この記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)と関連のある『跛行歩行障害異常歩行)』について分類した記事である。

 

一口に「跛行(歩行障害・異常歩行)」と言っても、その種類は無限に存在するが、そんな異常歩行の中でもメジャーなものの一部を掲載している。

 

種類が多いため、以下の目次で気になった項目にジャンプして観覧することをおススメする。

 

目次

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跛行とは

 

そもそも、この記事で「跛行(はこう)」と表現しているが、跛行とは何だろう?

 

リハビリ(理学療法・作業療法)の対象となるクライアントは「正常から逸脱した歩容」を呈している場合が多く、それを『異常歩行・異常歩行』と表現することがある(あるいは、この記事で記載している固有の用語で表現することもある)。

 

そして、「狭義な異常歩行・歩行障害」を『跛行Limping』と呼ぶことがある。

 

跛行(狭義な異常歩行・歩行障害)は「びっこやつりあいのとれない歩行」という意味であるが、その発生源によって以下に分類される。

 

・身体構造上の原因があるもの跛行

・疼痛によるも跛行

・神経および筋系の障害による跛行

 

ここから先は各々の跛行にフォーカスして記載していく。

 

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身体構造上の原因による跛行(歩行障害・異常歩行)

 

以下が身体構造上の原因による跛行の一例となる。

 

・脚長差による跛行

・下肢関節(股・膝・足関節)に拘縮・強直があることによる跛行

 

 

脚長差による跛行

 

脚長差が3cm以内であれば代償によって跛行は目立たないとされている(諸説あり)。

 

一方で、3cm以上の脚長差では「短い脚の踵を浮かせたり(爪先き歩き)」や「体幹の動揺」といった徴候が目立ちやすくなるとされており、この様な特徴によって生じる破行を硬性落下跛行と呼ぶことがある。

 

※中殿筋の問題によって生じる(骨盤の傾斜や)体幹の動揺を「トレンデレンブルグ徴候」や「ドゥシャンヌ徴候」と呼ぶことがあるが、ここでも記載したように「体幹の左右動揺は脚長差によっても起こり得る」ということになる。

 

  • 短い脚が遊脚期の際にはトレンデレンブルグ徴候に類似した現象がみられることがある。
  • 短い脚が立脚期の際にはドュシャンヌ徴候に類似した現象がみられることがある。

 

上記の用語は、あくまで中殿筋の麻痺(あるいは弱化)によって生じる徴候を指すが、それに類似した現象が起こるということ。

 

トレンデレンブルグ現象(Trendelenburg phenomenon)とは

 

中殿・小殿筋の機能不全を示す兆候の一つで、患肢で片脚起立すると反対側の骨盤が下降し、上体患側に傾く現象を言う。

 

本現象は中・小殿筋の起始・停止間の接近による、殿筋不全(先天性股関節脱臼、内反股など)や殿筋麻痺によって起こる。

~南山堂医学大辞典より~

 

トレンデレンブルグ徴候の詳細は、後述内容、あるいは以下の記事も参照。

⇒『中殿筋を解説!

 

 

下肢関節に拘縮・強直があることによって起こる跛行

 

下肢関節(股・膝・足関節)に拘縮・強直があることによっても跛行は起こる。

 

※ちなみに、拘縮や強直について(違いも含めて)知りたい方は以下を参照。

⇒『関節拘縮(廃用症候群シリーズ)

 

 

股関節の拘縮によって起こる跛行

 

股関節に拘縮・強直のある場合においても、跛行を呈さない場合が多い。

しかし、そのしわ寄せとして腰椎における代償運動は起こっている。

例えば、(股関節が拘縮した側の)立脚後期における「腰椎の前彎」が挙げらえる。

 

つまり、運動連鎖によって「股関節の屈曲拘縮⇒腰椎前彎⇒腰痛』といった運動連鎖が起こる事がある。

 

したがって、腰痛を訴える人に対して、(腰部をリハビリするのではなく)股関節にアプローチすることで、良い連鎖を引き起こすことが可能なケースもある。

 

関連記事⇒『運動連鎖の魅力と限界

 

 

膝関節の拘縮によって起こる跛行

 

膝関節の屈曲拘縮が30°以上ある場合は、前述した「脚長差で起こる跛行」と同様な破行を示す(角度は、あくまで目安)。

膝関節の屈曲拘縮が30°以下な場合は、「速い歩行時」に「脚長差のある跛行と同様な跛行」を示す(可能性がある)。

膝関節の伸展拘縮のある場合は、遊脚相で「下肢のぶん回し」や「骨盤の引き上げ」を示すことがある。

※これらの跛行に関しては、後述する「痙性片麻痺歩行」でも記載している。

 

 

足関節の拘縮によって起こる跛行

 

足関節硬縮では尖足変形(足関節底屈位での拘縮)がある場合、イニシャルコンタクトで(踵ではなく)前足部が先に接地するので不安定となる。

 

さらに、踏み切り時に推進力が弱く、速く歩くことが出来ない。

 

 

疼痛による跛行(歩行障害・異常歩行)

 

次に、疼痛性の跛行について記載していく。

 

疼痛性の跛行は、下肢のどこに痛みがあっても(それが軟部組織・神経系・関節どの問題かに関わらず)、患脚の体重負荷を避けようとして体幹を健脚に傾けたりして、患脚立脚相の時間を短くする(痛い側の脚で荷重する時間を短くする)。

 

例えば、片側の腰痛の場合はやや体幹を前屈にしたり、健脚に傾けたりする。

 

※これによって後方・側方ディレンジメントを更に助長するといった悪循環をたどることがあり、その逆方向へのアプローチが好奏する場合がある(とくに、この様な破行が極端に起こっている高齢者など)。

 

疼痛による跛行においても、体幹の側方動揺が起こるので(前述した)「トレンデレンブルグ徴候」や「ドゥシャンヌ徴候」に類似した歩行が起こる事となる。

 

※つまり、側方動揺の原因は中殿筋の問題だけで生じているわけではないということを示している。

 

※なので、「中殿筋が原因っぽい異常歩行」=「中殿筋の筋トレ」と短絡的な発想では歩容は改善しないことを示している(中殿筋が原因ではないのだから)。

 

 

神経および筋系の障害による跛行(歩行障害・異常歩行)

 

神経および筋系の障害による跛行(異常歩行・歩行障害)には以下の様な種類がる。

 

  • 痙性麻痺歩行
  • 痙性対麻痺歩行
  • 運動失調性歩行
  • パーキンソン病など基底核障害による跛行

 

 

痙性片麻痺歩行(Spastic Hemiplegic Gait)

 

脳血管障害による痙性片麻痺でよくみられる歩行障害である。

痙性片麻痺のある側では、上下肢の各関節は十分に動かず、膝は伸展し、尖足となっていることが多い。

 

尖足・内反尖足歩行

尖足とは下腿三頭筋の痙性により足関節底屈となるため、イニシャルコンタクトで足先がまずついてから、次に足底がつくといった歩行障害である。

内反尖足はさらにイニシャルコンタクトで足先と足の外側がまずつき、次に足底がつくおいった歩行障害である。

いずれも歩行が不安定であり、(足関節底屈拘縮と内容が被るが)蹴りだしの推進力が弱く、遊脚相に足がつまづきやすい。

 

 

反張膝

○○歩行といった表現ではないが、反張膝は痙性片麻痺歩行として起こりやすいので記載する。

反張膝は立脚相において膝が過度に伸展位となる歩行障害を指す。

 

反張膝は、立脚の際に麻痺側の膝関節を逆「くの字」のように後方へ引きながら支持する歩行で、「バック・二一」とも呼ばれることもある。

 

この歩行の場合は膝だけでなく、骨盤帯なども同時に後方へ引けてしまう(このイラストだと、骨盤左側も後方に引けてしまうということ)。

 

何とか歩行できる場合もあるが、放置していると変形が進んでしまい、さらに痛みが発生することもある。

 

 

 

原因としては、以下などが挙げられる。

 

①膝伸展が弱く膝折れを防ぐ目的で逆に膝を過伸展位に保持するため

※例えば麻痺側下肢に体重をのせると、膝に力が入らずカクッと曲がってしまうことを防ぐため。

 

②膝伸筋群の活動が過剰な場合

(前述した)尖足による影響で、骨盤を後方へ引き、体幹を前屈させ、膝を伸展させることによって起こる

 

 

ぶん回し歩行

尖足や下肢が棒状に伸展した状態の時に、麻痺側下肢を外側へ分回すように(半円を描くように)降り出す歩行障害である。

草刈り歩行(circumductionと呼ばれることもある。

 

 

骨盤引き上げ歩行

尖足や下肢が棒状に伸展した状態の時に、麻痺側下肢を降り出すために骨盤を引き上げて歩行する。

 

 

痙性対麻痺歩行(Spastic Paraplegic Gait)

 

両下肢が痙性麻痺である場合には、以下の様な歩容を呈す。

 

『膝を伸ばしたまま床からあまり足をあげずに、内反尖足位で、足趾と足の外側のみで床をこすりながら、歩幅を狭くあるく』

 

この歩行障害は痙性脊髄麻痺などでみられる。

 

脳性小児麻痺では両足を鋏(ハサミ)のごとく組み合わせて歩くので『はさみ脚歩行scissors gait』と呼ばれることもある。

 

 

運動失調性歩行(Ataxic Gait)

 

運動失調性歩行は「脊髄性」「小脳性」に分類される

 

脊髄性の運動失調性歩行

「脊髄性」の運動失調性歩行の特徴は以下の通り。

・歩幅が不均一

・一方に片寄りながらよろめく

・両足を広く開く(wide based

・足を急速に異常に高く持ち上げ、次にこれを投げ出すようにして、踵を強く床にたたきつけるようにする(tabetic gait

・・・・・・・・などなど

 

軽度なものは直線歩行、つぎ足歩行、まわれ右などをさせると異常が目立ってくる。

脊髄癆(⇒神経梅毒)では歩行中、眼はたえず床に注いでおり、目を閉じさせると急に歩けなくなる。

これは、下肢の深部感覚が侵されていることが原因で、視覚による情報に頼らざるを得ないために起こる現象となる。

従って、暗がりでは歩行障害が著明になるので、「暗がりでは、廊下がうまく歩けない」などの訴えが起こる。

 

 

小脳性の運動失調性歩行

「小脳性」の運動失調性歩行の特徴は以下の通り(脊髄性と類似した点も多い)

 

・脚は広げて左右不規則によろめきながら歩く

※酔っぱらいのような歩行であり『酩酊歩行(drunken gait)』『よろめき歩行(staggering gait)』などと呼ばれる。

・上肢・下肢の動きがアンバランス

・前進はゆっくりとしている。

 

※小脳半球障害では障害側に倒れやすい。

※(前述した)脊髄性と異なり、歩行の安定性が閉眼しても増悪しないというのは特徴と言える。

※小脳虫部の障害では四肢に失調が無くても、体幹運動失調(truncal ataxia)により起立・座位・歩行が侵される。

※運動失調性歩行を早期に発見するには直線歩行、つぎ足歩行を検査するのが良い。

 

 

ここで記載している『運動失調(協調運動障害)』に関しては、以下の記事で深堀解説しているので、合わせて観覧すると運動失調に対する理解が深まると思う。

⇒『運動失調(協調運動障害)とは? 失調症についてザック解説!

 

 

パーキンソン病など基底核障害による跛行(異常歩行・歩行障害)

 

パーキンソン歩行(Parkinsonian Gait)

 

パーキンソン歩行は、パーキンソン病の進行した時期にみられ、以下の特徴がある。

 

小刻み歩行(Marche a Petits Pas)

ゆっくりと小刻みに足を地面の上を滑らせるようにして歩き、軽度の体幹前傾姿勢を呈していることが多い。

ただし小刻み歩行は、基底核障害のみならず「動脈硬化による多発性脳梗塞(ラクナ梗塞)」によって起こることもある。

例えば老人は多発性脳梗塞(ラクナ梗塞)が起こっていること多く、小刻み歩行を呈し易いとされる。

 

 

すくみ足歩行(frozen gait)

歩きはじめは一歩を踏み出すのが困難で、数秒から数十秒足がすくむ。

 

 

加速歩行(festinating gait)

パーキンソン病の歩行は最初は足の動きはゆっくりであるが、体が前方に傾くので、足は自分の重心を追いかけるように次第に速くなり、歩幅が段々に狭くなり、かけ足のようになる

また、止まれと命じても、すぐに停止することができずに、そのまま数歩前方に突進する(前方突進現象 propulsion)。

 

④軽度の体幹前傾姿勢を呈していることが多く、手ぶりも少ない。

 

 

パーキンソン病に関しては以下の記事で詳しく解説しているので合わせて観覧すると、パーキンソン病に対する理解が深まると思う。

⇒『パーキンソン病について徹底網羅! 必見です!

 

また、パーキンソン病に対する「(歩行障害も含めた)症状」を網羅した記事としては以下もある。

⇒『パーキンソン病の症状は多岐にわたるよ

 

 

筋弱化による跛行(歩行障害・異常歩行)

 

筋弱化(麻痺)による跛行(歩行障害・異常歩行)としては以下などが挙げられる。

 

  • 大殿筋(麻痺)歩行
  • 中殿筋(麻痺)歩行(トレンデレンブルグ・ドュシャンヌ歩行)
  • 大腿四頭筋(麻痺)歩行
  • 前脛骨筋(麻痺)歩行(=鶏歩)
  • 下腿三頭筋(麻痺)歩行
  • 動揺歩行

 

 

大殿筋(麻痺)歩行

 

大殿筋麻痺や筋ジストロフィー症などにみられる股関節伸展筋の弱化による歩行で、骨盤を前方に出し、体幹を後方にそらした状態での歩行である。

 

大殿筋に関しては、以下の記事も参照。

⇒『大殿筋の特徴・ストレッチング・筋力トレーニングを紹介!

 

 

中殿筋(麻痺)歩行(トレンデレンブルグ/ドュシャンンヌ歩行)

 

中殿筋の麻痺や股関節脱臼によって股関節外転筋の支持性が弱くなった時の歩行で、立脚相において骨盤が反対側に傾き、体を同側へ傾けて体を大きく動揺させながら歩く。

 

 

中殿筋麻痺

中殿筋麻痺による股関節外転筋に筋力低下を認めるケースでは患側が立脚期に入ったときに反対側の骨盤が沈下する歩行(トレンデレンブルグ歩行⇒左イラスト)、もしくは上体を患側に傾斜させる歩行(デュシャンヌ歩行⇒右イラスト)がみられる。

運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹第1版~

 

 

また、(一側だけでな)、両側の股関節外転筋の支持性が弱くなると、体を前掲させて左右に体を動揺させながら歩く(アヒル歩行 duck gait)。

 

※アヒル歩行は、前述した痙性対麻痺歩行の特徴でもある。

トレンデレンブルグ歩行に関しては以下の記事でも解説している。

⇒『中殿筋の特徴・ストレッチング・筋力トレーニングを紹介!

 

 

大腿四頭筋(麻痺)歩行

 

大腿四頭筋麻痺があると膝折れや反張膝になり、膝折れを防ぐために立脚相において膝を押して歩くことがる。

 

大臀筋麻痺

大腿四頭筋麻癖による膝関節伸筋に筋力低下を認めるケースでは、患側が立脚期に入ったときに上体を前方へ傾け、重心を膝関節の前方にもってくる歩行や、自分の手で膝関節の前面を押えながら歩行する現象がみられる。

~運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 第1版~

 

 

大腿四頭筋に関しては以下の記事でも参照。

⇒『大腿四頭筋トレーニングを解説

 

 

前脛骨筋(麻痺)歩行(鶏歩)

 

ポリオ・脳卒中片麻痺・腓骨神経麻痺(前脛骨筋の麻痺)により下垂足(drop foot)となることによって起こる歩行を『鶏歩(Steppage Gait)』と呼ぶ。

 

下垂足になっているときは、これを代償するように足を異常に高く持ち上げ、つま先から投げ出すようにして歩く。

つまり、下垂足側が遊脚期の際に「膝を過度に上げて歩く」といった特徴がみられる。

 

 

前脛骨筋麻痺

患側立脚期を通して膝関節は伸展し、患側遊脚時につま先が床に引っかかるために、これを避けるように膝を高く上げる現象がみられる。ニワトリが歩く形に似ていることから鶏歩ともいわれる。

~運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 第1版~

 

 

一側のみであれば、健側に比べて障害側の足の挙上が目立ち分かりやすい。

 

 

下腿三頭筋(麻痺)歩行

 

下腿三頭筋麻痺による足関節底屈筋に筋力低下を認めるケースでは、患側立脚期を通して膝関節は伸展し、遊期に移る際に、下肢全体が前方に倒れるよう傾く現象がみられる。

 

下腿三頭筋麻痺

~運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹 第1版~

 

下腿三頭筋に関しては、以下の記事も参照。

⇒『下腿三頭筋(腓腹筋・ヒラメ筋)のトレーニング+ストレッチ

 

 

動揺歩行(Waddling Gait)

 

腰と上半身を左右に振って歩く。

これは進行性筋ジストロフィーに特有な歩行である。

腰・骨盤周囲筋が弱く、一歩毎に骨盤が傾くので起こる異常歩行である。

 

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間欠性跛行とは

 

ここまで、様々な破行(歩行障害・異常歩行)を記載してきたが、最後に「間欠性跛行」について解説して終わりにする。

 

跛行とは冒頭でも記載したように、「びっこやつりあいのとれない歩行」という意味である。

 

そして、『間欠性跛行』は以下のように表現できる。

 

歩行を続けると(腓腹筋を含む)下肢の痛みや疲労感が強くなり、足を引きずるようになり、歩行を休まざるを得なくなる。

 

そして、休息すると再び歩行が可能となるという特徴を持った跛行(exercise-pain-rest-reliefのサイクルを繰り返す跛行)を間欠性跛行と呼ぶ。

 

 

間欠性跛行は以下の2つに分けられる。

  • 血管性の歩行障害
  • 神経性の歩行障害

※神経性は「馬尾性」と「脊髄性」にも分類でき、そうなると3つに分類できるという事になる。

 

下肢血管性間欠性跛行(intermittent Claudication of Peripheral Artery)

下肢血管性間欠性跛行は、下肢動脈の慢性閉塞性病変(たとえば動脈硬化症・バージャー病など)で起こる。

この場合における間欠性跛行は、下肢の動脈拍動は減弱または消失しているが、神経学的な異常はない。

単に「間欠性跛行」という場合は下肢血管性破行を指すことが多い。

 

②馬尾性間欠性跛行(Intermittent Claudication of Cauda Equina)

腰部脊柱管狭窄症があるときに、起立や歩行で直立姿勢を保つと狭窄がさらに強くなり、馬尾がしめつけられて、下肢の異常感覚を起こすことがある。

歩行時に下肢に痺れ感が起こりそれに続いて歩けなくなるのが「馬尾性間欠性跛行」である。

前屈位で休憩すると数分で良くなり再び歩けるようになる。

歩行困難時にはアキレス腱反射は両側性に消失する。

間欠性跛行の誘発は、まずは病院内を歩かせてみるが、それではなかなか起こらないものである。そんな際は、病院周辺の普通の歩道を十分な時間をかけて歩かせるのが(間欠性跛行を誘発するのに)良いとされている。

 

脊髄性間欠跛行(Spinal Intermittent Claudication)

一過性の脊髄虚血によって起こる間欠性跛行を指す(Dejerine型間欠性跛行と呼ばれることもある)。

下部胸髄・腰髄すなわち腰膨大部の血流不全によって起こる。

このような血流不全の原因は(前述した脊柱管狭窄症も含めて)以下が挙げられる。

・脊髄動脈硬化症

・梅毒性脊髄動脈炎

・大動脈病変

・脊髄動静脈奇形

・椎間板ヘルニア

・脊柱管狭窄症

・・・・・・・・・・・・・・・・などなどが挙げられる。

 

脊髄性間欠性跛行は一側性のことも、両側性のこともある。

歩行が困難になった状態で診察すると、下肢の筋力は低下し、痙直を呈し、腱反射は亢進し、バビンスキー徴候が認められる。

しかし感覚は正常で、足背動脈の拍動はよく触れる。

休息すれば、上述の神経症状は消失する。

 

 

間欠性跛行を分かりやすく記したイラスト

 

以下は、血管性と神経性の間欠性跛行を分かりやすく分類したイラストとなる。

間欠性跛行

 

間欠性跛行に関しては脊柱管狭窄症の記事でも言及しているので、そちらも参考にしてもらいたい。

 

⇒『脊柱管狭窄症に効果的な運動と対策

 

※脊柱管狭窄症の記事では、間欠性跛行を「血管性」と「神経性」に分けて記載している。

 

※そして、主に「馬尾性」と「神経根性」の脊柱管狭窄症として記載している。

 

※ただし厳密には、前述したように(馬尾性以外に)「脊髄性」に分けられる(あるいは混合している)

 

歩行関連の記事

 

以下はリハビリ(理学療法・作業療法)に必要な『歩行動作』に関連した記事になる。

合わせて観覧してもらうと歩行への理解が深まると思うので是非!!

 

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