マリガンコンセプトは、ニュージーランドの理学療法士 Brian R. Mulligan 氏が発展させた徒手療法コンセプトである。
英語では MULLIGAN™ Concept、または代表的技術である MWM:Mobilisation with Movement を中心とする徒手療法体系として知られている。
最大の特徴は、セラピストが関節に徒手的な補助を加えながら、患者自身が痛みの少ない、または痛みのない能動運動を行う点にある。
従来の徒手療法のように「患者を受け身にして関節を動かす」だけではなく、患者本人の動きを治療の中心に置く点が大きな特徴である。
卒業して臨床を3年ほど経験した理学療法士にとって、マリガンコンセプトは非常に興味深い選択肢である。
なぜなら、この時期は学校で学んだ関節可動域練習、筋力強化、ストレッチ、基本的な徒手療法、動作練習を実践しながらも、「評価と治療がうまくつながらない」「痛みのある動作をどう変えればよいか分からない」「患者に変化を実感してもらいにくい」といった壁にぶつかりやすいからである。
マリガンコンセプトは、痛みのある動作を確認し、徒手的な補助を加えながらもう一度動いてもらい、その場で痛み・可動域・動作の変化を再評価する。
この流れは、卒後3年前後の理学療法士が臨床推論を深めるうえで役立ちやすい。
一方で、マリガンコンセプトは万能な手技ではない。
即時的な痛みの軽減や可動域改善が報告される一方で、positional fault仮説、効果機序、研究の質、長期効果については慎重に見る必要がある。
本記事では、Brian Mulligan氏の生い立ちと功績、マリガンコンセプトの特徴、MWMやSNAGsの具体的内容、他の徒手理学療法との違い、卒後3年前後の理学療法士にとって学ぶ価値があるか、そしてエビデンスと批判的視点まで詳しく解説する。
この記事で分かること
- Brian Mulligan氏の生い立ちと功績
- マリガンコンセプトの基本思想と具体的技術
- MWM、NAGs、SNAGs、SMWLMの概要
- Maitland、Kaltenborn、McKenzie、Paris Approachとの違い
- 卒後3年前後の理学療法士にとって学ぶ価値があるか
- エビデンスと批判的に見るべきポイント
卒後3年目PTの心の声:ROM練習、筋トレ、ストレッチ、動作練習は一通りやっている。でも、痛みのある動作をその場でどう変えればよいのか、まだ迷うことが多い。
目次
Brian Mulliganとは誰か
Brian R. Mulligan氏は、ニュージーランド出身の理学療法士である。
Mulligan Concept公式プロフィールによると、Mulligan氏はNew Zealand School of Physiotherapyで学び、1954年に理学療法士として資格を取得した。
その2年後の1956年にWellingtonで個人開業し、公式プロフィール上は2000年に臨床実践から退くまで、長く患者を診続けた臨床家であった。
臨床引退年に関する注記
Mulligan Concept公式プロフィールでは、Mulligan氏は2000年にactive clinical practiceから退いたとされている。
一方、ニュージーランド政府のONZM表彰文では、Wellingtonでの理学療法実践を2002年まで行ったと記載されている。
そのため、臨床引退年は「公式プロフィール上は2000年」「公的表彰文では2002年」と分けて理解するのが安全である。
ここで重要なのは、Mulligan氏が「研究室で理論を作った人」というよりも、長年の臨床経験から技術体系を発展させた人である点である。
マリガンコンセプトは、机上の理論から出発したというより、痛みや可動域制限を抱える患者に対して、どのような補助を加えればその場で動きが変わるのかを追究する中で形成された臨床的なコンセプトである。
Mulligan氏が徒手療法に強い関心を持つきっかけとなった人物として、Stanley Paris氏の名前が挙げられる。
公式プロフィールでは、Mulligan氏は1960年代初頭にStanley Paris氏によって徒手療法の分野に導かれたとされている。
また、Freddy Kaltenbornをメンターとして認めており、James Cyriax、Geoff Maitland、Robin McKenzie、Robert Elveyらの貢献も重要であったと記されている。
つまり、Mulligan氏は孤立して新しい手技を生み出した人物ではない。
20世紀後半の徒手療法の発展期に、Paris、Kaltenborn、Cyriax、Maitland、McKenzie、Elveyらの流れに触れながら、自身の臨床経験を通して独自の考え方を発展させた人物と見るべきである。
Brian Mulligan氏の功績
Mulligan氏の功績は、単に「MWMという手技を作ったこと」だけではない。
より大きく見ると、徒手療法に 患者の能動運動 を組み込み、痛みのない機能的な動きをその場で確認するという発想を世界中に広めた点にある。
Mulligan Concept公式サイトでは、Mulligan氏はKaltenbornから初期教育を受け、従来の持続的な関節滑走に患者自身の能動運動を加えたと説明されている。
その結果、四肢に対するMWM、脊柱に対するSNAGsという形で、セラピストの徒手的な力と患者の能動運動を同時に用いる点が特徴となった。
また、Mulligan氏はニュージーランドのマニピュラティブセラピー発展にも関わっている。
公式プロフィールでは、Mulligan氏は1968年にNZ Manipulative Therapists Associationを形成した小グループの一人とされ、
Robin McKenzie氏とともにDiploma of Manipulative Therapyのpostgraduate programで主要な教師を務めたとされている。
NZ Manipulative Therapists Associationに関する注記
NZ Manipulative Therapists Associationに関する年表は、Mulligan Concept公式プロフィールでは1968年、ニュージーランド政府のONZM表彰文では1972年と表記差がある。
国際的な教育活動も重要である。
公式プロフィールでは、Mulligan氏は1972年から国際講師として活動し、1983年にDiploma programでの教育役割を離れて、自身の新しい技術を教え始めたとされている。
Mulligan Concept Teachers Association、MCTAについては、MCTA公式ページでは1995年設立とされている。
一方、公式プロフィール内には「1995年に国際的な教師認定組織を設けた」という記述と、「MCTAが形成された1996年」という記述が併存している。
そのため、本記事では「1995年に国際的な認定組織を設け、MCTAは1995〜1996年頃に形成された」と整理する。
近年の評価としては、2007年にWorld Confederation of Physical Therapists、現在のWorld PhysiotherapyからAward of Excellenceを受賞し、2016年にはIFOMPT Geoffrey Maitland Memorial Award、2022年にはOfficer of the New Zealand Order of Merit、ONZMを受けている。
ニュージーランド政府の表彰文では、以下などが紹介されている。
- Mulligan氏の技術が世界中の患者の痛みや関節硬さに対して役立ってきたこと
- 国際的に教育されていること
- 2015年の『The Mulligan Concept of Manual Therapy』共著
- 2016年のGeoffrey Maitland Award受賞
動画で見る:マリガンコンセプト誕生の背景
この動画は、マリガンコンセプトがどのように始まったのかを理解する補助資料として有用である。
Mulligan氏の臨床的発想がどのようにコンセプト化されたのかをイメージしやすい。
動画を見るときの注釈
この動画では「関節の位置異常を修正する」という説明が出てくる場合がある。
ただし、現代的には、即時的な痛みの軽減をすべて「関節のズレが戻った」と説明するのは慎重であるべきだ。
神経生理学的反応、痛みのない運動経験、患者の期待、文脈効果なども含めて理解することが重要である。
マリガンコンセプトの中身
マリガンコンセプトの中核は、痛みのない状態で動きを改善する という考え方である。
治療中に痛みを我慢させるのではなく、セラピストが関節に適切な方向の補助を加え、患者が本来痛みの出る動作を能動的に行う。
その結果、痛みが減り、可動域が増え、機能動作が改善するなら、その補助方向が臨床的に意味を持つと考える。
Mulligan Concept公式サイトでは、臨床推論を支えるルールとして Pain free、Instant、Long lasting、いわゆるPILL反応が紹介されている。
これは「痛みなく、即時的に、持続的な変化が得られるか」を確認するための臨床上の合言葉として理解するとよい。
PILLとは
PILLはマリガンコンセプトの中核であり、以下の頭文字の呼称である。
- Pain free (痛みを起こさず)
- Instant result (即時的に効果があらわれ)
- Long Lasting (持続する)
PILL反応を扱うときの注意
PILL反応は、マリガンコンセプトの臨床判断を助ける目安である。ただし、PILL反応が得られたからといって、長期改善が保証されるわけではない。即時変化は、運動療法、患者教育、セルフエクササイズ、生活指導へつなげて初めて臨床的な意味が高まりやすい。
MWM:Mobilisation with Movement
MWM( Mobilization With Movement))は、マリガンコンセプトの代表的な技術であり、主に四肢関節に用いられる。
そんなMWMは以下の手法を指す。
- たとえば、肘の外側痛で物を握ると痛い場合、セラピストが肘関節に特定方向の補助を加えた状態で、患者に握る動作を行ってもらう。
- 痛みがその場で軽減するなら、その補助方向を治療に用いる。
- 足関節捻挫後の背屈制限、肩関節挙上痛、膝痛、手関節痛などでも同様に、痛みのある機能動作を評価しながら介入する。
卒後3年前後の理学療法士にとって、この「痛い動作を確認する → 補助を加える → もう一度動いてもらう → 変化を確認する」という流れは非常に使いやすい。
なぜなら、評価、治療、再評価のつながりが明確になるからである。
動画で見る:足関節背屈に対するSelf-MWM
足関節背屈制限は、整形外科クリニック、スポーツ現場、外来リハビリで遭遇しやすい問題である。
足関節捻挫後、しゃがみ込み、歩行、階段、スクワット、ランニング動作にも関連する。
この動画は、マリガンコンセプトが「徒手療法」と「患者自身の運動」をどのように組み合わせるのかを理解する具体例として有用である。
動画を観覧することで、マリガンコンセプトの「患者参加型の徒手療法」という特徴を視覚的に理解しやすくなる。
動画を見るときの注釈
Self-MWMは、患者が自宅で再現できる可能性を持つ点が魅力である。
ただし、誰にでも同じ方法を処方すればよいわけではない。
臨床でMWMに反応した患者に対して、痛みのない範囲、適切な回数、禁忌、代償動作を確認したうえでセルフエクササイズ化することが重要である。
NAGsとSNAGs
NAGs・SNAGsは、いずれも脊柱に対して用いられる技術であり、以下の略である。
- NAGs ⇒ Natural Apophyseal Glides
- SNAGs ⇒ Sustained Natural Apophyseal Glides
NAGsについて
NAGsは、脊柱の椎間関節に対してリズミカルな滑走を加える技術として説明される。
SNAGsについて
SNAGsは、セラピストが椎間関節に持続的な滑走を加えながら、患者が頸部回旋、伸展、腰椎運動などの能動運動を行う点に特徴がある。
たとえば、頸部を右に回すと痛い患者に対して、セラピストが特定の椎間レベルに滑走補助を加えながら右回旋を行わせる。
その場で痛みが軽減し、可動域が増えるなら、そのSNAGsが適応となる可能性がある。
SMWLM、BLR、TSLR
腰下肢症状では、以下などが扱われることがある。
- SMWLM ⇒ Spinal Mobilisation With Leg Movement
- BLR ⇒ Bent Leg Raise
- TSLR ⇒Traction Straight Leg Raise
SMWLMについて
SMWLMは、脊柱への徒手的補助と下肢運動を組み合わせる技術である。
腰痛や下肢症状に対して、脊柱の補助を加えながら下肢を動かし、痛み、可動域、神経症状、機能の変化を確認する。
ここでも重要なのは、「施術者が一方的に関節を動かす」のではなく、「患者の能動運動を組み込む」点である。
テーピングとホームエクササイズ
マリガンコンセプトでは、施術中に得られた痛みのない動きを、テーピングやセルフエクササイズで再現・維持しようとする考え方も重要である。
Elsevierの『The Mulligan Concept of Manual Therapy』第2版はMCTA公認のテキストであり、MWM、Pain Release Phenomenon、ホームエクササイズ、テーピング技術などを扱っている。
この点は、マリガンコンセプトを「その場だけの手技」で終わらせないために重要である。
患者が痛みのない運動を経験し、それを自宅でも再現できるようになれば、施術者依存ではなく、自己管理へつなげやすくなる。
💡 卒後3年目PTの心の声:
徒手療法をやった後に、どうやって自主練習へつなげればいいか悩むことが多かった。Mulliganは最初から患者が動くから、セルフエクササイズに移行しやすいかもしれない。
他の徒手理学療法との違い
マリガンコンセプトは、Maitland Concept、Kaltenborn-Evjenth Concept、McKenzie Method、Paris Approachなどと同じく、整形徒手理学療法の大きな流れの中にある。
ただし、臨床で重視するポイントには違いがある。
| コンセプト | 主な特徴 | マリガンコンセプトとの違い |
|---|---|---|
| Maitland Concept | 症状反応、グレード、臨床推論、再評価を重視 | Maitlandは受動的モビライゼーションの評価・グレードを重視しやすい。Mulliganは患者の能動運動を同時に使う。 |
| Kaltenborn-Evjenth Concept | 関節面運動、牽引、滑走、関節力学を重視 | MulliganはKaltenborn的な持続滑走に、患者自身の能動運動を加えた形で発展したと説明しやすい。 |
| McKenzie Method | 方向性選好、反復運動、自己管理を重視 | McKenzieは患者主導の反復運動が中心。Mulliganは徒手補助を加えた状態で痛みのない運動を作る。 |
| Paris Approach | 関節機能障害、触診、運動分類、徒手評価を重視 | Parisは徒手評価と機能障害分類の色が強い。Mulliganは即時の痛みのない能動運動反応を重視する。 |
| Mulligan Concept | MWM、SNAGs、NAGsなど、徒手補助と能動運動を組み合わせる | 患者参加型で、痛みのない即時変化を適応判断に使いやすい。 |
この比較で注意すべきなのは、マリガンコンセプトを「他学派より優れている」と単純に位置づけないことだ。
MaitlandにはMaitlandの臨床推論があり、
Kaltenbornには関節力学に基づく体系があり、
McKenzieには自己管理と方向性選好という強みがある。
マリガンコンセプトの独自性は、これらと競合するというより、徒手的補助と患者の能動運動を同時に行い、痛みのない機能的変化をその場で確認する 点にある。
エビデンスと限界
マリガンコンセプトに関する研究は、特にMWMを中心に蓄積されている。
ただし、エビデンスを読むときは「即時効果があるか」「他介入より優れているか」「臨床的に意味のある差か」「長期的な改善につながるか」を分けて考える必要がある。
2009年のシステマティックレビューでは、末梢関節に対するMWMを検討した研究群が分析され、肯定的な結果が多く報告されている。
一方で、研究方法論の質には限界があり、より堅牢な研究が必要であるとも述べられている。
2019年の末梢関節MWMに関するシステマティックレビュー・メタ分析では、MWMが末梢関節の痛みや障害に対して有効かを評価する目的で、2008年から2017年までの研究が検討された。
MWMは一部の比較で痛みや障害に統計的な改善を示しているが、効果の臨床的意味や長期効果については慎重な解釈が必要である。
同じく2019年の末梢関節を対象とした別のシステマティックレビューでは、MWMはプラセボや無介入より有利な可能性がある一方、コルチコステロイド注射や他の理学療法介入より優れているとはいえないとされている。
また、エビデンスの質は中等度から非常に低い範囲とされており、単純に「MWMが最も優れている」とは言い切れない。
2025年の足関節捻挫に関するシステマティックレビュー・メタ分析では、MWMが痛み、足関節ROM、Weight-Bearing Lunge Test、バランス指標の一部に有益な結果を示した。
一方で、GRADE評価では全体的なエビデンスの質は低い、または非常に低いとされており、効果を過大評価しない姿勢が必要である。
2025年の肩関節疾患に関するシステマティックレビュー・メタ分析では、MWMが一部アウトカムで統計的有意差を示したものの、多くの結果が臨床的有意性には達していないと指摘されている。
したがって、肩関節に対しても「統計的に差がある」ことと「患者にとって意味のある差がある」ことを分けて考える必要がある。
腰痛領域でも、一定の有効性が示唆される一方、結論は慎重である。
2018年の低背部痛に関するシステマティックレビューでは、Mulligan techniquesが痛みや障害を減らし、可動域を改善しうるとされる一方で、痛みと障害に関する結論の強さは中等度であり、低背部痛患者に対する効果を支持するエビデンスには限界があるとされている。
坐骨神経痛に関する2025年のシステマティックレビュー・メタ分析では、SMWLM、BLR、TSLRが検討され、SMWLMは痛みと機能の改善に有用である可能性が示された。
しかし同時に、試験数の少なさと既存文献の全体的な質の低さから、関連技術を含めた高品質研究が今後必要だと結論づけられている。
また、マリガンコンセプトに関連してしばしば語られる positional fault 仮説には注意が必要である。
🔑 Positional Fault(位置的欠陥)とは
Positional Fault(位置的欠陥)とは、関節に生じるごくわずかなズレのこと。このズレがある状態で関節を動かそうとすることで、摩擦や周囲の組織への過度なストレスが生じ、痛みが発生すると考えられている。
臨床で「この関節のズレが戻ったから痛みが消えた」と説明するのは慎重であるべきだ。
MWMやSNAGsで痛みが減ることはあり得るが、その機序は単純な骨の位置修正だけでは説明できない可能性がある。
痛みの軽減には、神経生理学的な疼痛抑制、運動恐怖の軽減、患者の期待、セラピストとの相互作用、痛みのない運動経験そのものなど、複数の要因が関与している可能性がある。
エビデンスの読み方
- 末梢関節のMWMでは、即時的な痛みの軽減や可動域改善を示す研究が比較的多い。
- 足関節捻挫では、2025年レビューで痛みやROM、WBLTなどに有益な結果が示されたが、GRADE評価では低い、または非常に低い質とされている。
- 肩関節疾患では、統計的有意差が示されても、臨床的有意性に達しない結果が多いとする2025年レビューがある。
- 腰痛や坐骨神経痛では、有望な結果はあるが、研究の質や試験数に限界がある。
- positional faultという説明は臨床上の仮説として扱い、画像上の明確な事実として断定しない方がよい。
- 即時効果があっても、長期的な機能改善には運動療法、教育、生活指導、セルフエクササイズが必要である。
動画で考える:MWMを疼痛科学とどう接続するか
この動画は、MWMを単なる「関節のズレを戻す手技」としてではなく、徒手療法と疼痛科学をつなぐ視点から考えるための補助動画である。
卒後3年前後の理学療法士にとって、ここは重要である。
なぜなら、手技で即時効果が出るほど、その効果を単純化して説明したくなるからである。
動画を見るときの注釈
この動画は、卒後3年前後の理学療法士にとって特に価値がある。
マリガンコンセプトを「ポジショナルフォルトを直す手技」としてだけ理解するのではなく、痛みのない運動経験、患者の期待、臨床推論、疼痛科学、再評価との接続から理解することで、より現代的に臨床へ活かしやすくなる。
批判的な意見
マリガンコンセプトへの批判的視点は、大きく3つに整理できる。
1. 効果機序が単純ではない
マリガンコンセプトでは、関節のpositional faultを補正するという説明が用いられることがある。しかし、positional faultが画像検査で明確に確認されることはまれであり、即時的な痛みの軽減をすべて「関節のズレが戻った」と説明するのは現代的には慎重であるべきだ。
2007年のcritical reviewでも、MWMの効果や作用機序を、バイオメカニカルな側面と疼痛科学的な側面の両方から検討する必要があるとされている。したがって、マリガンコンセプトを現代臨床で用いる場合は、関節運動だけでなく、神経生理学的反応、痛みのない運動経験、患者の期待、治療文脈も含めて考えるべきである。
2. 即時効果と長期効果は別物である
MWMやSNAGsによって、その場で痛みが軽くなったり、可動域が増えたりすることはある。
しかし、それが再発予防や長期的なADL改善にどこまでつながるかは、疾患、患者背景、運動療法の併用、セルフマネジメントの実施状況によって変わる。
3. 研究の質にばらつきがある
2009年レビューでは肯定的な結果が多く報告されているが、より堅牢な研究方法が必要とされている。
近年のレビューでも、対象疾患によっては統計的に有意な結果が示される一方、臨床的有意性、長期効果、エビデンスの質について慎重な解釈が求められる。
臨床での説明はこうすると安全
「この手技で関節のズレを治します」と断定するよりも、「痛みの少ない動きを作るために、関節へ補助を加えながら運動を試し、反応を見ていきます」と説明する方が安全である。
このコンセプトは臨床でどのように活用できそうか
マリガンコンセプトは、卒後3年前後の理学療法士にとって、比較的臨床に落とし込みやすい徒手療法コンセプトである。
この時期の理学療法士は、学校で学んだ関節可動域練習、筋力強化、ストレッチ、基本的な徒手療法、運動療法、動作練習を日々の臨床で使いながらも、次のような壁にぶつかりやすい。
- 評価はしているが、治療にどうつなげればよいのか分からない。
- 関節可動域は少し変わるが、患者さんの動作改善に直結しない。
- 痛みのある動作に対して、結局どの介入を選べばよいのか迷う。
- 徒手療法を行っても、その後の運動療法やセルフエクササイズにつながらない。
- 患者さんに「何が変わったのか」をうまく実感してもらえない。
マリガンコンセプトは、こうした悩みに対して一つの整理された視点を与えてくれる。
特徴は、痛みのある動作や制限されている動作をその場で確認し、セラピストが関節に徒手的な補助を加えながら、患者自身にもう一度動いてもらう点である。
そして、痛みが軽くなるか、可動域が広がるか、動作が楽になるかをすぐに再評価する。
つまり、マリガンコンセプトは 評価 → 介入 → 再評価 の流れを非常に作りやすいコンセプトである。
この時期に必要なのは、単に新しい手技を増やすことではなく、患者の反応を見ながら仮説を立て直す力を育てることである。
どういった理学療法士であれば学ぶ価値がありそうか
マリガンコンセプトを学ぶ価値が高いのは、まず 運動器疾患を多く担当している理学療法士 である。整形外科クリニック、スポーツ現場、外来リハビリ、回復期、生活期などで、肩、肘、手関節、腰部、頸部、膝、足関節などの痛みや可動域制限をよく診る理学療法士にとっては、臨床で使う場面を想像しやすい。
次に、徒手療法と運動療法をうまくつなげたい理学療法士 にも向いている。卒後3年前後では、徒手療法、ストレッチ、筋トレ、動作練習をそれぞれ別々に行ってしまい、「今日の介入全体がどうつながっているのか」が曖昧になることがある。
マリガンコンセプトは、患者の能動運動を治療に組み込むため、徒手的な介入から運動療法へ自然に移行しやすい。
また、患者に変化を実感してもらうのが苦手な理学療法士 にとっても学ぶ価値がある。
臨床では、患者に「良くなっている気がしない」「何をされているのか分からない」と感じさせてしまうことがある。マリガンコンセプトでは、介入前後で痛み、可動域、動作を比較しやすいため、患者説明の練習にもなる。
| 学ぶ価値が高そうな理学療法士 | 理由 |
|---|---|
| 運動器疾患を多く担当している | 肩・膝・腰・頸部・足関節などで使う場面が多い。 |
| 徒手療法と運動療法をつなげたい | 手技で得た変化を動作やセルフエクササイズへつなげやすい。 |
| 評価と治療のつながりに悩んでいる | 介入前後の再評価を習慣化しやすい。 |
| 患者に変化を実感してもらいたい | 痛みや可動域の即時変化を確認しやすい。 |
| 臨床推論を鍛えたい | 補助方向、肢位、動作、反応を考える練習になる。 |
| 患者参加型の治療を重視したい | 患者自身の能動運動を治療に組み込める。 |
一方で、どういった理学療法士であれば学ぶ価値が低い可能性があるか
一方で、マリガンコンセプトの学習優先度がそれほど高くない理学療法士もいる。
まず、運動器疾患をほとんど担当しない理学療法士 である。中枢神経疾患、呼吸器疾患、内部障害、集中治療、急性期管理などが臨床の中心で、関節痛や局所的な可動域制限に対する介入機会が少ない場合、マリガンコンセプトをすぐに使える場面は限られる。
次に、徒手療法だけで治療を完結させたい理学療法士 には注意が必要である。マリガンコンセプトは徒手療法ではあるが、本質は「手で治すこと」だけではない。患者の能動運動、即時変化の確認、再評価、セルフエクササイズへの接続が重要である。
また、即時効果を過大評価しやすい理学療法士 も慎重であるべきだ。MWMやSNAGsによって、その場で痛みが減ったり、可動域が広がったりすることはある。しかし、即時効果があることと、長期的に改善することは同じではない。
| 学ぶ優先度が低い可能性がある理学療法士 | 理由 |
|---|---|
| 運動器疾患をほとんど担当しない | すぐに使える臨床場面が限られる。 |
| 徒手療法だけで治療を完結させたい | 患者の能動運動やセルフ管理への接続が重要だから。 |
| 即時効果を過大評価しやすい | その場の変化と長期改善は別だから。 |
| すでに別の評価体系を深く使えている | 最優先で追加する必要はない場合がある。 |
| 患者の問題を局所関節だけで捉えやすい | 痛みや機能障害には多因子が関わるから。 |
卒後3年前後の理学療法士への結論
マリガンコンセプトは、卒後3年前後の理学療法士にとって、魅力的な「+α」の選択肢である。
ただし、学ぶ目的は新しい手技を増やすことではない。
痛みのある動作を評価し、患者の能動運動を活かし、即時変化を再評価し、その変化を運動療法やセルフマネジメントへつなげる力を高めることにある。
まとめ
Brian Mulligan氏は、ニュージーランドの理学療法士であり、1954年に資格を取得し、1956年からWellingtonで長く臨床に携わった人物である。
Stanley Paris氏を通じて徒手療法に導かれ、Freddy Kaltenbornをメンターとしながら、Cyriax、Maitland、McKenzie、Elveyらの影響も受け、独自のMulligan Conceptを発展させた。
マリガンコンセプトの最大の特徴は、セラピストの徒手的補助と患者の能動運動を同時に行う点である。
MWM、SNAGs、NAGs、SMWLMなどを通じて、痛みのない運動、即時的な可動域改善、機能動作の改善を目指す。
一方で、positional fault仮説、効果機序、研究の質、長期効果については批判的に読む必要がある。
マリガンコンセプトは、単独で万能な治療法ではない。
現代臨床では、運動療法、患者教育、セルフエクササイズ、生活指導と組み合わせて活用することで、より実践的で安全なアプローチになる。
卒後3年前後の理学療法士にとって、マリガンコンセプトの価値は「新しい手技を覚えること」だけではない。
評価、介入、再評価をつなげ、患者自身の能動運動を治療に組み込み、痛みのない変化を運動療法やセルフマネジメントへつなげる。
その臨床的な流れを学べる点にこそ、大きな価値がある。
安全上の注意
この記事内の動画は理解を助けるための補助資料であり、実際の手技は患者の症状、禁忌、irritability、既往歴、神経症状、疼痛反応を評価したうえで実施する必要がある。
手技の習得には、認定講師による正式な講習や実技指導が推奨される。
日本におけるマリガン講習会・書籍・マリガンベルト購入先
日本でマリガンコンセプトが学べる場所
以前はマリガンコンセプトの講習会を「日本徒手理学療法学会」で受講することが出来ていた。しかし2026年3月末で解散してしまった。
会員各位
平素より本会の活動にご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。
日本徒手理学療法学会は、2001年の設立以来、徒手理学療法の発展および臨床・研究の推進を目的として活動してまいりましたが、2026年3月31日をもって解散いたしました。
これより、総会決議に基づき、清算人により清算手続きを進めてまいります。 清算手続きが完了次第、改めてご報告申し上げます。
これまで本会の活動を支えてくださった会員の皆様、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。
2026年3月31日
日本徒手理学療法学会
理事長中山 孝
~日本徒手理学療法学会HPより引用~
そして現在、マリガンコンセプトは国際徒手理学療法学会で学ぶことが出来るらしい。
講師陣は、日本徒手理学療法学会での講習会でお世話になった中山孝先生・赤坂清和先生が引き続き務めるようだ。
マリガンコンセプトコースの流れ
- まずはUpper QuarterまたはLower Quarterから受講。
- 認定まで目指すなら、 Advance Courseを受講
- CMP試験を受ける。
※Upper、Lower、Advanced Courseの修了が試験要件として示されている。
合格するとCMP認定となる。
ちなみに私もCMP認定を取得ている。
⇒『マリガンコンセプトの認定試験に合格したよ。「講習会のコース概要」や「書籍」も紹介』

マリガンコンセプトのDVD・書籍
以下がマリガンコンセプトのDVDと書籍になる。
マリガンバンドの購入できるサイト
マリガンコンセプトでは以下の動画のように、バンドを使用する手技が存在する。
※また、セルフエクササイズとしてバンドを使用することもあります。
マリガンコンセプトの一部で使用するバンド2種類(頚部用・その他用)はマリガンコンセプトの講習会へ参加すれば、そこで購入することが可能だ。
一方で、サイトで購入することも可能であり、マリガンベルト(あるいは類似したベルト)を以下の記事で紹介しているため、興味がある方はチェックしてみてほしい。
⇒『マリガンベルトはどこで買う?MWMsやセルフエクササイズで使う補助ベルトの選び方』
動画で見る:マリガンコンセプトの全体像
最後に、マリガンコンセプトの全体像を語っている動画を紹介して終わりにする。
この動画は、マリガンコンセプトが「徒手療法」と「患者自身の能動運動」をどのように組み合わせるのかを理解する導入として使いやすい。
※念のため、日本語訳の文章も掲載しておく。
動画を見るときの注釈
この動画は、手技をそのまま模倣するためのものではなく、コンセプトの全体像を理解するための補助資料として位置づける。実際の臨床では、患者のirritability、神経症状、既往歴、禁忌、疼痛反応、再評価結果を踏まえて実施する必要がある。
動画の日本語訳:
マリガンコンセプトにご関心をお寄せいただき、ありがとうございます。私の名前はジュリー・ペリーノです。私はマリガンコンセプト教師協会の認定メンバーです。
皆さんは、「マリガンコンセプトとは具体的に何なのか」「自分の臨床実践にどのような影響を与えるのか」と疑問に思っているかもしれません。
マリガンコンセプトとは、ニュージーランドの理学療法士であるブライアン・マリガンによる徒手療法テクニックを指します。
ブライアン・マリガンは徒手療法家であり、長年にわたって自身の独自の治療テクニックや臨床推論に影響を与えた人物として、フレディ・ケルソンボーン、ジェームズ・シリアックス、ジェフ・メイトランド、ロビン・マッケンジー、ロバート・エルヴィーといった師たちの名前を挙げています。
ブライアンは、徒手療法の分野に「モビライゼーション・ウィズ・ムーブメント」、つまり「運動を伴うモビライゼーション」という概念を導入しました。
モビライゼーション・ウィズ・ムーブメントは、セラピストが加える従来のモビライゼーションの力に、患者自身が行う能動的な運動を組み合わせたものです。
これらのテクニックを臨床に取り入れることで、身体のあらゆる関節において、痛みのない機能的な動きを回復させることを目指します。
これらのテクニックは、徒手療法の分野において革新的なものでした。なぜなら、従来の手技によるモビライゼーションの力を加えながら、同時に患者に痛みのない機能的な動きを行ってもらうからです。
マリガンコンセプトによって、患者は徒手療法に能動的に関わるようになりました。それまでの徒手療法は、歴史的には受け身で、荷重を伴わないものが中心でした。
マリガンの徒手療法テクニックにおけるもう一つの重要な概念は、そのテクニックが「痛みを伴わず、即時的で、効果が持続する」という点です。
マリガンコンセプトのテクニックが適応となる場合、即時的な結果が期待されます。そしてブライアンが述べているように、その即時的な変化は診断的にも重要な意味を持つことがあります。
MCTAのメンバーとして、私たちの目標は、私たちの師であるブライアン・マリガンの知的遺産を広く伝えていくことです。
これは、臨床家向けの卒後教育コースを開催すること、学会やカンファレンスで教育を行うこと、そしてマリガンコンセプトに関する継続的な研究を支援することによって実現されています。
個人的にも、専門職としても、北米で初めてブライアン・マリガンのテクニックを教える認定を受けた女性として、私は自信を持って言えます。マリガンコンセプトは、私の治療アプローチを永遠に変えました。
マリガンコンセプトは、痛みのない方法で何千人もの患者を治療し、正常な機能的動作や生活を取り戻すための手段を私に与えてくれました。
私が長年経験してきたような臨床上の成果を、皆さんにもぜひ体験していただきたいと思います。そのために、セミナーに参加し、これらのテクニックについてさらに学んでいただければ幸いです。
マリガンコンセプトにご関心をお寄せいただき、ありがとうございました。
参考文献
- Mulligan Concept Teachers Association|Mulligan Concept - Manual Therapy
MWMの基本説明、active movementまたはfunctionとの組み合わせ、Brian Mulligan氏がWellingtonで発展させたこと、1984年以降に国際的に教えられてきたことを確認できる資料。 - Mulligan Concept Teachers Association|Founder and History
Brian Mulligan氏の1954年資格取得、1956年Wellingtonでの開業、公式プロフィール上の2000年臨床引退、Stanley Paris、Freddy Kaltenborn、James Cyriax、Geoff Maitland、Robin McKenzie、Robert Elveyとの関係、NZ Manipulative Therapists Associationの1968年表記、MCTAの1995年/1996年表記差、受賞歴について確認できる資料。 - Mulligan Concept Teachers Association|MULLIGAN™ Concept
Kaltenbornからの初期教育、MWM、SNAGs、セラピストの力と患者の能動運動を同時に用いる特徴、PILL反応、痛みのない運動と機能改善の考え方について確認できる資料。 - Mulligan Concept Teachers Association|MCTA
Mulligan Concept Teachers Associationの設立趣旨、1995年設立表記、国際的な認定講師組織としての役割、Mulligan Concept教育の標準化に関する情報を確認できる資料。 - Mulligan Concept Teachers Association|MCTA Teacher Qualifications
MCTA認定講師の資格、教育水準、Mulligan Conceptの国際的な教育体制について確認できる資料。 - New Zealand Department of the Prime Minister and Cabinet|The Queen's Birthday and Platinum Jubilee Honours List 2022
Brian Mulligan氏のONZM受章、2002年までWellingtonで理学療法実践を行ったという表記、1972年のNew Zealand Manipulative Therapists Association共同設立表記、MCTA、国際教育活動、2016年Geoffrey Maitland Award、2015年の共著など、公的評価について確認できる資料。 - IFOMPT|IFOMPT Awards Past and Present
Brian Mulligan氏が2016年にGeoffrey Maitland Memorial Awardを受賞したことを確認できる資料。 - Elsevier|The Mulligan Concept of Manual Therapy: Textbook of Techniques, 2nd Edition
MCTA公認テキスト、第2版、MWM、Pain Release Phenomenon、ホームエクササイズ、テーピング技術など、マリガンコンセプトの具体的技術体系について確認できる資料。 - Vicenzino B, Paungmali A, Teys P. Mulligan's mobilization-with-movement, positional faults and pain relief: Current concepts from a critical review of literature. Manual Therapy. 2007;12(2):98-108.
MWMの効果機序について、positional fault仮説だけでなく、バイオメカニカルおよび疼痛科学の両面から批判的に検討する必要性を確認できる文献。 - Hing WA, Bigelow R, Bremner T. Mulligan's Mobilization with Movement: A Systematic Review. Journal of Manual and Manipulative Therapy. 2009.
末梢関節MWMの研究状況、肯定的結果、方法論上の限界について確認できる文献。 - Stathopoulos N, Dimitriadis Z, Koumantakis GA. Effectiveness of Mulligan's mobilization with movement techniques on pain and disability of peripheral joints: a systematic review with meta-analysis between 2008-2017. Physiotherapy. 2019.
末梢関節MWMの痛み・障害への効果、positional fault仮説、検索対象データベース、2008〜2017年の研究に関するメタ分析を確認できる文献。 - Stathopoulos N, Dimitriadis Z, Koumantakis GA. Effectiveness of Mulligan's Mobilization With Movement Techniques on Range of Motion in Peripheral Joint Pathologies: A Systematic Review With Meta-analysis Between 2008 and 2018. Journal of Manipulative and Physiological Therapeutics. 2019.
末梢関節疾患におけるMWMの可動域への効果を、2008〜2018年の研究から検討したメタ分析として確認できる文献。 - Westad K, Tjoestolvsen F, Hebron C. The effectiveness of Mulligan's mobilisation with movement (MWM) on peripheral joints in musculoskeletal conditions: A systematic review. Musculoskeletal Science and Practice. 2019.
末梢関節のMSK症状に対するMWMについて、プラセボや無介入より有利な可能性がある一方、他の医療・理学療法介入より優れているとはいえないこと、エビデンスの質が中等度から非常に低い範囲であることを確認できる文献。 - Pourahmadi MR, Mohsenifar H, Dariush M, Aftabi A, Amiri A. Effectiveness of mobilization with movement (Mulligan concept techniques) on low back pain: a systematic review. Clinical Rehabilitation. 2018.
腰痛に対するMulligan techniquesの効果、痛み・障害・可動域への影響、エビデンスの限界について確認できる文献。 - Hussein H, Atteya M, Ansari A, Kamel E. A Systematic Review and Meta-Analysis of the Effectiveness of Mulligan Mobilization with Movement on Pain, Range of Motion, Function, and Flexibility in Patients with Sciatica. NeuroRehabilitation. 2025.
坐骨神経痛に対するSMWLM、BLR、TSLRの効果、疼痛・可動域・機能・柔軟性への影響、研究数や質の限界について確認できる文献。 - ElMeligie MM, Abdeen HA, Atef H, Marques-Sule E, Karkosha RN. The effectiveness of mulligan mobilization with movement (MWM) on outcomes of patients with ankle sprain: a systematic review and meta-analysis. BMC Sports Science, Medicine and Rehabilitation. 2025.
足関節捻挫に対するMWMの痛み、ROM、Weight-Bearing Lunge Test、バランス指標への効果、およびGRADE評価で全体的なエビデンスの質が低い、または非常に低いとされた点を確認できる文献。 - Çelik D, Van Der Veer P, Tiryaki P. The Clinical Significance of Mulligan’s Mobilization with Movement in Shoulder Pathologies: A Systematic Review and Meta-Analysis. Journal of Integrative and Complementary Medicine. 2025.
肩関節疾患に対するMWMについて、統計的有意差が示された一方、多くのアウトカムで臨床的有意性が一貫して達成されていない点を確認できる文献。 - Physiopedia|Mobilization with Movement (MWMs)
MWM、NAGs、SNAGs、PILL反応、CROCKSなどの概念を概説した二次資料。公式資料・査読論文を補助する概念確認用資料として参照できる。
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この記事では、なるべく中立的立場を意識した記事となっている。
一方で、以下では(この記事と比べると)私の意見も多く入っている記事もあるので、併せて観覧してみてほしい。
⇒『マリガンコンセプトと関節不安定性(Instability)』
以下の記事では、 「徒手療法・運動療法・神経リハ・ボディワーク・教育系アプローチ」における人物・コンセプトをまとめている。
これらに興味がある方は、概要を理解する一助になると思うので、ぜひ観覧してみてほしい。
