この記事ではニートと類似した用語であり、社会問題化しつつある『スネップ(SNEP)』について紹介していく。

 

目次

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スネップ(SNEP)とは?

 

スネップ(SNEP: Solitary No-Employed Persons)とは、以下を指す。

 

『独身で、社会から孤立状態にある20~59歳の無職者』

 

もう少しザックリ表現すると以下になる。

 

20歳以上59歳以下の未婚でなおかつ無職者であり、ふだんずっと一人か、一緒にいる人が家族以外にはいない人

 

 

スネップは以下の2つに分類される。

 

  • 家族型孤立無職者:

普段、家族(親や兄弟など)と一緒にいる時間がある。

 

  • 一人型孤立無職者:

ずっと一人でいる。

 

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ニートとは?

 

ちなみにスネップの類似語でもある『ニート』の意味は以下となる。

 

15歳から34歳までの、家事・通学・就業をせず、職業訓練も受けていない者

 

※フリーターは就業していない人も含まれるので、無職の人は「ニート」なのか「フリーター」なのか混乱する場合がある。具体的には、「仕事を探していたり、働く意欲が有る場合」にはフリーターで、無い場合はニートになる(まぁ、どうでもいいか・・)

 

※ちなみに、家事手伝いをしていたらニートではない。

 

 

スネップとニートの違いは?

 

スネップとニートは、前述したとおり「無職者(失業者)という点が共通している。

 

一方で、スネップとニートには以下の様な違いもある。

 

  • スネップは独身者のみ該当

 

  • ニートが34歳以下なのに対して、スネップは59歳以下までと年齢層が幅広い

 

  • ニートが「求職活動をしているかどうか」に着目しているのに対して、スネップは対人関係の有無に着目している

 

つまりスネップとニートは、「同じ無職でも、独身かどうか・求職活動の有無・対人関係の希薄さ」いったように着目している点が異なっている。

 

 

スネップという用語が使われるのはどんな時?

 

若年者が無職なケースでは、ニートという用語が使われることが多い(スネップという用語はあまり使われない印象がある)。

 

一方で最近、以下なケースの人たちが話題になることがあり、これらに対してスネップという用語が使われることが多い。

 

35歳以上の独身で無職、人との関わりが希薄で、孤立状態にある人たち

 

 

スネップが増加している原因

 

スネップは年々増加傾向にあり、その理由は以下だと指摘されている。

 

かつて終身雇用・年功序列制度によって安定した生活の後ろ盾として機能していた雇用が、リストラや非正規雇用の拡大により不確かのなものになってきたから

 

また、上記も含めた様々な背景から生涯未婚率は年々増加しており、これも少なからずスネップを増加させている。

 

※ちなみに、2012年では男性で24%(5人に1人)・女性で14%(7人に1人)が生涯未婚らしい(国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集'12年度」より)。

 

あるいは、「コミュニケーション能力が要求される職場が増えてきている」という点もスネップ増加の要因だと指摘する人もいる。

 

つまり、「人付き合いが苦手」という人はどの時代にも存在していたが、現在の様なサービス産業が中心の社会ではこうした人々が一番に労働市場から排除されやすくなっているという事だ(黙々と作業だけをこなすといった職業が少なくなっているということらしい)。

 

あるいは、職場で要求される能力の水準も高くなっており、要求に応えきれなくなって休業・失業し、孤立するケースもあったりする。

 

※例えば、コンビニなどは役割が非常に多様化しており要求される水準も高くなってきていたりする。

 

リハビリ職種(理学療法士・作業療法士)でも、役割が非常に多様化しており、「単にリハビリをしていれば良い」という訳にはいかなくなってきている。

 

※リハビリ職種は「職にあぶれて、スネップに陥る」というのは稀かもしれないが、「役割の多様化に耐え切れずに精神が病んでしまい職場を辞めて、再就職せずスネップに陥る」ということは有り得るかもしれない。

 

 

スネップに陥りやすい人の特徴

 

スネップは誰でも陥る可能性がある。

 

ただし、「陥りやすい人」に関するという統計的なデータが存在し、具体的には以下の通り。

 

  • (女性よりも)男性
  • (20代よりも)30代以降
  • (高卒以上よりも)中卒
  • 要介護の親がいる

 

また、上記以外にもメンタル的な特徴も指摘されており、具体的には『自己肯定感の低さ』である。

 

働いていない自分を「だめな人間だ」と責め、劣等感を抱くことで、自ら世間とのつながりを断つ傾向にあるとされる。

 

つまり(金銭的な貧困以上に)人間関係の貧困に陥り、「もう一度頑張ろう」という意欲さえも失われてしまうということだ。

 

※こういった自虐思考に陥ることが、孤立を慢性化させてしまう可能性を持っている。

 

 

現在働いている人も、スネップは他人ごとではない

 

スネップは「無職者」が該当するのだが、「働いている人」にとっても他人ごとではない。

 

働いている人であっても、以下のような「孤立の徴候」がみられた際は、(万が一)仕事に躓くと再び立ち上がることが出来ず、スネップに陥る可能性がある。

 

  • 休日は予定が無く、ダラダラ過ごしがち
  • 物欲はあまりないが、部屋がもので散乱している。
  • 社会への関心が薄い。

 

※上記の様な生活パターンの人は、「働きながらの孤立」の兆候が見られ、一度躓くとスネップに陥りやすいとされている。

 

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働きながらもスネップ対策を!

 

なので、働きながらもスネップ対策をしておくことは大切となり、具体的な対策は以下などが挙げられる。

 

  • 職場以外の居場所を意識的に確保する。
  • 新たな対人関係の構築をいとわない。
  • どんな状況であれ、今の自分を肯定する。

 

 

スネップの何が悪いんだ?

 

ここまでスネップについて解説していたが、スネップという用語でレッテル貼りする意味が分からない、こんな言葉は不要だという意見もある。

 

確かに『独身で、働いておらず、対人関係が希薄な状態』というのは、健全とはいえないだろう。

 

しかし一方で、以下が健全かといわれると、そんなことは無い。

 

  • 既婚者で、働いておらず、対人関係が希薄な状態:

    ・スネップより深刻なケースもあるのでは?

    ・対人関係が希薄ということは、パートナーとも不仲という訳でしょ?

 

  • 独身で、働いているが、対人関係が希薄な状態:

    ・ケースバイケースだが、会社の中で孤立していることもあるのでは?

    ・っとなると、無職より精神的に追い詰められて健康を害している可能性もあるのでは?(最悪、誰にも相談できず自殺なんてことも有り得るかも)

 

  • 独身で、働いていないが、対人関係は充実している状態

    ・対人関係が充実しているので精神的には満たされているのか?

    ・ただし、働いていないので「焦り・将来への不安」といった要素がメンタルに与える影響もあるのでは?

    ・「求職意欲が無く、親の脛をかじって遊び呆けている人(対人関係は充実)」は果たして、スネップより健全と言えるのか?

 

上記の様に考えると、どれも健全とはいえず、これらの中で敢えて「スネップという用語だけ作って、これらの人にレッテル貼りをする」というのはいかがなものだろうか?

 

※この用語を作った人は、「ニート」という用語の生みの親でもあり、ニートと同様にスネップという用語もレッテル貼りによる差別につながるのでは?との意見もある。

 

 

ただし、独身者であろうと、既婚者であろうと、

 

『働いていて、対人関係が充実している人生』

 

が送れているに越したことはないだろう。

 

そういった意味で、『スネップという概念』『スネップに陥りやすい人の特徴』『スネップに陥らないためのポイント』などは、把握しておいてもも損はないと思われる。