この記事では、様々な腰痛体操のうち、『ウィリアムズ(ウィリアムス)の腰痛体操Williams exercise)』について記載していく。

 

ウィリアムズ体操とは

 

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操(postural exercises)は1937年に報告された古典的な体操となる。

 

また、ウィリアムズ体操は(一般的に)複数のパッケージ化されてた運動を指し、クライアントの症状に合わせた個別の運動を選択するわけではない。

 

 

Williams体操の目的

 

Wiliams体操のポイントは以下となる。

 

  • 骨盤後傾運動
  • 腹筋筋力増強運動
  • 背筋・腸腰筋・ハムストリングスのストレッチング

 

 

(骨盤後傾方向への)セルフ関節モビライゼーションや筋の協調した運動、筋力増強、ストレッチングと様々な要素が含まれおり、主に「腰椎前彎が問題にとなって生じる腰痛」をターゲットにした体操であることが上記のポイントから読み取れるのではないだろうか?

 

禁忌としては、腰椎椎間板障害(椎間板ヘルニア)の急性期あるいは長期臥床した直後や起床後あるいは午前中となる。

 

これはWilliamsの腰痛体操が、(筋トレにしろストレッチにしろ)腰部に屈曲刺激を与え椎間板障害を助長する可能性があるからだとされている。

 

※この時間帯には椎間板は液体容積が増し、椎間板が損傷を受けやすくなっているからだとされている。

 

椎間板障害と腰痛の因果関係については、以下の記事で深堀しているので、興味がある方はこちらも参照してもらいたい。

 

椎間板ヘルニアへの対処法

 

 

ウィリアムス体操の方法

 

ウィリアムスの腰痛体操は以下の6つの体操をパッケージ化した方法である

Williams体操①(腹筋強化)

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操1

 

いわゆる腹緊強化:

 

Bパターンで良い

 

オヘソを見るように頭部を少し浮かせる(反復or持続的保持)
 

息を止めない

 

 

Williams体操②(pelvic tiltの運動)

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操2

 

pelvic tiltの運動:

 

お尻を少し浮かせる(もう少し具体的には、腹緊と殿筋を収縮させて骨盤を後傾させる運動)

 

この運動が「pelvic tilt」だとするならば実際は、殿筋強化と言うより下部腰椎のセルフモビライーション・腰椎の過剰な前彎の抑制といった意味合いが強い。

 

pelvic tiltに関しては以下の動画も参照

⇒『腹横筋のトレーニングを解説

 

 

Williams体操③(胸に両膝を近づける運動)

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操3

 

胸に両膝を近づける運動:

 

腰部脊柱起立筋や腰部多裂筋、殿筋群などのストレッチにより筋の伸張性や循環改善が腰痛緩和に寄与することもある。

 

また、脊柱管狭窄症にフォーカスするのであれば、「椎間孔や椎間関節を拡大することで神経の圧迫を減少させる」ことも目的となる。

 

 

Williams体操④(長座位での体幹前屈)

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操4

 

長座位にて、膝が曲がらないようにしながら、(指先をつま先に近づけるように)体を前屈させる

 

背筋と胸背筋膜およびハムストリングス(太もも裏)の伸張が目的となるらしい。

 

ハムストリングスは「脊柱管狭窄症による姿勢戦略として腰椎前彎の抑制(骨盤後傾)をとることで短縮してしまう可能性のある筋の一つと言え、ハムストリングスの短縮に伴う二次的な機能障害を予防するためにも重要となる。

 

ただし、ハムストリングスがストレッチされるなら必ずしもこの方法でなくとも良い(こういうやり方で腰痛が悪化する人もいるので)。

 

 

Williams体操⑤(股関節屈筋群のストレッチング)

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操5

 

図のような姿勢で、右股関節前面の筋肉をストレッチする:

 

股関節屈筋群(腸腰筋など)のストレッチによる、股関節の伸展可動域の改善が目的。

 

若年者であれば「腰椎前彎の強い人」、あるいは高齢者であれば「不良姿勢で股関節屈曲している人」で短縮を起こしやすい。

 

※ちなみに、脊柱管狭窄症の発症年齢を考えると、後者に対してのアプローチと言う側面が強い。

 

股関節伸展の可動域が不十分な場合、腰椎伸展で代償してしまって腰痛に繋がってしまう可能性もあるので、(腸腰筋の柔軟性も含めて)股関節の柔軟性は大切となる。

 

腸腰筋に関しては、以下の記事で深堀をしているので、こちらも観覧してみてほしい

⇒『腸腰筋の作用は沢山あるよ

 

 

Williams体操⑥

Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操6

 

しゃがんだり、座った入りをする(あるいはしゃがんだ状態をキープ):

 

腰仙部筋群のストレッチと大腿四頭筋の筋力増強が目的らしい。

 

まぁ、下肢筋力強化は何にしても重要で、下肢症状を誘発しないよう工夫しながら強化することは重要となる(症状が誘発されないなら普通のスクワットでもOK。

エルゴメーター(据え置きの自転車)も下肢症状を誘発せずに筋力や体力を維持・向上させるのに向いている。

 

スクワットに関しては、以下の記事でも深堀しているので参考にしてみてほしい。

⇒『高齢者のスクワットを解説!

 

 

ウィリアムズの腰痛体操に類似した動画を紹介

 

ウィリアムズ体操を忠実にパッケージ化した動画が無かったため、類似した動画を紹介する。

 

※もはや、『ウィリアムズ体操』を忠実に実施している人など居ないのかもしれない。

 

 

臥位で出来る体操のみで構成されており、股関節屈筋群のストレッチング(⑤)も変法が用いられている。

 

また、④と⑥は省かれている。

 

※④の代わりに、殿筋群(「大殿筋」・「梨状筋」・「中殿筋」)のストレッチングが追加されている。

 

 

終わりに

 

ウィリアムズの腰痛体操は、必ずしも腰痛全般に当てはまる体操では無い点には注意が必要となる。

 

従来、腰痛に対する運動療法として広く行われているWilliamsの腰痛体操は、体幹屈曲運動を中心とし、腰椎の前彎曲角度減少に主眼を置いた方法である。

 

しかし椎間板内圧は脊柱を屈曲することで増加するため、腰椎椎間板ヘルニアや腰椎の屈曲で痛みが増強するような症例では適切な方法でないことも多く、注意が必要である。

運動療法学―障害別アプローチの理論と実際より~

 

「Williams(ウィリアムズ)の腰痛体操」は国試レベルの知識だし、現役の理学療法士には物足りない知識かも知れない。

 

某徒手療法で有名な医師などは「Williamsの腰痛体操」など生涯で数回しか指導していない」などと言われてしまう始末な知識でもある。

 

また、(当然のことながら)「腰痛」という症状を一括りに論じた場合は、「Williamsの腰痛体操」によるアプローチの有用性は証明されていない。

 

Williamsの理論は後にBartlinkの腹腔内圧理論でも支持され、Williams体操は多くの臨床現場で活用されてきた。

 

その後、腰椎前彎増強により椎間板内圧が上昇する、また腰背部筋のコンパ―メントの筋血流量減少を原因とする血行障害が腰痛の一要因になり得るという報告がなされた。

 

ところがMcKenZieは、腰椎前湾は脊柱全体にかかる圧縮力や剪断力に抗することによって脊柱への緩衝作用と防御反応を有するため、腰椎前湾を常に減少させることで脊柱にかかるストレスは増加するとし、これまでの考え方に対して異論を唱えた。

 

さらに、人間が日常行う動作のほとんどが前屈姿勢であるため、その結果、不良姿勢となり腰痛を引き起こす原因となるとし、脊柱の伸展運動を中心としたMckenZie体操を考案した。

 

そして最近では、腹筋の筋力増強によって腰椎前湾を減少せることが腰痛の治療あるいは予防に最も重要であるといった考え方は否定され、むしろ生理的前彎を保持することが必要と考えらている。

これだけは知っておきたい腰痛の病態とその理学療法アプローチ より~

 

ただし、これらパッケージ化された運動の中には、(腰痛の種類によっては)有効活用出来そうな刺激も含まれている。

 

そして例えば脊柱管狭窄症では『ウィリアムズの腰痛体操に含まれている刺激』が効奏するケースもあるため、施行して効果判定してみる価値はあると言える。

 

脊柱管狭窄症に関しては、以下の記事で掘り下げて解説している(ウィリアムズの腰痛体操にも言及している)ので合わせて関らしてもらうと理解が深まると思う。

 

脊柱管狭窄症に効果的な運動と対策

 

 

関連記事

 

以下に腰痛体操をまとめているので参考にしてみてほしい。

 

色んな腰痛体操まとめ(フローチャート付き)