2014年「地域包括ケアシステムの推進リーダー資格」を取得した。

 

ちなみに、この資格は以下の2つからなる。

  • 介護予防推進リーダー資格
  • 地域包括ケア会議推進リーダー資格

 

最初に結論だけ述べてしまうと、これらの資格を取得する過程で得たものは少ない。

 

なので、(後述する資格の意義に賛同できない限りは)取得するメリットは無い。

 

強いてメリットを上げるとすると、経歴などで(取得難易度が分かっていない人たちに対して)「これらの資格も持っていますよ」と自己満足的にアピールできるくらいである。

 

この記事では、これら2つの資格の概要をザックリまとめた内容となている。

 

目次

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地域包括ケア推進のリーダーとは

 

「地域包括ケア推進のリーダー」は、理学療法士協会が独自に作った制度であり、以下を目的としている。

 

国が地域包括ケアシステムを推進するにあたって、このシステムに関わることが出来る人材を育成するため。

 

 

理学療法士協会は推進リーダー制度を2014年にスタートさせた

 

地域包括ケア推進リーダーは、前述したように「地域包括ケアシステムに貢献できる人材」を育成するためにスタートした制度なのだが、

 

制度立案のきっかけは「2015年に法制化された、地域包括ケア会議」にある。

 

地域包括ケア会議とは:

地域ケア会議とは、地域の実情にそって、より良い地域包括ケア実現のために課題を的確に把握し、解決していく手段を導き出すための会議です。具体的には、地域包括支援センターにおいて多職種が話し合い、個々の利用者のケアプランをチェック、検討するという目的で開催されるもの。この「多職種」の中に理学療法士も含まれる。

 

2015年に(地域包括ケアシステムの一環として)地域包括ケア会議が法制化されることになり、「この会議にも参加できるだけの資質を持った理学療法士を育成しよう」というのが、地域包括ケア推進リーダーの起こりである。

 

※ちなみに地域ケア会議が法制化に間に合わせる形で、理学療法士協会は2014に推進リーダー制度を作った。

 

でもって私は、この年(2014年)にノリで資格を取得した数多くいる理学療法士の一人である。

 

 

 

推進リーダーには「地域包括ケアシステム会議」と「介護予防」があるよ

 

ここまで「地域包括ケアシステム」という用語を使用してきたが、このシステムは以下の5つで理念によって構成された概念である。

  • 自助
  • 互助
  • 共助
  • 公助

 

つまり「国に頼る(公助)だけでなく、様々な角度から地域を支えていきましょう(公助だけに頼ると国の財源が破綻してしまうので)」ということだ。

 

でもって厚生労働省が、『地域包括ケアシステム』の実現に向け、充実・強化する施策を以下の5つとした。

  • 医療・介護連携
  • 認知症対策
  • 地域ケア会議
  • 生活支援
  • 介護予防

 

上記は全て理学療法士が関わることの出来る分野なのだが、その中で「地域ケア会議」と「介護予防」の施策に重点を置いて、これらに積極的に関与できる人材育成を理学療法士協会が試みた。

 

それが地域包括ケア推進リーダー制度であり、この制度により以下の2つが取得可能である(どちらか一方を取得することも可能)。

  • 地域包括ケア会議推進リーダー
  • 介護予防推進リーダー

 

 

地域包括ケア推進リーダーには、どうやったらなれるの?

 

地域包括ケア推進リーダー(介護予防・地域包括ケア会議)になるための手順は以下の通り(新人教育プログラム修了が前提となる)。

 

  1. e-ラーニングの受講
  2. 導入研修の受講

 

上記に「士会指定事業の参加 」が加わることで、地域包括ケア推進リーダーになれる。

 

ポイントは以下の通り。

 

  • 資格取得するために、試験のようなものは無い(eラーニング視聴後に確認テストなるモノがあるが、合格するまで何度も無限に挑戦できる)。
  • 必ず「①e-ラーニング」を視聴してから「②導入研修」へ参加する必要はがあります。
  • 「士会指定事業の参加」は、どのタイミングでも構わない(①の前、①と②の間、②の後など、いずれのタイミングでも構わない)。
  • 「①e-ラーニング」「②導入研修」は各資格(介護予防 or 地域包括ケア会議)に沿った内容となるので、2つの資格を取得したければ2種類受講する必要がある。
  • 「士会指定事業」には様々な種類があり、各県によって異なるし、毎年異なる可能性もある。

 

ちなみに「士会指定事業」の一例としては以下などが挙げられる(この中の一つに参加すれば良い)。

 

・介護技術講習会に関する事業

・市民公開講座に関する事業運営

・バリアフリー展への参加に関する事業

・マラソンケアステーションに関する事業

・公益事業部主催 各種障がい者スポーツ大会運営

・公益事業部主催 理学療法(士)の啓発イベント事業

・訪問リハビリテーション実務者研修会受講

・地域包括ケア推進委員会主催 研修会受講

・理学療法責任者会議出席

・・・など。

 

詳しくは、理学療法士協会の各県士会HPを参照したり、問い合わしたりしてみてほしい。

 

 

各e-ラーニングで視聴できる内容

 

各e-ラーニングで視聴できる内容は以下になる。

また、映像で流れるパワーポイントの内容はPDFとしてダウンロードも出来る。

 

地域包括ケア推進リーダー

①介護保険制度について

1.介護保険の成り立ち

2.介護保険サービス利用までの流れ

3.介護保険で使えるサービスと利用料 など

②介護保険サービスについて

1.介護保険給付と予防給付の具体的な内容

2.介護予防サービス

3.施設サービス など

 

介護予防推進リーダー

①介護予防概論

1.介護予防で活気ある超高齢社会の実現を目指す

2.予防すべきは老年症候群 など

②転倒予防理学療法

1.転倒予防は安心・安全な生活の基盤

2.バランス低下、筋力低下は転倒の予兆 など

③関節痛予防理学療法

1.痛みを身体的側面、心理社会的側面から理解する

2.痛み予防は病期により介入方法が異なる など

④認知機能低下予防理学療法

1.認知機能低下の疫学

2.認知機能低下のメカニズムと評価と治療 など

 

 

eラーニングの視聴には受講料が必要

 

eラーニングの視聴には受講料が必要となる。

 

資格を取得するためには受講料が必要で具体的には以下の通り。

 

  • 地域包括ケア推進リーダー:4,000円(税抜)
  • 介護予防推進リーダー:8,000円(税抜)

 

地域包括ケア推進リーダーが2コマ(1時間×2)の視聴時間なのに対して、

介護予防推進リーダーは4コマ(1時間×4)と倍な視聴時間だからか、

受講料も倍に設定されている。

 

 

資格(介護予防・地域包括ケア会議)が目指す人物像

 

地域包括ケア推進リーダー制度において各資格(介護予防・地域包括ケア会議)が目指す人物像は以下とのこと。

 

地域包括ケア推進リーダー

  • 当面は、地域ケア会議の目的を踏まえた上で、会議に参加し、自立支援に繋げる助言ができる。
  • 最終的には、理学療法士の強みを生かして総合的に地域包括ケアを推進できる。

 

介護予防推進リーダー

  • 理学療法士としての専門性を活かした評価ができる。
  • 効果的な予防プログラムを企画・提案ができる。
  • 多職種や住民との協働による予防プログラムを企画・提案ができる。

 

 

各資格を取得するメリットは?

 

各資格を取得するためには、多少の「お金」や「時間」を投入する必要があるのだが、そこまでするメリットはあるのだろうか?

 

まずは、前述した「各資格が目指す人物像」に自信を近づけたいなら、取得してみても良いかもしれない。

 

しかし一方で、「これらの資格が無ければ、介護予防事業が展開できない・地域包括ケア会議に参加できない」というものでは無いので、単純にスキルを身に着けたければ(資格取得の有無にかかわらず)積極的に議業へ参加すればよいだけな気もする。

 

 

そして冒頭でも記載した様に、(個人的には)これらの資格を取得する過程で得たものは少ない。

 

強いてメリットを上げるとすると、経歴などで(取得難易度が分かっていない人たちに対して)「これらの資格も持っていますよ」と自己満足的にアピールできるくらいである。

 

ただ、もう一つメリットを上げるとすると以下になる。

 

介護予防eラーニングの資料は充実しており、臨床でもかなり活用できた。

 

「eラーニング」というサービスを用いて理学療法士協会が作成したコンテンツを視聴することが資格取得の条件となるのだが、その際に「動画コンテンツの資料」もPDFでダウンロードできる。

 

でもって、その資料は臨床でも大いに活用できたといういう事だ。

 

※地域包括ケア会議の方は・・・会議に出席するつもりは全くないし、資料も臨床では(当たり前かもしれないが)まったく役に立たなかった。。。

 

 

終わりに

 

地域包括ケア会議や介護予防に興味がある方は、ぜひ自身でも調べてみてほしい。