この記事では、リハビリ用語(っというより医療用語)の一つでもある『現病歴』と『既往歴』の意味について記載していく。

 

また、『合併症』も補足で記載しておく。

 

病歴とは

 

現病歴・既往歴に触れる前に、病歴(medical history)について記載していく。

 

病歴とは患者の病気に関する歴史であり、一般的に以下が含まれる。

 

  • 主訴
  • 現病歴
  • 既往歴
  • 家族歴
  • 社会歴や生活歴(生活背景)

 

カルテには、これら『病歴』に加えて、その他の一般情報や評価が記載されている場合が多い。

 

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現病歴とは

 

現病歴(history of present illness)とは以下を指す。

 

「(現在問題となっている)疾病・症状の始まりや起こりと、それから現在までの経過・記録」

 

でもって、現状歴には以下などの記録が必要である。

 

  • 発病の様式(突然の発症か、急性・慢性の発症かなど)
  • 症状の内容(部位や程度・持続時間など)
  • 経過(症状が改善しているか否か、変わっていないかなど)
  • 随伴症状(合併症)の有無⇒合併症については後述する。
  • 治療・服薬の有無

・・・・・・・・・・・・などなど。

 

上記からも分かるように現病歴は病歴の中核をなすものである。

 

それ故に、対象者の訴えや話をよく聞く態度や姿勢、適切な質問が出来る技術が要求される。

 

 

既往歴とは

 

既往歴(past history)とは以下を指す。

 

「患者が過去に罹患したことのある病歴」

 

『既往歴』というと「疾患名」が想起されがちであるが、以下などが含まれる。

  • 薬の副作用
  • アレルギー
  • 交通事故
  • 出産経験
  • 手術歴

 

これらは、現疾患(今現在に患っている疾患)の治療に役立つ可能性もあり、例えば以下な感じ。

 

  • 薬の副作用:

    処方薬を選択する際のヒントとなる(強い副作用が現れたと分かっていれば、その薬剤の処方選択を最初から除外できる)。

 

  • 交通事故:

    後遺症として何らかの潜在性の機能障害を有しており、それが現疾患と因果関係がある場合も。

 

 

  • 手術歴:

    過去の手術によって何らかの機能障害(関節可動域制限・痛み・筋力低下などなど)が残存している可能性もある。

    例えば既往歴に『右脛骨高原骨折の手術』があって関節可動域制限と疼痛を有している(つまり左下肢にも問題がある)場合で、
    更に今回『左大腿骨頸部骨折』と診断された(つまり右下肢に問題が新たに生じた)場合は既往歴にも考慮しながら、普段よりリハビリ(理学療法)に工夫が必要になるかもしれない。

 

 

過去に患った病気や手術をどこまで聴取すべきか

 

前述したように、既往歴を聴取することが治療に役立つことは多々ある。

 

しかし一方で、(当然のことながら)全く役立たないこともある。

 

ただ、クライアントが「これは役立たないだろうな」との自己判断してしまった結果、「貴重な情報にも関わらず、申告漏れしてしまうケース」があったりするので、幅広く聴取しておくに越したことはない。

 

その上で、こちらの判断で必要かどうかの取捨選択をしていく(まぁ、効率よく聴取することも大切だが)。

※対面する前に問診票に記入してもらっておくと効率が良い。

 

ただし『既往歴に該当する疾患』に関しては、「定期的に病院に通って診察や検査、治療などを一定の期間継続して受ける必要がある病気」というのが一つの基準になる。

 

そう考えると、『風邪』や『(後遺症を残さない軽微な)急性外傷』などは既往歴から除外しても問題ないということになる。

 

一方で、『手術』に関しては鼻炎だろうと虫垂炎だろうと、(重要かどうかに限らず)記載するのが一般的。

 

※ただし、この様に考えて記載していくと、高齢者では膨大な既往歴が出来上がってしまうので、実際の臨床ではここまで杓子定規に考えず、参考になりそうなものを(経験則で)判断して記録していくこともあるかもしれない。

 

 

合併症とは

 

合併症(complication)とは以下を指す。

 

『ある疾病の経過中に新たに生じる症状のこと』

 

合併症は以下の2つに分類される。

 

  • 疾病が原因で起こるもの(随伴症状とも呼ばれる)
  • 疾病とは無関係に起こるもの

 

いずれの合併症も必ず起こるわけではないが、特に後者は医療・介護従事者によって予防できる側面もあるため十分に配慮する。

 

 

合併症の例

 

『脳梗塞』という疾病で考えた場合、合併症の例えとしては以下の様な感じになる。

 

  • 疾病が原因で起こるもの(随伴症状とも呼ばれる):

    ・感覚障害

    ・高次脳機能障害

 

  • 疾病とは無関係に起こるもの:

    ・廃用症候群(生活不活発病)
    ⇒褥瘡・関節拘縮など(必ずしも疾病と無関係ではないものもあるが。。

 

※廃用症候群に関しては以下の記事でまとめている。リハビリ・看護・介護従事者に必須な知識なため、ぜひ合わせて観覧してみてほしい。

 

関連記事

⇒『廃用症候群を総まとめ! 高齢者の看護/介護/リハビリで必須な知識を復習しよう

⇒『生活不活発病って何?廃用症候群と違うの? 徹底解説します!

 

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これって、現病歴? 既往歴? どっちなんだ!!?

 

病院・施設で働いていると、高齢な患者・利用者を受け持つことは多いと思う。

 

でもって高齢者であれば、「入院する直接的な原因となった疾患」とは別に、「長年にわたって定期的に受けている治療している疾病(完治せず、治療し続ける必要がある疾病)」を抱えているケースは多かったりする。

 

ありきたりな疾病であれば以下など。

・高血圧

・糖尿病

・心不全

・・・・・・・などなど。

 

でもって、これらは既往歴の「患者が過去に罹患したことのある病歴」といった過去形にはならないため、分類としては「現病歴」に該当する。

 

 

親切な書式なカルテもある

 

前述したように、「長年にわたって、定期的に受けている治療している疾病(完治せず、治療し続ける必要がある疾病)」は現病歴に該当する。

 

でもって、例えば大腿骨頸部骨折で入院してきた場合、重度な糖尿病や心疾患を治療中の場合は現病歴に記載することで有益といえるだろう。

 

しかし一方で、介護分野(訪問看護・訪問リハビリ・通所介護・通所リハビリ)などに記載されるカルテ(っというか基本情報)においては、以下は分けて記載できた方が読み手にもスッキリする。

 

  • 現(原)疾患(今回サービスを開始するきっかけとなった疾患)にまつわる現病歴
  • 長期に治療している疾病(完治せず、治療し続けている疾病)にまつわる現病歴

 

 

でもって親切な書式なカルテ(or基本情報)は、後者に関して「その他で治療中の疾患」などと別項目が用意されていたりする。

※親切だ。。。

 

 

余談:カルテに記載する際の「既往歴」や「現病歴」

 

ここまで、現病歴や既往歴に関して記載してきた。

 

これらの用語は、意外と多くの意味を含んでいることが理解してもらえたのではないだろうか?

 

しかし一方で、カルテなどで実際に記載する現病歴・既往歴の項目は、病院ごとに解釈が多少異なっていたりもするので混乱しないでほしい。

 

 

現病歴の把握には、問診技術が重要だって話 

 

ここまで記載してきたように、「いかに効率よく、適切な情報を入手するか」には『問診技術』が重要となってくる。

 

以下の記事では、リハビリ(理学療法・作業療法)にフォーカスしたうえで問診を深堀しているので、関連職種の方は是非とも観覧してみてほしい。

 

※以下の記事では、『既往歴』『現病歴』についてこの記事とは異なった使い方をしているが、問診についての参考にはなると思う。

 

(HP)理学療法士・作業療法士にとって重要な『問診』を徹底解説!

 

『SOAP方式のカルテ』の書き方、知ってる?(記載例も紹介)