この記事では、認知症の簡易検査として有名な『HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)』をカットオフ値も含めて解説している。
リハビリ職種(理学療法士・作業療法士)や看護・介護の従事者はぜひ観覧してみてほしい。
※採点するにあたっての(リハビリ職種向けな)細かいポイントをクドクドと記載しているが、これらの点は興味のある方のみ観覧してもらい、それ以外の人は評価表だけ参考にしてみてほしい。
※評価用紙のダウンロードは以下から可能。
目次
HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)とは?
『HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)』は日本で最もよく使われている認知症の簡易検査であり、認知症の中核症状である記憶障害の評価が中心となっている。
長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)とは、長谷川和夫によって作成された簡易知能検査である。
言語性知能検査であり、失語症・難聴などがある場合は検査が困難となる。
日本においては、MMSEと並んでよく用いられる。
かつては「長谷川式簡易知能評価スケール」と呼ばれていたが、2004年4月に痴呆症から認知症へ改称されたことに伴い、現在の名称に変更されている。
認知症検査で行われる場合は、およそ10~15分を要する。
~ウィキペディアより~
事前に対象者の生年月日さえ確認しておけば、他の情報を把握しておく必要がないため、簡便に短時間で認知症をスクリーニングすることができる。
国内で標準化された検査なため、点数の平均値やカットオフ値が日本人から得た値であるといった点でも有用性が高い検査といえる。
満点:30点
カットオフポイント:20/21(このポイントが最も弁別力が高い)
20点以下:認知症の疑い
参考:各重症度別の平均得点
・非認知症:24.45±3.60点
・軽度認知症:17.85±400点
・中等度認知症;1410±2.83点
・やや高度認知症:9.23±4.46点
・高度認知症:475±2.95点
~図解理学療法検査・測定ガイド第1版より引用~
ただしHDSーRは、あくまで簡易検査である点には注意してほしい。
『20点以下であれば認知症疑いがある』と判断されるだけであり、『認知症と確定される』わけではない。
重複するが、これは簡易検査であり、この検査結果のみから、直接認知症の有無や重症度を判定することはできない。
HDS-Rを実施するにあたっての注意点・確認事項
HDS-Rは「比較的簡便である」とはいっても、その「簡便さ」は、ほかのテストと比較してのことであるし、実施する側にとっての話となる。
対象者(患者・利用者など)にとっては決して簡便でないということは肝に銘じておこう。
また、内容からして、こういったことを尋ねられるのは、問いに答えられる人にとっても、答えられない人にとっても愉快ではない。
注意点:
これは長谷川式認知症スケールで認知症の状態を調べる時だけに限る話ではないものの、このようなテストは
「受ける人がやる気を出して、自分の能力の最大限を発揮するということがないと、正確に評価できません」
と開発者の長谷川自身が述べており、またそのように仕向けるためには、診療する側の技術が必要だとも述べている。
この他、テストを受ける人が傷つかないように実施しなければならない、という趣旨のことも長谷川は述べている。
~ウィキペディアより~
HDSーRを実施するにあたっての確認事項
HDS-Rの実施前に確認した方が良い点は以下の通り。
- 難聴の有無と程度:
聞こえが悪い場合には静かな場所で実施する。
- 失語症の有無:
言葉が思い出せずに詰まることがあるなどの、失語症の疑いのある患者の場合、問題8の「5つの物品記銘」と問題9の「言葉の流暢さ・野菜名の想起」を初めに実施して、スケールの実施適応を推定する場合もある。
HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)
前置きがダラダラと長くなったが、以下がHDS-Rの評価表である。
質問内容 |
配点 |
||
1 |
お年はいくつですか?(2年までの誤差は正解) |
0・1 |
|
2 |
今日は何年・何月・何日ですか?何曜日ですか? (年・月・日・曜日がそれぞれ1点ずづ) |
年 月 日 曜日 |
0・1 0・1 0・1 0・1 |
3 |
私達は今いる所は何処ですか?(自発的に出れば2点、5秒おいて、家ですか? 病院ですか? 施設ですか? の中から正しい選択をすれば1点) |
0・1・2 |
|
4 |
これからいう3つんお言葉をいってみてください。 後でまた聞きますのでよく覚えておいて下さい。 (以下の系列のいずれか一つを選択し、採用した系列に○印をつけておく) 1:a)桜 b)猫 c)電車 2:a)梅 b)犬 c)自動車 |
0・1 |
|
5 |
100から7を順にひいて下さい(100-7は? それからまた7を引くと? と質問する。最初の答えが不正解の場合、打ち切る) |
(93) (86) |
0・1 0・1 |
6 |
私がこれからいう数字を逆から言って下さい(6-8-2、3-5-2-9)(3桁逆唱に失敗したら打ち切り) |
2-8-6 9-2-5-3 |
0・1 0・1 |
7 |
先ほど覚えてもらった言葉をもう一度いってみて下さい。 (自発的に回答があれば各2点、もし回答がない場合、以下のヒントを与え正解であれば 1点)。 a)植物 b)動物 c)乗り物 |
a : 0 1 2 b : 0 1 2 c : 0 1 2 |
|
8 |
これから5つの品物を見せます。それを隠しますので何があったか言ってください。 (時計、鍵、タバコ、ペン、硬貨など必ず相互に関係ないもの) |
0 1 2 3 4 5 |
|
9 |
知っている野菜の名前を出来るだけ多くいって下さい。 (答えた野菜の名前も右欄に記入する) (途中で詰まり、約10秒間待ってもでない場合はそこで打ち切る) 0~5までは0点 6=1点 7=2点 8=3点 9=4点 10=5点 |
野菜名を記載 |
0 1 2 3 4 5 |
もう少し、きちんとした評価用紙は以下からダウンロード可能。
⇒『HDS-R(長谷川式)評価用紙のダウンロード(PDF)はこちらから』
⇒『HDS-R(長谷川式)評価用紙のダウンロード(Word)はこちらから』
念のため、カットオフ値や平均値を再度記載しておく。
満点:30点
カットオフポイント:20/21(このポイントが最も弁別力が高い)
20点以下:認知症の疑い
参考:各重症度別の平均得点
・非認知症:24.45±3.60点
・軽度認知症:17.85±400点
・中等度認知症;1410±2.83点
・やや高度認知症:9.23±4.46点
・高度認知症:475±2.95点
~図解理学療法検査・測定ガイド第1版より引用~
長谷川式簡易知能評価スケールを動画で理解
上記の評価の流れを分かり易く紹介した動画が以下になる。
HDS-Rを実施するにあたっての留意事項
HDS-Rを実施するにあたって用意するのは以下のみで良い。
- 記録用紙
- 5つの相互に無関係な日用物品(問題8で活用するための物品)
ここからは、各質問に関する留意点を記載していく。
HDS-Rの質問① 年齢
2歳以内は正答としているが、同じ2歳の開きでも年代によって評価に差がある。
高齢者の場合、満年齢ではなく数えの年齢を使う習慣があるため、2歳以内は正答とされている。
数えでは満年齢より少なくなることはないので、少なく言う場合には注意が必要である。
戦後世代では満年齢で数えることが習慣化しているため、2歳の違いは厳しく評価することを主張している文献もあったりする。
実際の年齢との差が何十年もある場合には、家族構成や子どもの年齢、親の年齢などを尋ねる。
矛盾がある場合(自分は30歳なのに、子どもは25歳など)は指摘して、修正できるかどうかをみる。
HDS-Rの質問② 日時の見当識
日時の見当識を評価する上でのポイントは以下の通り。
- カレンダーなどの手がかりを利用しようとする様子があるのか
- 誤り時の戸惑い(日常的な課題であるため、戸惑いの有無は重要)
日付が月から大きく違う場合には、季節も尋ねてみる。
また誤りの場合は指摘し、正しい日付を教えて検査終了後にもう一度確認する。
それによって、関心の度合いや把持能力、修正能力をみる。
日付が正確に1ヵ月ずれている場合や、平成を昭和と言ってしまったが年齢が合っている場
合は、「○月?」などと問い返して修正をみるのも良いと思う。
※うっかりミスだったり、背景に注意障害がある場合がある。
HDS-Rの質問③ 場所の見当識
リハビリ病院でこの問題につまずくのは、認知症があるか、もしくは前頭葉症状の著明な対象者な可能性が高い。
前頭葉症状を持つ患者の場合、環境に左右されやすいので、(リハ室ではなく)病棟で看護師が実施する場合には正答が得られやすいかもしれない。
心理評価場面では、環境依存的に「事務所」「学校」などの答えが聞かれることがある。
HDS-Rの質問④ 3つの言葉の記銘
「3つの言葉の記銘」を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 「後でもう一度聞きます」と伝えた際の反応:
物忘れに対する自覚を知るうえでも、「後でもう一度聞きます」と伝えた時の反応は重要である。
物忘れが存在し、その自覚や不安などがある場合、表情の変化であったり、「覚えられない」などのなんらかのコメントがある場合も多い。
- 復唱順序:
この問題で失点がある場合には、難聴または注意障害が背景にある場合が多い。
得点は得られても順序が違う場合(梅・自動車・犬など)には、注意障害がある場合が多い。
注意障害が背景となって、一度に記憶できる容量が少なくなっている場合(注意スパンの低下)や問題に集中できていない場合は、取り出す時に順序よく整理できずに思いつくままに言ってしまっている(ペーシングの問題)ことが考えられる。
難聴の場合には、「うめ→ゆめ」などの音の置換の形をとるか、聞こえないと訴える場合が多い。
- 検査を受けた経験の確認:
評価を継続して行う場合には、1系列、2系列のどちらを使用するかについても配慮が必要である。
なかには、「桜・猫・電車」と言ったとたん、「それ、前の病院でも聞かれた」と言れる場合もある。
そのような発言からも、記銘力に問題のないことが推測できるため、検査はただちに中止する方が良いだろう。
HDS-Rの質問 計算
『計算』を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 反応スピード
- 誤りパターン(引き算のミスなのか、数字の把持なのか):
検査上の留意点としては「2回目に関しては、検査者が最初の計算の答えを言ってはならないとされていること」が挙げられる。
このことによって、まず最初の答えを把持できているのか(注意の維持および記銘が重要)、そのうえでさらなる計算ができるのか(注意の分配および処理容量)をみることができる。
最初の答えが入れ替わって計算する場合(93と言ったのに、次には97引く・・・と言いながら計算する)などがよくみられる。
7を引くことそのものを記憶できている場合には、注意の問題があることが多い。
また、注意障害のある患者には、「103」の誤りも多くみられる。
逆に引き算することそのものを忘れてしまっていたり、何を引いてよいのかわからない場合には、記銘の問題の可能性も考えられる。
もちろん、どちらの要素も持ち合わせていることもある。
失敗の原因は、ほかの問題での失点のパターンをみて判断することもある。
例えば、ほかの失点が数字の逆唱のみであったならば、記銘そのものよりも注意の問題である可能性が高いし、記銘に障害のある場合には、問題1~3の見当識課題や「3つの言葉の想起」「5つの物品記銘」などが失点となる。
2回目の計算で、「何から引くんだつけ?」と尋ねられた場合には、「なんでしたっけ?」と聞き返してみるのも一つのアイデアだ。
計算をし直してみる姿が見られれば、記銘力の低下というよりは、注意スパンの問題によるものが大きいと考えることができる。
HDS-Rの質問⑥ 数字の逆唱
『数字の逆唱』を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 誤りパターン:
臨床上、誤りのパターンとしては以下のような例が代表的である。
①説明の理解が不十分:
6・8・2⇒5・7・・・・のように、引き算する(問題5の教示を引きずっている7・5のように間の数字を言おうとする。
2ひやく8じゆう…のように、ひとつの数字にする
②順序の誤り:
6・8・2⇒8・6・2など
③数字の忘れ:
3・5・2・9⇒3・2・5・・・・あれ?など
教示の理解が不十分な場合には、ペーシングの障害が著明であったり、コミュニケーションの疎通性が不良であることが多い。また、復唱はするけれども逆唱には、その都度「逆さまに言うと?」などの促しが必要である場合も多い。
- 反応ペース:
ゆっくりだが、正確な答えが得られる場合には、思考の速度が遅くなっている可能性が高く、対象者のペースに合わせた対応が望まれる。
なお、4桁の逆唱は、認知症のない正常高齢者群でも正答率は35%と記載されている文献もあるほど難易度が高い。
HDS-Rの質問⑦ 3つの言葉の想起
『3つの言葉の想起』を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 説明を覚えているのか:
記銘教示の体験(3つの言葉を覚えておくよう言われたこと)自体を忘れてしまっている場合、記銘力の低下は高度な可能性もある。
数字を言い出す対象者もいるが、その場合には、問題5・6のことを思い出そうとしている場合が多いので、「その前に言った言葉」などの補助を入れる必要がある場合もある。
それでも数字を言おうとする場合には、ヒントを早めに提示する。
ヒントによって思い出せれば「適切に注意を向けさえすれば、体験は保存されている」と考えることができる。
- ヒントは有効なのか:
体験そのものは保存されているが、言葉が思い出せない場合にも、ヒントの有効性はポイントである。
なぜなら、ヒントが有効であるのかどうかで、日常生活に与える影響はずいぶん異なると思われるからである。
ヒントでも想起が困難な場合には、「菊か梅」などのように選択肢を与えて、既知感があるのかどうかをみる。
- わからない場合の対処方法:
わからない場合の対処方法は重要である。
思い出そうとする様子があるのかどうかによって、検査への動機づけや忘れることをどうとらえているのかなどを推測することができる。
作話反応の有無もチェックする。
問題4で出てきていない言葉が出てくるようであれば、わからないことへの穴埋め的な反応としての作話傾向を疑う必要がある。
わからない場合で、特にそのことを気にしている場合には、フォローすることや、時には検査を打ち切ることも(後々もかかわっていくことを考えると)必要な場合もある(まぁ、この際の対応は賛否あると思うが)。
HDS-Rの質問⑧ 5つの物品記銘
『5つの物品記銘』を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 物品を見ている間、集中しているか
- 物品は認識されているか:
用意する物品は、相互に無関係で、日常よく使用するものとされている。
スプーン、歯ブラシなど、片側を見ただけでは何かわからないものを用意すると、(脳血管障害など場合においては)半側空間無視のスクリーニングにもなる。
例えば麻痺側にスプーンのすくう部分や、歯ブラシのブラシ側を向けて置いてみる。
半側空間無視が重度の場合には、何か同定されるまでに時間を要したり、わからなかったりする場合がある。
そういった場合には、反対側を向けて、しっかり物品を認知させてから物品を隠す必要がある。
また、無視が疑われる場合には、物品を縦に並べて提示するなどの配慮が必要となる。
ちなみに、本来のHDS-Rでは、検査の実施者(療法士)が一つひとつ指さしをして物品名を言うことになっている。
しかし臨床的には、対象者に物品名を言ってもらった方が良い場合もある。
例えば脳血管障害を有した対象者に実施する場合には、患者に物品名を言わせることが有用であると考えられる。
物品名を本当に認知できているのかを確認することが可能であり、認知できた物品名を言えるのかも評価できる。
※前述したように、半側空間無視がある場合には、物品を認知するのは困難であるし、日常会話は可能だが軽度の失語症(喚語困難)がある場合には、物品名が言えない場合もある。
また回答時には、提示順に再生しようとして言葉につまる患者もみられるので、そのような場合には提示順でなくてもよいことを伝える。
全部回答できない場合には、ヒントを提示して反応をみることが多い。
まずは、「食事の時に使うもの」などの、想起のヒントを与える。
誤答があった場合やわからなかった場合には、「スプーンかフォークのどちらかです」などのように選択肢を与えて反応をみる。
HDS-Rの質問⑨ 野菜の名前・言葉の流暢さ
『野菜の名前・言葉の流暢さ』を評価する上でのポイントは以下の通り。
- 反応スピード
- 同じ野菜名の登場はみられるのか:
「自発性の低下」や「思考の抑制」がみられれば、出てくる個数は少なくなる。
同じ野菜名が何度も登場する場合には、「結局何個言えたのか」も重要。
重複を除く総個数が少ない場合には(反応スピードも遅いことが多い)、保続や思考の抑制が原因であったり、想起段階での困難が存在する可能性がある。
一方で、総個数としては、(重複した野菜が何度も登場しつつ)10個近くまたはそれ以上出ている場合には、注意の低下がある可能性がある。
また時間をかけることで、想起できるのかということも重要。
時間をかければ想起できる対象者には、日常生活面でも患者の思考ペースに合わせていくことで、達成できることが増えていく可能性もある。
※点数化は別として、10秒といわずもう少し待ってみてほしい。
- 想起すべき言葉のカテゴリー(野菜)は、把持されているのか:
「野菜名」というカテゴリーが維持できない例もみられる。
※「人参・じゃがいも・・・。人参と言えば、煮物。うちのお袋の煮物はうまくてね・・」などのように、話がどんどん発展してしまう例。
※あるいは「人参・じゃがいも・セロリ・豆はたくさんあるね。トマト・スイカ・みかん・・・お菓子もいいのかな?」などのように、カテゴリーが維持されずに、変化してしまう例もある。
こちらからは「何を思い出すんでしたっけ?」と、いったん想起すべきカテゴリーを思い出させることが多い。
こういった誤りをする対象者には、思考の抑制が障害されていたり、コミュニケーションの疎通性が不良な場合が多い。
また、ここでも手がかりの利用を確認してみる。
「八百屋さんをイメージして考えてください」とか、それでも困難な場合には、「カレーに入っているもの」とか、「サラダに入れるもの」などと尋ねてみる。
イメージを想起できるのかということのひとつの指標ともなる。
脳卒中患者に対する認知症評価スケールの活用(注意点)
認知症の評価スケールは、大きく以下の2種類に分けられるが、どちらも一長一短である。
①行動評価尺度(行動評価法):
行動評価による老人知能の臨床的判断基準(柄澤式) など。
②認知機能検査(テスト法):
改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、MMSE など。
いずれの認知症の評価スケールにおいても「麻痺や失語症がなく、認知症が主訴となる人」を対象につくられているため、脳卒中のリハビリテーション場面で求められる「合併症としての認知症」を評価するためのスケールというのは存在しない。
でもって、脳卒中患者にHDS-Rを用いて認知機能を評価することはある。
そんな際のヒントは、前述した「HDS-Rを実施するにあたっての留意点」にちりばめられているので、再度確認してみてほしい。
これらの留意点を押さえつつHDS-Rを実施することで「脳卒中患者の学習能力の有無と程度を知り、リハビリテーションの期間や目標を設定する際」の参考にすることが出来る。
また、危険行動や問題行動に発展するような判断力の低下の有無を知るヒントにもなるかもしれない。
脳卒中患者にHDS-Rを用いる際の注意点
HDSーRでは、20点以下を「認知症疑い」と判断する。
しかし一方で、脳卒中の臨床場面で遭遇するケースとしては、20点以下でも、重度右半球症状を持つ対象者など、認知症とは考えにくいケースも20点以下で多くみられる。
従って、(ほかの心理検査にもあてはまることだが)検査の結果のみに振り回されないよう注意する必要がある。
また、検査を実施して点数を出すこともさることながら、なぜ失点が起きたのかを推測するための反応観察が重要となる。
※実際には、右半球症状や前頭葉症状などの存在を、検査場面での反応や失点パターンから推測することは多い。
※HDS-Rの持つ本来の目的からは離れるが、患者に負担をかけて検査を実施する以上、点数以外にもなるべく多くの情報を得れるに越したことはない。
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その他、認知症関連記事としては以下などもある。
特に介護・介護予防分野に携わる人は、これらのリハビリ職種にかかわらず、これらの知識を持っている人は増えているので要チェック!