この記事では、簡便に疼痛の精神医学的側面をチェック出来る『BS-POP問診票』について記載していく。

 

簡単な問診票なので、試しに臨床でも活用してみてほしい。

 

 

 BS-POP問診票とは

 

BS-POP問診票とは「Brief scale for Psychiatric Problem in Orthopaedic Patients」の略であり、

 

日本では「整形外科疾患に対する精神医学的問題評価のための簡易質問票」と呼ばれることもある。

 

慢性疼痛は侵害受容性疼痛・神経障害性疼痛・心因性疼痛が複雑に絡み合っていることが多い。

 

そして、精神医学的問題(心因性要素)が強い場合は以下の様な弊害が起こってしまう事がある。

 

・身体機能にも悪循環をもたらす

・痛み行動を助長させる

・セルフエフィカシーが低減してしまう

 

 

そんな「精神医学的問題の有無」を簡便に判断可能とするツールがBS-POP質問票である。

 

BS-POP問診票はで慢性疼痛の中でも『腰痛』にフォーカスされた文献が多い。

 

 

BS-POPの特徴・採点基準

 

問診票というのは「患者に対する質問票」を指すことが多いのだが、

 

BS-POPの特徴は「患者に対する質問票」のみならず「治療者に対する質問票」も存在する点である

 

各項目数は以下の通り。

 

  • 患者に対する質問:

    ⇒10項目

 

  • 治療者に対する質問:

    ⇒8項目

 

いずれの質問も、1問につき1~3点が配分され総合得点で判断していく。

 

 

各々の最低・最高得点

 

各々の最低・最高得点は以下になる。

 

  • 治療者の総合得点

    ⇒最低8点・最高24点

 

  • 患者の総合評価点

    ⇒最低10点・最高30点

 

 

BS-POP問診票のカットオフ値

 

総合得点が高いほど精神医学的問題を抱えていると判断され、カットオフ値は以下の通り。

 

  • 「治療者に対する質問票」を単独で用いて評価する場合は、総合評価が11点以上の場合を異常と判定する。

 

  • 「治療者に対する質問票」と「患者に対する質問票」の両者を用いて評価する場合は、治療者の総合得点が10点以上かつ患者の総合得点が15点以上の場合を異常と判断。

 

  • 「患者に対する質問票」は単独で用いるのは適切ではなく、「治療者に対する質問票」と組み合わせて評価するのが適切とされている。

 

 

~参考文献~

 

佐藤勝彦,菊池臣一,増子博文,ほか,脊椎・脊髄疾患に対するエリゾンアプローチ-整形外科患者に対する精神医学的問題評価のための簡易質問表(BS-POP)の作成,臨整外2005;35:843-52

 

渡辺和之, 菊池臣一,紺野愼一,ほか.咳系外科疾患に対する精神医学的問題評価のための簡易質問表(BS-POP)妥当性の検討.臨整外2005;40:745-51

 

 

~以下は、『大日本住友製薬の医療情報サイト』より引用~

 

BS-POPの妥当性を検証するため、2000年4月から2003年3月までに福島県立医科大学附属病院に入院した脊椎脊髄疾患患者125例(腰椎椎間板ヘルニア36例、腰部脊柱管狭窄症53例、頚椎症性脊髄症13例、その他23例)を対象に、BS-POP、MMPI、疼痛評価VAS(visual analogue scale)を用いて検討を行いました。

 

その結果、BS-POP医師用は、MMPIの心気症尺度、ヒステリー尺度と相関が高く、BS-POP患者用はMMPIの心気症尺度、抑うつ尺度、ヒステリー尺度との相関が高いことが明らかとなりました。

 

これらの尺度は、疼痛など身体的訴えと関連が強いとされていることから、BS-POPは疼痛を主訴とする脊椎脊髄疾患患者の精神医学的問題のスクリーニングに有用であることが証明されました。一方、性、年齢、VASとの有意な相関はみられなかったことから、性、年齢、痛みの程度などの因子に影響されることなく、脊椎脊髄疾患の患者さんに特徴的な精神医学的問題を見つけ出すことが可能であるといえます。

 

 

 

問診票はこんな感じだよ

 

以下が、BS-POP問診票となる。

 

※「患者に対する問診票」と「治療者に対する問診票」に分けられている。

 

患者に対する質問票

 

質問項目

回答と点数

評価点

1.泣きたくなったり、泣いたりすることはありますか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

2.いつもみじめで気持ちが浮かないですか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

3.いつも緊張して、イライラしていますか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

4.ちょっとしたことが癪(しゃく)にさわって腹が立ちますか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

5.食欲は普通ですか

いいえ

ときどきなくなる

ふつう

 

6.一日の中では、朝が一番気分が良いですか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

7.何となく、疲れますか

いいえ

ときどき

ほとんどいつも

 

8.いつもとかわりなく仕事がやれますか

いいえ

ときどきやれなくなる

やれる

 

9.睡眠に満足できますか

いいえ

ときどき満足できない

満足できる

 

10.痛み以外の理由で寝つきが悪いですか

いいえ

ときどき寝つきが悪い

ほとんどいつも

 

 

計:

 

 

治療者に対する質問票

 

質問項目

回答と点数

評価点

1.痛みのとぎれることがない

そんなことはない

時々とぎれる

ほとんどいつもいたむ

 

2.患部の示し方に特徴がある

そんなことはない

患部をさする

指示がないのに衣服を脱ぎ始めて患部を見せる

 

3.患肢全体が痛む(しびれる)

そんなことはない

ときどき

ほとんどいつも

 

4.検査や治療をすすめられたとき、不機嫌、易怒的または理屈っぽくなる

そんなことはない

少し拒否的

おおいに拒否的

 

5.知覚検査で刺激すると過剰に反応する

そんなことはない

少し過剰

おおいに過剰

 

6.病状や手術について繰り返し質問する

そんなことはない

ときどき

ほとんどいつも

 

7.治療スタッフに対して、人を見て態度を変える

そんなことはない

少し

著しい

 

8.ちょっとした症状に、これさえなければとこだわる

そんなことはない

少しこだわる

おおいにこだわる

 

 

計:

 

 

BS-POP質問票のダウンロードはこちらから

 

BS-POP質問票がネット上にアップされていたので、リンクを貼っておく。

 

ダウンロード・印刷して活用したい方は、こちらからどうぞ。

 

BS-POPチェッカー

 

 

関連記事

 

慢性腰痛を簡易に評価が出来るツールとして『KeeleのStarT スクリーニングツール(StarT Back test)』というツールもあったりする。

 

こちらは世界的に有名なツールであり、詳しくは以下を参照してみてほしい。

 

KeeleのStarT スクリーニングツール(StarT Back test)

 

 

BS-POP問診票は、とある番組で医師が活用していたことから話題になった。

 

その番組は「すご腕外来」であり、「認知行動療法」の紹介VTR内で紹介された。

 

この番組については、以下の記事でも紹介しているので、認知行動療法に興味がある方はチェックしてみてほしい。

 

認知行動療法は腰痛に効果があるのか?

 

 

その他の「痛み評価関連の記事」としては以下などがある。

 

痛み評価テスト(VASなどの疼痛スケール)の臨床活用法

 

マクギル疼痛質問票MPQ:McGill Pain Questionnaire)で痛みを評価してみよう