この記事では、脳卒中の『高次脳機能障害』についてのまとめ記事となる。

 

目次

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高次脳機能とは

 

脳の機能は以下の3層構造をしている。

 

  • 大脳新皮質(記憶や理解などの認知機能や、理性のコントロール)
  • 大脳辺縁系(感情や食欲・性欲などの本能をコントロール)
  • 脳幹(呼吸や循環、心臓の動きなど、生命維持に必要な機能をコントロール)

 

そして、『大脳新皮質』が司る認知機能や理性のコントロールといった機能「高次」の脳機能、すなわち「高次脳機能」と呼ぶことがある。

 

 

高次脳機能障害とは

 

「高次脳機能障害」という用語は医学的な定義づけが存在しない。

 

でもって、理学療法学事典には以下の様に記載されている。

 

高次脳機能障害とは:

 

脳血管障害や交通事故など様々な原因で脳が損傷を受けたために、言語注意、記憶、遂行機能、行為、認知などの知的機能に障害が起きた状態。

 

高次脳機能障害と間違えられやすい脳の障害として、せん妄認知症がある。

 

高次脳機能障害の巣症状として、失語・失行・失認のほか、記憶障害、注意障害、遂行機能障害といったいわゆる前頭葉機能障害などがある。

 

 

あるいは厚生労働省の診断基準の一つである「主要症状など」については、以下の様に記載されている。

 

現在、日常生活または社会生活に制約があり、その主たる原因が記憶障害注意障害遂行機能障害社会的行動障害などの認知障害である

高次脳機能情報支援センターより

 

 

高次脳機能障害の見取り図は以下の通り。

 

 

高次脳機能障害の種類

 

 

前述した内容とかなり重複するが、高次脳機能障害の種類について整理しておく。

 

狭義には以下が高次脳機能障害の中核的症状とされている。

・失語(apasia)

・失行(agnosia

・失認(apraxia

 

でもって、これらの詳細は以下の記事を参照してもらいたい。

 

⇒『失語症(aphasia)とは?種類や分類法まとめ

 

⇒『失行( agnosia)とは?種類や特徴を解説!

 

⇒『失認(apraxia)とは? 半側空間無視など、種類や特徴を解説!

 

 

中核症状以外の高次脳機能障害も解説!

 

ただし、高次脳機能とは『ヒトが社会生活を行ううえで不可欠な、言語・認知・記憶・学習・行為などの脳機能』を指すため、高次脳機能障害を広義に捉えた場合は以下なども該当する。

 

注意障害

記憶障害

遂行機能障害

・感情や行動の障害

 

・・・・・などなど。

 

 

以下の記事では、高次機能障害における『注意・記憶・遂行機能・感情や行動』に関する内容を解説している。

でもって、先ほど「高次脳機能障害と間違えられやすい脳の障害として、せん妄と認知症がある」と記載したが、この高次脳機能障害と認知症の違いについても解説している。

 

⇒『高次脳機能障害と認知症(+違い)

 

 

高次脳機能障害に対するリハビリ

 

高次脳機能障害に対するリハビリでは、(前述した)無数にある症状を様々な検査によって評価し、正確な障害像を把握する所から始まる。

 

でもって、その結果を参考にADL(日常生活活動)を実施する上で問題となるものを中心にリハビリを実施する。

 

教科書的な高次脳機能障害に対するリハビリの順序は以下の通り。

 

  1. 簡単な課題から開始する

  2. 徐々に複雑な課題に上げていく

  3. 実生活で試していく

 

例えば失語症における発話の訓練では、物の名前の繰り返しや、日常よく使う物の呼称から始め、徐々に文章の練習へと進めていく。

 

 

また、失われた機能の代償として道具を使う訓練や環境の調節も並行して行う。

 

例えば記憶障害には、メモを取るようにして、常にメモを見る習慣をつけるリハビリを行うなど。

 

あるいは半側空間無視では、車椅子の左側(無視側)のブレーキをかけ忘れることが多いため、ブレーキを延長したりする。

 

※サランラップの芯にブレーキレバーが通るようなら活用し、サランラップの芯を赤や黄色などカラフルな色に塗る(色つきテープで巻く)などが臨床では活用されたりする。