海外における総合型の学派

例えば、

パリスは理学療法士では有名なカルテンボーンやオステオパスと勉強をしてきたため、手技には共通したものがある。また、モビライゼーションの手技自体は過去20年間大きな変化がないことから、手技に関してはその他の専門家とも共通性があることが理解できる

と記された文献もあります。僕自身も実際にドイツ徒手医学とパリスコンセプトを受講してみて、手技のみならずコンセプト自体も似ていると感じました。

また、カルテンボーンは過去にドイツ徒手医学(FAC)の講師を務めていたという経緯や、カルテンボーンについて学会や教本などで学んでドイツ徒手医学と比較する限りでは、両者のコンセプトも非常に似通っていると感じました。

例えばアプローチ方法で言えば(上記と内容が重複しますが)、他動的なもの(関節モビライゼーションや筋ストレッチングなど)から、筋収縮を利用したもの(等尺性収縮後弛緩や筋収縮を用いた関節モビライゼーションなど)から、セルフエクササイズについてなど、広い視野で考えれるように体系付けされています。

あえて各学派の異なっている点をあげるとするならば、それはコンセプトというよりは日本における各学派の教育システムだと思います(触診練習にも多くの時間を割いたり、臨床推論の裏付けとなる講義に多く時間を割いたり、関節系の概念を中心として筋系は紹介程度に留めるなど)。そして、各教育システムのどれが自分に合っているかは、人それぞれ違うと思います。

また、『反応重視型』と違う点として、評価・再評価の際に、患者の主観的反応から得られた情報のみならず、それ以上にセラピストの触診などの客観的情報を重要視する点が挙げられます。そして、時には『患者の主観の改善を優先した介入方法』より『セラピストの客観的情報を優先した介入方法』を選択する場合もあります。

そのため、、『反応重視型』と比べて適切な評価の習得難易度が高く、熟達するまでの期間も長いと思われます(反応重視型が客観的評価能力が必要ないというわけではありませんので誤解なきよう・・)。

この『総合型』の評価・治療の項目は特殊なものではなく、神経筋骨格系理学療法を行うためのスタンダードなものだと思うので、大雑把ではありますが『評価・治療の流れ』に記載しておこうと思います。