この記事では筋力評価テストの一つである『徒手筋力テスト(manual muscle testing:MMT)』のについて解説している。

 

リンク先から、下肢(股・膝・足)、上肢(肩甲骨・肩・肘・手)、体幹のMMTにジャンプするので、各MMTの詳細に関してはそちらで確認してみてほしい。

 

また、MMTの評価用紙(PDF)をダウンロードしたい方は以下から取得できるので参考までに。

⇒『MMTの評価用紙(PDF)のダウンロード

 

徒手筋力テスト(MMT)とは

 

徒手筋力テスト(MMT)は以下を指す。

 

「個々の関節または筋群の筋力を徒手的に検査する方法」

 

主として末梢神経障害であるポリオを対象とした評価方法として1910年代に考案された。

 

徒手筋力テスト(MMT)は、リハビリ分野のみならず限らず整形外科、神経内科などでも多用される筋力検査のグローバルスタンダードと言える。

 

日本においてはダニエル(Daniel)らによる徒手筋力検査が主流で、筋力は6段階(0~6)で評価されている(この点は後述する)。

 

そんなMMTの特徴は以下の通り。

 

  • 検査する部位の重さ、検者の徒手抵抗にどれ位逆らって運動できるかを検査していく
  • それぞれの関節の各運動方向を個別に検査する

 

 

MMTのメリット・デメリット

 

MMTには以下のメリットがある。

 

  • 特別な機材は不要
  • (比較的)検査の場所を選ばない

 

一方で、検査者の徒手抵抗量や、MMT5・4の境界線が曖昧で、客観的に数値化できないといった点がデメリットである。

 

※高齢者への抵抗と、若年者への抵抗が同じで良いのか?同じであるなら(若年者に合わせるなら、高齢者でMMT5の人などほとんど存在しなくなる)

 

※例えば検査者が女性か男性かで、加えることのできる抵抗量、MMT5・4の境界線などの解釈が異なってしまう可能性・・など。

 

その他のデメリットとしては、MMTは何度も改定出版されており、その都度に被験者の体位や構え、評価基準に変更が加わってしまう点にある(なので、ネット上に記載されてるMMTの内容も、何版を参考にしているかで若干の違いがあるかもしれない)。

 

※ネット上の情報を参考にしつつも、試験対策には必ず(テストに出題される)教本を参考にしたほうが良い。

 

※一方で、既に臨床で徒手筋力評価をしたいだけなら、この厳密なMMTにこだわる必要は無い(複数のセラピストで情報を共有したいのであれば話は別だが)。

 

 

MMTの判定基準

 

MMTは、以下の5~0の6段階で評価していく。

 

  • 5(Normal)⇒正常
  • 4(Good) ⇒優
  • 3(Fair)  ⇒良
  • 2(Poor)  ⇒可
  • 1(Trace) ⇒不可
  • 0(Zero)  ⇒ゼロ(全く筋収縮を認めない)

 

以下が、具体的な判定基準の流れとなる。

 

MMTの判定基準

また、対象者の肢位は「重力に抗して運動できる姿位(段階5~3)」「重力の影響を除して運動できる姿位(段階2~0)」をイメージすると覚えやすい。

 

MMTの判定基準2

 

MMTのポイント

 

全ての可動域で運動できるかどうか は、段階を判定する際の大切なポイントになる。

※関節可動域に制限があっても、今持っている全ての可動域で運動できるかどうか

 

 

また、MMT実施の際は対象者が息を止めないよう(バルサ法を活用しないよう)に注意を払う。

⇒『バルサルバ法( Valsalva maneuver)に注意せよ(リスク管理)

 

※バルサルバ法は徒手抵抗を加えた際のみに観察すれば良いと思うかもしれないが、筋弱化が認められる場合、徒手抵抗なし(3・2・1・0)でも息むことで動かそうと(あるいは筋収縮を起こそうと)するので全てのテストで注意を払う。

 

徒手抵抗(段階5・4の抑止テスト)のポイント

 

ここからは、MMTの中でも「徒手抵抗を用いるテスト(段階5・4の抑止テスト)」にフォーカスを当ててポイントを記載する。

 

  • 運動の最終到達位or最も筋力が発揮できる角度で実施
  • 徒手抵抗を加え、その関節角度を維持させる⇒等尺性収縮が可能か

 

 

また、徒手抵抗を加える際のポイントとしては(これは運動療法にもいえることだが)、「抵抗を加える部位に垂直な力を加える」というのがポイントとなる。

 

  • イラスト左は、膝関節伸展筋群に対して、下腿(遠位部)に直角な抵抗を加える

    (⇒正解)

 

  • イラスト右は、膝関節伸展筋群に対して、下腿(遠位部)に鋭角に抵抗が加えられている。

    (⇒不正解)

 

※ちなみに上記イラストは『筋の収縮様式(求心性/遠心性/静止性/等尺性/等張性収縮)の違い』のものを使用しただけである。

 

※「膝関節伸展のMMT」における徒手抵抗は膝伸展位で加えるので誤解なきよう

⇒『膝関節のMMT(ハムストリングス・大腿四頭筋のMMT)の方法

 

 

MMTの要約

 

MMTをザックリと要約した一覧表は以下になる。

 

※ただし、コメントは筋力5・4・3の方法についてのみ記載している(2・1・0も含めた詳細は、後述するリンク先を参照してほしい)。

 

下肢のMMT一覧

 

下肢(股関節・膝関節・足関節・足部・足趾)のMMT一覧が以下になる。

 

部位

運動方向

主動作筋

テスト肢位

抵抗

イラスト

股関節

屈曲

腸腰筋(大腰筋・腸骨筋)

座位

大腿遠位

 

屈曲外転外旋

縫工筋

座位

膝関節外側+

足関節内側

 

伸展

大殿筋・ハムストリングス(半腱様筋・半膜様筋・大腿二頭筋)

腹臥位

大腿遠位後面

 

大殿筋のみ(別法)

腹臥位

大腿遠位後面

 ———-

外転

中殿筋・小殿筋

側臥位

大腿遠位外側面

 

内転

股関節内転筋群(大・短・長内転筋、薄筋、恥骨筋)

側臥位

足関節部内側面

 

外旋

大殿筋・外旋六筋(梨状筋、外・内閉鎖筋、大腿方形筋、上・下双子筋)

座位

足関節内側

 

内旋

中殿筋・小殿筋・大腿筋膜張筋

座位

足関節外側

 

膝関節

屈曲

大腿二頭筋(長頭)・半腱様筋・半膜様筋

腹臥位

下腿遠位前面

 MMT膝関節屈曲5

伸展

大腿四頭筋

座位

下腿遠位後面

 MMT膝関節伸展5

足関節

屈曲

(底屈)

下腿三頭筋

(腓腹筋・ヒラメ筋)

立位・膝伸展・対側下肢は屈曲し片足立ちとする。

膝伸展意のまま体重に抗して踵を上げる(ヒラメ筋単独の別法あり

 MMT足関節底屈5

伸展

(背屈ならびに内返し)

前脛骨筋

座位

Or

背臥位

足背・足内側

 

足部

内返し

後脛骨筋

座位

足関節軽度底屈位

足背・足内側

 足関節内返しMMT5・4

(底屈ならびに)外がえし

長・短腓骨筋

座位

足部中間位

足背から外側縁に回るようにあてがう

 足関節底屈位からの外返しMMT5・4

足趾

母趾

屈曲

(MTP)

短母趾屈筋

14虫様筋

座位 or

背臥位

足指基節底面

 ——-

屈曲

PIP,DIP

長母趾屈筋

長・短趾屈筋

座位 or

背臥位

足指末節底面

 ——-

伸展

長母趾伸筋

長・短趾伸筋

座位 or

背臥位

足指基節背面

 ——-

 

 

上肢のMMT一覧

 

上肢(肩甲帯・肩関節・肘関節・手関節・手指)のMMT一覧が以下になる。

 

部位

運動方向

主動作筋

テスト肢位

抵抗

評価上の注意

肩甲骨

挙上

僧帽筋(上部線維)・肩甲挙筋

座位

両手は膝上

(両方の)

肩上部

———-

外転と

上方回旋

前鋸筋

座位

肘伸展で肩130°屈曲

上腕遠位部

———-

内転

僧帽筋(中部線維)・大菱形筋

腹臥位・肩外転90°・肘直角(下垂させる)

上腕遠位部

——–

引き下げ

(下制)

と内転

僧帽筋(下部線維)

腹臥位

肘伸展位にて肩外転145°

上腕遠位部

———-

内転と

下方回旋

大小菱形筋

腹臥位

肩内旋内転・肘屈曲・手を背部に回す(+背部から浮かす)

上腕遠位部

———-

肩関節

屈曲

(前方挙上)

三角筋前部線維

烏口腕筋

座位

肘伸展・前腕回内

上腕遠位部

 MMT 肩関節屈曲4~5

伸展

(後方挙上)

広背筋・大円筋・三角筋(後部線維)

腹臥位

肘伸展・前腕回内

上腕遠位部

 MMT肩伸展5

外転

三角筋(中部線維)・棘上筋

座位

肩内外旋中間位・肘軽度屈曲

上腕遠位部

 MMT肩外転5

水平伸展

(水平外転)

三角筋(後部線維)

腹臥位

肩外転90°・前腕は台より垂直に垂らす。

上腕遠位部

———-

水平屈曲

(水平内転)

大胸筋

(鎖骨部・胸肋部)

三角筋前部線維

背臥位

肩外転90°・肘屈曲

手関節部

———-

外旋

棘下筋・小円筋

腹臥位

肩外転90°・肘屈曲・前腕は台より垂直に垂らす。

手関節部

 MMT肩外旋5

内旋

肩甲下筋・大胸筋

(鎖骨部・胸肋部)・広背筋・大円筋

腹臥位

肩外転90°・肘屈曲・前腕は台より垂直に垂らす。

手関節部

 MMT肩内旋5

肘関節

屈曲

上腕二頭筋・上腕筋・腕橈骨筋

座位

前腕回外(分離法あり!)

手関節部

 MMT肘屈曲5

伸展

上腕三頭筋

腹臥位

肩外転90°・肘屈曲・前腕は台より垂直に垂らす。

手関節部

 MMT肘伸展5

前腕

回外

上腕二頭筋・回外筋

座位・肘屈曲90°・前腕回内

手関節部

 ———–

回内

円回内筋・方形回内筋

座位・肘屈曲90°・前腕回内

手関節部

 ———–

手関節

屈曲

(掌屈)

橈側手根屈筋

尺側手根屈筋

座位・前腕回外・肘屈曲

手掌部

 

伸展

(背屈)

長・短橈側手根伸筋

尺側手根伸筋

座位 前腕回内・肘屈曲

手背部

 

手指      

MP関節

の屈曲

中虫筋・掌側骨間筋・背側骨間筋

座位・前腕回外・手指軽度屈曲

手指中手骨の掌側

 ———–

MP関節

の伸展

指伸筋・示指伸筋・小指伸筋

座位・前腕回内・手指軽度屈曲

手指中手骨の背側

 ———–

PIP関節

の屈曲

浅指屈筋

座位・前腕回外・手指伸展

検査を行う手指の中節骨

 ———–

DIP関節

の屈曲

深指屈筋

座位・前腕回外・手指伸展

検査を行う手指の末節骨

 ———–

指外転

背側骨間筋・小指外転筋

座位・前腕回内・手指内転

2-5指の隣り合う指を合わせる

 ————

指内転

掌側骨間筋

座位・前腕回内・手指外転

2-5指の隣り合う指を引き離す

 ————

母指

MP屈曲

短母指屈筋

座位・前腕回外

1基節骨掌側

 ————

IP屈曲

長母指屈筋

座位・前腕回外

1末節骨掌側

 ————-

MP伸展

短母指伸筋

座位・前腕中間・IP関節軽度屈曲

1基節骨背側

 ————-

IP伸展

長母指伸筋

座位・前腕中間・母指は自然な屈曲位

1末節骨背側

 ———–

橈側外転

長母指外転筋

座位・前腕回内外中間位

1基節骨

 ————-

掌側外転

短母指外転筋

座位・前腕回外位

1基節骨

 ———–

内転

母指内転筋

座位・前腕回内位

1基節骨

 ————

対立

母指対立筋・小指対立筋

座位 前腕回外

1中手骨頭

5中手骨頭

 ————

 

体幹のMMT一覧

 

体幹のMMT一覧が以下になる。

 

部位

運動方向

主動作筋

テスト肢位

抵抗

イラスト

頭部

伸展

大・小後頭直筋、上・下頭斜筋、頭半棘筋・頭最長筋・頭板状筋

腹臥位

前頭部

 ———–

屈曲

前頭直筋・外側頭直筋・頭長筋

背臥位

前頭部

 ———–

頚部

伸展

頸半棘筋・頸板状筋・頸最長筋・頸腸肋筋

腹臥位

後頭部

 MMT頸部伸展5

屈曲

頸長筋・前斜角筋・中斜角筋・後斜角筋・胸鎖乳突筋

背臥位

額部

 MMT頸部屈曲5

回旋

胸鎖乳突筋

背臥位 or

腹臥位

 

 ————

体幹

伸展

胸腸肋筋・腰腸肋筋・胸最長筋・胸棘筋・胸半棘筋・多裂筋

腹臥位

抵抗は重力のみ

 MMT体幹伸展5

屈曲

腹直筋

背臥位

抵抗は重力のみ

 MMT腹筋4

回旋

内腹斜筋・外腹斜筋

背臥位

抵抗は重力のみ

 ————

 

 

 

詳細なMMTのやり方は、以下のリンク先へ

 

下肢(股・膝・足)、上肢(肩甲骨・肩・肘・手)、体幹の順にMMTのリストを掲載しているので、詳細が知りたい方はリンク先を参照してほしい。

 

股関節のMMT

・股関節屈曲のMMT(腸腰筋←大腰筋/腸骨筋

・股関節屈曲・外転・外旋のMMT(縫工筋

・股関節伸展のMMT(大殿筋/ハムストリングス)

・股関節外転のMMT(中殿筋/小殿筋

・股関節屈曲位からの外転MMT(大腿筋膜張筋

・股関節内転のMMT(大・短・長内転筋/薄筋/恥骨筋

・股関節外旋のMMT(梨状筋/外・内閉鎖筋/大腿方形筋/上・下双子筋/大殿筋

・股関節内旋のMMT(小殿筋/中殿筋/大腿筋膜張筋

 

 

膝関節のMMT

・膝関節伸展のMMT(大腿四頭筋⇒外・中・内側広筋/大腿直筋

・膝関節屈曲のMMT(ハムストリングス⇒大腿二頭筋長頭/半腱様筋/半膜様筋)

 

 

足関節・足部のMMT

・足関節底屈のMMT(下腿三頭筋⇒腓腹筋・ヒラメ筋

・足関節背屈ならびに内返しのMMT(前脛骨筋)

・足の内返しのMMT(後脛骨筋

・足関節の底屈ならびに外返しMMT(長・短腓骨筋)

・「母趾と足趾の中足趾節関節の屈曲」のMMT(短母趾屈筋/第1~4虫様筋)

・「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の屈曲」のMMT(長母趾屈筋/長・短趾屈筋)

・「母趾と足趾の遠位・近位趾節間関節の伸展」のMMT(長母趾伸筋/長・短趾伸筋)

 

 

肩甲骨のMMT

・肩甲骨外転と上方回旋のMMT(前鋸筋)

・肩甲骨挙上のMMT(僧帽筋上部線維/肩甲挙筋)

・肩甲骨内転のMMT(僧帽筋中部線維/大菱形筋)

・肩甲骨下制と内転のMMT(僧帽筋下部線維)

・肩甲骨下制と下方回旋のMMT(大菱形筋・小菱形筋)

 

 

肩関節のMMT

・肩関節屈曲のMMT(三角筋前部線維/烏口腕筋)

・肩関節伸展のMMT(広背筋/大円筋/三角筋後部線維)

・肩関節肩甲骨面挙上のMMT(三角筋前・中部線維/棘上筋)

・肩関節外転のMMT(三角筋中部線維・棘上筋)

・肩関節水平外転のMMT(三角筋後部線維)

・肩関節水平内転のMMT(大胸筋鎖骨部・胸肋部/三角筋前部線維)

・肩関節外旋のMMT(棘下筋/小円筋)

・肩関節内旋のMMT(肩甲下筋/大胸筋鎖骨部・胸骨部/広背筋/大円筋)

 

 

肘関節・前腕のMMT

・肘関節屈曲のMMT(上腕二頭筋/上腕筋/腕橈骨筋)

・肘関節伸展のMMT(上腕三頭筋)

・前腕回外のMMT(回外筋/上腕二頭筋)

・前腕回内のMMT(円回内筋/方形回内筋)

 

 

手関節のMMT

・手関節屈曲(掌屈)のMMT(橈側手根屈筋/尺側手根屈筋)

・手関節伸展(背屈)のMMT(長・短橈側手根伸筋/尺側手根伸筋)

 

 

手部のMMT

・手指MP関節屈曲のMMT(虫様筋/掌側骨間筋/背側骨間筋)

・手指PIP関節屈曲のMMT(浅指屈筋)

・手指DIP関節の屈曲MMT(深指屈筋)

・手指MP関節伸展のMMT(指伸筋/示指伸筋/小指伸筋)

・手指外転のMMT(背側骨間筋/小指外転筋)

・手指内転のMMT(掌側骨間筋)

・母指MP関節の屈曲MMT(短母指屈筋)

・母指IP関節の屈曲MMT(長母指屈筋)

・母指MP関節の伸展のMMT(短母指伸筋)

・母指IP関節の伸展MMT(長母指伸筋)

・母指の水平(橈側)外転MMT(長母指外転筋)

・母指掌側外転のMMT(短母指外転筋)

・母指内転のMMT(母指内転筋)

・対立運動のMMT(母指対立筋/小指対立筋)

 

 

体幹のMMT

・体幹伸展のMMT(胸腸肋筋/腰腸肋筋/胸最長筋/胸棘筋/胸半棘筋/多裂筋

・骨盤拳上(引き上げ)のMMT(腰方形筋/広背筋)

・体幹屈曲のMMT(腹直筋)

・体幹回旋のMMT(内腹斜筋/外腹斜筋)

 

 

頭部・頸部のMMT

・頭部伸展のMMT(大後頭直筋/小後頭直筋/上頭斜筋/下頭斜筋/頭半棘筋/頭最長筋/頭板状筋)

・頸部伸展のMMT(頸半棘筋/頸板状筋/頸最長筋/頸腸肋筋)

・頭頸部伸展の複合運動MMT

・頭部屈曲のMMT(前頭直筋/外側頭直筋/頭長筋)

・頸部屈曲のMMT(頸長筋/前斜角筋/中斜角筋/後斜角筋/胸鎖乳突筋

・頭頸部屈曲の複合運動MMT

・頸部回旋のMMT(胸鎖乳突筋など)

 

 

片麻痺評価でのMMTの有用性

 

片麻痺評価(麻痺側の評価)においてMMTを用いることは有用なのかという議論がある。

 

そんな中で、『アドバンス版 図解 理学療法技術ガイド』では以下の様な記載がある。

 

徒手筋力検査は個々の関節連動にかかわっている筋力を検査するものであって、片麻痺の様に運動パターンを評価するものとは異なる。

さらに片麻撫の場合には姿勢・東夷によって筋緊張は大きく変化するのでMMTを用いることは出来ない。

 

あえて用いるならばstageⅣ以上の各関節の運動が分離して可能となった場合に用いることが出来る。

 

 

MMTは運動療法にも活かせるよ

 

MMTよる評価によって筋弱化が認められた場合は、MMTの方法をそのままリハビリ(筋力トレーニング)にも活かすことが出来る。

 

そういった意味でも、前記した各MMTの記事を参考にしてみてほしい。

 

MMTと運動療法(リン力トレーニング)の関係は以下な感じ。

 

評価の結果 運動の選択

MMT0

(筋活動が無い)

他動運動

MMT1

(微弱な筋収縮で関節運動がおこらない)

他動運動

自動介助運動

MMT2

(重力の影響を除けば運動範囲全体を動かせる)

自動介助運動

MMT3

(重力に抗して運動範囲全体を動かせる)

自動運度

MMT4

(中等度から強度の抵抗に対して最終域を保てる)

抵抗運動

MMT5

(最大抵抗に対して最終運動域を保てる)

抵抗運動

 

ただし、例えば腹臥位など「指定のポジショニングがとり辛い場合」も当然あり、その点は前記したMMT詳細リストに記載している『主動筋』のリンク先も参考にしてみてほしい。

 

※MMTのポジション以外でのトレーニング方法が乗っている記事もあったりする。

 

 

MMT1における運動療法の補足

 

MMT1である場合、単なる自動運動・自動介助運動だけでなく、以下などの試みもされる。

 

焦点集中(患者に治療部位に対して意識を集中させることで筋収縮を認知させる):

例えば、固有感覚を刺激する他動運動、触覚・圧覚を刺激する皮膚刺激・筋の収縮を感じ

させる電気刺激・筋の活動電位を視覚や聴覚で確認させる筋電バイオフィードバックなど

 

固有受容刺激(骨格筋の固有受容器を刺激することで筋収縮を誘発する方法):

例えば、筋の伸張・抵抗・反射刺激などが用いられる。

 

 

MMT4・5における運動療法(抵抗運動)の補足

 

MMTの評価における『抵抗』では、静止性収縮が用いられる。

 

一方で、運度療法においてはこの限りではない(求心性・遠心性収縮も必要に応じて活用していく)。

 

これら筋の収縮様式に関しては以下の記事でも解説しているので参考にしてみてほしい。

 

筋の収縮様式(求心性/遠心性/静止性/等尺性/等張性収縮)の違い

 

 

ただし、運動療法(MMTを用いた筋力トレーニング)の目的が、例えば「洗濯物を干す」や「トイレでズボンの上げ下ろしを楽にする」などの『ADL(日常生活活動)』に結びつくものであるならば、
最終的には『目的とする動作(あるいは、それに近い動作を取り入れた運動療法』にも移行していく必要がある。

 

この様な運動療法の考えは『特異性の原則』と呼ばれ、以下の記事も参考にしてみてもらいたい。

 

 「過負荷の原則」と「特異性の原則」を考慮した筋力増強

 

 

その他、トレーニングにおける補足。

 

例えば、「楽に椅子からの立ち上れるようになりたい」という目的を持った人に対するリハビリをすると仮定する。

 

この場合、立ち上がり必要な筋活動をMMTとして各パーツで考えると、「膝伸展のMMT」や「股関節伸展のMMT」や「足関節底屈のMMT」などなどを個別に実施ることで、目的とする動作に必要な筋群が強化され、立ち上がりが楽になる可能性もある。

 

ただし『スクワット』をリハビリに取り入れれば、「椅子からの立ち上がりに類似しており、必要とされる多くの筋群を動員できる(なおかつ、立ち上がりに必要な筋力以外の要素である動作のタイミングなども習得できる⇒つまり特異性の原則に沿った効率の良いリハビリという事になる。)。

 

特に下肢筋は、日常生活において抗重力下で活動することが多いため、前記したスクワットの様なCKC(閉鎖性運動連鎖)を考慮した運度療法が望ましいことも多い。

 

※ちなみにMMTはほとんどOKC(開放性運動連鎖)だが、「足関節底屈のMMT」だけはCKCである。

 

OKCとCKCの違いや、CKCがいかに多くの筋活動が要求されるかなどは以下の記事にて動画付きで解説されているので興味がある方は観覧してみてほしい。

 

CKCとOKC(+違い)を徹底解説!

 

 

ちなみに、「スクワットの方法」自体は以下で解説している。について解説しているので、スクワットに興味がある方は観覧してみてほしい。

 

 高齢者のスクワットを解説! リハビリ職種(理学・作業療法士)必見です!

 

MMTの多くは「OKC開放性運動連鎖」なトレーニングだが、特に下肢筋に関しては重力下での筋活動が日常生活で要求される場合が多いため「CKC閉鎖性運動連鎖」でのトレーニングの方が良いだろう。

※ちなみに、スクワットもCKCに該当するし、(余談になるが)MMTでいえば「足関節底屈のMMT」は、MMTにしては珍しくCKCでの評価となる。

 

 

ここでは、スクワットを例にして「効率的な筋力強化」という観点でトレーニングを紹介したが、一方でMMTを理解したうえで丁寧に運動を実施したほうがケースもあったりする。

 

人は誰しも、得意な筋活動を活用し、弱化した筋を補おうとする傾向がある。

 

そうなってくると、一部の筋にばかり負担がかかって痛みの原因になったり、体のクセとして定着してしまい効率的な動作をむしろ阻害してしまうことだってあり得る。

関連記事⇒『過用症候群・誤用症候群とは(+例・違い)

 

そんな際は、MMTで評価をし、弱化している筋を見つけ、その筋が使えるように丁寧なトレーニングしてあげることは大切だ。

 

そのほかMMTを運動療法に活用するメリットとしては「虚弱な高齢者が安全に出来るトレーニングが多い」「(MMTの学習で)代償動作が起こっていないかという視点を持ちながらトレーニングに臨める」といったところだろうか。

 

 

これだけは知っておいて損はないリハビリ運動

 

このサイトは、リハビリ職種(理学療法士・作業療法士)のみらず、看護師・介護士さんやトレーナーさんも観覧してくれているようである(徒手療法系の記事は整体師さんや柔道整復師さんも観覧してくれているみたいだ)。

 

このブログのテーマである(リハビリ)は幅広いため、各々によって興味のある記事は異なると思うのだが、この記事に限って言えば幅広い人に観覧されてる記事に該当するようである。

 

でもって、(健常者に対して積極的な筋トレを指導するトレーナーさんには物足りないかもしれないが)、病院・施設で働いていたり、在宅で運動指導する際に、比較的安全・簡単に実施可能で、リハビリでも活用されやすい運動として以下の2つ紹介しておく(MMTとは関係ないが、オマケとして)。

 

 

安全・簡単!使用頻度の高いリハビリ運動『パテラセッティング』を紹介するよ

 

安全・簡単!使用頻度の高いリハビリ運動『SLR運動』を紹介するよ

 

 

いずれの運動も負荷量は低いが、以下などのメリットがある。

 

  • 背臥位(仰向け)という誰でも可能で、安全な肢位での運動

 

  • 指導すれば、あとは自主トレーニングとして可能(SLR運動に関しては重錘を巻いて負荷を上げることも可能。まぁ、そのくらい意欲があるなら別の運動を指導してあげても良いのだが。。)

 

  • 運動に慣れていない人でも実施してもらいやすい(運動療法としての導入的意味合い)

 

  • 痛みを有しやすい人(上記トレーニングは痛みが出現しにくい。もちろん出現するようならやめる。)

 

  • どちらも、変形性膝関節症に対するリハビリとしてい一定のエビデンスがある。

 

 

MMTを動画で学びたいならコレ!

 

MMTを動画で学びたいという人には、以下のDVD書籍もある。

 

『PT・OTのための測定評価DVD Series』として出版されているものの、No3とNo4となる。

 

実際に購入したわけではないので、アマゾンコメントと三輪書店がユーチューブにアップしている動画を引用しておくので購入する際の参考にしてみてほしい。

 

正しい測定・評価ができていますか?

 

徒手筋力検査法(MMT)は、『人間の主観』によって筋力を判定するということが最大の特徴であるが、逆に臨床経験の乏しいセラピストにとっては、そのことが高いハードルとなっている。

 

本書では、この難解な検査の信頼性と再現性を向上させるために、絶対に外してはならない重要ポイントを写真および箇条書きで説明、さらに動画を用いることでより一層深く理解し、臨床現場で確実に実践できる内容となっている。

 

また近年、普及が著しい徒手筋力検査機器(HHD)の測定方法も収録。

 

MMTは、セラピスト間での評価について明確ではないともいわれるが、本書を通して精度の高い技術、および客観的なデータの確立を目指し、臨床で役立つ評価指針として活用してほしい。

 

 

 

 

 

 

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また、全てのMMTを一覧表として観覧したい人は以下もおススメ

 

MMTの一覧表(サイト:筋骨格系理学療法の世界)