軟部組織へのアプローチ

筋緊張亢進と疼痛の因果関係は下記も参照
⇒『持続的な筋収縮と交感神経の影響による痛みの悪循環

テクニック コメント
軟部組織モビライゼーション

軟部組織に対して、徒手的接触・圧迫・運動を用いて、伸張性や疼痛の改善を図る方法の総称。

  1. 他動的な軟部組織モビライゼーション
  2. 自動運動を用いた軟部組織モビライゼーション
    • Ib抑制を利用した目的筋の等尺性収縮後弛緩テクニック
    • Ia抑制(相反抑制)を利用した拮抗筋の等尺性・求心性収縮
      (新たに得られた可動域内における拮抗筋の最大収縮も含む)

⇒PNFの相反神経支配・継時誘導も参照

筋筋膜リリース
(myofascial release)

全身の筋膜を対象として、単なる筋膜の伸張ではなく、筋膜の捻じれをリリース(解きほぐす)し、筋・筋膜のバランスを整える方法。

ストレイン
カウンターストレイン
(SCS:strain-counterstrain)

他動的に最も痛みが少ない楽な姿勢を取らせることで、不適切な固有需要活動を減少もしくは抑制し、痛みを軽減する方法。

その他

上記をどの様に使い分けるかは諸説ありますが、自身が得意であったり、複数試す中で反応の良いものを用いれば良いと思われます。

また、痛みが生じている場合は、『現在の静止肢位』にて①関節運動を伴わないアプローチ②刺激が弱いアプローチから開始するのが安全な手順となります。

※もしも、可動域制限に対してこれらのアプローチをした結果、筋緊張の緩和により、関節原性な制限因子が顕著化してくる可能性があります。そして、その際は関節モビライゼーションに介入手段を変えることが必要になるかもしれません。

逆にいうと、関節モビライゼーションを行う前段階として、これらのアプローチにより筋緊張を緩和させておくことは、治療効果を高めるためにも大切になってくると思われます。

ここでは、疼痛+可動域制限を有した筋・筋膜に対するアプローチの組み合わせ手順例を記載しておきます。

①筋・筋膜リリース

②横断マッサージ

③機能的マッサージ

④ホールドリラックス(等尺性収縮後弛緩テクニック)

⑤スタティックストレッチング

⑥拮抗筋の求心性収縮による相反抑制

⑦セルフストレッチングの指導

※①~③は刺激の弱い順。①は筋膜のほつれをリリースするという非常にソフトな方法。
※②③が他動的なものに対して、④は能動的で主動作筋への十分な収縮を利用する方法。
※②~④に対して、⑤は構造的な短縮への効果も得られる。オーバーストレッチには注意。
※①~④までで得られた可動域を維持するためにも⑥は重要。
※⑦特に構造的短縮に対しては、頻回な機械的刺激が必要不可欠。

ただし、軟部組織の柔軟性改善や鎮痛だけでは理学療法といて不十分であり、筋力・持久力・バランス協調性・固有感覚などにも焦点を置いた運動療法も重要です。

そして、これらの運度療法に加えて、セルフエクササイズや日常生活指導といった包括的なアプローチを行っていく必要があります。