この記事は、肩関節の『インピンジメント症候群』について記載していく。

 

(肩峰下)インピンジメント症候群とは?

 

棘上筋腱や肩峰下滑液包など周囲の滑液包は烏口肩峰アーチ下の狭い場所を通るため、運動の度に周辺組織から摩擦や圧迫を受ける。

 

この負荷をインピンジメント(挟み込み)といい、反復により炎症・変性を生じたものをインピンジメント症候群という。

 

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インピンジメント症候群の原因・原理

 

五十肩と異なり、強い腕の運動(テニスのサーズ野球の 投球動作など)で多発するが、加齢に伴う退行変性でも起こり得る。

 

棘上筋でもって、上腕骨大結 節・両峰・烏口肩峰靭帯などから摩擦を受ける。

 

こ のため、反復する上腕の振り下ろし動作によって摩擦を受け、磨耗→肥厚→炎症→変性へと進行する。

 

また、その他の理由もあり、棘上筋の中でも『脆弱な部分(critical portion)』は損傷を起こしやすいとされている。

 

これらの点に関して、詳しくは以下の記事も参照してみてもらいたい。

⇒『ローテーターカフ(回旋筋腱板)とは?棘上筋を中心に解説!

 

 

インピンジメント症候群の症状

 

インピンジメント症候群の症状は以下などが挙げられる(必ず全てが起こるわけではない点には注意)。

 

  • 肩関節挙上時(腕を肩より高く上げた時)の痛み
  • 上肢挙上を伴う運動時痛(テニスサーブや投球など)
  • 筋力低下
  • 夜間痛
  • 運動時痛
  • 有痛弧徴候(painful arc sign)

    ※上肢を自動的に挙上したとき、あるいは挙上下位置から降ろしてくるとき、ほど60°~120°の間で痛みが生じる現象

 

 

インピンジメント症候群の診断

 

インピンジメント症候群の診断は以下などが参考にされる。

 

  • 烏口肩峰アーチに圧痛を認める。
  • インピンジメント徴候
  • 疼痛誘発テスト(以下に記載)

 

※レントゲン検査では肩峰骨棘を認める症例もある。

 

 

インピンジメント症候群に対する疼痛誘発テスト

 

Neerの手技:

立位or座位。肩甲骨を押さえながら、内旋した上肢を他動的に屈曲(前方挙上)すると痛みが誘発される。

 

 

Hawkins-Kennedyの手技:

立位or座位。肩甲骨を押さえながら、約90°屈曲(前方挙上)した上肢を他動的に内旋させると痛みが誘発される。

 

 

棘上筋テスト:

立位or座位。棘上筋腱に障害があるかどうかを調べるテスト法である(棘上筋に関しては以下を参照)

⇒『回旋筋腱板(ローテーターカフ)とは?棘上筋を中心に解説!!

 

棘上筋テストの方法は以下の通り。

  1. 肩関節90°外転・内旋し、前方30°水平屈曲(水平内転)させた状態を保持してもらう。
  2. その状態でセラピストは、患者の肘の頭側に手を置き、尾側に抵抗を加えると痛みが誘発される。

 

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インピンジメント症候群の治療・リハビリ(理学療法・作業療法)

 

薬物療法:

肩峰下滑液包への局所麻酔剤を投与することにより痛みと運動障害が改善される。

痛みに対しては基本的な痛み治療法に則り、非ステロイド系炎症剤や外用剤が処方される。

難治例では肩峰か滑液包内ステロイド剤やヒアルロン酸ナトリウム製材などが検討される。

 

日常生活指導:

治療は日常生活での注意点を指導し、インピンジメントを起こしやすい動作や運動を制限させる。

 

例えば、上肢を挙上する際に、『肩甲骨面挙上』を意識するとインピンジメントを起こさずに可能な場合があり、検証してみる。

 

 

リハビリテーション(理学療法・作業療法):

  • (急性期を過ぎていて、尚且つ効果があれば)『温熱療法
  • 疼痛を誘発しないよう留意しながらのROMエクササイズ
  • 疼痛を誘発しないよう留意しながらの筋力強化エクササイズ(腱板トレーニングを含む)

・・・などなど。

 

手術療法:

これらの保存療法で改善されない症例では手術的治療(例えば肩峰形成術など)も考慮される場合がある。