この記事は、『革命のファンファーレ 現代のお金と広告』の書評をしている。

 

この書籍に興味がある方は観覧してみてほしい。

 

目次

閉じる

タイトル「革命のファンファーレ」の意味は?

 

革命のファンファーレ。

 

意味が分かるような分からないようなタイトルであるが、この意味深なタイトルは、読者が興味を引くように敢えて考えられたのだろう。

 

 

キングコング西野氏の書籍を読んだのは初めてだが、なかなかロジックに物事を考える人間だと感じた。

 

で、何か行動を起こすにしても、闇雲な行き当たりばったりではなく、かなり戦略を練ったうえで根拠をもって行動を起こしているというのが書籍から十二分に伝わってきた。

 

でもって、「万人より一歩、二歩先を読んだ上での戦略」なので、今まで彼が起こしてきた奇行・言動の意味が、この書籍で解説してもらうことで初めて腑に落ちた。

いずれにしても、西野氏に芸人のイメージしか持っていない人にとっては、彼へのイメージをガラリと変えてしまう書籍だと思う。

 

 

恐らく彼は、この様に「先を読みながら戦略を立てる」のが好きなのだろう。

 

オセロゲームで負けたことが無いらしい。

 

書籍の中では、「批判を論破する」という表現を、「オセロの角を完全に押さえているので、真ん中をいくらとられようが後で全て裏返せる」という表現に置き換えた記述が何度かみられる。

 

総じて、前半・中盤は「様々な常識への批判や提言」といった熱いものが感じられたり、今までの(一見すると意味不明な)奇行・言動が「いかにロジカルに考え抜かれた戦略の上に成り立っていたものだったか」が知れて面白かった。

 

この書籍で、一番心に残った言葉は以下になる(理由は分からないが、一番強烈に突き刺さった)。

 

当然、他人を妬み、他人に時間を使えば使うほど、これまで以上に出遅れる。

自分が妬んでいるアイツは、どんどん先に行く。

じきに背中も見えなくなる。

 

・・以下中略・・

 

結論、やるしかない。

何があろうと、自分に時間を使うしかない。

指が変形するまでペンを握るしかない。

無料公開が常識となった今、実力が可視化されるようになった今、一番の広告は「作品のクオリティーを上げること」だ。

 

 

革命のファンファーレに出てくる印象深いキーワード

 

革命のファンファーレに繰り返し出てくるキーワードがいくつか存在する。

 

でもって、その中でも以下の2つが特に印象深く、心に引っかかるキーワードであった。

 

・信用

・努力

 

 

印象深いキーワード① 信用

 

革命のファンファーレには『信用』という用語が何度も出てくる。

 

恐らく、書籍の中で一番多く出てくるキーワードだと思う。

 

  • お金を稼ぐな。信用を稼げ。「信用持ち」は現代の錬金術師だ。これからは、信用が力を持ち、「信用もち」が時代を獲る。「好感度ランキング」なるものがあるが、これからの時代は、あんなものには何の価値も無い。これからは「信用度ランキング」の時代だ。まもなく、物質ではなく、サービスでもない、個人の信用そのものが売り物となる職業が世に出てくるだろう。

 

  • これからは、本音は別の場所にあるのに生きていくために周りと意見・足並みを合わせる「空気を読む」という行為が、リスクになってくる時代だ。うそつきはキチンと痛い目に遭う。信用が離れ、お金が離れていく。

 

  • まもなく「貯金」の時代が終わり、信用をためる「貯信」の時代が来る。というか、もう来ている。

 

  • 現代の宣伝力は、つまり信用力だ。信用が担保されない広告に、広告効果などない。

 

  • これからは、「信用を稼ぎ、必要な時に必要な分だけ、自分の信用をお金に両替する」という生き方が当たり前になってくる。

 

 

で、信用の勝ち取り方の例として、以下などを挙げている。

 

料理を振る舞う(あくまで例え)

ボランティアに励む(あくまで例え。ちなみに、ボランティアは寄付であり、自身の幸福感も高めてくれる可能英がある⇒『ブログによる情報発信は寄付になる??』)

・嘘をつかない

 

特に「嘘をつかない」という点は、手を変え品を変え、何度も何度も強調していた。

 

で「嘘をつかない」に関して、タレントを「認知タレント」と「人気タレント」に分類しつつ解説していた内容は、なるほど説得力があった。

 

ちなみに、それぞれは以下を指す。

 

  • 認知タレント:

    スポンサー目線で仕事をしている。ファンがいないので、スポンサーに見放されると終わる(例としてベッキーをあげている)。

  • 人気タレント:

    自身の才能で仕事をしている(信用があると表現している)。ファンがいるので、スポンサー目線で仕事をする必要が無い(例としてゲスの極み乙女をあげている)。

 

で、認知タレントはスポンサー目線で仕事をしているため、空気を読む必要がある。つまりは食レポ時に「美味しくないのに、美味しいと言わざるを得ない」などといった嘘をつく必要も出てくる。

 

しかし「信用持ち」になるためには嘘はいけない、なぜなら(ネットなどで)すぐに見抜かれて「信用が落ちる」という事に繋がるからだと話す。

 

では、ブログなどで考えてみるとどうなるか?

 

例えばブログに「この本オススメ」と紹介している人がいたりする。

 

しかし、実際には「仲間内で褒め合っているだけ」であったりすることもある。

 

もちろん、他人のオススメ本が、自身も同様に参考になるとは限らないが、本当にオススメしたいものかどうかは実際に読んでみればわかる。

 

で、明らかな肩透かしな物を(観覧者目線とは別な理由で)誇大表現した場合、(一時的に興味を引くかどうかは別にして)、その人の信用は地に落ちる。

 

目線が、ブログの観覧者ではなく、お仲間目線なのが分かった時点で信用は地に落ちる(もちろん、お仲間には気に入られるかもしれないが)。

 

※ちなみに、これはブログタイトルの内容と本文の質が乖離している場合も当然該当する。

 

※タイトルが過激だと注目はされ易いが、信用という観点ではデメリットに働く場合もあるだろう。

 

※当然、記事の内容が素晴らしいとしても、別の記事で真逆のことを言っていたりと、記事毎に言ってることがコロコロ変わる情緒不安定なケースも、当然ながら「信用」という観点からはデメリットだろう(もちろん、そういうブログは観覧者からすると、いろんな意味で面白い。アクセスも集まるかもしれない。ただ、だからと言って信用されているわけではない。成長によって考え方が変わることは十分あるが、成長したから or 注目されたいだけか は感覚的に見抜かれるだろう)。

 

※本人がマジで考えている内容なら、その内容が正しいか、間違っているかは問題ではない(それは信用には関係ない)。どんなにブッ飛んだ内容でも関係ない。信用に関係あるのは「軸がぶれている(=マジで考えていた内容ではなかった。単なる受け狙いだった)場合」である。

 

 

じゃあ、嘘をつかなければ西野氏の言うような信用が手に入り、それがガンガンお金に変わっていくのだろうか?

 

もちろん、そんなに簡単ではない。

 

西野氏は、信用の一例として孫正義(ソフトバンクCEO)の名前を上げている。

 

例えば、「孫正義がオススメしており、尚且つ孫正義がマーカーやメモを書き残した古本は、定価以上の価値を持つはずだ」などと記載してある。

 

※孫正義が「どこを見て、何を面白がっているか」という孫正義の視点が付加価値になるとのこと。

 

つまり「ある程度の実績を残しており、皆から一目置かれている人」は信用を持っており、そのレベルまで達したらお金にも代えられるというお話。

 

しかしながら、(確かにごもっともではあるが)これを一般レベルにまで落とし込むというのは、結構ハードルが高い気がする。

 

 

理学療法士で言えば、有名どころな大御所であったり、(全国区でなくとも)地域で何らかの活動を行って一目置かれている人物などは該当するかもしれない。

 

しかし、いずれにしても、これらはリアルな現場で地道に「信用」を培っているかどうかが重要な気がする。

 

会ったことも無い人間に対しても、尊敬出来たり、魅力を感じたり、真似したくなったりといった感情を抱くことはあるだろう。

 

ただ、そうであっても、信用がおけるかどうかは別問題。

 

そう簡単な事ではない気がする。

 

つまり、「信用」に関しては、一人一人に対する地道な貢献が必要なのではと感じる。

 

※キングコングの西野氏などではなく、あくまで一般人が信用を勝ち取るケースを想定した場合の話。

 

 

ただし、一般人も参考になりそうな救いのある話もしている。

 

それは「趣味でも極めれば信用になり得る」という話。

 

その一例として『読書』を挙げている。

 

彼曰く、「読書が得意な人間」には職業が用意されておらず、趣味の領域にとどまらざるを得なかったが、これからは「この読書好きがオススメするのなら間違いない」という風にして信用をお金に変えることが出来るとのこと。

 

この発想は、メンタリストのDaigoが実践しており『書籍:「好き」を「お金」に変える心理学』でも述べているが、確かにそういう展開は可能かもしれない。

 

 

また、この考えは一般社会でも応用が利くと思う。

 

例えば古本屋を経営していたとする。

しかし、個人で経営している古本屋など、ブックオフなどには太刀打ちできず、普通に考えるとすぐに潰れそうである。

しかし、その古本屋の店主が「様々なお店に合った本(古書・美術書など何でも良いが)をセレクトできる能力」を持っていたとすれば?

それは「信用」となって、様々なお店が「インテリアデザイン」ならぬ「書籍デザイン」を(お金を出して)依頼してくれる可能性がある(で、興味があればついでにその古本も購入してもらい、そのお金も店主に入るという事は有り得る)。

 

 

評価経済の落とし穴

 

西野氏の言う「信用」にフォーカスした価値観・考え方について別の角度から(敢えて「落とし穴」といったネガティブな面にフォーカスして)記された内容を『書籍:お金2.0 新しい経済のルールと生き方 』から引用しておく。

 

 

いわゆる資本主義経済で「お金からお金を増やした金融業」と同じで、「評価から評価」を拡散力をテコに生み出していくということが可能になります。

そして、この活動から蓄積された影響力や認知や評価と言った価値は、まるでお金のように色々なものと交換することも可能です。

影響力を広告と言う方法でお金と交換したり、評価によって貴重な人のアポイントの機会と言う時間と交換したり、実際の通貨のように機能します。

これがトークンなどと紐づいて流通するようになれば、今以上に多くの人が、内面的な価値を中心に回る経済を体感するようになるでしょう。

 

一方で、評価経済や信用経済というものに対して何となくネガティブな印象を持つ人も多いと思います。

その理由にも触れておきます。

 

なぜ多くの人が評価経済や信用経済に対して違和感を抱くのかというと、今話題になっている大半の仕組みが「評価」や「信用」ではなく、「注目」や「関心」にすぎないから、ということがまずあげられます。

 

ネットのインフルエンサーが集めているのは、興味・関心・注目であって、世の中の人が考えている評価・信用とは似て非なるものです。敢えて奇をてらった発言で炎上を繰り返すような人は、確かに他人からの注目を集めていることは確かですが、世間一般でいう評価や信用を集めている訳ではないはずです。

アクセス数やフォロワー数などのデータは、興味・関心・評価・信用などが混同してしまっているので、それらを明確に区別できていません。その人が多くの人に評価されているのか、注目されているだけなのか、面白がって野次馬的に見られているだけなのかは現在のフォロワー数やアクセス数の様な簡単な指標からは判断できないのです。もし、今目の前で起きていることが「注目経済」「関心経済」と表現されていれば、多くの方も納得できたでしょう。

実際は「注目」や「関心」に過ぎないものが「評価」や「信用」という崇高な概念に「すり替わっている」ことに違和感を覚えている人が多いのだと思います。

 

・・・・中略・・・

 

前述のように、社会は絶妙なバランス感覚で成り立っています。

ある特定の価値が過剰に持ち上げられて、他の価値を毀損し始めると、バランスを取るように揺り戻しが起きます。

評価経済や信用経済のメリットばかりが最近は強調されていますが、根本的にはどの仕組みも行き過ぎると資本主義と同じような問題は起こり得る、といことを全員が認識しておくことが重要です。

 

関連記事⇒『理学/作業療法士の情報収集に大切な情報リテラシーとは!?

 

 

印象深いキーワード② 努力

 

で、もう一つ引っかかったキーワードが『努力』であり、中盤辺りから急に何度も登場し始める。

 

  • 本を売りたければ、自分で1万冊買え。そこで必要なのは「財力」ではない。「努力」だ。

 

  • 情報は行動する人間に集まり、更なる行動を生み、また情報が集まってくる。行動の連鎖だ。勇気のせいにしてはいけない。今、あなたが行動できていない理由は、あなたが情報収集をさぼっているせいだ。努力だ。圧倒的努力。これに尽きる。

 

  • 努力量が足りていない努力は努力ではないし、「この努力は本当に正しいのか」と疑うことをサボり、時代にそぐわない誤った努力を続けていたら、それもまた努力ではない。

 

努力の量に関してはホリエモンも言及している。

 

 

ホリエモン動画に関しては、要約すると以下の様な事を言っている。

 

  • 皆、楽をしようとしているだけ。

 

  • 自分は努力という言葉は大嫌いである。だから、努力という言葉を口にしたくない。しかし、努力という言葉を口にせざるをえないくらい皆努力をしていない。皆、積み上げのつまんない作業というのをしたがらない。

 

  • 努力が全然足りていない。僕が当たり前にやっているような努力をしていないということに、割と最近気づいた。皆当然のようにやっているもんだと思っていた。僕の周りにいる凄い人達って、物凄い努力をしている。当たり前のように。コツコツと。皆の見ていないところで。

 

ただ、一番の核となるのは以下だと感じた。

 

僕の周りの凄い人達は、努力を自然に出来るようになっている。努力を努力と思っていない。

 

この点に関しては、このコンテンツでも以下の記事で解説しているので、興味がある方はどうぞ。

⇒『理学療法士・作業療法士の努力の先にあるものとは?!

 

※また、「やっていること自体はつまらないものの繰り返しなのかもしれないが、それをいかに自分の中で楽しんでいくか」「短期間で成果が出るものを積み上げていったほうが良い」なども一つのヒントになり得ると思う。

 

※彼は『書籍:ゼローなにもない自分に小さなイチを足していく』の中で、高齢受刑者のオシメ介助か、流れ作業の単純労働か忘れたが、そういう作業に関して「どうしたら効率よくできるか」などを考えて、楽しみながら作業をしていたらしい。(刑務所内の単純労働すらも含めて)何事も楽しみながら実践できる人は、どんな分野でも成功しやすいのかもしれない。

 

 

終わりに:『信用』の概念に関するオススメな書籍と動画

 

ちなみに私は、ネットにより「信用」を積み重ね、それをビジネスに展開していくといった思想は毛頭ない。

 

※単に知識の体系化、備忘録、面白いから ってのがメイン。

 

でもって個人的には、職場(で懇意にしてもらっているスタッフ)あるいは地域社会(で懇意にしてもらっている人達)に対して勝ち得た「信用」を(別にお金とかではなく)何らかの良い好循環に拡大させていく仕組みのほうに興味がある。

 

そういう意味では、革命のファンファーレは非常に面白い書籍ではあったが『信用』という概念に関しては、(自身に活用できるという意味において)参考にはならなかった。

 

で、「信用」という概念に関しては、『書籍:完訳 7つの習慣 人格主義の回復』における『信用残高』の概念が非常に役に立つと個人的には感じている。

 

 

あるいは、動画であれば以下などは比較的リアルビジネスに役立つと感じる。

※5分20秒以降はリピート(繰り返し)動画になる。