この記事ではカフワイエクササイズとして『基礎的な腱板トレーニング』について記載していく。

 

カフワイエクササイズ(Cuff-Y-exercise)とは

 

「cuff」は肩甲上腕関節の機能にとつて重要な働きをする腱板、「Y」は肩甲上腕関節が機能するうえで基盤となる肩甲胸郭関節の肩甲骨を意味し、両関節機能不全に対する機能的なパランスを回復し、パフォーマンスの向上を図るリハビリ(理学療法)手法の総称である。

 

なので、『コッドマン体操(Codman exercise)』の様に「限定した一つのリハビリ方法」を指すわけではなく、様々な手法が含まれる。

 

※主には腱板トレーニングが紹介されることが多く、ここでも一例を紹介していく。

 

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腱板機能訓練① 0~30°までの肩関節外転によるトレーニング

 

  1. 運度方向は「scapular plane上での外運動」
  2. 運動範囲は上肢下垂位から30°外転位まで
  3. このトレーニングによって、三角筋中部線維(アウターマッスル)を抑制した状態で棘上筋(インナーマッスル)の収縮が促される。

 

※筋の収縮様式は『等張性収縮』に該当する。

 

scapular plane上での運動なので、厳密には「肩外転」ではなく「上肢挙上」という表現の方が適切かもしれない。

 

 

腱板機能訓練② 30~0°までの肩関節内転によるトレーニング

 

  1. 腋窩に柔らかいボールまたはクッションを挟んで肩関節外転30°の肢位を作る。
  2. 運動方向は「(腋窩に柔らかいボールまたはクッションを挟んだ状態での)scapula plane上での内転運動」
  3. 運動範囲は30°外転位から上肢下垂位の方向けて、ボールまたはクッションが押し潰れる範囲。

 

※筋の収縮様式は『等尺性収縮(に近い等張性収縮)』に該当する。

 

scapular plane上での運動なので、厳密には「肩外転位」ではなく「上肢挙上位(から下垂位に向けての運動)」という表現の方が適切かもしれない。

 

 

腱板機能訓練③ ウチワやセラバンドを利用しての肩関節外旋運動

 

ウチワやセラバンドを用いるが、ここではウチワ(下敷きなどの板でも良い)を利用しての外旋運動を記載する(自主トレとしても簡便に可能なので)。

 

  1. 上肢下垂位にて肘関節を90°屈曲位にする。
  2. 前腕回内外中間位でウチワを把持し、肩関節を内外旋させることにおりウチワを動かす(前方に風を送るようなイメージ)。

 

※ただし、あくまでイメージであり、ゆっくりと実施する(ゆっくり実施たほうがアウターマッスルを抑制した状態でインナーマッスルを収縮できるし、肩関節にも優しい)。

 

※お風呂で水圧を利用することで同様なエクササイズが可能。

 

 

動画:セラバンドを使用したカフワイエクササイズ(Cuff Y exercise)

 

先ほど、「ウチワを用いた肩関節外旋(+内旋)運動」というCuff-Y-exerciseを紹介したが、ここでは「セラバンドを用いた肩関節外旋運動」を動画で紹介しておく。

 

動画の前半は肩関節の外旋トレーニングだが、後半は肩関節の内旋トレーニングも紹介されている。興味があれば内旋トレーニングも観覧してみてほしい。

 

 

治療側(右側)の肩関節を内外転中間位に保持するために、肘と体幹の間に丸めたタオルをは挟んでいる。

 

左手でバンドを把持しているが、何かの細い柱に括り付けても良い)。その場合は、伸縮するバンドが床と平行な高さにする点に注意。

 

肩関節外旋の代償として、「体幹の右側屈や右回旋」「肩の内転」などが伴わないよう注意。

 

インナーマッスルの強化なため、セラバンドは強度の低いものを選ぶ。

セラバンドの強度は色によって異なり、詳しくは以下の記事も参考にしてみてほしい。

 

⇒『セラバンド(Thera-Band)とは!高齢のリハビリ・トレーニングにも使えます♪

 

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インナーマッスル・アウターマッスルと肩関節機能障害

 

ほとんどの肩関節疾患患者は、腱板をあまり使わないで腕を動かすことを覚えてしまう
(アウターマッスルばかりを使う癖を身に付ける)。

 

その結果、腱板の機能は徐々に低下していく。

 

正常では上肢を挙上する際には、上腕骨骨頭が関節窩に対し下方に引き下げられるが(腱板の作用)、腱板の機能が落ちていると、上腕骨頭を関節窩にしっかり固定できず、またouter muscles(主に三角筋)の強収縮により上腕骨骨頭が関節窩に対し、初動作時に上前方に偏位してしまう。

 

この繰り返しが『腱板の損傷(腱板炎・腱板部分損傷・腱板断裂)』や関節内の組織損傷を生じ、疼痛などの症状が出現する原因の一つとなり得る。

 

基本的に運動療法を用いて治療するには、腱板が機能しやすい状態をつくり、機能的に低下している腱板と肩甲胸郭関節の機能を向上させることである。

※これによって、肩関節は正常な動きを取り戻すことができる。

 

「腱板が機能しやすい状態」とは、以下などを指す。

 

  • 土台となる肩甲骨の機能がしつかりしていること
  • 腱板が収縮しても痛みをださないこと
  • 腱板が収縮する際にアウターマッスルがより強く収縮しないこと

・・・・・・などなど。

 

治療しては、上肢をリラツクスさせ痛みを起こさないようゆっくりとしたスピードで行い、訓練に際しては、アウターマッスルがインナーマッスルである腱板より強く収縮しないように筋活動パターンを変化させ腱板の機能を正常に導くことが必要である。

 

 

カフワイエクササイズ(Cuff-Y-exercise)の適応疾患

 

前述したようにインナーマッスルとアウターマッスルの不均衡によって生じた肩関節機能障害が適応になり、筋スパズムや筋短縮を除去するような徒手療法などと併用されることも多い。

 

でもって、敢えて適応疾患を列挙すると以下などが該当する。

 

 

 

もちろん、『関節副運動』『肩甲上腕リズム』や『運動連鎖』を考慮したアプローチなど、肩関節疾患に対するリハビリ内容(理学療法・作業療法)は多岐に渡るが、基礎的知識としてここに記載した内容も覚えておいてほしい。