PNFの促通要素

1.外受容性刺激(触覚刺激・視覚刺激・聴覚刺激)

触覚刺激:
動かす側に接触することで、運動方向の情報を与えることが出来ます。虫様筋握りを用いることで運動方向以外への接触を防ぐことが出来るため、より正確な誘導が可能となります。触覚刺激による運動方向の誘導は、立位やステップ時の体重移動など様々なエクササイズに応用の効く促通要素だと思います。
視覚刺激:
運動パターンの追視により空間での四肢の位置関係を知ることで、正しい運動の方向が理解するのに役立ちます。
また、追視は頭部・体幹への動きにも影響するため、効率良くこれらの筋収縮を促すことが出来ます。
聴覚刺激:
適切な口頭指示による聴覚刺激は、筋収縮力を高めたり、運動の矯正や安定性を改善させたりが可能です。しかし、その為には『指示と抵抗運動のタイミング』『声の大きさ』『短く明瞭な言葉』が重要となります。
また、適切な口頭指示により、狙った収縮様式(求心性・静止性・遠心性)を促すことが出来ます。

固有受容性刺激(抵抗・圧縮・牽引・筋伸長と伸張反射)

抵抗:
必ずしも最大収縮を用いる訳ではなく、目的によって『適切な抵抗量』を加えることが重要です。この『適切な抵抗量』に関しては学派によって多少考えが違っています。また、運動の軌跡内において、適した抵抗量を滑らかに加え続けていくことが大切になります。
牽引:
求心性活動を促通させる働きがあり、上肢へのアプローチによく使用されます。
圧縮:
等尺性活動と安定性を促通させる働きがあり、下肢へのアプローチや姿勢のコントロールによく使用されます そして、目的によって持続的な圧縮と素早い圧縮を使い分けることが大切です。
筋伸張と伸張反射:
筋に伸張刺激が加わるとにより、その後の筋収縮が促通されることを目的に用います。

PNFパターンの練習では、伸張刺激を加えてからパターン運動を開始させます。その為か、「PNF=必ず伸張刺激を加えなければならない」と思っている方もいるようです。しかし、

  1. 伸張刺激は数ある促通要素の一つにすぎない
  2. 不安定な関節・痛み・骨粗鬆症などの脆くなった骨は禁忌とされている

などの理由から必ずしも伸張刺激を用いる必要はありません。

これは、他のどの促通要素にも言える事です。目的としている反応が出るのであれば良い訳で、全ての促通要素を動員しなければならないという訳では無いのです。

3.発散と強化

発散:
神経インパルスや筋活動が拡がっていくことです。
強化:
空間的加重・時間的荷重により刺激を増やしていくことで筋活動を強めることです(ただし、解釈が発散ほど統一されていません)。

4.タイミング

5.セラピストの肢位とボディーメカニクス

セラピストの正しい肢位やボディーメカニクスは、良いPNF法を行うための鍵となります。また、自分の体を壊さないためにも重要なことだと思います。PNFパターンの各々にポイントがありますが、全てのパターンで下記の事項が重要になります。

  • クライアントに可能な限り近くに立つ。
  • グルーブ(運動の軌跡)内に位置する。そのために運動方向に対して垂直あるいは平行に立つ。もし不可能な場合は前腕だけでもグルーブ内に入れる。
  • 手先の力ではなく、セラピストの体重移動によって適切な抵抗を加える。

※セラピストのボディーメカニクスに関しては以下も参照
⇒『ブログ:徒手療法に歩行肢位を活用しよう

6.PNFパターン

PNFパターンには上肢・下肢・体幹パターンといった様々なパターンが存在します。

 

PNFパターン,上肢

PNFパターン,下肢

PNFパターンに関してはブログで動画を交えて詳細に記載しているので、興味がある方はこらも参照して理解を深めて下さい。

⇒『PNFパターンを徹底解説(ブログ)