この記事では、注意障害の評価として広く用いられている『トレイルメイキングテスト(TMT:Trail Making test)』について記載していく。

 

目次

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注意障害を評価せよ!トレイルメイキングテスト(TMT)とは

 

トレイルメイキングテスト(TMT)は注意・遂行機能の確認が簡便にできる検査である。

 

TMTによって、視覚性的な探索能力とともに注意の持続、選択機能を測定できる。

 

注意障害に対する検査としては有名と言える。

 

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TMTには2種類のテストがある

 

トレイルメイキングテストとは、「パートA」と「パートB」の2種類からなるテストであり、以下の作業を指せて終了までの時間を計測する。

 

TMTのパートA:

検査用紙にランダムに書かれた数字を1から25まで一筆書きで結ぶ

 

TMTのパートB:

数字と平仮名が書かれており数字と平仮名を交互に、それぞれ順に結ぶ。

※片方のターゲットを保持したままもう片方のターゲットを探すという二重課題である。

 

 

トレイルメイキングテストの目的

 

テストは、パートA、パートBともに、以下を要する課題となる。

 

・注意の持続性と選択性

・視覚―運動の協調性

・情報処理の迅速さ

・干渉を伴う短期記憶

 

 

さらにパートBでは以下の能力も要求される。

 

・注意の変換能力

・遂行能力

 

 

ここから先は、TMTのパートA・Bについて引用しておく。

(内照泰男,他:痴呆症学(1)-高齢社会と脳科学の進歩-Ⅵ.痴呆の評価 認知機能障害の個別的評価に関する神経心理学的検査遂行機能障害 Trail Making test. 日本臨床61:355,2003より)

 

 

TMT『パートA』で注意障害を検査

パートAは、1から5までの数字を数字の順序通りに線でつなぐ。

線を引いている時は、紙から鉛筆を離さないように指示する。

 

 

 

TMT『パートB』で注意障害を検査

 

パートBは1から13までの数字の間に「あ」から「し」までのひらがなを入れて、それぞれ順序通りに線でつなぐ。

線を引いている時は、紙から鉛筆を離さないように指示する。

 

 

 

TMTの基準値(参考値)

 

代表的な健常者の年齢分布は以下となる。

 

年齢

20-39

(n=180)

40-49

(n=90)

50-59

(n=90)

60-69

(n=90)

70-79

(N=90)

Part

A

B

A

B

A

B

A

B

A

B

パーセンタル

 

90

21

45

22

49

25

55

29

64

38

79

75

26

55

28

57

29

75

35

89

54

132

50

32

69

34

78

38

98

48

119

80

196

25

42

94

45

100

49

135

67

172

105

292

10

50

129

59

151

67

177

104

282

168

450

※Davies AD : The influence of age on trail making test performance. J ClinPsychol 24:96-98,1968

 

年齢

56-62

(n=160)

66-71

(n=286)

72-77

(n=236)

81-86

(n=162)

87-97

(N=162)

Part

A

B

A

B

A

B

A

B

A

B

パーセンタル

 

90

20

45

25

52

25

56

29

75

29

76

75

25

57

29

68

30

75

38

101

38

101

50

31

70

35

85

38

102

50

125

47

125

25

38

90

44

120

48

156

60

172

60

165

10

50

130

60

180

75

210

79

235

80

235

※Ivnik RJ, et al : Neuropsychological tests norms above age 55 : COWAT MAE Token, WRAT-R Peading , AMNART, Stroop, TMT and JLO. ClinNeuropsychol 10 : 262-378,1996