても、受講するにあたって不安であったり気になる点があれば是非問い合わせをしてみると良いと思う。

 

多様な考えがあると思うので、同僚や先輩などの意見も聞きながら判断してみてほしい。

 

また、他者がボロカスに批評しているようなコンセプトでも、自身には相性がよく治療成績が向上するということもあったりする。

 

なので(身も蓋もない結論であるが)、色々学んでみて自身に相性の良いコンセプトを見つけることが大切となる。

 

※つまり、他人の意見など(私の意見も含めて)あまり参考にしない方が良い場合もあるということだ。

 

この点は、別ブログの「理学療法士・作業療法士が考えるべき正しい方向の努力とは?」でもヒントが記載出来ていると思う。

 

 

関連記事

 

関節モビライゼーションに関しては以下の記事でも包括的に解説しているので、こちらも参考にしてみてほしい。

 

モビライゼーションとは!定義/適応・禁忌/方法を紹介