この記事では、基本的ADL(bacic ADL)の評価スケールであるABMS-2(Ability for Basic Movement Scale-2)について記載していく。

 

目次

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ABMS-2とは

 

ABMS-2(Ability for Basic Movement Scale-2)とは、基本的ADLのうち以下の5つの基本動作能力を評価する簡易な評価スケールである。

 

  1. 寝返り
  2. 起き上がり
  3. 座位保持
  4. 立ち上がり
  5. 立位保持

 

※上記の項目を見れば分かるように、(厳密にいうと)このスケールは「基本的ADL(応用的動作を日常に落とし込んだもの)」ではなく「基本的動作」を評価していると表現したほうが妥当だと感じる。

 

※基本的動作・応用的動作・基本動作・ADLなどの用語に関しては、後述するリンク先『ADL』を参照

 

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ABMS-2の書式

 

以下がABMS-2の書式となる。

 

動作

評価

点数

寝返り

6点:完全自立

5点:修正自立

4点:監視・口頭修正

3点:部分介助

2点:全介助

1点:禁止

 

起き上がり

 

座位保持

 

立ち上がり

 

立位保持

 

合計

 

      /30点

 

禁止という評価項目がなかなかユニークだと感じる。

 

理学療法士・作業療法士が活用するメジャーな評価ツールと比べるとシンプルすぎる印象を受けるが、簡便に他職種との共通認識を持つ上で有用な印象も受ける(特に急性期では短期間にADLが目まぐるしく変化するケースもあるので、簡便さは重要だと思う)。

 

 

ABMS-2の採点

 

各動作を1~6点の6段階(禁止を含む)で採点する。

 

※数字が大きいほど能力が高い)で評価して、5項目の合計点を算出する(満点は30点)。

 

基本的動作能力のみで構成されたスケールであるため、評価においては特別な道具は不要であり、短時間で行うべきベッドサイドでの評価にも適している。

 

急性期症例(急性期脳卒中、外科医手術後など)における有用性が高く、患者の離床能力を反映するスケールとも考えられている。

 

急性期脳卒中におけるABMS-2の点数が、長期的機能予後の予測因子になることも確認されている。

 

 

基本的ADL関連記事

 

ADLに関しては以下の記事にまとめている。

 

ADL(日常生活活動・日常生活行為)とは?

 

 

基本的ADLの評価スケールはABMS-2以外には以下がある。

 

FIM(functional Independence Measure)

 

バーサルインデックス(Barthel Index)

 

 

ADLはICFにおける「活動」に相当する。

そして、リハビリ(理学療法・作業療法)を考える上で、ICF(生活機能分類)による「人間を包括的に捉える視点」は重要になってくる。

以下のリンク先に、ICFをまとめた記事があるので、こちらも参考にしていただき、問題解決に役立てていただければと思う。

 

理学・作業療法士が知っておくべきICFのまとめ一覧