この記事は、反射検査として深部腱反射テスト・病的反射テストのまとめ一覧となる。
反射検査の意義・種類・記録法などを紹介しているので参考にしてみて欲しい。
反射とは
反射とは以下の様に定義される。
『生体に加えられた刺激に対して適切に対応するための神経系の基本的な反応様式で、
末梢の感覚受容器の刺激によって発生した興奮が求心路を通って中枢神経系の興奮を引き起こし、
これが遠心路によって効果器に伝えられて一定の反応が生じたもの』
反射中枢と反射弓
末梢からの求心性神経(知覚ニューロン)中枢神経系の内部で遠心性線維にシナプス接続している。
このシナプス伝達が行われる部位を反射中枢と呼び、反射中枢を含めた以下の経路を『反射弓(reflex arc)』と呼ぶ。
・受容器
↓
・求心性線維
↓
・反射中枢(反射におけるシナプス伝達が行われる部位)
↓
・遠心性線維
↓
・効果器
ちなみに、反射中枢におけるシナプスのパターンによって以下の反射に分けられる。
単シナプス反射(monosynaptic reflex):
⇒反射中枢において、求心性線維が直接的に遠心性線維とシナプスするパターン
※深部反射が該当
多シナプス反射(polysynaptic reflex):
⇒反射中枢において、求心性線維が介在ニューロンを介して遠心性線維とシナプスするパターン
※深部腱反射を除く、多くの反射が該当
反射中枢と上位中枢
前述したように、反射週数は様々な求心路から伝えられる求心性信号を統合し、その結果生じる反射中枢の興奮を遠心性信号として効果器に伝えている。
ただし反射中枢は、上位中枢とも連絡があり、興奮や抑制性の影響を受けている。
更には求心性信号も上位中枢に達し、そこで統合を受けて反射中枢へ入力する。
この様に反射中枢は末梢と上位中枢からの信号を統合して最終的な出力を効果器に送っている。
なので、反射とは『反射弓』だけで完結する反応ではなく、上位中枢も関与した反応ということになる。
深部腱反射 検査の意義
前述したように反射とは、「反射に関与する経路」である『反射弓』と、反射に興奮あるいは抑制性の影響を与える『上位中枢』が関与している。
従って深部腱反射によって、「反射弓の状態や、上位中枢の状態を知ることができる」といった意義を持っている。
例えば、深部腱反射の検査での以下の2つの反応が起こることがある。
①反射の亢進
②反射の低下・消失
「反射の亢進」は、例えば脳卒中などの『錘体路障害』によって起こる。
※錘体路障害(上位中枢の障害)によって、遠心性神経(運動ニューロン)の興奮性が高まる。
一方で「反射の低下・減弱」は、例えば末梢神経損傷などの『反射弓そのものに問題がある場合』に起こるが、それだけではなく、「上位中枢の障害」によっても起こり得る。
例えば小脳や脳幹の障害(=上位中枢の障害)では、運動ニューロンの興奮性が低下するため深部腱反射は消失する。
反射(検査)の種類
先ほどは、深部腱反射について記載したが、「反射=深部腱反射」ではない。
でもって、反射には以下の種類がある。
・深腱部反射
・表在反射
・病的反射
深部腱反射
深部腱反射は、骨格筋を打腱器(打診器)で叩打してえられる反射を指し、前述したように「単シナプス反射」である。
※深部反射で誰でも知っているメジャーな検査は『膝蓋腱反射(膝下を叩いたら膝がピーンと伸びる)』だと思われる。
表在反射
表在反射は、皮膚及び粘膜を、針・綿などで刺激して得られる反射を指し、前述したように「多シナプス反射」である。
このサイトでは、表在反射の検査についての詳細は記載していないが、以下の検査が存在する。
・角膜反射検査 (⇒粘膜反射)
・くしゃみ反射検査(⇒粘膜反射)
・咽頭反射検査 (⇒粘膜反射)
・腹壁反射検査 (⇒皮膚反射)
・睾丸筋反射検査 (⇒皮膚反射)
・殿筋反射検査 (⇒皮膚反射)
・肛門反射検査 (⇒皮膚反射)
・足底反射検査 (⇒皮膚反射)
ちなみに、表在反射検査としてではなく一般な多シナプス反射の例を挙げるとすると、以下などがある。
「熱いものを触った時、反射的に腕を屈曲させて逃避する」
※侵害刺激に対する逃避反射
病的反射
病的反射は健常者ではほとんど認められず、上位中枢の障害によって抑制が開放することで現れる。
反射検査の記録法
深部反射検査・表在反射検査・病的反射検査は各々以下の様に記載する。
深部反射検査の記録法
・消失 ⇒(-)
・軽度低下 ⇒(±)
・正常 ⇒(+)
・やや亢進 ⇒(++)
・亢進 ⇒(+++)
・顕著な亢進 ⇒(++++)
※深部反射は各反射中枢より上位の障害で冗進、中枢ないし末梢神経の障害で減弱ないし消失する。
表在反射の記録法
・正常⇒(+)
・減弱⇒(±)
・消失⇒(-)
※表在反射は咽頭反射を除いては、錐体路・末梢神経(反射の求心路・遠心路)の障害で減弱ないし消失する。
病的反射の記録
・陽性 ⇒(↖)
・疑わしい⇒( )
・陰性 ⇒(↘)
以下は、右片麻痺の症例における深部反射検査の記録例となる(~ベッドサイドの神経の診かた15版より引用~)
以下は、上記深部腱反射の記録に、表在反射検査・病的反射検査の記録を付け足したもの(~ベッドサイドの神経の診かた15版より引用~)
反射検査の記載方法(補足)
反射検査の記載方法は、上記の様に絵を用いると視認し易いが、記述のみで記載する方法もある(検査項目が少ない場合など)。
ここでは、絵を用いない記述例を補足として記載しておく。
※実習のレポート作成などの参考にしてみてほしい。
~『PT症例レポート赤ペン添削 ビフォー&アフター』より~
深部反射・病的反射
麻痺側/非麻痺側で表記
膝蓋腱反射 | +++/+ |
---|---|
膝屈曲反射 | ±/- |
アキレス腱反射 | ++/± |
Babinski反射 | 陽性/陰性 |
膝クローヌス | +++/- |
足クローヌス | ++/- |
深部腱反射と病的反射を紹介
最後に、深部腱反射検査と病的反射検査を紹介して終わりにする。
以下のリンク先に、各々の検査方法における詳細を記載しているので参考にしてみてほしい。
深部腱反射テストや打腱器の使い方を徹底網羅!
病的反射テストを網羅! 病的反射の動画もあるよ
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