皮膚の小さな部位が切れたり、やけどしたりして傷つくと、下記のような反応が僅かな時間差とともに生じる。

 

発 赤:損傷部位とその周辺の血管が強く拡張して皮膚が赤くなる

腫 脹:損傷部位とその周辺が腫れる

フレア:「損傷部とその周辺」よりさらに広い部位まで(軽度の血管拡張が起こり)赤くなる

 

※①②に関しては局所の血管拡張、血漿成分の滲出によって生じ、その発生には炎症メディエーターが関与している。

 

※③に関しては、軸索反射後根反射などの逆行性伝導によって損傷部位周囲の細動脈の拡張と透過性の亢進によって生じる。

 

※中心部から広がる①~③の反応はトーマス・ルイスが1924年に発見したことから『ルイスの三重反応』と呼ばれている。

 

切り傷などの損傷部は触れただけでも痛いといった痛覚過敏やアロデニアが生じてしまう。

 

そして、『ルイスの三重反応』の範囲で生じる一時的な痛覚過敏やアロデニアは末梢性感作によって生じる。

 

他方で『ルイスの三重反応』の外側で生じる一時的な痛覚過敏やアロデニアは中枢性感作によって生じる。

 

いずれにしても、これらの(痛覚過敏やアロデニアを含めた)痛みは順調に組織修復が行われた場合、時間経過とともに消失する症状である。

 

※痛覚過敏・アロデニアについてはこちらも参照⇒「アロデニアは痛覚過敏と異なることを理解しよう

 

フレアに関しては、出血や激痛を伴う様な損傷だけでなく、軽微な機械適刺激によっても起こせるため、徒手理学療法における評価や治療で機械的刺激を皮膚へ加えた際にも観察することができる。