この記事では、高齢者に携わる際に知っておいて損はない薬の知識を紹介してみる。

 

服薬(薬を摂取すること)の目的は、病気の治療や予防などだが、服薬の仕方によっては体に良くない影響を及ぼすことがあるため、正しい知識を持つことが大切となる。

 

高齢者の多い病院・施設・事業所で働いているスタッフ(理学療法士・作業療法士・看護師・介護福祉士・ヘルパーさんなど)は、是非一度チェックしてみてほしい。

 

 薬が効く順序

 

薬が効く順序(仕組み)は以下になる。

 

①薬を服用する

②薬が腸で吸収される

③血液により全身を巡る

④目的部位で作用する(薬効が出現する)

※一部は肝臓で分解され、腎臓などから体外に排出される。

 

 

薬の服用方法

 

薬の服用方法(1日の服用回数や、1回の服用量など)は医師が決めるので、本人・家族・スタッフがあれこれ考える必要はない。

 

大切なのは、『医師が処方したとおりの服用方法が守れているか』という点だけである。

 

薬が最もよく働くのは、血液中の薬の成分の量が多くも少なくもない「適正範囲」の時である。(多いと副作用が現れる・少ないと効き目が現れない)。

 

なので、決められた服用方法と量を守ることで、その状態が保たれる。

※そのため、1日の服用回数(用法)と1回の服用量を守ることが大切となる。

 

 

ちなみに、薬を服用する間隔は、その薬の効果に応じて決められている。

 

例えば、食事により吸収量や吸収速度が変化して効果が増減する薬もある。

 

従って、食前・食後・食間というように、服用の期間が定められているのは、適切な効果を得るためなので守る必要がある。

 

 

とにかく医師の指示を守ろう

 

大切なのは、『医師が処方したとおりの服用方法が守れているか』という点だけであると前述したが、

 

認知機能の低下や自身の判断によって、医師の処方通りの服用ができていない場合があり、それが身体機能への支障に繋がる場合があったりする。

 

確かに、「自分の体の事は自分が一番よくわかっている」というポリシーのもとで、自分で服用量を調整しようとする人も存在する。

 

確かに、自分で微調整しても問題の無い薬剤が無いわけではなく、例えば鎮痛薬などは、過剰摂取は問題になる可能性がある一方で、調子の良い際は自分の判断で減らしたりなど微調整することで身体へ大きな支障をきたすことは無いだろう(急性痛ではなく、慢性痛の一部の話)。

 

ただし、基本的には医師の処方通りの服用が重要であり、その処方に疑問(副作用がある、だいぶ良くなったので量を減らしたいなど)がある際は、医師と相談し、改めて処方をし直してもらうという流れが安全だと思われる。

 

 

 

なぜ薬は、水 or ぬるま湯で飲む必要があるのか?

 

薬を服用する際には水分が必要となり、それは以下の理由によるものである。

 

  • 薬は十分な量の水やぬるま湯で胃まで送られて溶け、薬の成分が血液中に入り効果が発揮さえるため(喉や食道で溶けてしまった薬は効果が期待できなくなる)。

 

  • 水の量が少ないと、喉や食道の途中で薬が張り付いて溶けてしまい、潰瘍を起こすことがある。

 

服薬にはコップ一杯分の水かぬるま湯が適量といわれている。

 

でもって、水以外では、薬の効き目に影響を及ぼす可能性がある。

 

なので、薬剤師からの薬の注意事項を必ず守り、飲み合わせや食べ合わせには注意が必要である。

 

 

薬との「飲み合わせ」「食べ合わせ」で注意を要すケース

 

水やぬるま湯以外で薬を飲むと、薬効に影響を及ぼす可能性があることを前述したが、食べ合わせも薬効に影響を及ぼすことがあり、それらの例を記載していく。

 

  • 例1:「お茶・コーヒー・紅茶」+「気管支拡張薬・H2ブロッカー」

    お茶やコーヒーなど(要はカフェイン飲料)と気管支拡張薬(テオフィリン)・H2ブロッカー(シメチジン)を同時に服用すると、中枢神経系の作用が増強され、頭痛などが起きる可能性がある(カフェインの作用には個人差あり)。

 

 

  • 例2:「グレープフルーツ」+「薬」

    グレープフルーツ果実みは、薬が分解されにくい成分が含まれているため、血液中の薬物濃度が上昇することにより薬の作用が強まってしまう。

    その成分は果皮に含まれているため、ジュースやジャムが特に問題となる。

    向精神薬やアレルギー、狭心症、抗圧薬などで影響が大きく出る。

    ※グレープフルーツジュースの他にはっさく、甘夏、夏ミカン、ダイダイなど苦み成分を含む柑橘類なども同じである。

    ※酸に弱い一部の抗生剤は、酸性のジュース(コーラ飲料・オレンジジュースなど)と一緒に服用すると、薬が分解してしまい効果が下がる。

 

 

  • 例3:「アルコール」+「睡眠薬・鎮痛薬・抗ヒスタミン薬など」

    お酒は、薬の作用を強めてしまったり、逆に弱めてしまったりする。

    狭心症などの一部の薬を除けば、薬を飲んでも適度であれば飲酒をしても良いとされている。

    しかし、中枢神経抑制作用のある「睡眠剤」「鎮痛薬」「抗ヒスタミン薬」などは、アルコールを摂取していると薬の効果が強く表れてしまう。

    ※「抗圧剤」「糖尿病薬」「抗生剤」「などにも影響がある場合がある。

 

 

  • 例4:「納豆・野菜ジュース」+「ワーファリン」

    ワーファリン(血液を固まりにくくする薬)を服用中に納豆を食べると、薬の作用が弱まる。

    これは、納豆に含まれているビタミンKが原因で、1回1パックの納豆の摂取にはワーファリンの抗凝固効果をほぼ完全になくすほどの影響がある。

    緑黄色野菜にもビタミンKは含まれるが、大量に摂取しない限り影響はない。しかし、野菜ジュースでは大量に摂取してしまうため注意が必要。

 

 

薬剤の副作用には注意しよう

 

薬の副作用を把握しておくことは、重要となる。

 

薬と高齢者に出やすい有害作用の一例は以下の通り。

 

向精神病薬

せん妄、幻覚、妄想、尿閉など排尿障害、ふるえ、認知症のような症状

パーキンソン病のような症状

抗菌薬・抗生剤 腎臓機能低下、肺炎、MRSAなどによる大腸炎
鎮痛剤(NSAIDs) 腎臓と胃腸の障害
気管支拡張薬 けいれん、胃食道逆流(誤嚥を招く)、意識障害など
降圧薬 急激な血圧低下、頭痛、呼吸困難、脱力、だるさ、低血糖発作など

利尿薬

(高血圧の治療)

低カリウム血症、尿酸値上昇、血糖上昇、腎障害など

 

 

高齢者で転倒に注意を要す薬剤

 

上記の様に様々な副作用があるのだが、特に医療・介護従事者が注意しなければいけないのは「副作用による転倒」である。

 

そんな転倒との因果関係のある薬剤としては以下などが挙げられる。

 

  • 向精神薬・抗ヒスタミン薬(眠気を起こす)
  • 降圧薬(低血圧を起こす)
  • 狭心症治療薬(血管拡張で起立性低血圧を起こす)
  • 糖尿病薬(低血糖によるふらつき)

 

 

患者・利用者が服用している薬剤はネットで調べよう

 

薬の種類は膨大である。

 

なので、ここで記載した薬剤はあくまで一例にすぎず、基本的に患者・利用者が服用している薬剤は書籍やネットで調べることで把握するのが一般的である。

 

でもって最後に、「薬検索で有名なサイト」や「有名な書籍」を紹介して終わりにする。

 

薬検索で有名なサイト

 

ネット検索できる代表的なサイトは以下の通り。

 

⇒『おくすり110当番 ハイパー薬辞典

上記のリンク先における検索フォームに、知りたい薬剤を入力すれば非常に詳しい内容が出てくる。

 

その他、以下なども有名。

 

⇒『ヤフー ヘルスケア お薬検索

 

⇒『ここカラダ お薬辞典

 

 

有名な書籍

 

ネットで十分だとは思うが、書籍も手元に置いておきたいという人は以下が有名。

 

いずれも2017版を掲載しているが、新しい版であるか確認してから購入することをお勧めする(このブログ記事が古くなっても、オススメ書籍が更新されない可能性があるため)。