一般的に情動と言う表現は、「歓喜・不安・苦悶・悲観・驚愕・激怒・恐怖」というような急激に起こされる一過性の強い感情の動きに以下の様な要素が伴った状態を指すことが多い。

 

・顕著な表情・声・行動
・自律神経系(発汗・心悸亢進・血圧上昇・呼吸数の増加・ひん尿・下痢などの主として交感神経系の興奮)や内分泌系を通して現れる生理的変動

 

 

一方で、情動を「動物全般」ではなく「人間」にフォーカスをして考えた場合、
「広く動物に共通した喜び、悲しみ、怒り、怖れ、嫌悪感のような本能的な欲求に関わる感情」と、
「慈しみや憎しみ、尊敬や軽蔑など人間に独特な感情」や、
「その感情によって生じる身体や表情の変化、行動の変化を含むもの」
という表現が分かりやすいのではないだろうか。

 

 

いずれにしても、情動には「心が強く揺り動かされる感情」を伴っているため、「情が動く」という意味で『情動』という言葉が誕生したのかもしれない。

 

『情動』と『感情』との違いは、情動にはそれぞれの人にしか分からない主観的な「心」の側面だけでなく、外部から観察可能な客観的な側面が含まれていることである。

 

客観的な側面には、前述したような「感情に伴う自律神経系の反応の変化(心拍数の変化、発汗、顔面の紅潮や蒼白)」や「身体表出(顔の表情、筋の緊張の変化」を含む。
精神医学・心理学の分野では、情動と気分を区別していて、気分は情動よりも長く続く漠然とした感情を意味している。

 

このような感情・情動・そして気分も、脳が生み出しているものである。

 

情動は条件付け・記憶・予期不安・暗示などによって固定ないし悪化することが多く、
この倫理学的事実は神経症や心身症の発症、増悪の一部と関連している。