この記事では、リハビリ(理学療法)の用語として活用されやすい「運動連鎖」という用語について記載していく。

 

運動連鎖をイメージしてみよう

 

リハビリ(理学療法)を実施するにあたって運動連鎖をイメージできるていることは、身体を「局所」のみならず「全体」として評価・治療するうえで大切なツールの一つとなり得るし、臨床の幅がぐっと広がる。

 

そんな運動連鎖について、下肢に関しては2つに分類される。

~以下の表は運動療法学―障害別アプローチの理論と実際を参考~

 

下行性運動連鎖(骨盤前後傾or前後方回旋)

 

①骨盤

②股関節

③膝関節

④足関節

骨盤の前傾

屈曲・内転・内旋

伸展・外転(外反)・外旋

底屈・回内(外反)

骨盤の後傾

伸展・外転・外旋

屈曲・内転(内反)・内旋

背屈・回外(内反)

 

①骨盤

②股関節

③膝関節

④足関節

骨盤後方回旋

屈曲・内転・内旋

伸展・内転(内反)・内旋

底屈・回外(内反)

骨盤前方回旋

伸展・外転・外旋

屈曲・外転(外反)・外旋

背屈・回内(外反)

 

 

 

上行性運動連鎖

 

①足関節

②膝関節

③股関節

④骨盤

回内(外反)

屈曲・外転(外反)・内旋

屈曲・内転・内旋

前傾・前方回旋

回外(内反)

伸展・内転(内反)・外旋

伸展・外転・外旋

後傾・後方回旋

 

足部回内による上行性運動連鎖

 

 

~足部回内による運動連鎖~

 

足部過回内

②脛骨内旋

③膝関節外反

④股関節内転・内旋

 

 

足部回内による上行性運動連鎖

 

 

~足関節回外による運動連鎖~

 

①足部過回外

②脛骨外旋

③膝関節内反

④股関節外転・外旋

 

以降の記事で、何となくでも運動連鎖をイメージ出来るようになってもらえれば幸いである。

 

下行性運動連鎖① 骨盤前後傾の運動連鎖

 

下降性運動連鎖とは、骨盤から遠位へと下降性に波及する運動連鎖のことを指し、以下の2つに分けられる。

 

・骨盤前後傾の運動連鎖

 

・骨盤前方回旋・後方回旋の運動連鎖

 

 

その中で、まずは「骨盤前・後傾の運動連鎖」について記載していく。

 

 

骨盤前後傾によって起こる下行性運動連鎖

 

骨盤前後傾によって起こる下行性運動連鎖は以下になる。

 

①骨盤

②股関節

③膝関節

④足関節(距骨下関節も含む)

骨盤の前傾

屈曲・内転・内旋

伸展・外転(外反)・外旋

底屈・回内(外反)

骨盤の後傾

伸展・外転・外旋

屈曲・内転(内反)・内旋

背屈・回外(内反)

 

更に、腰部には以下の運動連鎖が起こる。

  • 骨盤の前傾では、腰椎の前彎(伸展)が増加する。
  • 骨盤の後傾では、腰椎の後彎(屈曲)が増加する。

 

 

骨盤前傾・後傾の運動連鎖をイメージしてみてみよう

 

下降性運動連鎖は、骨盤の前・後傾に伴って以下が起こるようイメージしてみてほしい。

  • 骨盤前傾⇒下肢の骨(大腿骨・脛骨・足部)は全て内旋方向へ引っ張られる(下イラストの左側)
  • 骨盤後傾⇒下肢の骨(大腿骨・脛骨・足部)は全て外旋方向へ引っ張られる(下イラストの右側)
骨盤前傾による下行性運動連鎖
骨盤前傾による下行性運動連鎖

 

その様なイメージを持った上で、回旋の大きさが「大腿骨>脛骨」なので、膝に関しては以下が起こるということにある。

 

  • 骨盤前傾で起こること

    膝関節(下腿)の外旋

    ⇒「下肢の骨が全て内旋方向へ引っ張られる」ので大腿骨も脛骨も内旋するのだが、「大腿骨の内旋」のほうが「脛骨の内旋」より大きいので、表現としては「膝関節(下腿)は外旋している(大腿に対して相対的に下腿は外旋している)」となる。

     

    また、「下肢の骨が全て内旋方向へ引っ張られる」という点をイメージすれば、足関節(っというか距骨下関節)も回内(外反)するイメージがわくのではないだろうか?

 

  • 骨盤後傾で起こること

    膝関節(下腿)の内旋

    ⇒「下肢の骨が全て外旋方向へ引っ張られる」ので大腿骨も脛骨も外旋するのだが、「大腿骨の外旋」のほうが「脛骨の外旋」より大きいので、表現としては「膝関節(下腿)は内旋している(大腿に対して相対的に下腿は内旋している)」となる。

     

    また、「下肢の骨が全て外旋方向へ引っ張られる」という点をイメージすれば、足関節(っというか距骨下関節)も回外(内反)するイメージがわくのではないだろうか?

 

 

ここではイメージしやすいように「回旋」にフォーカスを当てて運動連鎖を解説しているが、膝に関しては回旋以外に以下の運動連鎖が起こる点を補足しておく。

 

骨盤前傾が大きい立位姿勢では、運動連鎖で以下が膝に起こる。

 

『膝関節伸展・外反・外旋方向への負荷の増大』

 

その結果として、(鷲足や側副靭帯などの)膝関節内側組織への伸張ストレスが増大し、機能障害を起こすことがあるかもしれない。

 

 

あるいは骨盤後傾が大きい立位姿勢では、運動連鎖で以下が膝に起こる。

 

『膝関節屈曲・内旋・内反方向への負荷の増大』

 

その結果として、膝関節内側組織への圧迫ストレスが増大し、O脚を伴う変形性膝関節症を起こすことがあるかもしれない。

 

膝の内反・外反

画像引用:オーチスのキネシオロジー

 

膝関節内反アライメント:

大腿骨と脛骨のなす角が内側に向いた状態をいう。

 

膝関節外反アライメント:

大腿骨と脛骨のなす角が外側に向いた状態をいう。

 

 

 

下行性運動連鎖② 骨盤後方・前方回旋の運動連鎖

 

ここからは、もう一つの下降性運動連鎖である「「骨盤前方回旋・後方回旋回の運動連鎖」について記載していく。

 

 

骨盤後方・前方回旋によって起こる運動連鎖

 

骨盤後方・前方回旋によって起こる下行性運動連鎖は以下になる。

 

①骨盤

②股関節

③膝関節

④足関節(距骨下関節も含む)

骨盤後方回旋

屈曲・内転・内旋

伸展・内転(内反)・内旋

底屈・回外(内反)

骨盤前方回旋

伸展・外転・外旋

屈曲・外転(外反)・外旋

背屈・回内(外反)

 

 

骨盤後方回旋・前方回旋の運動連鎖をイメージしてみてみよう

 

もしも骨盤の右側が後方回旋している場合は、相対的に骨盤の左側は前方回旋していることとなり、これらは左右セットでイメージしておくと良い。

 

少しここで、自分の体を使って運動連鎖を理解してみてみよう。

 

まず立位姿勢を保持したまま以下のポーズをとってみてほしい。

  • 左膝を曲げることで、左の骨盤を前へ突き出す。
  • それと同時に、右膝を伸ばすことで右骨盤を十分後方へ引く。

 

上記のポーズが、左骨盤前方回旋(相対的に右骨盤後方回旋)の下降性運動連鎖の極端な形と言える。

 

そのポーズを前述の表に当てはめてほしい。

 

左側は(骨盤後傾し)股は伸展、膝は屈曲、足部は回外しているはずだ。

 

右側は(骨盤前傾し)股は屈曲、膝は伸展、足部は回内しているはずだ。

 

※まぁ、この方法だと「(骨盤後傾+)股伸展」は、ちと無理があるかもしれないが。

 

 

骨盤後方回旋・前方回旋の運動連鎖の具体例

 

上記を体感してもらえば、以降の記事は不要だと思うが、念のため『立位における骨盤右側が後方回旋しているケース』を例にして以下に示す。

 

立位で骨盤右側が後方回旋した場合、以下が起こる。

  • (右骨盤の前傾)

  • 右股関節が屈曲・内転・内旋

  • 右膝関節が伸展・内転(内反)・内旋

  • 右足関節(距骨下関節も含む)が底屈・回外(内反)

 

ちょっと難しいかもしれないが「右骨盤の後方回旋」によって、右下肢の骨は全て外旋方向へ引っ張られるとまずはイメージしてほしい。

 

その様なイメージを持った上で、動きの大きさが「骨盤>大腿骨>脛骨」なので、以下が起こるということにある。

 

  • 股関節では内旋起こる

    骨盤も大腿骨も外旋するのだが、「骨盤の外旋」のほうが「大腿骨の外旋」より大きいので、表現としては「(骨盤と大腿骨の相対的な位置関係から)股関節は内旋している」となる。

 

  • 膝関節では内旋が起こる

    大腿骨も脛骨も外旋するのだが「大腿骨の外旋」のほうが「脛骨の外旋」より大きいので表現としては「(大腿骨と脛骨の相対的な位置関係から)膝関節は内旋」となる。

 

 

一方で、上記に示した「右骨盤の後方回旋」が起こっているということは、相対的に「左骨盤の前方回旋」が起こっていることになり、左下肢には以下の運動連鎖が起こる。

  • (左骨盤の後傾)

  • 左股関節が伸展・外転・外旋

  • 左膝関節が屈曲・外転(外反)・外旋

  • 左足関節(距骨下関節も含む)が背屈・回内(外反)

 

ちょっと難しいかもしれないが「左骨盤の前方回旋」によって、左下肢の骨は全て内旋方向へ引っ張られるとまずはイメージしてほしい。

 

その様なイメージを持った上で、動きの大きさが「骨盤>大腿骨>脛骨」なので、以下が起こるということにある。

 

  • 股関節では外旋起こる

    骨盤も大腿骨も内旋するのだが、「骨盤の内旋」のほうが「大腿骨の内旋」より大きいので、表現としては「(骨盤と股関節の相対的な位置関係から)股関節は外旋している」となる。

 

  • 膝関節では外旋が起こる

    大腿骨も脛骨も内旋するのだが「大腿骨の内旋」のほうが「脛骨の内旋」より大きいので表現としては「(大腿骨と脛骨の相対的な位置関係から)膝関節は外旋している」となる。

 

 

また、膝関節伸展位での下腿の内外旋の動きは少ないため、膝には以下のストレスが加わり、様々な疾患の原因となる。

 

  • 骨盤後方回旋の運動連鎖

    ⇒膝に伸展・内転(内反)・内旋ストレス⇒腸脛靭帯炎が起こる(内旋は大腿筋膜張筋を緩める方向ではあるものの、内反ストレスが影響を及ぼす)

 

  • 骨盤前方回旋の運動連鎖

    ⇒膝に伸展・外転(外反)・外旋ストレス⇒鷲足炎が起こる(特に外反・外旋ストレスが影響)

 

あるいは、片麻痺に見られる立位持や歩行時の足関節回外(内反)や膝関節過伸展(反張膝)は、骨盤後方回旋による運動連鎖が原因である可能性もあり、そのような場合には骨盤へのアプローチが重要となる。

 

反張膝

 

 

 

 

左イラスト⇒正常な膝

 

右イラスト⇒反張膝

 

画像引用:オーチスのキネシオロジー

 

 

上行性運動連鎖

 

上行性運動連鎖とは、足部から近位へと上行性に波及する運動連鎖のことを指す。

 

①足関節(距骨下関節を含む)

②膝関節

③股関節

④骨盤

回内(外反)

屈曲・外転(外反)・内旋

屈曲・内転・内旋

前傾・前方回旋

回外(内反)

伸展・内転(内反)・外旋

伸展・外転・外旋

後傾・後方回旋

 

  • 足関節(距骨下関節を含む)の回内では、同側への側屈・回旋が体幹に起こる。
  • 足関節(距骨下関節を含む)の回外では、反対側への側屈・回旋が体幹に起こる。

 

足部回内による上行性運動連鎖

 

 

~足部回内による運動連鎖~

 

足部過回内

②脛骨内旋

③膝関節外反

④股関節内転・内旋

 

 

足部回内による上行性運動連鎖

 

 

~足関節回外による運動連鎖~

 

①足部過回外

②脛骨外旋

③膝関節内反

④股関節外転・外旋

 

 

 

足関節回内外による運動連鎖をイメージしてみてみよう

 

上行性運動連鎖は、足関節(距骨下関節・後足部)の回内外によって以下が起こるようイメージしてみてほしい。

  • 足関節回内⇒下肢の骨(脛骨・大腿骨・骨盤)は全て内旋方向へ引っ張られる
  • 足関節回外⇒下肢の骨(脛骨・大腿骨・骨盤)は全て外旋方向へ引っ張られる

 

 

その様なイメージを持った上で、回旋の大きさが「脛骨>大腿骨>骨盤」なので、以下が起こるということになる。

 

  • 足関節回内で起こること

    膝関節では内旋が起こる

    ⇒「足関節の回内」に引っ張られて脛骨も大腿骨も内旋するのだが、「脛骨の内旋」のほうが「大腿骨の内旋」より大きいので、表現としては「(脛骨と大腿骨の相対的な位置関係から)膝関節(下腿)は内旋している」となる。

     

    股関節では内旋が起こる

    ⇒「足関節の回内」に引っ張られて大腿骨も骨盤も内旋(厳密には骨盤は前方回旋と表現)するのだが「大腿骨の内旋」のほうが「骨盤の前方回旋」より大きいので表現としては「(大腿骨と骨盤の相対的な位置関係から)股関節は内旋している」となる。

 

  • 足関節回外で起こること

    膝関節では外旋が起こる

    ⇒「足関節の回外」に引っ張られて脛骨も大腿骨も外旋するのだが、「脛骨の外旋」のほうが「大腿骨の外旋」より大きいので、表現としては「(脛骨と大腿骨の相対的な位置関係から)膝関節(下腿)は外旋している」となる。

     

    股関節では外旋が起こる

    ⇒「足関節の回外」に引っ張られて大腿骨も骨盤も外旋(厳密には骨盤は後方回旋と表現)するのだが「大腿骨の外旋」のほうが「骨盤の後方回旋」より大きいので表現としては「(大腿骨と骨盤の相対的な位置関係から)股関節は外旋している」となる。

 

 

ここではイメージしやすいように「回旋」にフォーカスを当てて運動連鎖を解説しているが、その他の運動連鎖に関しても補足しておく。

 

例えば、立位で足関節(距骨下関節)を回内(外反)した場合、脛骨と大腿骨はともに前方・内側・内旋方向へ動く。

そして、上行性運動連鎖として働く力は「脛骨>大腿骨」なので、結果として以下が連鎖的に起こる。

  • 膝関節屈曲・内転(外反)・内旋
  • 股関節屈曲・内転・内旋
  • 骨盤前傾・前方回旋
  • 体幹は同側側屈+回旋

 

 

あるいは、立位で足関節(距骨下関節)を回外(内反)した場合、脛骨と大腿骨はともに後方・外側・外旋方向へ動く。

そして、上行性運動連鎖として働く力は「脛骨>大腿骨」なので、結果として以下が連鎖的に起こる。

  • 膝関節伸展・外転(内反)・外旋
  • 股関節伸展・外転・外旋
  • 骨盤後傾・後方回旋
  • 体幹は反対側側屈+反対側回旋

 

 

足部からの運動連鎖をリハビリ(理学療法)に活かすためのヒント

 

足部からの運動連鎖の知識は、リハビリ(理学療法)に活かすためのヒントとしては、足底板を例にすると分かりやすい。

 

内側ウェッジを足底に入れて回外にすることにより以下の方向に運動連鎖を誘導できる。

  • 膝関節伸展・外転(内反)外旋
  • 股関節伸展・外転・外旋
  • 骨盤後傾・後方回旋

 

外側ウェッジを足底に入れて回内にすることにより以下の方向に運動連鎖を誘導できる。

  • 膝関節屈曲・内転(外反)・内旋
  • 股関節屈曲・内転・内旋
  • 骨盤前傾・前方回旋

 

例えば、ニーインが顕著で膝蓋大腿関節に痛みがある患者に、内側ウェッジを入れることでニーインが減少する。

ニーインと膝蓋大腿関節の痛みの因果関係は以下も参照

⇒「エクステンションラグと内側広筋は関係ないよ

 

 

その他の運動連鎖

 

ここでは、下肢の運動連鎖を記載したが、これら下肢の運動連鎖は骨盤帯よりも頭側へ波及することもある。

 

あるいは、前方頭位などの頭頸部の影響が以下の様に上肢へ連鎖していくこともある。

  • 上部胸椎の後弯増強、それによる可動域制限
  • 肩甲帯前方突出、肩関節の内旋など

 

また、ここで取り上げてきた「全身の運動連鎖」と同様に、「関連性が深い部位」についてはセットで考えていくことが必須となる。

例えば以下の通り。

  • 肩甲上腕関節の問題

    ⇒肩甲胸郭関節・脊柱(特に頸胸以降部)

 

  • 股関節の問題(あるいは腰部の問題)

    ⇒腰部(あるいは股関節)+仙腸関節

 

 

不良姿勢に対するに骨盤操作による運動連鎖

 

「構築学的変形が無い不良姿勢」において、骨盤操作による反応は運動連鎖を理解するのに分かりやすい例となる。

 

不良姿勢は以下の様な特徴を示している。

運動連鎖 不良姿勢

 

 

前方頭位

胸椎の屈曲増大

 

上半身重心の後方変位

 

骨盤後傾+前方変位

股関節の伸展

 

 

そして、不良姿勢が「構築学的変形」や「重度な筋短縮」の影響を受けていないのであれば、後傾された骨盤を前傾方向へ操作することで以下の様な反応が起こることがあるので、是非観察してみてほしい。

アライメント矯正①
アライメント矯正②

※クライアントが反応しやすい声掛けも工夫しながら操作してみよう。

※学生さんであれば、まずは友人に試してみよう
※間違ってほしくないのは、力任せに「矯正」しようとするのではなく、「誘導」するという点である。
※なので、対象者が反応しやすい声掛けも工夫しながら操作してみよう。

 

 

全くの余談になるが、骨盤前・後傾の自動運動(あるいは誘導による自動介助運動)自体もコアエクササイズになり得る。

関連記事

⇒『骨盤前傾運動と多裂筋の関係をリハビリに活用

⇒『骨盤後傾運動と腹横筋

 

この様な「骨盤前傾・後傾によって生じる全身の運動連鎖」に関しては、以下の動画もイメージを助けてくれると思うので、観覧してみてほしい。

 

 

 

運動連鎖のリハビリ(理学療法)活用と、その限界

 

運動連鎖は非常に重要な概念である。

 

局所に囚われるのではなく全体を評価することは重要で、訴える部位から離れた部位へのリハビリ(理学療法)が解決手段となることも多い。

 

例えば、膝関節の痛みに対して足部へのアプローチが問題解決になり得る。
あるいは、骨盤の「前/後傾」や「前/後方回旋」に付随して起こる「脊柱の運動連鎖」を知っていると脊柱のアライメント調整にも重宝する。

 

兎にも角にも、こんな調子で「局所の評価」と同時に「運動連鎖も含めての全身評価」を考えていくのは重要だ。

 

一方で、運動連鎖には(理屈上、もっともらしいパターンは存在するが)、必ずしもすべての人にパターンが当てはまるとは限らない。
※これは凹凸の法則も同じだし、脊柱のカップリングモーションも同じだし、腰椎の椎間板理論も同じだし、全てに言える。

 

更には、加齢とともに構造的・機能的問題が積み重なって症状が起こっている場合は、運動連鎖が破綻していても何ら不思議ではない。
例えば高齢者は、これまでの生活習慣の積み重ねで多くの構造的・機能的障害、慢性的な症状を有していることがある。

 

そして、これらの症状は最初は一次的な機能障害に付随する単なる二次的な要素に過ぎなかったかもしれないが、加齢とともに全てが(極端で分かりやすい表現を使うのであれば)一次的な機能障害として個々に独立して存在していることもある。

 

そうなってくると、(重複するが)「一つの関節を調整することで、まるでドミノ倒しのように、全てが上手い具合に調整されていく」という考えは魅力的だが、限界があることは知っておく必要がある。

 

※あるいは、即時的な変化が起こっても(根本はなんら解決していないので)持続性が全くない「パフォーマンス」の類で終わってしまうことがある。

※期待感などのプラシーボ効果を考えた場合に、パフォーマンスも有効活用出来なくもないが。

関連記事⇒『これだけ読めば丸解り?プラシーボ効果のまとめ一覧

 

一方で、「運動連鎖の観点からすれば症状改善が難しそうなクライアントで」あったとしても、適切なリハビリ(理学療法)によって(運動連鎖が破綻しているにも関わらず)症状は改善し、元気を取り戻すことは珍しくないのは誰しもが経験している事だと思う。

 

したがって「運動連鎖の概念は理学療法を実施するにあたって重要なツールになり得る」が、「あくまで一つのツールに過ぎない」というスタンスが理想だろう。

 

これら運動連鎖はどの分節が起点となっても、上行性または下降性に起こり得るものである。

 

しかし、連鎖の起点になった分節から遠ざかるほど、他関節の機能の影響などによって連鎖パターンの多様化が生じる。

 

特に、体幹や前足部の連鎖パターンには個人差が大きい。

運動連鎖~リンクする身体 (実践mook・理学療法プラクティス)

 

 

運動連鎖においては、骨盤や大腿骨、脛骨などの各セグメントの動きの関連性を理解し、各セグメントの相対的な位置関係からその間にある関節の肢位を推定するように考えると理解しやすい。

 

ただし、骨の変形が顕著な場合や荷重位で関節の不安定性が強い場合は、必ずしもこの通りではないため注意が必要である。

~書籍:運動療法学―障害別アプローチの理論と実際より~

 

 

運動連鎖の関連記事

 

動的アライメントの重要性を含めた内容として、以下の記事は運動連鎖のイメージを助けてくれるのではと思う。

※特に鵞足炎はイメージしやすいので、是非観覧してみてほしい。

 

鵞足炎のリハビリ(理学療法)

 

腸脛靭帯炎のリハビリ(理学療法)

 

 

あるいは、運動連鎖によって生じる様々な疾患に関しては以下にまとめているので、こちらも合わて観覧してみらうと理解が深まるかもしれない。

 

ニーンによる運動連鎖で起こる症状