この記事では、基本的ADL(bacic ADL)の評価スケールであるバーサルインデックス(Barthel Index)について判定基準も含めて記載していく。

 

また、記事の最後にはバーサルインデックスとFIMの違いも補足しているので、こちらも参考にしてもらいたい。

 

※ちなみに、本当は「バーサルインデックス」ではなく、「バーセルインデックス」と呼ぶ(最近まで誤解していたが、そういわれると確かにBarthelはバーセルだ)。

 

※この記事では訂正せずに記載しているが、実際は「バーセルインデックス」なので、皆さんも注意してほしい。

 

バーサルインデックス

 

バーサルインデックス(Barthel Index)は最も広く用いられている、10項目で構成されたADL評価スケールである。

 

各項目ごとの評価の基準が具体的に設定されており、各項目それぞれが、自立度(自立・部分介助・全介助など)に応じて0~15点(2~4段階)で評価される。

 

ADLが完全に自立している場合10項目の合計点が100となるが、バーサル指数には天井効果があることも示されており、軽微なADL障害を評価することは困難である。

 

介助量とそれに要する時間に基づいて、それぞれの項目について重みづけがなされており、例えば移動動作、移乗動作はそれぞれ15点の配点であり、排泄は排尿と排便に分けられている(いずれも10点)ことから、これらの項目が重視されているものと解釈できる。

 

バーサルインデックスは、原則的に「出来るADL」を評価するツールだとされている。

関連記事⇒『活動と参加(+違い)

 

 

バーサルインデックスの判定基準

 

以下の判定基準を参考にしながら、各項目を採点していく。

 

 

自立

(independent)

部分介助

(with help)

全介助

dependent

1:食事

10

5(おかずを切ってもらう)

2:移乗

(車椅子からベッドへ)

15

10

(軽度介助

・監視を要する)

(座ることのみ可能)

3:整容

4:トイレ動作

10

(体を支える、衣服・後始末に介助を要する)

5:入浴

6:歩行

15

(歩行器を用いずに45m以上歩行)

10

(45m以上の介助歩行、歩行器使用)

(車椅子で45m以上の操作可能)

7:階段昇降

10

5(介助・監視を要する)

8:着替え

10

(標準的な時間内、半分以上は行える)

9:排便コントロール

10

(時に失禁あり。浣腸・坐薬の取り扱いに介助を要する)

10:排尿コントロール

10

(時に失禁あり、収尿器の取り扱いに介助を要する)

 

 

バーサルインデックスの詳細な判定基準

 

もう少し詳細な判定基準が知りたい方は以下を参照。

 

 

判定

点数

基準

食事

自立

10

適当な時間内で自己にて食べ物をとって食べることが可能。自助具を用いる場合は自己にて装着可能であること

部分介助

食べ物を細かく切ってもらうなど部分介助が必要

全介助

全介助

車椅子と

ベッド間の移乗

自立

15

以下の動作が全て自己にて可能(車椅子で安全にベッドに近づく、ブレーキをかける、フットレストを上げる、ベッドに安全に移動する、横になる、起き上がりベッドに腰かける、必要であれば車椅子の位置を変える、車椅子に移動する)

部分介助

10

上記の動作のいずれかにかわずかな介助が必要

一人で起き上がり腰かけることは可能であるが、移動にはかなりの介助が必要

全介助

全介助

整容

自立

手洗い、洗顔、整容、歯磨き髭剃り(道具の準備も含む)、化粧が可能

全介助

介助が必要

トイレ動作

自立

10

トイレへの出入り、衣服の着脱、トイレットペーパーの使用が自己にて可能。必要であれば手すりを利用しても良い。ポーターブルトイレや尿器を使用する場合は、その洗浄などもできる

部分介助

バランスが悪いために介助が必要。衣服の着脱やトイレットペーパーの使用に介助が必要

全介助

全介助

入浴

自立

浴槽に入る、シャワーを使う、体を洗うといった動作が自己にて可能

全介助

介助が必要

平地歩行or

車椅子操作

自立

15

監視や介助なしで45m以上歩ける。義肢・装具や杖・松葉杖・歩行器(車輪付きは除く)を使用しても良いが、装具使用の場合は継手のロック操作が可能なこと

部分介助

10

監視やわずかな介助があれば45m以上歩ける

歩けないが車椅子駆動は自立し、角を曲がること、方向転換、テーブル・ベッド・トイレなどへ移動ができ、45m以上操作可能

全介助

全介助

階段昇降

自立

10

監視や介助なしで安全に昇段・降段ができる。手すり、松葉杖や杖を利用しても良い

部分介助

監視または介助が必要

全介助

全介助や不能

更衣

自立

10

全ての衣類や靴の着脱、さらに装具やコルセットを使用している場合はその着脱も行うことができる。

部分介助

上記について介助を要するが、作業の半分以上は自分で行え、適当な時間内に終わることができる。

全介助

10

全介助

排便自制

自立

10

失禁がなく排便コントロールが可能。脊髄損傷者などは坐薬や浣腸を使っても良い

部分介助

坐薬や浣腸の使用に介助が必要、または時に失禁がある

全介助

失禁状態

排尿自制

自立

10

失禁がなく排尿コントロールが可能。脊髄損傷者などは収尿器の着脱や清掃管理ができていること

部分介助

時に失禁がある。尿器を持ってきてもらうまで、またはトイレに行くまで間に合わない。収尿器の着脱や管理に介助が必要

全介助

全介助

 

 

 

改訂版バーサルインデックスもあるよ。

 

個人的には馴染みが無いが、『改訂版バーサルインデックス』なるものも存在するので、余談として補足としておく。

 

バーサルインデックスはGranger CVらによって改訂され、海外では原版よりも改訂版のほうが活用頻度が高いようである。

 

改訂版バーサルインデックスは以下の2大項目に分類される。

①身のまわり動作(9小項目)

②移動動作(6小項目)

 

でもって判定は以下の4段階で評価する。

①自立

②補助具で自立

③一部介助

④全介助

 

以下の評価票を観覧してもらえばわかるが、各小項目の得点比重は同じではなく、項目ごとに得点に差がつけられている。

 

一方で、評価得点は原版と改訂版で同じ(全て自立で100点)となっている。

 

改訂版バーサルインデックスの評価票は以下の通り。

 

 

自立

補助具で自立

一部介助

全介助

身辺動作

食事

10

上半身行為

下半身行為

装具・義肢の装着

-2

整容

入浴

排尿

10

10

排便

10

10

トイレでの後始末・着衣

移動動作

椅子への移動

15

15

トイレへの移動

浴室・浴槽への移動

平地50m以上の移動

15

15

10

階段昇降(一連移乗)

10

10

歩けない場合、車椅子で50m

15

 

 

バーサルインデックスの『カットオフ値』と『信頼性』

 

バーサルインデックスについて以下の点を記載しておく。

 

・バーサルインデックスの「カットオフ値」

・バーサルインデックスの「信頼性」

 

 

 バーサルインデックスの「カットオフ値」

 

カットオフ値

 

グレンジヤー(Granger)ら(1979)は、60点が部分自立と介助の分岐点であると報告している。

※一般的に85点以上が自立とされているが.95点以上を完全自立とする報告もある。

 

もう少し詳細なカットオフ値(脳血管障害)は以下の通り。

 

 

~脳血管障害におけるバーセルインデックス総得点(バーセルスコア)~

 

総得点 正門ら(日本,1989) グレンジャーら(米国,1978)
100点 ADL自立  
85点 歩行(65%自立)

トイレ動作、移乗(75%自立)

歩行(35%自立)

75点

移乗(ほぼ自立)

トイレ動作(80%自立)

更衣(60%自立)

歩行(大部分が自立していない)

 
60点

移乗・更衣(部分介助でほぼ可能)

歩行(介助で50%以上が可能)

食事、排便・排尿コントロール、整容(ほぼ自立)

移乗、更衣、歩行(部分介助で50%が可能)

50点

移乗(部分介助で70%)

トイレ動作(部分介助で90%)

更衣(部分介助で50%以上が可能)

 
40点

食事・排便・排尿コントロール、整容(自立しているものは少ない)

移乗(全介助~部分介助)

左記と同様

 

 

バーサルインデックスの「信頼性」

 

信頼性

 

グレンジヤーら(1976)は、バーサルインデックスの信頼性について以下の様に報告している。

・検者間信頼性⇒0.95
・検者内信頼性⇒0.89

 

※「検者間信頼性」や「検者間信頼性」などの詳細は『リハビリ(理学療法)用語解説』を参照

 

 

バーサルインデックスとFIMの違い

 

バーサルインデックスとFIMの違いは以下になる。

 

  バーサルインデックス FIM
利点

・簡便である。

 

・総合得点が100点であり、分かり易い。

 

・国際的に認知されている評価法である。

・細かい評価ができる。

 

・認知項目がある

 

・国際的に認知されている評価法である。

欠点

・評価基準が漠然としており、全体像ならびに細かいADL能力をとらえにくい。

 

・項目により得点の重みづけが異なっているが、理論的根拠が示されていない(介助の量や時間を考慮して経験的に決められたとされている)。

・総合得点が126点であり、直ぐに判断しづらい。

 

・検査者に熟練を要する。

 

・2~4点までの判断がしづらい。

 

 

ADL関連記事

 

ADLの評価スケールは、バーサルインデックスの他には以下などがある。

 

FIMの評価項目・点数をガッツリ網羅!これさえ読めば安心です

 

カッツインデックス(katz index)のポイントを網羅

 

 

ADL(日常生活活動)に関しては以下の記事にまとめている。

 

ADL(日常生活活動・日常生活行為)とは?

 

 

ちなみに、ADLはICF(国際生活機能分類)における「活動」に該当する。

そして、リハビリ(理学療法・作業療法)を考える上で、ICFによる「人間を包括的に捉える視点」は重要になってくる。

以下のリンク先に、ICFをまとめた記事があるので、こちらも参考にしていただき、問題解決に役立てていただければと思う。

 

理学・作業療法士が知っておくべきICFのまとめ一覧