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名前:カースケ
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資格:理学療法士

サイト運営開始日:H23年7月


固有受容性神経筋促通法(PNF:Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)

 

PNF法の定義と理念

~定義~

  • P:Proprioceptive(固有受容性)→体の位置や運動の情報を伝える感覚受容器に働きかける

  • N:Neuromuscular(神経筋)→神経や筋を含む

  • F:Facilitation(促通)→動きを容易に

 

~基本理念~

  • 積極的なアプローチを重視
    (痛みを与えない・達成可能な動作・成功への準備・直接そして間接的な治療・力強い開始)

  • 機能的なアプローチ重視
    (課題志向型アプローチ)

  • 潜在的な可能性を引き出していく
    (チームアプローチや自己訓練も重視しながら集中治療を行うことも重要)

  • ICF概念に則り、クライアントを全人格的に把握する
    (環境や人格や情緒など様々な因子を考慮していくということ)

  • 運動コントロールと運動学習理論の応用
    (これらを応用して異なった状況での反復練習、運動コントロールの回復段階を配慮、変化に富んだ訓練などに用いる。クライアントの活動性が高度になるためには、これらの応用が必要不可欠)

 

PNF法の歴史

  • 1940年代初期に、医師であり神経生理学者であったHerman Kabatによって生理学的理論が構築された。

  • 1945年・1952年に、それぞれMargaret KnottやDorothy Vossといった理学療法士が開発に参加し、固有受容性促通法(Proprioceptive Facilitation)として始まった。

  • 1954年Dorothy Vossにより神経筋(Neuromuscular)という言葉が付け加えられ、固有受容性神経筋促通法(PNF:Proprioceptive Neuromuscular Facilitation)となった。

  • 1990年に国際PNF協会(IPNFA:International PNF association)が設立された。

 

PNF法における治療目的 と 治療の組み立て

PNF法は総合的なアプローチです。つまり、ある特殊な問題点や身体のある体節を問題とするのではなく、患者を全人格的に対象にしています。

 

つまり、ICF概念に則り、下記のように課題指向型の評価・治療を行っていくということになります。

  1. 活動の評価から始め、クライアントは何ができるのかを把握する。
  2. 活動制限は何かを把握する(これが長期目標になる)
  3. 心身機能と構造を把握する(クライアントの強い要素を把握する)
  4. 活動制限を起こしている機能障害は何かを把握する。
  5. 仮説の立案(原因と結果)
  6. 適切な治療

治療の目的は、患者の機能的活動性が最も高度になるように助ける事であり、この機能的活動性改善を長期目標として掲げます。

 

そして、長期目標で掲げた機能的活動性を改善させるために、下記の様な短期目標を掲げます。

  • 初期動作の促通
  • 運動習得
  • 運動のタイミングの調整
  • 筋力増強
  • 安定性の増大
  • 協調性とコントロールの増大
  • 持久性の増大
  • 関節可動域増大
  • リラクゼーション
  • 疼痛の軽減

 

そして、それぞれの短期目標に合わせた具体的なプログラムを『運動発達の段階を』や『PNFの治療原則』を考慮しながら組み立てていくことになります。

 

 

PNF法の治療プログラムで考慮すべき要素

~運動発達の段階~

  • レベル1:運動性(Mobility)
  • レベル2:安定性(Stability)
  • レベル3:制御された運動性(Controlled mobility)
          安定性のもとでの運動性(Mobility on top of stability)  
  • レベル4:技術(Skill)
          協調的な運動

※上記と少し異なるが、類似した内容として以下も参照。

⇒『ブログ:動作の発達段階から考えるレベル治療訓練の4レベル

 

 

~PNF法の治療原則~

  • 最適抵抗を加えることで、筋収縮能力の増大・運動制御の向上・運動認識の促進・筋力強化が生じ、多くの動作が強化できる。

  • 課題は単純なものから複雑なもの、容易なものから困難なものへと設定する。

  • 集中プログラムを立てる。具体的には他職種や家族に協力を仰ぎ機能向上を図る。
    その際は安全で簡単に実施可能な課題を設定するが、クライアントには日常生活以上の動作を刺激として加えることの重要性を認識してもらうことも大切。

 

PNF法で用いる基本的な神経生理学的原理

 

PNF法で用いる促通要素

 

PNF法の様々なテクニック

短期目標に掲げた項目を改善させるために、PNF法では様々なテクニックを活用していきます。

 

一応、テクニックを列挙しておきますので、具体的には教本を参照してみてください。

  • リズミックイニシエーション(Rhythmic Initiation)

  • 等張性収縮の組み合わせ(Combination of Isotonics)

  • 拮抗筋による逆運動(Reversal of Antagonists)
    • ダイナミックリバーサル(Dynamic Reversals)
    • スタビライジングリバーサル(Stabilizing Reversals)
    • リズミックスタビライゼーション(Rhythmic Stabilization)

  • 反復伸長(Repeated Stretch
    • 開始域での反復伸張(Repeated Stretch from Beginning of Range)
    • 全可動域での反復伸張(Repeated Stretch Through Range)

  • ホールドリラックス(Hold-Relax) 
    • 直接的アプローチ 
    • 間接的アプローチ

  • コントラクトリラックス(Contract-Relax)
    • 直接的アプローチ
    • 間接的アプローチ            

  • リプリケーション(Replication)

 

PNF法のテクニックに関しては、ブログで「動筋テクニック」「拮抗筋テクニック」に分類して、解説しています。

これらテクニックに興味がある方は、以下のリンク先を参照してみてください。

 

 

PNF法の研修会と書籍

日本において、PNF法は下記の組織により研修会が行われています。

  • 日本PNF協会
  • 日本PNF学会

PNF法の書籍は数多く存在しますが、下記の2点が有名で、上記団体を受講するにあたっての一番の参考書となります。

最後に一言

  • PNF法というと『PNFパターン』や『PNFテクニック』といったキーワードがイメージされがちであり、それは確かに誤りではありませんが、これら以外にHPで列挙した概念こそが効果的なリハビリテーションを提供するうえで重要なエッセンスだと言えます。

  • また、PNF法はクライアントの積極性が求められる能動的なコンセプトですが、クライアントの状態(痛み・意欲・随意的な筋収縮が不能であるなど)によってはその他の方法(物理療法・徒手的理学療法)も併用すべきであるという考え方も持っています。

    ~PNF法は、障害を受けている体節の筋収縮を行わせるために用いる。筋収縮が患者の状態で不能であったり、設定した治療目標を達成できなければ、セラピストは他の方法も適用する。温熱やアイシング等の物理療法、他動的関節可動域運動、さらに軟部組織のモビライゼーションなどは、効果的な治療を行うためにPNF法とともに適用される。最も効果的な治療の選定は、患者の筋や関節の状態、そして他の医学的な問題の状態にかかっている。セラピストは、患者のニーズに合わせて治療手順やテクニックを修正したり、組み合わせたりしなければならない。治療は集中的に、疲労や痛みを患者に与えないように行わなければならない。~PNFハンドブックより~

    ~PNFが万能では無く、状況によってはPNF以外のアプローチが有効と思われる場面も多々ある。しかし、PNF発祥の地であるカイザーでのPNF研修では「貴方達はここにPNFを学びに来ている」という一貫した指導が行われているために、この様な場合、PNFを用いてどの様にその問題を解決するかの指導が行われ、決してmobilizationを問題解決のために選択することを許されない。一方、インストラクターはPNFと他の手技を自在に組み合わせてのアプローチを行っている。また、日本では、「PNFをやっている」というと他の手技は敵視している印象を与えがちであるが、PNF発祥の地では学びの段階の研修生には許されないものの、PNFと他の手技を混ぜて使う事に全く否定的な姿勢を持っていないことも印象深く残っている点である~PNFリサーチ2001より~


  • この事からも、PNFは筋骨格系理学療法の一般的な評価と治療の流れの一部として組み合わせることのできる相性の良い概念とも言えます。

 

 

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