神経系の機能障害に対する治療の選択

問診神経学的テストなどの結果を総合的に判断した上で、必要に応じて以下のアプローチを試みます。

  1. 神経結合組織の伸張性低下に対する神経系モビライゼーション
  2. 可逆的なメカニカルインタフェースによる神経への機械的刺激の除去を目的とした試み
    1. 軟部組織モビライゼーション
    2. 関節モビライゼーション
      ※後述するオープナーの概念の応用も含む(例えば椎間孔の拡大など)
    3. 日常生活指導
  3. 非可逆的なメカニカルインターフェースによる神経への機械的刺激除去を目的とした試み
    • 手術
    • 日常生活指導

このカテゴリーでは神経系への治療として、『神経系モビライゼーション』と『オープナーの概念の応用』『日常生活指導』について記載していきます。

神経系モビライゼーション(スライダー・テンショナー)とは

神経系モビライゼーションには『スライダー』と『テンショナー』という方法があります。

一方で、後述する『オープナー(+クローザー』の概念も加えて神経系モビライゼーションと表現する場合もあります。

ここでは、狭義な意味での神経系モビライゼーション、すなわち「スライダー」と「テンショナー」について記載していきます。

  スライダー テンショナー
操作 神経組織の滑走運動を起こす操作
⇒神経路の一端の緊張を解放し、他端に長軸方向の力を加える
神経組織の緊張を高める操作
⇒神経系の両端の距離を増加する。
特徴 神経系に緊張や圧迫を与えることなく神経系を動かすことができる。
※テンショナーと違って、神経自体に負担がかからないので急性期から用いることが可能
神経の粘弾性や生理学的機能を回復させることができる。
※スライダーと異なり、神経自体に負担が加わるため、神経の状態か安定してからのアプローチとなる(神経系がイリタブルな状態では用いない)。
適応
  • 神経滑走機能異常
  • 疼痛(低レベルに対しても適応となる)
  • (術後などに生じる)二次的な神経系の障害の予防
神経緊張性機能異常
(神経系の自然の粘弾性に依存し、弾性限界を超えるものではない)
効果 神経からの炎症性滲出液を絞りとり、静脈流を高め、神経組織の酸素化を促進(神経の炎症・低酸素の悪循環の改善)
中枢神経レベルでの疼痛コントロール
※特に急性期のスライダーは機械的効果というよりは生理学的効果(神経内の血流改善・炎症物質を移動させて治癒を促進させるなど)を狙うという側面が大きい。
神経組織の粘弾性特性の改善
テンションに対する感受性の低下
(粘弾性が改善されれば、過度なテンションにさらされることが減り感受性が低下するという考え)
進行 最初に設定したい運動を数回行う
⇒改善がみられる場合は、同じセッションで数回繰り返しても良い。
⇒一貫して良好な反応が得られる場合には、同一セッションで、セット間に数十秒~数分の休憩を入れながら、5~30回を4~5セットを行っても良い。
(スライダーによって症状が出現した場合は、手技後にすぐに回復しなければならない)
最初に設定した運動を数回行う(手技はわずかに抵抗を感じるところまでとし、手技によって生じた反応を最小限にする)。
⇒改善がみられる場合には、同じ治療セッションで数回まで繰り返しても良い。
テンショナーの効果を確認してからホームエクササイズを指導する。
注意点:
潜伏性反応を防ぐためにわずかな改善に留める。
持続的な痛みを誘発すべきではなく、それぞれの運動の間に症状が完全に消失しなければならない。
その他 神経はテンションが加えられる方向に滑走する テンショナー手技はスライダーよりも影響が強い為、レベル2以上の緊張機能異常に対して行う。レベル1のテンション機能異常に対しては、症状を誘発しないような神経系の緊張を低下させるアンチテンショナー(anti-tensioner)を用いても良い。

ただし、強度は慎重に設定する必要があります。
(例えば、イリタブルなクライアントでは、ほとんどテンションを加えず、スライダーのみで対応するなど)

テンションが加わらず痛みがない範囲で神経系を滑走することで、神経内の浮腫の除去・触圧覚刺激による疼痛閾値の上昇が得られる可能性があります。

一方で、不快な思いをさせた場合は、疼痛閾値の低下、ワインドアップや長期増強などの中枢神経感作用、負の情動による疼痛抑制系の低下などの弊害がもたらされる可能性があります。

イリタビリティーを考慮した治療選択

イリタビリティーに応じた治療刺激の選択は、まずはこちらを参照してください。
⇒『神経ダイナミックテストにおける刺激の目安

スライダー・テンショナーは、イリタビリティーなどに合わせて低刺激から強刺激へ移行していくことが望ましいとされています。

そして、刺激強度は様々な方法で調整可能ですが、ここでは動かす関節を変えることによる刺激の調節について記載します(番号の順に強刺激になっていきます)。

  1. 離れたところから問題のない方向へ動かす
  2. 近くで問題のない方向へ動かす
  3. 離れたところから問題のない方向へ動かす
  4. 近くで問題のある方向へ動かす

※例えばSLRテスト陽性のクライアントがいたとします。
SLRテスト陽性は「神経根が尾側へ引っ張られることにより症状が誘発される」と解釈出来ます。
この症例に対して神経系モビライゼーションが選択されるかはさておき、上記の治療順番に沿って「1」から開始する場合、背臥位で頸部を屈曲する(=頸部屈曲により脊髄を介して神経根が頭側への滑走が起こる)といった手段が考えられます。

このような神経系に対する評価・治療の概念を活用することにより、運動器疾患に対して、より包括的な視点でクリニカルリーズニングが出来るようになります。

神経系モビライゼーション(テンショナー・スライダー)の詳細

スライダー・テンショナーは、「一端or二端」「近位or遠位」といった点にも留意しながらアプローチしていきます。

一端or二端という考え

種類

解釈

一端スライダー 神経系の一端で身体運動を用いて神経組織を動かす。
神経の滑走が主として可動域の中間で起こることを利用する。
二端スライダー 神経系の一端をフリーにした状態で、他端に緊張を加える手技。
※運動が開始される方向に神経系が滑走する。
一端テンショナー 神経系の一端から伸長する。神経ダイナミックテストの最終可動域近くで神経組織の緊張が最も増加するという事実を利用する。
二端テンショナー 神経系の両端から伸長する。一端テンショナーよりも神経系の緊張が増加する
一端スライダー:
神経の滑走が主として関節運動の中間域で起こることを利用して動かします。
例)一般的な整形外科的テストでのSLRを中間域までの反復は一端スライダー
一端テンショナー:
神経の緊張が主として関節運動の最終域で起こることを利用して動かします
例)一般的な整形外科的テストでのSLRを最終域付近での反復は一端テンショナー
二端スライダー:
一端を解放されているため、二端スライダーのほうが一端スライダーより多く滑走できます。
例)上肢の神経ダイナミックテストを治療に用いる場合、頸部を同側へ側屈させ一端を解放させた状態(ニュートラルポジションより神経系が緩んだ状態)で他端を(神経系へテンションが加わらない範囲で)動かすのは二端スライダー
二端テンショナー:
一端を緊張させているため、二端テンショナーのほうが一端テンショナーより強い緊張を神経へ加えることができます。
例)上肢の神経ダイナミックテストを治療に用いる場合、頸部を対側へ側屈させ、一端を緊張させた状態(ニュートラルポジションより神経系が緊張した状態)で他端を動かすのは二端テンショナー
例)SLR最終域で保持して(一端を緊張させた状態で)、更に足関節の背屈を反復させる(他端を動かす)のは二端テンショナー(整形外科テストで言うところのブラカードテストです)。
また、足関節背屈の際を、「足関節・足部の背屈・外返し、足趾の伸展」と厳密にすることで、脛骨神経の遠位へのテンションも強調した二端テンショナーとなります。
あるいは、足関節背屈を「足関節・足部の背屈・内返し」へ変更したとします。これは脛骨神経へのテンショナーであると同時に、腓腹神経へのテンションを強調した二端テンショナーとも言えます。
同様に、「足関節・足部の底屈・内返し」へ変更した場合は、腓骨神経へのテンションを強調した二端テンショナーとも言えます。

※余談になりますが、スライダーはもとより、テンショナーも必ず「緊張状態の持続的な保持」ではなく「反復刺激を加える」という点に注意します。

神経系へ持続的な緊張状態を作ることは、「粘弾性の改善という機械的刺激」の点ではメリットですが、神経系への阻血が生じるとい点であったりを考えるとデメリット(リスク)の方が大きいと言えます。そのため必ず持続的な刺激ではなく反復刺激にする必要があります。

※生理学的な作用を狙う上でも反復が望ましい

末梢神経の阻血についてはこちらも参照
⇒『用語解説

近位or遠位という考え

  • 近位スライダー(orテンショナー):中枢側の関節を動かす(神経系は中枢側へ動く)
  • 遠位スライダー(orテンショナー):末梢側の関節を動かす(神経系は末梢側へ動く)

なぜ近位・遠位と分けるか?
→例えば「遠位テンショナーは反応が無いが、近位テンショナーでは反応を示す」といったこともあり得るから。

この場合は、最終的には問題のある方向への反応を改善させていきます。

スライダーの例

脛骨神経の遠位スライダー
「股関節屈曲・膝関節屈曲位(近位の緊張を緩ませた状態)」で、「足関節・足部の背屈・外返し、足趾伸展」方向へ動かすことで脛骨神経が遠位方向へスライドされます。
脛骨神経の近位スライダー
「足関節・節足部の底屈・内返し、足趾屈曲位(遠位の緊張を緩ませた状態)」で、SLRを行うことにより脛骨神経が近位方向へスライドされます(普通のSLRも近位スライダーと言えなくはないですが、このほうが、より確実な近位スライダーということになります)。

腕神経叢や神経根も同様の考えからスライダー・テンショナーを用いることが可能です。
例)腕神経叢は上肢テストでも動かすことは可能で、頚部の対側側屈でも可能です。
例)腰部神経根はSLRでも動かすことは可能で、股関節・膝関節屈曲位から膝を伸展させることでも動きます。

※神経系モビライゼーションに活用される神経力学的テストの詳細は以下も参照下さい。
⇒『神経系モビライゼーションに活用されるテスト一覧!

補足:末梢神経へのマッサージ

神経学的テストの一環として、末梢神経を触診し、末梢神経の過敏性を評価することもあります。

そして、過敏化が確認できた場合、神経系モビライゼーションとして神経組織に対して直接マッサージすることがあります。

具体的には、母指、手指を用い、縦断的・横断的に動かしていきます。

過敏化が確認できた際に用いるマッサージの目的は以下の通りです。

  • 浮腫の軽減
  • 触診に対する感受性低下
  • 神経ダイナミックテストの改善
  • 神経学的所見の改善

メカニカルインタフェースの治療

神経系の機能異常は、神経組織自体の問題(神経伝導性や神経結合組織の問題)以外に、神経組織を取り巻くメカニカルインタフェースの問題によっても起こります。

そして、メカニカルインタフェースによって神経組織に圧迫刺激が加わっていることによる機能異常は、『クロージング機能異常』『オープニング機能異常』の概念として説明されることがあります。

オープニング機能異常

オープニングメカニズムが変化し、隣接する神経組織に異常な力を及ぼしている状態

オープニング機能の低下:
⇒神経周囲の運動複合体のオープニング方向への動きが低下している状態
オープニング機能の増加:
⇒神経周囲の運動複合体のオープニング方向への動きが増加している状態

クロージング機能異常

クロージングメカニズムが変化し、隣接する神経組織に異常な力を及ぼしている状態

クロージング機能の低下:
⇒神経周囲の運動複合体のクロージング方向への動きが低下している状態
クロージング機能の増加:
⇒神経周囲の運動複合体のクロージング方向への動きが増加している状態

その他のメカニカルインタフェースの機能異常

病態解剖学的機能異常
⇒インターフェース組織の異常な形や大きさにより、神経組織が異常に圧迫されている状態
病態生理学的機能異常
⇒メカニカルインターフェースの病態生理学的変化が、隣接する神経組織の病態力学の原因となっている状態

メカニカルインタフェースが可逆的要素であるならば、軟部組織モビライゼーション・関節モビライゼーションなどにより改善できる可能性があります。

ここでは、そんなメカニカルインタフェースへのアプローチに重要な概念としてオープナー(+クローザー)について記載します。

種類 特徴
静的オープナー オープニングポジションを一定の時間保持する。
⇒神経組織の血流が回復し、血液の酸素かが改善する(時間が重要な要素)
動的オープナー オープニング方向への反復的な他動運動や自動運動。
例:神経根の圧迫を低下させるために反対側への側屈モビライゼーション
動的クローザー クロージング方向への反復的な他動運動や自動運動。
例:神経根に対するクロージングテクニックである同側への側屈

※神経組織を持続的に圧迫し続けることは望ましくないため、「静的クローザー」という概念は存在しません

※動的クローザーは、クロージング機能異常がオープナーなどによって改善された後に、クロージングされていたとしても神経系が正常に機能するために、「治療の最終段階」に用いられます。

※例えば、腰椎の左側にクロージング機能異常(神経組織が持続的に圧迫され続けている)である場合、対側である右側はオープニング機能異常(椎間関節が何らかの理由で閉じにくくなっている
⇒ドイツ徒手医学で言うところの「コンバーゲンスされない状態」)も合併している可能性があり、その場合はそれぞれの機能異常にアプローチしていきます。

日常生活指導

姿勢のアドバイスや日常生活指導といった環境へのアプローチによって、神経系に影響を与えている要因を取り除くよう試みることも重要となってきます。

例えば、日常生活において「神経系へテンション(緊張)が加わった状態」に着目するならば、以下のようなポジショニングが弊害をもたらす可能性があります。

  • 長座位での読書はスランプポジション
  • 側臥位で片肘をついての読書のようなULNT3に似た肢位
  • 自動車の運転姿勢やコンピューター使用時の姿勢も脊柱が屈曲した姿勢

これらの姿勢は必ずしも神経系が完全伸張位にあるわけではありませんが、長時間に及ぶ姿勢保持により症状の出現と関係がある可能性があります。

そのように考えると、「オフィスではコンピューターを使用し、通勤では自動車を運転し、家に帰ってからは柔らかいソファーでテレビを見たり趣味のコンピューターを使用することが多い」というライフスタイルでは、常に神経系にストレスが加わった状態であるといえます。

※これらの同一姿勢保持は筋の阻血状態を招くのはもとより、神経系の阻血⇒機能障害へ繋がるといった視点も重要になります。

そうなると、仮に神経系への治療を施行して一時的に症状が改善したとしても、日常生活においても神経へのテンションを解放するような試みをしない限り、根本的な症状の改善にはつながらないということになります。

したがて、姿勢のアドバイス、オフィスや家での机、椅子など人間工学的デザインを考慮したアドバイス、ライフスタイルへのアドバイスといたクライアントの環境へのアプローチが必要となります。

また、後述するように、「神経伝導性の障害」・「非可逆的なメカニカルインターフェイス」などが原因での神経障害の場合は予後が不良で積極的な介入による改善が難しい場合があります。

その様な場合においても、神経を刺激させない手段として、日常生活指導をすることは大切となるため、そのためにも、神経系の特徴を把握しておくことは大切です。

※ここでは神経系へのテンションへの対処を例に出しましたが、オープニング・クロージング障害の概念も同様に重要となります。

予後予測

クライアントの予後は多くの要因によって左右され、神経ダイナミックテストのみならず、様々な主観的・客観的検査の情報から予後を推定していくことになります。
その一例として、クライアントの予後は以下のような要因によって不良となる可能性があります。

重度な損傷:
神経系への重度な外傷では、不可逆性の線維症および伝導性の変化をもたらす。
重度な外傷は、神経系への一次的な損傷だけでなく、損傷による他の構造からの出血や浮腫による二次的な損傷の可能性もある。
また、神経系の周囲構造の痛みやこわばりのため、神経系モビライゼーションは難しい。
重度の瘢痕:
神経系に(神経内・外に関わらず)瘢痕化が生じている場合は、このプロセスの一部は不可逆的であり、改善が見込めない場合がある。
メカニカルインターフェースの不可逆性変化:
骨棘など神経系に隣接する構造(メカニカルインターフェース)の不可逆性変化では、改善が見込めない場合がある。
クライアントの状態:
イリタブルである、心理・社会的問題が大きい場合は、神経系モビライゼーションによる治療を困難にする。
症状の広がり:
一般的には、局所的症状を訴える場合より、広範囲の症状を訴える場合のほうが、完治が難しい傾向にある。
慢性度:
症状が長引くほど、複雑な病態を呈してしまい、心理社会学的な影響も大きくなってしまう。
職業:
職業上の要求が損傷を悪化させる。持続的な姿勢、反復運動、他の部分を固定した状態での身体の一部分の部分的運動(パソコン操作など)は神経系に悪影響を与える。
術後:
手術後に症状が持続するか、悪化することがある。この一つの理由としては、手術の外傷に伴う結合組織の増殖がある。また、手術の不成功は予後を不良にする。
先天性異常:
神経系あるいは周囲構造の先天性異常は、テンションの異常を発生させ、治療の可能性を低くする。
疾患:
糖尿病や帯状疱疹などの合併症である「神経障害性疼痛」を有している場合には、神経系モビライゼーションにより症状の軽減は可能はあるものの、予後は不良である。

※これら予後予測は治療に対するクライアントの反応によって随時修正していく必要があります。

講習会とオススメ書籍

神経系に対する評価・治療の講習会は、日本徒手理学療法学会を含めて様々なところで開催されており、各々が所属していたり馴染みのある学派のほうが、その他との互換性という意味でも良いと思います。

というのも、この概念の一つである(狭義の)神経系モビライゼーションにおける単独のエビデンスは十分に確立されておらず、「徒手理学療法における評価・治療の一般的な流れ」で記載した包括的なアプローチの中で機能するといった面が強いとされているからです。

そのため、所属している学派のコンセプトに合うように上手くアレンジされていたほうが、「包括的な評価・治療」として活用しやすいと思われます。

また、どの学派であっても神経系に関する基本コンセプトは「神経伝導性検査」や「神経ダイナミックテスト」も含めて同様なため、関連書籍として以下を参考にすると理解が深まると思います。

①クリニカル・ニューロダイナミクス
神経系の解剖・生理学から、実際の評価・治療方法を、クリニカルリーズニングまで含めて述べられています。
デイビッドバトラーの神経系モビライゼーション(スライダー・テンショナーといった狭義の神経系モビライゼーションの概念)に、オープナー・クローザーといった「神経の圧迫を取り除く」といった概念も組み入れられている点が特徴です。
②バトラー・神経系モビライゼーション―触診と治療手技
デイビッドバトラーという神経系モビライゼーションを考案した理学療法士による書籍です。古い書籍ではありますが、神経ダイナミックテストや(狭義の)神経系モビライゼーションに関する記載が充実しており、神経系の解剖・生理も詳しく記載されています。バトラーさんは現在、(狭義の)神経系モビライゼーションからは離れたスタンスをとっているようですが、その当時のユニークな仮説や試みが多く詰まっており、神経系の評価と治療を学ぶ上で今でもメジャーな書籍という位置づけになっています。
③神経系モビライゼーション(ジャパンライム社DVD)
ジャパンライム社が発行しているDVDで、神経系に関する講義・実技が観覧出来ます。
末梢神経の触診に関しても載っています(末梢神経感作が認められるようなら、末梢神経のマッサージを展開していくことになります)。
タイトルは「神経系モビライゼーション」となっていますが、(狭義の)神経系モビライゼーションだけでなく、オープナー・クローザーの概念も含めた内容になっておりおススメです。
また、「神経系の治療」は問題解決における様々な手段の一つにすぎないというスタンスにも好感がもてます。
また、神経ダイナミックテスト(一般的なスライダー・テンショナーの方法)の手順だけをサラッと確認したいだけなら徒手的理学療法に付属しているDVDでも十分確認できます(その他の評価や関節モビライゼーションの動画も観覧できます)。