この記事ではリハビリ(理学療法・作業療法)として活用されやすい「ストレッチ」の種類、方法、効果に関して記載していく。

 

ストレッチの種類と方法

 

ストレッチングに種類としては、一般的に以下の4つが有名である。

 

  • スタティックストレッチ(静的ストレッチ)
  • バリスティックストレッチ
  • ダイナミックストレッチ
  • PNFストレッチ

 

 

スタティックストレッチングの方法

 

スタティックストレッチングは反動をつけずに筋をゆっくりと伸張する方法である。

 

関節可動最終域で筋の伸張を維持することにより、ゴルジ腱器官のIb抑制を利用し、筋緊張を低下させることが出来る。

 

※スタティックストレッチングの詳細は後述する。

 

 

バリスティックストレッチング

 

バリスティックストレッチングは、反動をつけて筋を伸張する方法であり、以下の2パターンがある。

 

  • 他者に反動をつけてもらいながら実施するバリスティックストレッチング
  • 自身で反動をつけながら実施するバリスティックストレッチング

 

 

バリスティックストレッチングでは、反動により強力な伸張刺激が加わる可能性があり、筋損傷を引き起こすリスクに注意しなければならない。

 

また、反動により伸張反射(筋紡錘が刺激され筋緊張を上げる)が起こる可能性もある。

 

そして、これらの理由からバリスティックストレッチングが医療現場で活用されるケースは少ない。

 

一方で、スポーツ競技の前などにパフォーマンスを上げるためのウォーミングアップとして、(後述するダイナミックストレッチングと同様に)実施される場合がある。

 

※ちなみに、リハビリ(理学療法・作業療法)で活用され易いスタティックストレッチングは、「筋緊張の低下⇒競技パフォーマンスの低下」に繋がる可能性が指摘されている。

 

以下はハムストリングスに対するバリスティックストレッチングの動画である(反動をつけながらストレッチしている)

 

 

 

ダイナミックストレッチング

 

ダイナミックストレッチングとは、「主動筋が収縮した際に、拮抗筋は弛緩する」という相反抑制を利用した筋の伸張方法である。

 

例えば、ハムストリンスをストレッチをしたい場合は「大腿四頭筋(主動筋)を収縮した際に、ハムストリングス(拮抗筋)は弛緩する」という相反抑制を利用するのが、ダイナミックストレッチングということになる。

 

実際には、伸張したい筋の拮抗筋(ハムストリングスを伸張したいのであれば大腿四頭筋)を収縮させて動的にストレッチすることになる。

 

リズミカルに関節を屈伸することにより、前述した「神経系の反射メカニズムの一つである相反神経支配によって生じる相反抑制」を利用することが可能となる。

 

※スポーツ競技の前などにパフォーマンスを上げるためのウォーミングアップとして、(前述したバリスティックストレッチングと同様に)実施される場合がある。

 

以下はダイナミックストレッチングの一例である

 

※動画のタイトルは「バリスティックストレッチ」だが、動筋の収縮を利用しており、ダイナミックストレッチングに分類される。

 

※ただし振り子の反動を利用しているという意味ではバリスティックストレッチと表現できなくもない。

 

※ただ、この動画は凄すぎて真似できない。

 

 

 

PNFストレッチング

 

「PNFストレッチング」という用語は、医療従事者には認知度が低いが、一般的には認知度が高いようである。

 

PNFストレッチングは「等尺性収縮を含めた筋収縮」と「ストレッチ」を融合させた手法を指すようである。

関連記事⇒『PNFストレッチングって何だ?

 

以降は、リハビリ(理学療法・作業療法)での活用頻度の高いスタティックストレッチングにフォーカスを当てて、方法・ポイント・効果について記載してく。

 

 

スタティックストレッチングの方法

 

スタティックストレッチングの方法は以下の通り。

 

  • 筋をストレッチした状態で静止し、反動をつけずに30~60秒間保持する方法である。
    • ※諸説あり。しかし最低でも20秒以上とする説がほとんど

 

  • 合計2分以上となるように3~4セット繰り返す。
    • 諸説あり。
    • 数回セットで繰り返すことが望ましいが、最初の一回目が一番ストレッチ効果が高い。
    • 回数を繰り返すごとに、ストレッチ効果は薄れていく。

 

 

スタティックストレッチングのポイント

 

スタティックストレッチングのポイントは以下の通り。

 

  • 痛みを感じる手前で静止し、防御収縮が出ないようにする。

 

  • ゆっくりと筋をストレッチすることで、伸張反射が起きないようにする。

 

  • ストレッチ時に息を止めないことにより交感神経の興奮を抑制する
    • 可能な限りリラックスした呼吸を心がける。

 

  • 起始部の固定
    • 一方を固定しないで、もう一方を動かしても効果的なストレッチにはならない。

 

 

スタティックストレッチングの効果

 

スタティックストレッチングの効果は以下などが言われている。

 

  • 筋緊張の緩和効果
  • 筋の柔軟性向上効果
     (筋緊張の緩和+構造的短縮の改善効果)
  • 血流の改善効果
  • 疼痛の緩和効果
     (緊張の緩和・血流改善などによる発痛物質の除去など)
  • マッスルインバランスの改善効果
     (短縮筋のストレッチングにより、相反抑制されていた弱化筋の機能改善など)
  • 運動パフォーマンスの改善効果
     (将来におけるストレッチング効果のこと。ストレッチ直後のパフォーマンスは筋出力低下によって低下するとの意見が多い)

 

 

ストレッチングの分類

 

以下は疾患別・理学療法基本プログラム(理学療法ハンドブック 改訂第4版)に記載されている各々の特徴(長所・短所)となる。

 

種類

長所

短所

Static Stretching

伸張反射が起きにくい

筋肉痛・傷害・リスクを軽減できる

ある程度の時間が必要

筋出力を低下させる場合あり

Dynamic Stretching

筋の粘弾性と可動域の改善効果。

伸張反射を増強する場合あり。

Ballistic Stretching

伸張反射助長によるパフォーマンス向上効果大

急激な反動により、筋を損傷する場合あり

Stretching after

the muscular contraction

伸張効果大

複合関節への適応性大

耐久性改善効果あり

筋出力を低下させる場合あり

Hold relax

伸張効果大

経験のあるパートナーが必要

Contract relax

stretching

血管拡張効果大

自主トレへ移行させやすい

経験のあるパートナーや練習が必要

 

※大分類としてスタティックストレッチとダイナミックストレッチに分かれ、ダイナミックストレッチの中にバリスティックストレッチやホールドリラックスが入っている(静と動で分類されていてスッキリしている)。

 

※長所・短所は、この記事と合致している部分もあれば、少し異なっている部分もある気がする。

 

 

動的ストレッチングは組み合わせて実施されることも

 

前述した分類では、ストレッチングを以下の2つに大分類している。

 

・静的ストレッチング

・動的ストレッチング

 

 

そして、ダイナミックストレッチングもバリスティックストレッチングも、『動的ストレッチング』として(目的や効果は同じなため)組み合わせて実施されることもある。

 

そんなコンビネーションストレッチンの一例は以下の動画を参照してほしい。

 

 

まずは、大殿筋を収縮することで大腿直筋の『ダイナミックストレッチング』を実施している。

 

  • 大殿筋の収縮による相反抑制によって大腿直筋が弛緩する

 

  • ちなみに、膝を伸展した(伸ばした)状態で実施すると、大腿直筋が弛緩するので腸腰筋のストレッチングとなる

 

次に、30秒からは反動を利用することで腸腰筋(股関節屈筋群)の『バリスティックストレッチング』を実施している。

 

次に、1分からは反動を利用すること(+タオルを使って膝を曲げること)で、大腿直筋の『バリスティックストレッチング』を実施している。

 

 

骨格筋のストレッチング記事リスト

 

以下は、このブログに掲載されている「骨格筋のストレッチングリスト」になる。

 

クリックすると、記事内のストレッチング項目が表示されるので、是非チェックしてみて、自分自身でも効果があるかどうか試してみてほしい(必ずしもクライアントに用いるものではなく、健常者向けなストレッチングも含まれている)。

 

 

梨状筋のストレッチング

目次の「梨状筋のストレッチングをするための基礎知識」からジャンプしてほしい。

梨状筋の作用は股関節の屈曲角度によって異なり、この点に配慮したストレッチングを解説している。

セルフエクササイズも容易なので、自分自身でも効果を実感してもらえると思う。

梨状筋に鈍痛が起こっている際は、このストレッチングでスッキリすることも多い。

※梨状筋の機能障害は仙腸関節の機能異常を伴う事も多く、仙腸関節障害に対するアプローチと併用するのもおススメである。⇒『仙腸関節障害を治療しよう

 

 

下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)のトレーニング+ストレッチ

目次の「下腿三頭筋のストレッチング」からジャンプしてほしい。

下腿三頭筋のストレッチングは臨床で活用されることが多い理学療法の一つなため、ぜひ一度観覧してみてほしい。

 

 

大腿直筋のストレッチング

目次の「大腿直筋のストレッチング」からジャンプしてほしい。

大腿直筋の短縮テストである『エリーテスト(Ely Test)』を参考にしたストレッチングの他、「PIRを使用したストレッチング」、高齢者のセルフストレッチングにも活用しやすい「背臥位でのストレッチング」、「立ったまま可能なストレッチング(応用として背臥位でも可能)」を記載している。

 

 

股関節内転筋のストレッチング

目次の「股関節内転筋群のストレッチング」からジャンプしてほしい。

内転筋群は複数の内転筋から構成されており、それら個別の筋に対するストレッチングにも言及している。

特に「薄筋のストレッチング」は鷲足炎の急性期を脱した際のリハビリ(理学療法)としても活用されることの多いストレッチングとなる。

関連記事⇒『鷲足炎の解消・予防に必要な知識を公開!

 

 

大腿筋膜張筋のストレッチング

目次の「大腿直筋のストレッチング」からジャンプしてほしい。

大腿筋膜張筋(腸脛靭帯)の緊張・短縮テストである『オーバーテスト(Ober’s test)』を参考にしたストレッチングを紹介している。

自身でも可能なセルフストレッチングを立位・座位バーションで紹介しているので、自身でも「ストレッチング出来ているか」を是非検証してみてほしい。

 

 

腸腰筋のストレッチング

大腰筋の緊張・短縮テストである『トーマステスト(Thomas test))』を参考にしたストレッチングを紹介している。

また、高齢者のセルフストレッチングにも活用しやすい「背臥位でのストレッチング」も記載している。

こちらは、前述した「大腿直筋のストレッチング」と類似ているため、それぞれを読み比べることで知識が深まると思う。

その他、「テニスボールを使用したダイレクトストレッチング」や高齢者の筋スパズムに有効な「大腿筋膜張筋に対する筋膜リリース」にも言及している。

※ダイレクトストレッチングとは、対象とする筋・腱を圧迫することによる伸張刺激を利用したストレッチングとなる。

 

 

大殿筋のストレッチング

目次の「大殿筋のストレッチング」からジャンプしてほしい。

前述した「梨状筋のストレッチング」と類似しているので、それらの違いも含めて観覧してみてほしい。

 

 

股関節外旋筋のストレッチング

目次の「外旋六筋のストレッチング」からジャンプしてほしい。

外旋六筋の中には、前述した「梨状筋」も含まれており、そこで紹介したストレッチングとは別の方法を紹介している。

PIRとの併用や、エンドフィールが「靭帯・関節包性」であった場合における「非収縮性組織のストレッチング」としても活用することがある方法である。

 

 

中殿筋のストレッチング

目次の「中殿筋(+小殿筋)のセルフストレッチング」からジャンプしてほしい。

中殿筋に関しては、セルフストレッチングをメインに記載しているが、筋スパズムを改善する方法としてマッサージの項目も参考になると思う。

※マッサージの項目の「テニスボールを使用したセルフマッサージ」はダイレクトストレッチングとも表現できる。

中殿筋は分厚く短い筋なので、自重(自分の重み)を利用したストレッチングが最適であり、どんなセルフストレッチングが有効か、自身でも記事の内容を試してみてほしい。

この手法は、前述した「大腿筋張筋のセルフストレッチング」と類似しているため、読み比べてみるとで理解が深まると思う(そして、短縮が強い場合は、どちらの方法でも、もう一方の筋のストレッチングになったりもする)。

 

 

膝窩筋(ダイレクト)ストレッチング

目次の「膝窩筋のリハビリ(理学療法)」からジャンプしてほしい。

膝窩筋については「テニスボールを使用したダイレクトストレッチング」を紹介している。

 

 

多裂筋のストレッチング

目次の「多裂筋のストレッチ(+マッサージ)」からジャンプしてほしい。

この記事では、「多裂筋の分節的機能」に着目した、「分節的なストレッチング」を紹介している。

また、PIRや関節モビライゼーションとの併用にも言及している。

 

 

スタティックストレッチング関連記事

 

スタティックストレッチングに関して、もう少し詳細な解説はこちら

 

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