この記事では、6分間歩行テスト(6MT;6-minute walking distance test)について記載していく。

 

目次

閉じる

6分間歩行テストとは

 

6分間歩行テストとは、1985年にGuyattらによって提唱された負荷試験である。

 

6分間できるだけ早く歩いてもらい、その距離を計測して、運動耐容能を評価する。

 

平坦な歩行コースがあれば実施可能である。

 

6分間歩行テストの測定は、呼吸障害や心疾患に対する治療効果判定に用いられる。

 

6分間歩行テストは対象者の最大酸素摂取量(peak VO2)を測定する検査ではないが、それとよく相関すると言われている。

スポンサーリンク

 

高齢者における6分間歩行テストの意義(目的)

 

6分間歩行テストは最大酸素摂取量との相関が高く、高齢者を対象とした測定において、その安全性や再現性が確認されており、高齢者の全身持久力を評価する実用性の高いテストである。

 

また、6分間歩行テストは『日常生活活動能力』や『QOL(生活の質)』との関連性がみられるとされ、また加齢により減少することも多くの報告で示されている。

 

※(後述する)文部科学省の体力テストにおいても、高齢者の全身持久力を評価する指標として6分間歩行テストが採用されている。

 

これらの点が、6分間歩行における意義(目的)となる。

 

 

6分間歩行テストの基準値(カットオフ値)

 

6分間歩行テストの基準値(カットオフ値)に関しては一定の見解が無いが、以下の様な報告もある。

 

高齢日本人の平均的歩行距離は500~550mである。

 

6分間歩行試験が400m以下になると外出に制限が生じ、200m以下では生活範囲は極めて身近に限られる。

 

関連記事⇒『実用歩行とは?

 

 

あるいは、年代別(高齢者)の平均値としては以下のデータもある。

 

年代(歳) 性別 平均値(m) 標準偏差
65~69

男性(n=885)

女性(n=852)

618.75

575.63

91.19

78.17

70~74

男性(n=584.26)

女性(n=551.38)

584.26

551.38

107.52

82.05

75~79

男性(n=)

女性(n=)

554.74

515.90

90.70

83.75

~文部科学省:H20年度体力・運動能力調査結果より~

 

ただし、6分間歩行テストで最も重要なのは、リハビリ(理学療法)による効果判定(改善しているのか・変化がないのか・悪化しているのか)だと考える。

 

※例えば、後述する動画の3分40秒くらいからは脳卒中片麻痺、歩行器を使用した歩行の様子も観覧できるのだが、これらの人達の一部に関しては、テストの目的が必ずしも「基準値(カットオフ値)や平均値との比較」ではなかったりする。

 

 

6分間歩行テストで準備するもの

 

最低片道30mある歩行路(通路)で直線歩行の往復、またはトラックで測定を行うため、測定するために必要なスペースを確保しておく必要がある。

 

歩行路には距離を示すマーキングを行い(通常3m)、方向転換地点には円錐状のコーンを置く。

 

歩行開始地点の床にテープを貼ってスタートラインとする。

 

ストップウォッチと修正Brgスケール(歩きながらでも見えるように、十分拡大したもの)を用意する。

関連記事⇒『Brgスケールの表はこれです。

 

検査者の判断に応じて、心電図モニター、血圧、酸素飽和度を測定するため、それらの測定機器を揃えておく。

関連記事⇒『パルスオキシメーター(酸素飽和度測定器)を解説

 

6分間歩行テストを実施する環境に関するイメージは、以下の動画で何となく掴んでみてほしい。

 

※バックミュージックが煩いので、観覧する際は音量を予め低くしておくことをおススメする。

 

 

6分間歩行テストの注意点と禁忌

 

患者の慣れ、意欲、検者の励ましの有無などにより結果が変わり得るため、結果には注意を要する。

 

  • 絶対禁忌((絶対に実施してはいけないもの):
    ⇒1か月以内に生じた不安定狭心症または心筋梗塞

 

  • 相対禁忌(実施する際に、細心の注意を要すもの):
    ⇒安静時心拍数120以上、収縮期血圧180mmHg、拡張期血圧100mmHg

 

スポンサーリンク

 

6分間歩行テストのガイドライン(やり方)

 

ここからは、6分間歩行テストのガイドライン(やり方)を記載していく。

 

6分間歩行テストの前に、見やすい大きさに拡大した修正Borgスケールを対象者に見せ、息切れの強さと疲労感を示してもらう。

関連記事⇒『主観的運動強度(Borgスケールとは?)

 

合図によって立位から歩行を開始する。

歩行中は以下の声掛けを行うよう定められている。

 

  • 1分経過時点の声掛け
    「うまく歩けています。残りはあと5分です」

 

  • 2分経過時点の声掛け

    「その調子を維持してください。残りはあと4分です」

 

  • 3分経過時点の声掛け

    「うまく歩けています。半分が過ぎました」

 

  • 4分経過時点の声掛け

    「その調子を維持してください。残りはあと2分です」

 

  • 5分経過時点の声掛け

    「うまく歩けています。残りはあと1分です」

 

酸素飽和度を含めたバイタルチェックを行う。

修了時にも修正Brgスケールを用いて息切れの強さや疲労感を示してもらう。

 

 

6分間歩行テストのコツ

 

試験する時間帯は、食後2時間以上経過後が良い。

 

再現性を確認するため15分間以上の休憩をはさんで2回繰り返す。

 

長いほうの歩行距離を―データとして採用する。

 

試験前のウォーミングアップは不要だが、検査前には対象者は椅子に座り約10分間の安静を保つ。

 

ペースを乱す可能性があると判断した場合は、対象者の横に並んで歩いてはいけない(リスク管理上並んで歩く場合は、自身がペースを乱していないかにも配慮する)

 

 

シャトルウォーキングテストとの違いを知りたい方は以下も参照

 

6分間歩行テストと類似した試験に『シャトルウォーキングテスト』がある。

 

『6分間歩行試験』が30mの直線を必要とするのに対して、『シャトルウォーキングテスト』は10mの直線しか必要ないという点はメリットとなるが、もちろんデメリットもある。

 

それらの違いも含めて興味がある方は参考にして頂きたい。

 

シャトルウォーキングテストを動画で紹介!

 

 

ちなみに、6分間歩行テスト・シャトルウォーキングテストなどの『運動負荷試験』は心疾患への運動処方時のリスク管理にも活用される。

そんなリハビリのリスク管理(安全管理・中止基準)に関しては以下の記事でまとめているので、合わせて観覧すると理解が深まるかもしれない。

 

リハビリのリスク管理に『安全管理・中止基準のガイドライン』を知っておこう!

 

 

また、リハビリ(理学療法・作業療法)として一番馴染みのある『10m歩行テスト』に関しては、以下の記事にまとめているので興味がある方はどうぞ。

 

10m歩行テストの目的/方法(やり方)/基準値(カットオフ値)を解説!