「理学療法士の現在と未来」というテーマで半田会長が講演をする中で、

「理学療法士の給料は上がるのか」

という点にフォーカスした話があったので記載していく。

 

目次

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理学療法士の給料は上がるのか?(将来、良くなるのか?)

 

半田会長は、理学療法士の給料に関して以下の様に切り出した。

 

最近、よく協会に寄せられる要望で「(協会の力で)何とか給料を上げてほしい」というのがある。

 

 

でもって、半田会長の見解は以下のようなものだった。

 

給料に関しては「需要と供給」の問題なので、協会ではどうしようもない

 

 

「給料を上げたい(理学療法士の価値を高めたい)のであれば、

需要と供給を調整すれば良いだけの話させれば良いだけの話」とのこと。

 

ただ、「(上記は)単純な理屈なのだが、それが出来るかどうかは別問題」とのこと。

 

この単純な理屈の例え話として、半田会長は以下の様にすれば「理学療法士の給料は、あっという間に上がる(理学療法士の価値は高まる)」と言っていた。

 

現在の理学療法士養成校を、半分以下まで減らす。

 

単純な理屈だ。

 

ただ、(重複するが)それが出来るかどうかは別問題という事。

 

 

養成校を減らすのは難しい

 

これから理学療法士が果たす役割は、更に増えてくると言われている。

 

※後述する『書籍:週刊ダイヤモンド 2018年 5/19 号 (20年後も医学部・医者で食えるのか?)』では、「今後需要が増えると予測される19医療系職種」において(看護師と同列で)トップ1に理学療法士が挙げられていた(作業療法士は3位)。

 

こんな予想が立てられているなら、養成校が増えるのは無理もない。

 

しかし、「養成校が増えれば(=理学療法士が増えれば)、

それだけ価値が目減りしてしまう」のは当たり前。

 

理想は「理学療法士が必要なのに、全く足りていない」

という状況を作り出すことだろう(昔の古き良き時代の様に)。

 

※そうすれば、

「病院・施設側が破格の給料を出してでも、理学療法士を雇いたい」

という状況を作り出せる。

 

だが、そんなのは、もう無理な話。

 

これは

「協会が政府に働きかけて、どうにかなるものではない」

と半田会長は言う。

 

※そりゃ、そうだろな。。

 

で、ここから先は私見だが、

理学療法士と言う資格だけに頼っていては上記の様に限界があるので、

そこから先は個々人の人生設計、戦略によって

運命を勝ち取っていく必要があるということになる。

 

※世の中では「資格頼みで人生安泰」といった職種は稀なので、

当たり前な状況に突入していくだけという事になる。

 

※リハビリで数(単位)をこなして利益を出すことだけが

理学療法士の価値ではないはずだ。

 

 

「古き良き時代」から「稼げない時代」へ

 

諸先輩方からは「昔は良かった」という話を良く聞く。

 

それだけ昔は理学療法士の数が少なかったし、

だからこそ厚遇され、

アルバイトにでも行こうものならメチャクチャな時給が貰えていた。

 

しかし、時代は流れ、制度の改悪に次ぐ改悪で

理学療法士による報酬は削られていく一方で

養成校は乱立し、

どんどん「稼げない時代」へ突入していった。

 

 

厚生労働省お得意のハシゴ外し

 

半田会長は理学療法士制度の遷延を話す際、

以下の様なフレーズを使っていた。

 

ここで、厚生労働省お得意の『ハシゴ外し』が起こったわけです。
 
「ハシゴ外し」とは、どの様な事なのだろう?
 
これは厚生労働省が得意とするやり口の一つで、
今後の公的保険制度の未来を予想する上でも重要なロジックだ。
なので、覚えておいて損は無いと思う。

 

まずは、

「この資格を取得していたら、給料が沢山もらえる」

というフェーズがある。

 

すると、「理学療法士になりたい!」と思う人は必然的に増えるし、

そういう人が理学療法士になり易いような

「規制緩和による学校乱立」を政府がお膳立てすれば、

なおさら理学療法士は増えるだろう。

 

でもって右肩上がりに(ある程度の水準まで)理学療法士が増えだすと、

国は「理学療法士の価値を下げても、

ここから先は自然と増えていくだろう」と踏んで、

理学療法士の価値を下げる方向に舵を切る。

 

※つまり、理学療法の報酬を下げたり、

集団理学療法では報酬が発生しないようにしたりなど、

理学療法士にとってネガティブな方向に制度をシフトさせていく。

 

こういうのは、

「理学療法士になったら、病院で価値の高い地位にいれて、安泰だ」という気持ちで理学療法士になった人や、

国と連携して理学療法士をより高い地位にしたいと思っていた協会からしてみてば、

まさに「はしごを外された」と感じるに違いない。

 

ある程度、国の意向が反映するように国民を誘導するためには、

動機となる『インセンティブ(馬でいう所の、目の前の人参)』が必要だ。

しかし、ある程度その流れが出来てしまえば、

『インセンティブ』がなくとも物事は動いていく。

 

何でもこの繰り返しである。

 

 

いま厚労省が流行らせようとしている公的サービスに飛びつく際はご注意を

 

医療保険における地域包括ケア病床は、

今後の地域を支えるにあたって重要な位置づけなため、

厚労省は採用した病院の採算が大幅アップするよう誘導している。

 

ただし、気を付けなければいけないのが、

そのブームが一段落した際は、ハシゴを外される可能性もあるということだ。

 

※だからと言って、もはや療養型病床などは

採算の取れない部署に成り代わっているため、辞めるに辞めれないだろうが。

 

 

また、厚労省は大きな方針転換をする前に、

「加算」という形で事業所に免疫を付けさせることも多い。

 

この特徴を考えると、

通所・訪問リハビリにおけるリハビリテーションマネジメント加算や

通所リハビリにおける生活行為向上リハビリ実施加算も、

いずれは必須になることも念頭に入れておいたほうが良いだろう。

 

 

理学療法士は将来性はあるが、給料は上がらない by週間ダイヤモンド

 

雑誌「週刊ダイヤモンド」を半田会長が引用して話をしているカ所がチラホラあったので、実際に雑誌を買ってみた。

 

 

でもって、最後に、この雑誌の内容も引用しながら

「理学療法士の将来性や給料」を解説して終わりにする。

 

 

週刊ダイヤモンド:19医療系職種の2040年需要予想ランキング

 

会長は講演の中で「週刊ダイヤモンド」を引用しながら

「理学療法士は需要がある」という点を強調していた。

 

そんな週刊ダイヤモンドの

「19医療職種の2040年需要予想ランキング」

は以下の通り。

 

 

需要増トップ10(増えると予想した割合も%で記載)

①看護師(67%)

①理学療法士(67%)←看護師と同列

③作業療法士(63%)

④言語聴覚士(60%)

⑤介護福祉士(50%)

⑥精神保健福祉士(46%)

⑦獣医師(44%)

⑧社会福祉士(41%)

⑨管理栄養士(40%)

⑩救急救命士(37%)

 

需要減トップ10(減ると予想した割合も%で記載)

①製薬会社のMR(86%)

②歯科医師(63%)

③医療事務職員(59%)

③臨床検査技師(59%)

⑤薬剤師(53%)

⑥診療放射線技師(53%)

⑦医師(46%)

⑧歯科衛生士(40%)

⑧臨床工学技士(40%)

⑧管理栄養士(40%)

 

理学療法士、作業療法士共に、上位に位置している。

 

つまり、理学療法士・作業療法士共に

「将来も需要があり、食いっぱぐれはない」と

(あくまで2018年時点で、あくまでダイヤモンドザイの見解では)

解釈できる。

 

ただし、あくまで「食いっぱぐれは無い」だけで、

給料が良いと言っているわけではない。

 

上位にランキングしている別の職業も見てほしい。

 

低賃金で離職率が高い介護福祉士も

需要増の第5位にランキングしている。

 

※最近の介護報酬では介護福祉士に対して

(離職を抑制し介護福祉士の魅力を高めるためか)

条件付きで報酬がアップする仕組みを作ったりもしているが、

外国人労働者もガンガン参入してくる可能性が高いので、

将来は価値を押し下げる可能性も高い。

 

 

リハビリ税下剋上:自費サービスが拡大

 

半田会長は「下剋上」というキーワードをスライドで使用しており、

何度も発言していた。

 

これは「週刊ダイヤモンド」記事の見出しになっているから、

そこからインスピレーションを受けたのだと思われる。

 

そんな、週刊ダイヤモンドの記事の見出しが

『理学療法士 リハビリ下剋上 自費サービスが拡大』である。

 

その記事の内容は、自費型施設などのリハビリサービスを手掛ける

ワイズ会長兼CROの早見泰弘氏の見解も記しながら、

以下の様に述べられている。

 

ただ、公的保険では内容や対象とする患者に制限が設けられており、対象外になってもリハビリで機能改善を求める「リハビリ難民」が発生している。近年は利用者が費用を全額自己負担するサービスを展開する事業者も増えてきた。

 

・・・・中略・・・

 

公的保険外での提供体制が現状でも広がりつつあるのため、他の治療分野に比べると、最低限の治療を公的保険でカバーして、それ以外は個々人が自己負担するという流れが進みやすい分野でもある。

 

・・・・中略・・・

 

リハビリを望む患者本人と直接契約するセラピストが出てくるという予想もある。

もっとも、施術に対する単価は、現状高くはない。

 

・・・・中略・・・

 

いずれにしても、将来食える医療職として、下剋上的な可能性を秘めている。

 

 

もっと詳しい詳細は、以下を参照してみてほしい。

 

 

 

関連記事

 

以下は「第34回東海北陸学術大会」における半田会長の講演で、

気になった項目をまとめた記事になる。

 

⇒『①厚労省は激怒している | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『②医療保険分野における今後のビジョン(「急性期病棟の理学療法を充実」を中心に) |半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『③介護保険分野における今後のビジョン(「看護師協会とのパワーバランスで敗北」を中心に) | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)

 

⇒『④理学療法士の給料は上がるのか? | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)』

 

⇒『⑤理学療法士の開業権 | 半田会長の講演(テーマ:理学療法士の現状と未来について)