リハビリテーションにおいては、痛みを誘発せずに実施することが基本となる。なぜなら、痛みを誘発させるということは不快な情動を喚起させてしまい、中枢・末梢神経感作を含めて、痛みを複雑化させる可能性を有して ...
この記事では、理学療法士・作業療法士の治療対象となりやすい「慢性疼痛」という用語について考察していく。急性痛と慢性痛という分類痛みには様々な分類方法があり、例えば以下の様な分類が挙げられる。①痛みを症 ...
一般的に情動と言う表現は、「歓喜・不安・苦悶・悲観・驚愕・激怒・恐怖」というような急激に起こされる一過性の強い感情の動きに以下の様な要素が伴った状態を指すことが多い。・顕著な表情・声・行動・自律神経系 ...
この記事では、『感覚』『知覚』『認知』という用語に関して、理学療法の分野で一般的に使用されている解釈を中心に記載していく。感覚感覚(sensory)とは、外の環境または身体内に起こった刺激によって生体 ...
不安とは恐れだが、それでは恐れとは何だろう。神経学的に説明すれば、恐れとは危険の記憶である。不安障害になると、脳は常に恐ろしかった時の記憶を再生しようとする。すべては扁桃体が警報を響かせた時に始まるが ...
子供のころコッソリと友人の後ろに回り込み「膝カックン」を仕掛けて、驚かせたことはないだろうか?この様な行為をされた場合、予測不能なために、刺激が固有受容器に入って脳に達して筋に膝折れ予防を命令する前に ...
オペラント条件付けに基づいた考えでは、継続的に報酬が与えられれば、その行動はより喚起されるだろうし、もし好ましくない結果やマイナスの結果が与えられれば、その行動は繰り返されなくなる。行動は強化因子に影 ...
この記事では、「痛み行動」における悪循環に密接に関与している「痛みの恐怖-回避思考モデル」について記載している。痛みの恐怖-回避思考モデル組織損傷は「痛み体験(painexperience)」に繋がる ...
痛みとは、身体の組織損傷による不快な感覚的・情動的な経験である。他の刺激は繰り返せば慣れが生じる。しかし、痛みだけは、反復によって、むしろ増幅される。したがって、痛みを経験した者は、痛みの予感を恐れる ...
扁桃体と前頭前野の結びつきには個人差がある。この事実からうかがえるのは、不安に強い人は前頭前野の抑制中枢を活性化し、抑制のメッセージを迅速かつ効率的に扁桃体に送ることで、不安反応をうまく沈めているとい ...
感情のコントロールを人がどれだけ上手く行えるか調べる、次のような実験がある。脳のスキャナーに横になった被験者に、爆発で重傷を負った人の体や切断されて血まみれになった腕など、衝撃的な映像を見せる。その際 ...
恐怖の回路の解剖学的理解からも、病的なレベルの不安を治療する新しい方法が考えられる。それは、扁桃体や恐怖そのものに焦点を合わせるのではなく、扁桃体を鎮める役割を持つ大脳皮質の中枢に働きかける方法である ...
この記事では、リハビリ(理学療法)を提供するうえで重要な『行動変容』について、各ステージごとで療法士が大切にすべきポイントも踏まえて知識を整理していこうと思う。ちなみに、行動変容のステージは以下の5つ ...
慢性痛を訴える患者の一定割合は抑うつ傾向を有していると言われている。これは、慢性痛により行動の制限や、社会への参加が著しく制約されていることが一因とされている。痛みが長期化することによる抑うつや不安感 ...
慢性痛をもつ患者は、しばしばうつ的である(Brown1990.Kerns&Haythornthwaite1988.Rudyetal1988)。Mersky(1999)は、痛みを持つ患者におけるうつ病の ...
ワシントン大学の心理学者であるウィルバート・フォーダイス(WilbertBillEvansFordyce)は、客観的に観察される慢性痛患者の痛みに伴う行動を『痛み行動(painbehavior)』と名 ...
脳科学では、実際に脳の中身をみる装置を使って、脳が働いているところを観察・比較する。そして例えば、男女でどの程度違うのかを調べたりも出来る。でもって、脳の中身をみる装置として現在よくつかわれているのが ...
別記事『負の情動は生きていく上で必須だが、慢性的な痛みにも関与してしまう』では、「慢性痛になってくると、痛みが感覚という側面よりも、情動という側面に支配されてしまうケースもあり得る」ということを紹介し ...
別記事『痛みは生きていくうえで必須なものである』では、「先天性無痛症は一次侵害受容ニューロン自体が存在しないため、痛みを全く感じることが出来ないとい」というエピソードを紹介した。そして、上記の記事では ...
前頭前野は報酬-嫌悪回路の一部をなし、この回路は痛み刺激に反応し、興奮・抑制することで痛みの感じ方に影響を与える。慢性痛が抑うつや認知障害を伴うことが多いのは、この回路の機能障害が関与していると言われ ...
カテゴリー:痛みと認知・情動