この記事では、リハビリ(理学療法)としての使用頻度の高いパテラセッティング(クアドセッティング)について方法や目的(効果)について記載していく。

 

目次

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パテラセッティング(クアドセッティング)とは

 

パテラセッティング(patella setting)とは、膝軽度屈曲位(あるいは膝を伸ばしてリラックスした状態)から最大伸展するトレーニングであり、リハビリ(理学療法)でも用いられやすい。

 

※大腿四頭筋群(Quadriceps femoris muscles)を収縮させるトレーニングなため、クアドセッティング(Quad setting)と呼ばれることもある(「クアドをセットする」というのは、表現としてはどうなのかとは思うが、そう呼ばれることもある)。

 

(背臥位での)パテラセッティングはOKCのトレーニングであるが故に、下肢関節に負担をかけることなく大腿四頭筋のトレーニングができ、廃用性筋萎縮や筋力がfair+以上の術後患者、変形性膝関節症、慢性関節リウマチなどの関節炎に対する筋力増強にも有効であるなどと言われている。

関連記事

⇒『CKCとOKC(+違い)

⇒『生活不活発病から廃用症候群へ

 

この運動は、高齢者でも理解しやすく、痛みを誘発させず安全に使用できることが多いので、知っていたら重宝する(っというか知らない理学・作業療法士はいないだろう)。

 

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パテラセッティング(クアドセッティング)の方法

 

パテラセッティングの方法は以下になる。

 

背臥位(あるいは長坐位)で膝下へ丸めたタオルを入れる。

 

「タオルを押しつぶすように力を入れて」「膝を伸ばして下肢を一本の棒の様に硬くして」などと声掛けをしながら、膝関節の完全伸展を促す。

 

パテラセッティング中に、自身の大腿四頭筋を触れてもらって「ここを硬くする(収縮する)リハビリなのだ」というのを理解してもらうと、自主トレでも正しい方法で実施してもらいやすい。

パテラセッティング
パテラセッティング
~画像引用:関節痛の予防理学療法~

 

上記画像の状態を5秒間キープする(等尺性収縮)。

 

回数に関しては、そもそも「何を目的としたパテラセッティングなのか」によっても異なる。

※後述するが、パテラセッティングの目的(効果)は必ずしも筋トレ(筋力向上や低下予防)だけではない。

 

また、変形性関節症に対するパテラセッティングが有効とのエビデンスはあるが、どの程度の回数を実施すればよいのか?、どの程度の変化が起こるのかといった点のエビデンスは不明である。

 

参考までに、文献では変形性膝関節症におけるパテラセッティングの回数に言及しているものがある。

 

・パテラセッティングは20回を1セットとして1日に2セット実施

・パテラセッティングは30回を1セットとして1日に3セット実施

 

自主トレとしては、これを数回1セットとして、1日に数セット繰り返してもらう。

 

 

ただし、結局のところ回数については述べられているが、効果にまで言及されていない。

 

また、この回数のパテラセッティングを「筋トレ」として考えた場合、「少なすぎる」との意見もあり(特に中年の変形性膝関節症患者)、にも関わらず効果がある場合があるため、パテラセッティングには筋トレ以外の目的も持ったトレーニングであるとの指摘もある(例えばディレンジメントの改善)。

 

なので、パテラセッティングが変形性膝関節症などの機能障害に有効かどうか、有効だとするならば回数はどの程度かといった点は、あまり杓子定規に考えず経験則でケースバイケースに判断したほうが良い(まぁ、言われるまでもないことだとは思うが)。

 

※ちなみにSLR運動では、RCT(ランダム化比較試験)で「変形性膝関節症の痛みに効果があった」というエビデンスが存在している。

関連記事⇒『SLR運動のメリット・デメリット

 

 

パテラセッティング(クアドセッティング)の方法を補足

 

膝下へ「丸めたタオル」を入れると(押しつぶす動作がピンときやすいため)パテラセッティングを理解してもらいやすい。

 

一方で、パテラセッティングを理解できている人であれば、必ずしも「丸めたタオル」は必要ない。

 

また、前述した画像では足関節は意識していないが、足関節を背屈させた方が大腿四頭筋を賦活できるとの意見がある。

 

これはSLR運動時に足関節を背屈させた方が大腿四頭筋を賦活できるとする考えと共通する。

 

また、内側広筋の賦活に関しては以下の様に様々なことが言われている。

 

①足部を回外させた状態でのパテラセッティングが有効

 

②股関節内転位でのパテラセッティングが有効

 

③股関節外旋位(つまり、つま先を外側へ向けた状態)でのパテラセッティングが有効

 

「股関節外旋位でのパテラセッティングが内側広筋の賦活に有効」との考えも、SLR運動時に「(若干の)股関節外旋位(つまり、つま先を外へ向けた状態)で実施たほうが、内側広筋が賦活されやすいとの考えと共通する。

 

あるいはスクワット時に、つま先を(若干)外側へ向けておいた方が内側広筋が賦活されやすいとの考えと共通する。

 

 

※ただし、過度に外旋した状態では外側広筋や大腿筋膜張筋の緊張が高まるとされているので、ホドホドに。

 

※一方で、もし大腿四頭筋(内側・中間・外側・直筋)を万遍なく筋トレしようと思った場合は、つま先は正面を向いている必要があり、スポーツジムなどでバーベルを担いでスクワットをする際などは、つま先が外側へ向いているのはエラーとなる(もちろん、ニーインもエラーになるので注意。)。

関連記事⇒『ニーインによる運動連鎖で起こる症状

 

ただし上記の反応は、必ずしも一貫していないので、内側広筋(斜頭線維)を触診しつつ反応の良いものがあれば活用する程度に思っておけば良い。

 

また、(目的にもよるが、内側広筋というより)大腿四頭筋全体のボリュームや筋出力が重要である場合も多く、そういう場合は尚更重要視しない。

関連記事⇒『筋力と筋出力(+違い)

 

 

パテラセッティング時における理学療法士の工夫

 

パテラセッティング時に、療法士はパテラに抵抗をかけるという方法もある。

 

具体的には以下の通り。

 

①患者は背臥位(あるいは長坐位)、膝関節伸展位でリラックスする。

 

※丸めたタオルを膝下に入れると「膝関節軽度屈曲位」とるため、膝蓋大腿関節の副運動が低下してしまう事もあるので、タオルを入れ込むかはケースバイケース

 

※脛骨大腿関節のLPPは「膝軽度屈曲位」だが、膝蓋大腿関節のLPPは「膝関節伸展位」となる。

関連記事⇒「CPPとLPP

 

②理学療法士は(内側広筋にテンションがかかるように)パテラを外尾側へ押し下げる。

 

 

③患者はその状態からパテラを出来るだけ内頭側へ引き上げ、理学療法士は(内頭側へ引きあがった状態に)10秒ほど抵抗することで収縮を持続させる。

 

※もちろん指導した上で、患者自身が抵抗をかけても良い(長座位であれば、自分でも抵抗がかけられる)。

 

※っというか、目的が「膝蓋大腿関節の機能不全」であれば重要だが、(内側広筋を含めた)単なる大腿四頭筋の強化なら、ここまでしなくとも良い気がする。

 

※パテラの動きを意識させるより、タッピングなどで内側広筋の収縮を意識させた方が良い場合もある(パテラは意識しても思うように内側へ動かないことも多いが、内側広筋が有意に収縮しているのは自覚しやすい)。

 

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パテラセッティングの目的・効果

 

パテラセッティングの目的・効果としては以下が挙げられる。

 

 

脛骨大腿関節の骨運動が少ないので、関節への負担が少ない(等尺性収縮に近い):

関節不安定性を有したクライアント(例えば関節リウマチ)に対してであっても、下腿の前面への抵抗に抗した等尺性収縮に比べて関節副運動1型による機械的ストレスも起きにくい。⇒『関節副運動を補足します

稀に、「膝が痛い人に、パテラセッティングのように膝が痛くなる行為をしても意味が無い」という人がいるが、そもそも「パテラセッティングで痛みが出る人」にパテラセッティングは実施しない。

※「膝が痛いから筋力低下が生じているのであって、膝痛の原因は筋力ではない。したがってパテラセッティングは無効である」という主張は、まだ理解可能。

※ただし、パテラセッティングの目的は筋力だけではないので半分不正解といったところだろうか(例えばディレンジメントの改善なども含まれる。これはSLR運動にも言えること。関節モビライゼーションにも同様な意味合いを持たせることがある。)

 

 

大腿四頭筋を収縮させ、(積極的なリハビリが出来ない時期において)可能な限り筋萎縮を予防する:

臥床を強いられたり、痛みなどで大腿四頭筋の萎縮が進行しそうな状況下において、筋萎縮を可能な限り予防する効果がある 大腿四頭筋の内側広筋を賦活させ、膝蓋骨の機能不全(外側変位・不安定性など)が改善できる。

ちなみに、内側広筋と「伸展機能不全」は関係ないとされている。
⇒『内側広筋とエクステンションラグは関係ないよ

 

 

膝関節におけるディレンジメントを改善できる:

⇒『Directional Preference(DP)とは | マッケンジー法の用語解説

 

 

自動運動によって膝の伸展制限(屈曲拘縮)を予防する:

要はセルフ関節モビライゼーションとなっている。
⇒『モビライゼーション(股・膝・足関節)の「方法」と「成功の秘訣」!!

 

 

膝周辺の組織へ栄養分がいきわたり、老廃物(発痛物質も含む)が排泄される:

荷重によるミルキング作用(潤滑液が滲み出る作用)には劣るが、(若干の骨運動の伴う関節への刺激は入力されているので)滑液循環の改善される。

また、軟骨細胞の新陳代謝が起こりやすく、線維軟骨に好影響を与える。

筋の収縮・弛緩によって大腿四頭筋のリラクゼーションが得られ、筋スパズム・トリガーポイント(特に内側広筋に多い)などが改善する。

 

 

膝にたまった水(関節水腫)が軽減する(場合がある):

逆に、関節水腫が重度な状態では筋抑制が生じ、逆効果なこともある(まあ、この辺りの適用・非適用は、試しにやってみたらすぐに判断できる。炎症による腫脹の場合は、炎症をまずは落ち着かせる必要がある)。

また、膝関節術後早期に実施されるクアドセッティングやSLR運動は、膝関節筋を介した膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)への牽引刺激を加えることになるため、拘縮予防の観点からも重要である。

 

※膝蓋上嚢の癒着は膝蓋骨の運動性を制限し、膝関節拘縮の原因となり得る(その予防においても、関節水腫の早期消失を図ることが大切となる。)

⇒『膝蓋上嚢とは?膝周囲の脂肪対(PFP・SFP)もイラストで紹介するよ

 

※関節水腫に関しては『関節水腫による膝蓋跳動(floating patella)を解説(動画あり)』も参考にしてみてほしい。

 

 

膝蓋大腿関節のモビライゼーション

 

膝の屈伸運動によって膝蓋骨は大腿骨(大腿膝蓋滑車面上)を滑走する。

 

そして、軽度屈曲~完全伸展位で大腿四頭筋により生じる膝蓋骨の外方ベクトルに対して内側広筋が内上方に引き付けて固定する。

 

膝蓋骨が上記のような滑走をするためには、膝蓋大腿関節の可動性が必要不可欠とり。
そんな『膝蓋骨の滑り可動性』は炎症・腫脹・固定(特に術後)などによって膝蓋上嚢(しつがいじょうのう)などの滑液包の癒着で制限され、可動域制限や大腿四頭筋の筋力効率を低下させてしまう。

 

このため、理学療法士(あるいは患者自身)がパテラモビライゼーション(patella mobilization)⇒つまりは、様々な方向へパテラを他動的に動かすことが、「パテラセッティングの前処置」として重要なことがある。

 

以下の記事ではパテラモビライゼーションについても記載しているので、こちらも参考にして頂きたい。

 

膝蓋骨の関節モビライゼーションを動画で理解

膝蓋下脂肪体(IFP)って何だ?疼痛誘発テストやアプローチ方法も解説

 

※「膝蓋上嚢の問題」=「膝屈曲制限」というのが一般的な解釈。

膝蓋上嚢
膝蓋上嚢の癒着

~画像引用:運動療法のための 機能解剖学的触診技術 下肢・体幹第一版~

 

膝蓋上嚢の問題は「膝蓋骨の可動性」にも影響を及ぼす可能性があり、内・外側大腿膝蓋靭帯や内・外側脛骨膝蓋靭帯も含めて評価し、必要に応じて関節モビライゼーションを行う。

 

また、大腿四頭筋に対する横断マッサージ・機能的マッサージも膝蓋上嚢の癒着防止・改善に効果的なため必要に応じて、実施すると良い。

関連記事⇒『横断マッサージと機能的マッサージ(+違い)

 

 

※anteriorkneepainのケースや、階段昇降時痛が主体の膝蓋大腿関節症のケースでは、外側膝蓋大腿靱帯や外側膝蓋脛骨靱帯の拘縮が疼痛に関与している場合がある。

 

 

様々な肢位でのパテラセッティング

 

ここでは背臥位でのパテラセッティングを中心に解説しているが、腹臥位や立位でもパテラセッティングは可能である。

 

ただし、膝蓋骨の動きを詳細に評価しながらのセッティングではないため、クアドセッティングという表現の方が妥当かもしれない。

 

ここでは、以下のパテラセッティングについて補足として紹介していく。

 

・腹臥位でのパテラセッティング(クアドセッティング)

・立位でのパテラセッティング(クアドセッティング)

 

 

背臥位 VS 腹臥位 のパテラセッティング(クアドセッティング)

 

ここまでは「背臥位におけるパテラセッティング」の記述となる。

 

一方で、実は『背臥位でのパテラセッティング』以外に『腹臥位でのパテラセッティング』も存在する。

 

具体的には、以下のイラストの様に「足先と膝をベッドに接地させた状態から膝を最大伸展する(膝をベッドから浮かす)」といった手法をとる。

大腿四頭筋のパテラセッティング
腹臥位のパテラセッティングは、背臥位でのパテラセッティングに比べて大腿直筋の筋活動が55%から80%へと高くなるとの文献(運動療法学)があり、このパーセンテージは文献によって異なるものの、「(大腿直筋以外の大腿四頭筋も含めた)筋活動量」といった観点では断然「腹臥位でのパテラセッティング」がの方が勝っているとの見解が得られている。

 

ただし、リハビリ(理学療法)で実施されるパテラセッティングは、背臥位で実施されるのが一般的だと思われる。

 

パテラセッティングの良い点は「等尺性収縮であり、なおかつ簡便、低負荷なトレーニング」であるため、術後早期や痛みを誘発せずに大腿四頭筋を収縮したい場合に活用できる。

 

でもって、もっと負荷を強めたトレーニングをしたいのであれば、わざわざ腹臥位でパテラセッティングをせずとも、その他のトレーニングの方が機能的で活用しやすい。

 

なので、一般の人がサーキットトレーニングの一つとして「腹臥位でのパテラセッティング」を取り入れるのも良いといとは思うが、リハビリ(理学療法)としての使用頻度は少ないのではないだろうか。

 

 

立位でのパテラセッティング(ボール・セラバンド)

 

次に立位でのパテラセッティング(クアドセッティング)について記載していく。

 

背臥位でのパテラセッティングは非荷重位なため、前述したように荷重下で関節痛が生じてしまうような患者にも適応がある。

 

立位でのパテラセッティングは荷重下なので、背臥位でのパテラセッティングに比べると適応患者は狭まるかもしれない。

 

一方で、立位でのクアド収縮は機能的であるため「特異性の原則」という意味で、背臥位でのパテラセッティングとは異なった意義を持つトレーニングになる場合もある。

 

 

左の画像はセラバンドを利用したパテラセッティングになる。

※セラバンドの種類によって強度を変更することも可能

⇒『セラバンド(Thera-Band)とは!高齢のリハビリ・トレーニングにも使えます♪

 

右の画像はゴムボールボールを利用したパテラセッティングとなる。

※セラバンドに比べて道具をセットする手間が省けるが、収縮様式や骨運動が限られる(まぁ、パテラセッティングを「骨運動を伴わないクアド収縮」と捉えるのであれば問題ないが、立位でのパテラセッティングは「機能的な筋収縮」であるため、段階的に骨運動も少しずつ取り入れていけたほうが「機能的」という意味では理にかなっている。

 

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立位でのパテラセッティング(徒手抵抗を利用)

 

先ほど器具(セラバンド・ゴムボール)を用いたパテラセッティングを紹介した。

 

これらはセルフエクササイズが可能という点が最大のメリットであるが、療法士による個別リハビリでパテラセッティングを実施するのであれば徒手抵抗を用いるのが最適と言える。

 

※実際には「パテラセッティング」ではなく「クアド機能不全に対するトレーニング」という表現のほうが妥当だが、「パテラセッティング記事のついで」ということで、「立位でのパテララセッティング」という統一した表現にさせてもらう。

 

 

徒手抵抗を用いたパテラセッティングも以下の点でオススである。

 

  • 骨運動を伴わないパテラセッティングから、徐々に骨運動を伴うパテラセッティングに移行できる(難易度を上げれる)。

    つまり、「荷重位における機能的なクアド収縮」が引き出せるということ

    ※骨運動と言っても、膝伸展位~屈曲10度程度の範囲内での骨運動なので誤解しないでほしい。

  • 膝関節伸展位から軽度屈曲位の範囲内におけるクアドによる微調整をトレーニングできる。

 

上記は、前述した「セラバンドを用いたパテラセッティング」を同じようなメリットであるが、筋力をモニタリングしつつ負荷量を微調整したり、エラー修正の声掛けをその都度実施出来る点が大きく異なる。

 

 

徒手抵抗によるパテラセッティングの具体的な方法は以下の通り

 

徒手抵抗を用いたパテラセッティングの適応:

  • 大腿四頭筋の機能不全(片マヒ患者の膝コントロールの学習も含む)

 

患者肢位:

  • 治療肢は床に設置し、対側はベッドへ乗せるのがベスト。
  • ベッドが無い場合は、治療肢への荷重を優位にした立位姿勢。

 

療法士の肢位置:

  • 治療下肢の後方に座位で位置する(要は患者の後方にしゃがむ)。
  • 例えば治療肢が右下肢な場合は、療法士は左手を膝後面に当て、その左手を補強するように右手も利用する(左手首を握っても良いし、左手に重ねても良い)。

 

徒手抵抗を用いたパテラセッティングの方法:

  • 治療肢位を膝軽度屈曲位から伸展してもらい、療法士は左手で屈曲方向へ抵抗を加える(大腿四頭筋の求心性収縮)。
  • 重要なのは「ゆっくりと伸展してもらうこと」である。
  • 次に「ゆっくりと元の位置(膝軽度屈曲位)に戻してもらう(遠心性収縮)」よう指示し、療法士は先ほど(求心性収縮トレーニング時)と同程度な徒手抵抗を加え続ける。
  • つまり、療法士の抵抗量は一切変えず、患者の大腿四頭筋の収縮力だけで膝の屈伸を「ゆっくりとした動き」で調整してもらう(患者自身がコントロールした運動を行う)。

 

ゆっくりした動作の中での抵抗運動を求心性・遠心性に行う事で固有受容器を刺激しながらのトレーニングをしているという事になる。

 

※これは、従来のパテラセッティング(骨運動を伴わない等尺性収縮)を発展させた機能的なトレーニングという事になる。

 

※もちろん、この肢位で等尺性収縮も可能である。

 

※等尺性収縮を実施する場合は、治療肢を膝軽度屈曲位(膝完全伸展によるロックが解除された状態)で実施する必要がある。

 

 

パテラセッテイィング(クアドセッティング)の動画を紹介

 

最後に、パテラセッティング(クアドセッティング)の動画を紹介して終わりにする。

 

パテラの動きや、クアドの収縮を何となくでもイメージしてみてほしい。

 

以下の様に、枕は使用しても、使用しなくても目的とした運動が出来ていればOK。

 

 

SRL運動を紹介

 

SLR運動は、パテラセッティングと同様に、下肢のリハビリ(理学療法)として馴染み深いエクササイズの一つと言える。

 

そして、パテラセッティングが大腿直筋と比較して、内外側広筋の筋活動が高いという特徴を持っているのに対して、SLR運動は(大腿四頭筋の中では)大腿直筋の筋活動が高く、内・外側広筋の筋活動が低いという特徴を持ったエクササイズと言われている。

 

SLR運動のメリットとデメリット

 

 

大腿四頭筋に関する総まとめは以下を参照。

 

大腿四頭筋トレーニングを解説!

 

 

また、SLR運動はパテラセッティングと同様に、「負担の少ない運動」として生活不活発病(廃用症候群)のリハビリ(理学療法・作業療法)にも活用されることがある。

 

そんな生活不活発病については以下も参照してもらいたい。

 

廃用症候群から生活不活発病へ(+違い)