この記事では、高齢者に対して理学療法士・作業療法士(あるいは看護・介護職種の人達)でも簡便にできる運動機能のスクリーニング方法を紹介しようと思う。

 

この方法は、私が実習中に教わった方法なのだが、維持期のクライアントに対しての初診で簡便に用いることが出来るので重宝している。

 

とくに、介護分野でのリハビリ(デイケア・デイサービス)などで次から次へと利生者が押し寄せてきて詳細な評価がなかなか出来ないといった悩みを持っているセラピストへの一助にもなると思うので参考にしてみてほしい。

 

目次

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高齢者に対する運動機能のスクリーニング方法

 

ではでは、早速スクリーニング方法を掲載していく。

 

上肢・下肢と分けて記載しているが、実際は一連の流れとして連続してサッサとスクリーニングしていくので誤解なきよう。

 



 

上肢のスクリーニングテスト

 

上肢のスクリーニングテストの順番は以下になる。

各々のテストの意味は記載していないが、どんな意味があるのかを考えながら実施してみてほしい(左右差のチェックは必須な点だけでは伝えておく)。

 

  1. 肩関節を屈曲(バンザイ)してもらう(180°)→外転運動も入っていないかチェック

     

  2. 肩関節を外転してもらう(90°)→肩の高さに広げてもらう

     

  3. 肩関節を屈曲してもらう(90°)→肩の高さに広げてもらう

     

  4. 肘関節を屈伸屈伸してもらう

     

  5. ③の状態(上肢を前方に突き出した状態)なまま、前腕回内外→しっかりとエンドフィールまで動かしてもらうこと

     

  6. ③の状態(上肢を前方に突き出した状態)なまま、手関節掌背屈→療法士は側方から完全に掌背屈できているかをチェックする)

     

  7. ③の状態(上肢を前方に突き出した状態)なまま、指をグーパーしてもらう(パーのときは手指がしっかり外転しているかも確かめながら)

     

  8. ③の状態(上肢を前方に突き出した状態)なまま、指の屈伸する。具体的には、まず親指から小指まで、順に指を折っていく(屈曲してく)。次に、小指から母指の順に伸展していく。指を折ったり、伸ばしたりする際は、自身で数を数えながら実施しもらう(手指屈曲1⇒5・手指伸展6⇒10。次に最大速度で指を屈伸してもらう(この際も数を数えてもらう)。

     

  9. 手を頭の後ろで組んでもらう(結髪動作)。その状態で両肘を外側へ広げてもらう。次に、両肘を閉じる(くっつける)ように動かしてらう(痛みが無ければ最大毒によって両肘がくっつくレベルかも確認)⇒この動作は肩関節の外転・外旋運度が行えているかをチェックしている

     

  10. 手を背中で組んでもらう(結滞動作)。その状態のまま、手をできるだけ頭側へあげてらう。

 

 

下肢のスクリーニングテスト

 

  1. 股関節を屈曲させ、できるだけ足を高く上げてもらう→限界まで上げれているかチェック。

    また、その状態で股関節へ徒手抵抗を加えて筋力も評価しておく。

    ※この時に気をつけなければならないのが、下肢のスクリーニングをする前に両手で台の前面を把持してもらっておくこと・膝の後面が台に接触するくらい深く座ってもらうことである。

     

  2. 股関節屈曲を元に戻す前に、セラピストの手背を対象者の大腿の下入れ込んで敷いておく。でもって、その後、膝関節を伸展させる。

    ⇒完全伸展できているのか、出来ていないなら、少し伸展を介助してみて「拘縮なのかエクステンションラグなのか」をザックリと評価しておく。

    膝関節伸展運動に問題なければ、その状態で膝関節へ徒手抵抗を加えて筋力も評価しておく。

     

  3. ②の状態(膝関節を伸展した状態)で足関節背屈→底屈(特に背屈の可動域・左右差)

 

上述した下肢のスクリーニングテスト①~③を反対側の下肢にも実施する。

 

上肢のスクリーニングテストと異なり、一側ずつ評価するので、最初に評価した側の可動気を覚えておくことで左右差をザックリと把握しておく。

 

 

スクリーニングテストで何を見ているの?

 

このスクリーニングテストでは以下をザックリと評価しているという事になる。

 

 

 

スクリーニングテストの注意点

 

このスクリーニングテストは「対象者の運動機能がどの程度なのかを大雑把に評価する」のに適している。

 

また、このスクリーニングテストの適応対象は「入院(入所・来初)された直後で、全くその人となりが分からない」「移動が車椅子レベル~介助歩行が可能なレベル」といった人たちの一部に活用している。

 

まぁ明確な基準は無いので、各々で「簡単そうだし使ってみようかな」ってな感じで使ってみてほしい。

 

もちろん基本的動作の観察から得られるものも非常に多いので、病室(やデイルーム)からの起居移動動作も含めてスクリーニングして大雑把な問題点を抽出していくと効率が良い。

 

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