この記事では、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するマッサージ動画を示すことで、以下の様々なマッサージ(ストレッチング)のコンビネーションテクニックを記載していく。

 

  • 横断マッサージ
  • 横断伸張(ストレッチング)
  • 機能的マッサージ

 

また、記事の最後にはテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するテーピング方法の動画も貼り付けているので、リハビリ(理学療法)の参考にしてみてほしい。

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)とは

 

テニス肘に対するマッサージ治療を記載する前に、テニス肘の概要を記載していく。

 

テニス肘は肘から前腕にかけて疼痛が生じる疾患であり、以下に示す筋の関与が指摘されている。

  • 長橈側手根伸筋
  • 短橈側手根伸筋
  • 総指伸筋

 

「テニス肘」と「上腕骨外側上顆炎」は、同一の疾患である。

 

つまり「テニス肘=テニスによって生じる疾患(あるいはテニスに支障をきたす疾患)」という訳ではなく、テニスをしていない人でも十分に起こりえる。

 

なので、医療従事者の間では「上腕骨外側上顆炎」という用語が使用されることの方が多い。

 

※ちなみに神戸大学整形外科の統計によると、上腕骨外側上顆炎の原因として、テニスは全体の10-15%であり、原因の第一位には、重いものを持ってという理由で38%、その他、過労、タイプ、和裁、洋裁、打撲、ねんざなどが挙げられている。

 

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するマッサージ治療

 

本題の「テニス肘に対するマッサージ治療」について記載していく。

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するマッサージ治療の題材となる動画は以下となる。

 

 

動画では、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のターゲットとなる「長・短橈側手根伸筋」「総指伸筋」への横断マッサージ・機能的マッサージ・横断伸張・押圧(マイオセラピー)などが併用される。

 

具体的な動画でのマッサージは以下になる。

 

  1. 筋腹全体に対する軽刺激な横断マッサージ

     

  2. 筋腹全体に対しての中等度な刺激での横断マッサージ

     

  3. 筋スパズムや筋硬結が生じている部位への「押圧(マイオセラピー)」

     

  4. 押圧を維持した状態で前腕回内外を実施することによる機能的マッサージ
    ※厳密な機能的マッサージは筋への伸長を伴うマッサージを指すが、関節運動を伴いながらの筋刺激という意味では機能的マッサージと表現しても良いのではと考える。
    ※あるいは関節運動を伴うことで母指を筋線維が横切っているという意味では横断マッサージと表現できるかもしれない。

     

  5. ターゲットを起始部へ絞っての横断マッサージ

     

  6. 筋線維の走行に沿った縦断伸張(やりようによっては筋膜リリースとも表現できる

     

※マッサージをどのレベルで実施するか、段階的に強度を上げるかなどは、患者の状態によって異なってくる。

 

 

スタティックストレッチによるテニス肘(上腕骨外側上顆炎)の治療

 

テニス肘に対する治療としてスタティックストレッチングが、「長・短橈側手根伸筋」「総指伸筋」へ実施することもある。

 

スタティックストレッチは、セルフエクササイズとしても指導しやすいためぜひ覚えておいてほしい。

 

順番は以下となる。

 

  1. 肘関節伸展位

     

  2. 軽く握り拳をつくる(手指屈曲でグーを作る)

     

  3. 手関節掌屈+尺屈させる

     

  4. 前腕回内

※手関節を十分に掌屈・尺屈させようとすると、自然と前腕が回内も伴うので、その流れで十分に回内する。回内すると自然と肩関節も内旋してくるが、これは気にしなくて構わない

 

このポジショニングをとった際に、上腕骨外側上顆周囲(肘の外側。動画でマッサージしていた辺り)に伸張感が得られるのであれば成功。

 

健常者でも伸張感を得られやすいので、自身でも体験してみてほしい。

 

 

患者の治療に活用する際、更に筋腹への負荷を強めたい場合は以下の様な方法もある。

 

  1. 療法士の一側手で、前述したストレッチ位(伸張位)を保持する

     

  2. 反対手(母指球や母指指腹など)で筋腹へ対する横断マッサージや横断伸張といった刺激を加える

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対する軟部組織テクニックの補足

 

ここまで、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するマッサージとストレッチについて記載してきたが、最後にもう少し補足して終わりにする。

 

ストレッチは「筋線維走行に沿った縦断伸張」なので、「縦断マッサージ」と言い換えることも出来る。

 

従って、これに関節運動が伴えば「機能的マッサージ」となる。

関連記事⇒『横断マッサージと機能的マッサージ(+違い)

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対して、「関節運動(手指屈曲・手関節掌屈尺屈・前腕回内位な状態で、療法士が肘屈伸・前腕回内(⇔回内外中間位)を徒手的に繰りかえす」などは機能的マッサージとなる。

 

更に、上記な「機能的マッサージ(関節運動を伴う縦断伸張)」に、「上腕骨外側上顆周囲(長・短橈側手根伸筋、総指伸筋の起始部)に対する横断マッサージ」をタイミングよく加えることで、「横断マッサージ」と「機能的マッサージ」のコンビネーションテクニックとなる。

 

 

コンビネーションテクニックの場合、療法士は以下の様に操作する。

 

  1. 療法士の一側手で対象者の手関節付近を把持(これで手指屈曲・手関節掌屈尺屈位・前腕回内位を保持)

     

  2. 療法士は、①を保持した手で、肘の屈伸も操作する。これで機能的マッサージになる

     

  3. ②の関節運動(肘の屈伸)を操作しながら、更に療法士の反対手でタイミングを合わせるように筋(長・短橈側手根伸筋、総指伸筋の起始部など)を横断的にマッサージする。

 

更に、上腕骨外側上顆周囲(長・短橈側手根伸筋、総指伸筋の起始部)に対する横断マッサージをタイミングよく加えることで、「横断マッサージ」と「機能的マッサージ」のコンビネーションテクニックとなる。

 

コンビネーションテクニックの場合は、療法士の一側手で対象者の手関節付近を把持(これで手指屈曲・手関節掌屈尺屈位・前腕回内位を保持)しつつ肘の屈伸操作をする。

 

そして、療法士の反対手でタイミングを合わせるように(長・短橈側手根伸筋、総指伸筋の起始部)をマッサージする。

 

ちなみに、ストレッチングは「筋線維走行に沿った縦断伸張」なので、「縦断マッサージ」と言い換えることも出来る。

 

従って、これに関節運動が伴えば「機能的マッサージ」となる。

 

※どのタイミングで横断マッサージをするかは、症状によって変わってくる。

 

ここで記載した横断マッサージ・機能的マッサージに関しては以下も参考にして理解を深めていただきたい。

⇒『横断マッサージと機能的マッサージ(+違い)

 

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するテーピング

 

ついでにテニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するテーピングも紹介しておく。

 

以下は簡単な方法なため、肘外側の痛みに悩まされている方のリハビリ(理学療法)に是非試してみてほしい。

 

 

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対するアイスマッサージ

 

あくまでも応急処置になるが、テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のアイスマッサージも可能である。

 

自身でマッサージが可能であり、尚且つ冷たさが不快に感じにくい部位でもある。

 

(重複するが、あくまで応急処置の一環として)、ジンジンと辛い部位にアイスマッサージをすると一時的に楽になる。

 

以下がアイスマッサージの動画。

 

 

アイスマッサージの詳細については以下も参照してみてほしい。

⇒『アイスパックとアイスマッサージ(クリッカーなど)を動画で解説!

 

 

物理療法の補足

 

この記事ではアイスマッサージを紹介したが、外側上果炎を含めた疼痛に対する物理療法として「冷やす」or「温める」のどちらがベストかは一概に言えないため、個別に判断していくこととなる。

 

「温熱療法(温める)」に関しては、以下も参照してもらいたい。

 

『温熱の良し悪し』を把握して臨床に活かそう♪

 

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対する運動併用モビライゼーション

 

テニス肘(上腕骨外側上顆炎)に対する徒手療法としてはマリガンコンセプトの運動併用モビライゼーションも有効である(MWMs)。

 

上腕骨外側上果炎に対する徒手療法は有効か?

 

 

推奨グレードA:

単独効果と、同時に他の部位への徒手療法や温熱療法の併用により治療効果が期待できる。

 

 

解説:

局所治療に頸椎や胸椎のモビライゼーションを併用すると治療効果があり、局所の疼痛、機能改善、握力の改善があると言われている。

 

特に肘関節への運動併用モビライゼーション(MWMs)が推奨されており、局所痛のほか、握力、自律神経系への効果が報告されている。

 

また、超音波療法との併用により手関節背屈筋力と疼痛の改善が期待でき、頸椎外側滑りオシレーション運動により疼痛軽減と自律神経系作用への効果があるという報告がある。

理学療法診療ガイドライン第一版ダイジェスト版 P470

 

 

 

マリガンコンセプトの動画を紹介

 

以下はジャパンライムが発売しているマリガンコンセプトのDVD宣伝の動画なため、以下を通して何となくマリガンのテクニックをイメージしてみてほしい(残念ながら外側上火炎に関する動画ではないので、マリガンに興味が無い方はすっ飛ばしてほしい)。

 

 

以下がマリガンコンセプトのDVDと書籍になる。

 

 

 

以下のサイトでもマリガンコンセプトを紹介ているので合わせて観覧してみてほしい。

 

HP:マリガンテクニックを紹介します

 

マリガンコンセプトの記事一覧

 

 

手指運動時の手関節背屈の重要性

 

最後に、治療のヒントとして『手指運動時の手関節背屈の重要性』について記載して終わりにしようと思う。

 

まずは、以下の2つを試してみてほしい。

 

・手関節を掌屈した状態で手指を動かす。

・手関節を背屈した状態で手指を動かす

 

恐らく(っというか絶対)後者の方が手指を動かし易かったのではないだろうか。

 

これは『テノデーシス』という固定筋作用が関与している。

⇒『テノデーシスって何だ?

 

でもって、前述したタイピングや裁縫や様々な手先の運動を要する行為において、私たちは機能的な「手関節背屈位での手運動」を行っている。

 

 

手指の運動の際には、深指屈筋の働きを補助するために手関節を背屈位間定することが必要になり、橈側手根伸筋の活動が求められる。

 

つまり、橈側手根伸筋が深指屈筋よりも先に収縮し手関節背屈位で物を把持することが合理的な動作であるが、橈側手根伸筋の活動タイミングが遅れると物を把持して背屈するときに橈側手根仲筋には遠心性の収縮が生じることになり、その繰り返しによって筋付着部障害として上腕骨外上顆炎が発症する。

 

このような病態も一種ののstabilizer機能不全症候群と捉えることができ、これらの機能不全の評価・修正もリハビリ(理学療法・作業療法)として大切になってくる。

 

この『スタビライザー機能不全』というのは、体幹でいうところの「四肢の動きを含めたアウターマッスルに先行してインナーマッスルが働く」といった機能が障害された病態と同様と考えることが出来る。

 

でもって、体幹におけるスタビライザー機能不全に関しては、以下でも解説しているので合わせて観覧してみてほしい。

 

インナーマッスル(コアマッスル)の段階的トレーニング