この記事ではPNFの特殊テクニックのうち、「拮抗筋テクニック」にフォーカスを当てて解説していく。
※PNF特殊テクニックは様々な分類方法があるが、ここでは「拮抗筋テクニック」「動筋テクニック」という分類のもとでの解説となる(動筋テクニックに関しては、最後にリンクしている別記事を参照頂きたい)。
※拮抗筋テクニックは「拮抗筋による逆運動(reversal of antagonisists)」と呼ばれることもある。
目次
PNFの拮抗筋テクニックについて
拮抗筋テクニックは「最初に主導筋を収縮させ、休息やリラックスを行わせないで、拮抗筋の収縮を行わせるテクニックの総称」を指し、以下の3つに分類される。
- ダイナミックリバーサル(Dinamic Reversal of Antagonists)
- スタビライジングリバーサル(Stabilizing Reversal)
- リズミックスタビライゼーション(Rhythmic Stabilization)
例えば大腿四頭筋の強化したい場合、まず先にハムストリングスを収縮させてからの方が、大腿四頭筋の収縮力が促通される。
このように、まず拮抗筋を収縮させてから主動作筋を収縮させることを「拮抗筋テクニック」と呼び、動きを伴う(等張性)収縮を「スローリバーサル」、動きを伴わない(静止性)収縮を「リズミックスタビライゼーション」と呼び、非常によく用いる。
拮抗筋テクニック(拮抗筋による逆運動)に属する手技は、シェリントンの経時誘導の原理に基づいている。
なので、拮抗筋テクニックを記載する前に「経時誘導」について記載していく。
経時誘導とは
運動学において、『運動を開始すると共同筋は促通され、運動が終了すると拮抗筋が促通される。また、その間に相反神経支配が作用し、逆方向の交互運動が容易になる』と言われている。
上記をザックリ要約すると、主動筋を興奮させると、その直後に拮抗筋の収縮力が増加することを指す。
これを主動筋⇒背筋群、拮抗筋⇒腹筋群に表現し直すと以下となる。
『背筋群を収縮させると、その直後に腹筋群の収縮力が増加する』
つまり、以下のように用いることができる。
①腹筋群の弱化を感じた
↓
②まずは背筋群の筋収縮を促す
↓
③その直後に腹筋群を収縮させると①の際より筋出力が向上している
↓
④筋出力が向上している状態で更なる運動機能向上(あるいは基本的動作・ADL能力の向上)を図る。
※ただし、クライアントによって反応は異なるため、③が起こっているかを評価した上で活用する。
そして、前述した『運動が終了した際の拮抗筋の促通』を経時誘導と呼ぶ。
経時誘導をハムストリングスと大腿直筋を例に解説
経時誘導の概念は、前述した「腹筋群・背筋群の例」の様にPNF法のみならず、一般的な理学療法にも組み入れることができる。
ここではもう一つの例として、『短縮したハムストリングスへ等尺性収縮後弛緩テクニック(ここではコントラクトリラックスとする)を使用する際に経時誘導も組み入れる』というケースでも解説してみる。
※コントラクトリラックスにおける筋群を「主動筋=ハムストリングス」「拮抗筋=大腿直筋」と単純化して解説してみる。
手順①
ハムストリングスに反射的短縮(筋スパズムなどによる筋短縮)が起こっている場合は、相反抑制として大腿直筋の筋出力低下も認める場合がある。
※つまり、SLR運動における可動性低下は①ハムストリングスの短縮②大腿直筋の筋出力低下 の両方が関与している可能性があるということ。
手順②
そして、ハムストリングスに対してコントラクトリラックスを数回施行して筋緊張低下を起こす。
※他動的なSLRの改善
手順③
ハムストリングスの筋緊張が低下したということは、「大腿直筋に生じていた相反抑制の緩和(筋出力を発揮し易くなっている)」という副次的な効果も起こすことを意味する。
ただし、「ハムストリングスの収縮」が大腿直筋にもたらす影響は「相反抑制」だけでなく「経時誘導」も起こっている可能性がある。
すなわち、「主動筋=ハムストリングス」の収縮直後には「拮抗筋=大腿直筋」の促通が起こるという考えである。
※これら「相反抑制」と「経時誘導」によって自動的なSLR運動が改善される素地が整った事も意味する。
手順④
「コントラクトリラックスによって得られた可動域内での運動」を繰り返し反復してみる
※反復して(得られた可動域内での)大腿直筋の収縮を学習させるということ
※最初は収縮力が乏しいため自動介助が必要かもしれない。徐々に介助を減らし、最終的には抵抗運動でもOK
これは、「他動的な可動域が改善されても、その可動域内での主動筋を促通させておかなければ、機能的な可動域を獲得したことにならない」という点からも重要である。
また、「他動的な可動域を改善させるだけで終了した場合」よりも、「主動筋を促通してから終了した場合」のほうが、「得られた可動域が低下しにくい」と言われている。
今回は「等尺性収縮後弛緩によって改善された可動域制限」を例にしたが、これは「関節モビライゼーションによって改善された可動域制限」にも当てはまる。
すなわち、関節モビライゼーションを施行するだけで終わらず、「得られた可動域内での主動筋の収縮」といった運動療法も併用したほうが、機能的であり、なおかつ可動域が維持できるということになる。
皆がいちばんイメージし易い例としては、膝関節の軽度な伸展制限を有している場合ではないだろうか?
例え関節モビライゼーションで膝の伸展制限が改善されたとしても、軽度屈曲位~完全伸展位までの筋収縮が学習されたかと言えば、そういう訳ではない。
従って、得られた可動域内(軽度屈曲位~完全伸展位)までの運動療法も併用して終了したほうが「機能的」ということになる。
ここではイメージし易い例として「膝の軽度伸展制限」を提示したが、この考えは全ての関節に当てはまる。
以前記載した記事『関節モビライゼーションのコツ』では「可動域が改善された後の主動筋の促通」にまでは言及していないが、ぜひここで記載した「相反抑制」「経時誘導」も補足した上で読んでみてほしい。
※自動介助運動でも構わないので、少しだけでもアクティブな要素を活用した上で終了することをお勧めする(痛みを有している場合はケースバイケース)
関連記事⇒『関節モビライゼーション成功の秘訣とは?』
ダイナミックリバーサル(スローリバーサル)
ダイナミックリバーサルは「スローリバーサル」や「動的な拮抗筋による運動」や「動筋・拮抗筋の往復運動」と呼ばれることもある。
ダイナミックリバーサルは『最初に1方向での等張性収縮をさせて、それから運動を止めないようにして(=休息やリラックスを行わせないで)反対方向へ動かす方法』を指す。
PNFパターンにすると分かりにくくなるかもしれないので、単純に「端座位にて膝関節屈曲・伸展運動に対するダイナミックリバーサル」で考えてみると、以下のようになる。
『スタートポジション(端座位)から療法士の抵抗に逆らいながら、大腿四頭筋を収縮させて膝関節を伸展させる。完全伸展タイミング(大腿四頭筋の収縮がまだ途切れていないタイミング)で療法士の抵抗をハムストリングスに切り替えて、膝を屈曲してもらう』
※実際に、上記を臨床で実践するという訳ではない。
※単に、2次元的な方がイメージし易いので例に挙げただけ。
休息やリラックスを行わせないようにして、1方向(主動筋)から逆方向(拮抗筋)へ繰り返す自動的な反復運動は、ボールを投げたり、歩いたりといたる所で必要な動作となる。
また、「一方向への等張性収縮をさせて、その運動の最終域で一度動きを止めて(等尺性収縮をさせて)、その後反対方向への等張性収縮へ移り開始肢位まで戻る」という方法もある。
※要はダイナミック・リバーサル(スロー・リバーサル)の間に等尺性収縮を入れ込むという考え。
※この際の「等尺性収縮」は、「スロー・リバーサル・ホールド」と呼ばれることもある。
具体的には、ダイナミックリバーサルを施行中の最終域での等尺性収縮を5秒程度加えて、反対方向のパターンへ移行する。
ダイナミックリバーサルが滑らかな動きを引き出すことを目的とする(敢えてイメージし易い様な疾患で例えるならパーキンソン病など)のに対して、ダイナミックリバーサルの途中で等尺性収縮を挟み込むこと(スローリバーサルホールド)は安定性を高めることと目的に用いられる。
ダイナミックリバーサルの方法
- ゆっくりした速さでPNFパターンの往復を行う
- 促通したいパターンがある場合、拮抗するパターンから始めて、それを3~10回往復した後に、促通したいパターンで終わる。
※例えば、「上肢の屈曲・外転・外旋運動」を促通したい場合、まずは拮抗パターンである「上肢の伸展・内転・内旋運動」から開始して、それぞれのPNFパータンを数回往復した後に、「上肢の屈曲・外転・外旋運動」で終わる。
- 最初だけクイックストレッチ(開始肢位での伸張刺激)を加えるが、後は実施しない。
- 抵抗も通常のPNFより弱めに行い「滑らかな動きを出す」ことを重要視する。
※ただし、目的によってはこの限りではない
- 抵抗を切り替える際は、収縮を持続したままで切り替える。
つまり一方の手の抵抗を解除しても他方の抵抗は解除せずにおくこと。
※例えば「右上肢の伸展・外転・内旋」が終了して「右上肢の屈曲・内転・外旋」に切り替える場合は、療法士の右手で手関節背屈への抵抗はキープしたままで(手関節への抵抗だけでパターン運動全ては制御できないと思いがちだが、しっかりと手関節背屈が出ていて抵抗が加わっていれば止められる)、左手は患者から離して手を握りなおす。そして「はい握って」と言った後に、右手を患者手背から離して別の場所に抵抗を加える。
- ダイナミックリバーサルは四肢のPNFパターンのみならず、体幹へのPNFパターンにも用いる。
例えば、マスフレクション⇔マスエクステンションのスローリバーサルも高齢者の体幹鍛えるためにも活用し易い。
- 骨盤帯のPNFパターンである「骨盤の後方挙上運動」がピンとこない患者に対して、「(骨盤後方挙上運動の拮抗パターンである)前方下制」を実施した後に「戻して」という声かけとともに後方挙上運動を実施すると成功しやすい。
※パターンの学習なため抵抗量は「運動方向が理解できる程度」で構わない。動筋テクニックであるリズミックイニシエーションやリプリケーションとともに、良く活用する手法である。
※骨盤帯の場合は、正規なダイナミックリバーサルの様に「緊張を切らさないように」というのは切り替え時に難しいかもしれないが、こういう使い方もできるということである。
ダイナミックリバーサルの目的
- 自動運動可動域の増大
- 筋力の増強
- 協調性の発達(滑らかな反復運動)
- 疲労防止と減少
- 持久力の増大
- 筋緊張の減少
ダイナミックリバーサルの適用
- 自動運動の減少
- 手動筋の弱化
- 方向転換能力の低下
- 疲労した筋
- 筋緊張が亢進した筋群のリラックス
リズミックスタビリゼーション
リズミックスタビリゼーション(Rhythmic Stabilization)とは「リズム的安定化」とも呼ばれる。
リズミックスタビリゼーションは、「関節運動を生じない交互性な等尺性収縮」を指す。
重複するが、拮抗筋テクニックの中で、「等張性収縮=ダイナミックリバーサル」「静止性収縮=リズミックスタビリゼーション」となる。
※ちなみに(後述する)スタビライジングリバーサルは静止性収縮に分類される。
リズミックススタビリゼーションは臨床でも多用し易い。
また、基底面を狭くする(足を閉じる)、歩行肢位にする、片足立ちにする、といった環境で刺激を加えれば難易度があがる。
セラピストが徒手的に静止性収縮を起こす際のポイントは『アドバンス版 図解 理学療法技術ガイド』より引用しておく。
静止性収縮の場合は徐々に抵抗を強くし徐々に弱くする。
このような抵抗を加えることにより運動単位の動員による筋の収縮能力が促通される。
さらに、インパルスの発射頻度の調整による力の感覚の刺激による運動コントロールの向上が再学習される。
リズミックスタビリゼーションの目的
- 自動および他動関節可動域の増大
- 筋力増強
- 安定性とバランスの改善
- 痛みの軽減
リズミックスタビリゼーションの適用
- 関節可動域制限
- 運動時痛の軽減
- 不安定な関節
- 拮抗筋の弱化
- 安定性の減少
※個人的には「不安定な関節」「拮抗筋の弱化」「安定性の減少」が認められた際に活用する。
※例えば、関節副運動テストで不安定性が認められた場合は、リズミックスタビライゼーションを実施することもある。特に脊柱では軽微な刺激を加えることで多裂筋群などのインナーマッスルを賦活させ安定性の向上を期待する。
※そこからの応用として、脊柱へ小さな動きかつ軽微な刺激を活用することで「等張性収縮の組み合わせ(PNF動筋テクニック)」へ移行し、求心性・遠心性収縮も組み合わせることで、更に「機能的」な安定化を図っていく。
※患者の課題達成具合に合わせて、少しずつ、「大きな動き」であったり「抵抗量を強める」であったりで難易度を調節していく。
関連記事⇒『多裂筋トレーニングを知らずして『コア』は語れない』
スタビライジングリバーサル
スタビライジングリバーサル(Stabilizing Reversals)とは、「関節運動が生じない様な、十分な抵抗を加えての交互の等張性収縮」を指す。
療法士は、患者にわずかな動きしか許さないようにする
※すなわち、「関節運動が生じない様な」と表現しつつも、等張性収縮なので、患者にわずかな動きであれば許してもOKということ。
文章で理解していただけただろうか?
じつは、この「スタビライジングリバーサル」は文章で表現すると伝わりにくく、(前述した)「リズミックスタビリゼーション」との違いもピンとこない場合が多い。
そのため、この点は後述するとして、とりあえず教科書的な「目的」「適用」「手順」を列挙していく。
スタビライジングリバーサルの目的
- 安定性の向上と筋力の増大
- 中枢神経系の統合に問題のある患者に適している(とされている)
スタビライジングリバーサルの手順
スタビライジングリバーサルの手順は以下の通り。
手順①
目的の肢位でセラピストは静止肢位で等張性の抵抗を加える。
※患者は動こうとするが動かないように十分な抵抗を療法士は加える。
手順②
療法士は手の位置を変え違う方向に抵抗をかけ同じ肢位で静止肢位を作る。
手順③
療法士は(アイソトニックな)スタビライジングリバーサルのスピードを早くすると、患者はセラピストの要求を予測し始め、筋の同時性収縮を獲得することができる。
「スピードを速くすると、患者は療法士の要求を予測し始め、筋の同時性収縮を獲得することができる」という表現に関して、(少し間違った解釈になるかもしれないが)分かりやすい例として電車の中での立位姿勢保持が挙げられる。
臨床における(前述した)リズミックスタビリゼーションは対象者が「関節運動が伴わないようなゆっくりとした外乱刺激」を「ジンワリ」と加えていくのが一般的である。
一方で、スタビライジングリバーサル「強めの外乱刺激」「素早い外乱刺激」を用いることもあり、「電車内で(体幹を動揺させながらも)姿勢を保持する」というイメージがシックリくる。
そして、スタビライジングリバーサル「強めの外乱刺激」「素早い外乱刺激」を用いることもあり、「電車内で(体幹を動揺させながらも)姿勢を保持する」というイメージがシックリくる。
静止性収縮と等尺性収縮
少し余談を追加する。
※ただし、この余談はPNFを学んでいない人にはど~でも良い内容なのでスルーして頂きたい。
前述した「電車内での立位姿勢保持=スタビライジングリバーサルという表現が間違っているかもしれないが」と前置きしたのは、「姿勢の保持=(等張性収縮ではなく)等尺性収縮」であり、つまりはリズミックスタビリゼーションと言えなくもない(多分、スタビライジングリバーサルという解釈で正しいとは思うが、深く考えだすと、この辺りの矛盾が出てくることが、ややこしい部分である)。
まぁ、臨床に使えればどちらでも構わないが、良い機会なので、静止性収縮と等尺性収縮の違いについて記載してみる。
電車の揺れに抗しながら姿勢を保持する際の筋収縮は「姿勢保持」という意味で「静止性収縮」に該当する可能性もある。
ただし、前述したように電車の揺れは完全に制御できず、恐らく(転倒しないまでも)体幹は動揺すると思われる。したがって、「静止性収縮」ではあるが「厳密な等尺性収縮(筋の長さが常に一定)」ではない。
※そういった意味から、PNF法では「等尺性収縮」よりは「静止性収縮」という表現のほうが好まれる場合がある。
関連記事⇒『様々な筋の収縮様式を理解しよう』
※電車の例は極論であり、実際には「肩関節90°屈曲位で保持するように指示して抵抗をかけた際、(止まっているように見えてみも)若干の筋長変化は起こっており、なので等尺性収縮より静止性収縮という表現が望ましい」というニュアンスとなる。
※にも関わらず「等張性収縮」という用語を使っているので、その対比の用語として「(静止性収縮ではなく)等尺性収縮」という表現も使わざるを得なくなり、分かりにくくなるのだが・・・
スタビライジングリバーサルとリズミックスタビリゼーションの違い
先ほどは、「イメージし易さ」を先行させた解説をしたので、ここからは厳密な違いを記載していく。
先ほどと類似した内容も含むが、その方が理解が深まるとの考えのもと記載している(クドイと思うようなら読み飛ばしてほしい)。
リズミックスタビリゼーションとスタビライジングリバーサルとの違いは、(ザックリとイメージをつかむとするならば)ホールドリラックスとコントラクトリラックスの違いに似ている。
ホールドリラックスとコントラクトリラックスの違いは、以下のリンク先も参考にして頂きたい。
静止肢位を(可能な限り)保持してもらうという意味では同じなのだが以下の点が異なるということである。
- リズミックスタビリゼーションやホールドリラックス
→「止めといて」「動かさないで」(等尺性収収縮・関節運動を伴わない)」
- スタビライジングリバーサルやコントラクトリラックス
→「押し返して」(等張性収縮・若干の関節運動は許容する。)
単純な例として、以下の様な刺激を加える場合、声掛けによってリスミックスタビリゼーションにもスタビライジングリバーサルにもなる。
※リズミックスタビリゼーションは、基本的にジンワリと刺激を加えて、ジンワリと刺激を抜くのが基本となる。
※一方で、スタビライジングリバーサルはテンポよく刺激を加えることいった手法も用いられる。
※その意味で、この動画はリズミックスタビリゼーションと記載されているが、スタビライジングリバーサルの目的が強い刺激と言えるのではないだろうか。
(重複した内容になってしまうが)、最後に立位姿勢を保持している患者への外乱刺激を例に、リズミックスタビリゼーションとスタビライジングリバーサルの復習をして終わりにする。
患者に対して「体が揺れない様に止まっておいて」と言いながら外乱刺激を加えて、それに抵抗してもらうのはリズミックスタビリゼーションとなる。
セラピストが持続的に外乱刺激を加えた後に、パッと抵抗を解除しても「等尺性収縮で保持している」ので患者は動かないはずである。
一方で、患者に対して「私が体を押すから、押し返して」と言いながら外乱刺激を加えて、それに抵抗してもらうのはスタビライジングリバーサルとなる。
※患者は療法士の抵抗に対して押し返すような筋活動を行うが、押し返す力が強すぎると自身が転倒してしまうので「ホドホドな力」で押し返してくれることとなる。
セラピストが持続的に外乱刺激を加えた後に、パッと抵抗を解除すると「等張性収縮で保持している」ので患者は若干動いてしまう。
スタビライジングリバーサルは「押し返して」という声かけなので、一見すると静止しているように見えても、厳密な等尺性収縮ではなく若干な等張性収縮が起こっているため、患者は療法士が抵抗の位置を変える際に転倒しないよう姿勢を制御しなければならない。
そして、療法士がスタビライジングリバーサルを目的とした外乱刺激のスピードを速くすると、患者は療法士の要求を予測し始め、筋の同時性収縮を獲得することができる。
PNFの拮抗筋テクニック おわりに
PNFの拮抗筋テクニックを紹介してきた。
PNFを知らない人にも、何となく理解してもらえただろうか?
知らない名称が多く出てきて戸惑った人もいるかもしれないが、よくよく読んでもらうと、皆が臨床で活用してる延長上な考え方も多く含まれていたのではないだろうか?
そしてPNF法では、これらのテクニック(っというか概念)を「PNFパターン」とも組み合わせながら活用していくわけだが、必ずしも「PNFパターン」と組み合わせることが前提というわけではない。
そう考えると皆が応用可能であり、決して複雑奇怪な概念ではないことが理解して頂けるのではないだろうか?
PNFの特殊手技(拮抗筋テクニック)の関連記事
この記事では「拮抗筋テクニック」を記載しており、「動筋テクニック」に興味がある方は以下を参照して頂きたい。
PNFの特殊手技(動筋テクニック)を解説!
この記事では様々な筋の収縮様式が登場したが、これらの整理をしたい方は以下の記事を参考にしてもらいたい。