この記事では、廃用症候群の一つであり、リハビリ(理学療法・作業療法)関連用語としても馴染み深い『骨粗鬆症(骨萎縮)』について記載していく。

 

廃用症候群自体については後述するリンク先も合わせて観覧してみてほしい。

 

骨粗鬆症とは(定義・分類)

 

まずは、骨粗鬆症の定義と分類について記載していく。

 

骨粗鬆症の定義

 

骨粗鬆症については、「骨粗鬆症ガイドライン(2015)」では、WHOにおける骨粗鬆症の定義として以下を紹介している。

 

『骨粗鬆症とは、骨量の減少、骨微細構造の崩壊、脆弱性の亢進と脆弱性骨折の増大をきたす病態』

 

 

もう少し一般向けにイメージしやすい表現としては、以下などと言われることもある

 

『骨粗鬆症とは、加齢や閉経に加え、食事でのカルシウム摂取不足や運動不足などが原因となり、骨のカルシウム量が減少し、骨がスポンジのように粗くなり骨折しやすくなる病気』

 

 

骨粗鬆症の分類

 

骨粗鬆症は以下の2つに分類される。

 

①原発性骨粗鬆症(原因不明な骨粗鬆症):
⇒高齢者や閉経後の女性に診られる退行型骨粗鬆症など

 

②続発性骨粗鬆症(何らかの疾患によって生じた骨粗鬆症)

⇒内分泌性(甲状腺機能亢進・クッシング症候群など)

⇒薬物性(ステロイド投与など)

⇒不動性(臥床や麻痺など)

 

従って、廃用症候群としての骨粗鬆症は「臥床による不動性」が原因なので、続発性骨粗鬆症に分類される。

 

 

一方で廃用症候群は(若年者によっても起こるが)高齢者が問題になりやすく、「加齢によって生じる退行型の骨粗鬆症(つまり原発性骨粗鬆症)」の要素も加味され、骨粗鬆症の進行に拍車をかけているともいえる。

 

重複するが、「高齢者が廃用症候群として起こす骨粗鬆症」は、原発性・続発性の両方の要素を持った骨粗鬆症と表現することができる。

 

 

骨粗鬆症の主要な臨床症状

 

骨粗鬆症の初期における臨床症状は以下の通り。

 

・脊椎圧迫骨折(特別な受傷機転なしに生じる圧潰)に伴う疼痛

・脊椎変形

・低身長

・・・・・・・・など

 

ただし、骨粗鬆症が進行すると多くの骨に骨折が生じるようになる。

 

※例えばクシャミをするだけで肋骨が折れたり、手をついただけで橈骨(前腕の骨)が折れたりなど。

 

※もちろん、転倒によっても骨折が起こりやすくなる(脊椎圧迫骨折・大腿骨頸部骨折など)。

 

上記からも分かると思うが、骨粗鬆症自体ではなく、「骨粗鬆症に骨折が併発することによる疼痛・機能障害・QOLの低下」などが問題となってくる。

 

※私の母親は60代だが、90歳の骨密度(つまり骨粗鬆症)と診断されているが、日本中で登山したり海外旅行に行きまくったりして人生を楽しんでいる。

 

※ただし、骨折が併発すると色々と問題が起こってくると思われる。

 

 

骨折リスクに関するリスク要因

 

ここからは、骨粗鬆症によって生じやすい「骨折」にフォーカスを当ててリスク要因を記載していく。

 

具体的なリスク要因は以下の通り。

 

・骨密度

・脆弱性骨折の既往

・加齢

 

 

骨密度

骨密度が低いほど、骨折のリスクが高くなる(性別で言えば、女性の方が骨密度が低くなりやすい)。

骨密度の測定はDXA(X線を用いる二重エネルギーX線吸収測定法)が主流であり、骨粗鬆症症の診断では、腰部と大腿骨近位部の両部位での測定が最も推奨されている。

 

 

脆弱性骨折の既往

脆弱性骨折の既往は、骨密度や加齢とは独立して骨折のリスクを規定する重要な要素とされている。

※脆弱性骨折の既往がある場合、同じ部位の骨折リスク、他部位の骨折リスク共に上昇する。

 

 

加齢

当然のことながら、加齢も独立した骨折リスクとなる。

※例えば、骨密度・脆弱性骨折の既往などの背景が同じであれば、年齢が高いほど骨折リスクが高い。

なので、「高齢者」なだけで骨折リスクが高いと言い換えることが出来る。

 

 

骨粗鬆症の治療

 

ここからは骨粗鬆症の治療に関して、リハビリ(理学療法・作業療法)も含めて記載していく。

 

前述したように、骨粗鬆症は骨強度の低下のみでは臨床症状が発現することは無く、骨折を併発することで様々な症状が起こってくる。

 

従って、骨粗鬆症を治療する目的は何なのかと聞かれると「骨折を予防すること」と言い換えることができる。

 

それと同時に、骨粗鬆症が「加齢に伴い不可逆的に起こってしまう要素」である以上は、「骨折予防=骨粗鬆症の治療」ではなく、
「骨折予防=骨粗鬆症の治療+転倒予防のリハビリ(理学療法)」となる。

 

すでに骨折を有する例では骨折リスクが高まっていることは前述したので、新たな骨折の連鎖を予防するためにもリハビリは重要となってくる。

 

 

食事療法

 

食事療法はそれのみでは十分な骨量の増加や転倒予防は期待できず、あくまで「基本治療」に位置づけられる。

 

骨粗鬆症骨折と食事に関する報告によれば、以下のように言われている。

広田孝子:骨粗鬆症患者のカルシウムとビタミンDの栄養状態と骨代謝.Osteoporos Jpn,16 : 165-169,2008

 

・カルシウム・ビタミンDが骨折リスクを低減する

・アルコール過剰摂取が転倒リスクを上昇させる

 

まぁ、何の変哲もない報告であるが、結局のところ栄養バランスの良い食事を心がけるに越したことは無い。

 

 

薬物療法

 

骨粗鬆症の治療に用いられる薬剤は、その作用機序から以下の2つに分類される。

 

 

①骨吸収抑制剤:

⇒破骨細胞による骨吸収を抑制する薬剤のこと

 

・ビスホスホネート(BP):窒素含有BPなど

・カルシトニン

・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)

・抗ランクル抗体

・女性ホルモン

 

②骨形成抑制剤:

⇒骨芽細胞によって骨形成を促進する薬剤のこと

・副甲状腺ホルモン

 

また、上記のいずれにも分類されない薬剤としては以下が挙げられる。

・活性型ビタミンD3

・ビタミンK2

 

これらの薬剤のうち、高いエビデンスレベルでの骨折抑制効果が示されているのは以下となる。

・窒素含有BP

・SERM

・抗ランクル抗体

・副甲状腺ホルモン

・活性型ビタミンD3のエルデカシトール

 

 

リハビリ(運動療法)

 

非運動群に比較して、運動実施群で骨密度が有意に維持・増加されることが明らかとなっている。

 

※これは、「骨に(適度な)ストレス刺激が加わるほどに骨は丈夫になっていく」という理屈からも当然かもしれない。

 

運動の内容に関しては、有酸素運動・荷重運動・筋力トレーニングのいずれも骨密度の維持・増加に有用とされている。

 

ただし、一括りに「骨粗鬆症」といっっても軽症例から重症例(咳をする・抱えられるだけで骨折してしまうなど)までピンキリなので、リハビリの実施に当たっては個々の状態に合わせる必要があるのは言うまでもない。

 

骨粗鬆症に対するリハビリ(理学療法)に関しては以下の記事でも言及しているので、こちらも合わせて観覧してみてほしい。

 

 

骨粗鬆症のリハビリ(理学療法・作業療法)まとめ

 

 

また転倒予防の観点からは運動療法としての「バランストレーニング」が有効で、『開眼片足立位保持』や太極拳などが転倒リスクを低減するとの報告がある。

 

転倒予防のリハビリ(バランストレーニング)に関しては、以下の記事でも詳しく解説しているので観覧してみてほしい。

 

バランス運動(トレー二ング)を総まとめ!高齢者の転倒予防に効く!