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痛みについて

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持続的な筋収縮と交感神経作用による痛みの悪循環

組織損傷などにより痛みが生じた際は、下記のような原因で持続的な筋収縮が続きます。

  • 防御性収縮(=筋ガーディング)
  • 脊髄反射によるα・γ運動ニューロンの興奮

そして、痛み刺激は下記のような交感神経の過活動により、血管を収縮させます。

  • 交感神経反射によるもの
  • 大脳辺縁系に到達した痛み刺激が交感神経を興奮させる

これらの『持続的な筋収縮』や『血管収縮』による循環障害は、発痛物質の産生を促します。

発痛物質による疼痛増悪は、更なる『筋ガーディング』『脊髄反射によるα・γ運動ニューロンの興奮』『交感神経による影響』を助長させ、更なる発痛物質の産生を促します。

 

このサイクルにより痛みの悪循環が形成されてしまいます。

また、組織損傷などの、当初の痛みの原因が無くなった後も、この悪循環だけは継続してしまい、「いつまでも筋緊張が亢進した状態(=筋スパズム)」や「いつまでも痛みが残っている状態」につながる可能性もあります。

 

※マッスルガーデニングと筋スパズムのように持続的な筋収縮が生じることによる筋短縮を『反射的短縮』と呼びます⇒詳しくは「用語解説」を参照

 

 

 

 

ここからは、上記に記載した『筋ガーディング』『脊髄反射によるα・γ運動ニューロンの興奮』『交感神経の過活動』について詳しく記載しておきます。

 

 

○持続的な筋収縮に関与する要素

  • 防御性収縮(筋ガーディング)

    大脳で痛みが認知されると、その部位をかばおうと防御性収縮が生じることで筋緊張の亢進を招く。

  • 脊髄反射によるα・γ運動ニューロンの興奮

組織損傷などで侵害刺激組織が加わると、その刺激から逃避するための脊髄反射の一種である屈曲反射(侵害刺激⇒主にAδ線維が興奮⇒脊髄後角の介在ニューロンを介す⇒屈筋のα運動ニューロンが興奮⇒屈筋が収縮といった多シナプス性の反射)が起こる。
また、多シナプス反射では常に後発射が発生するため、反応は一過性では無くしばらく持続する特徴がある。
したがって、組織損傷によって痛みが発生している場合には、常にα運動ニューロンも刺激されており、筋収縮が惹起されてしまう 。
また、同時にγ運動ニューロンも刺激されるため、筋紡錘の感度が亢進し、わずかな伸張刺激でも筋は収縮するようになる。

これらにより、筋が持続的に収縮された状態(あるいは、され易い状態)が続くと、局所は循環障害による酸素欠乏状態となり、アシドーシスを招く。
すると、発痛物質(セロトニン・ブラジキニン、プロスタグランジンなど)の産生が促され、新たな痛みを生むことになる。

新たに生じた痛みは、更に『痛みをかばうためのマッスルガーディング』や『脊髄反射によるα・γ運動ニューロンの興奮』を生み出し、疼痛を助長します。また、痛みにより『交感神経の過活動』が持続し、阻血状態が続くといった悪循環に拍車をかけることになる。

 

 

○(交感神経の過活動により)血管を収縮させる要素

  • 交感神経反射によるもの

    急性の痛み刺激は、まず末梢神経のうちAδ神経という比較的太い神経を刺激する。その刺激は神経を伝わり、脊髄の後根から脊髄内に入り、また脊髄の後角で色々な変調を受ける。その刺激は一部脊髄内の側角交感神経のニューロンに伝達され、交感神経ニューロンは興奮し、その刺激ンパルスは脊髄の前根から出て、血管運動神経インパルスとなって血管を収縮する。


  • 大脳辺縁系に到達した痛み刺激による交感神経の興奮

痛み刺激は脊髄を上行して大脳へ達し、そこで「痛い」と感じる。

痛み刺激は「痛い」と感じると、そこから大脳辺縁系を刺激し、この部分が刺激されると不快な情動が掻き立てられる。

すると、更に視床下部の自律神経の中枢へ到達し、交感神経の活動を増加させる。これにより交感神経の末梢よりカテコラミンというホルモンが分泌し、血管が収縮してしまう。
※また、視床下部はホルモンの中枢でもあり、この部位の興奮は副腎髄質からもカテコラミンを分泌させるとともに、副腎皮質からはコルチゾンというストレスホルモンを分泌させる。そして、これらのホルモンの分泌により、更に血管が収縮してしまう。

この様に血管が収縮することにより阻血が生じ、痛み物質の産生が促さる。新たに生じた痛みは、更に『交感神経反射』や『大脳辺縁系に到達した痛み刺激による交感神経の興奮』を生み出し、疼痛を助長する。
また、阻血により生じた疼痛は更なる『持続的な筋収縮』を生み出し、阻血状態が続くといった悪循環を生み出す。

 

 

 

 

これらの痛みの悪循環に関しては、下記のような対策が重要になってきます。

  • 軟部組織テクニックなどを痛みを伴わないよう愛護的に試行し、筋緊張の緩和を図る。

  • 組織損傷などの悪循環の原因となったものが消失しているのであれば、代償性の姿勢や動作を、適切な徒手理学療法・運動療法により修正していく。これにより弱化筋の賦活・過用筋のストレス緩和といったマッスルインバランスの改善が得られる。

    ・・・・・・・・・などなど・・・・

 

 

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