2020年春、コロナウィルス騒動の真っただ中に、LSVT Globalが主催する『LSVT BIG認定講習会』を受講した。

 

ただし、コロナウィルスの影響でLSVT Globalとしては初の「完全オンライン講習会」とのこと。

 

※最初はキャンセル待ち状態だったのだが、「コロナの影響でオンライン開催になった」とのことで急遽参加OKとなった。

 

なので申し込んだは良いものの、まっとうな講習会になるのか心配だった。

 

ただ、結果としてオンラインセミナーには満足している。

 

今回は、そんな「LSVT Global主催のLSVT BIG認定講習会(オンラインバージョン)」の報告をしていく。

 

目次

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LSVT BIG認定講習会の概要

 

オンライン講習会ということで、「開催前に指定サイトへログインし、複数の動画視聴+小テストに合格した状態」で当日を迎えるよう指示された。

 

そして指定サイトを覗いてみると、「動画視聴+小テスト合格⇒次の動画視聴が可能となる」みたいなシステムが出来上がっていて、当日以降の動画は観覧できないようになていた。

 

で、当日の2日間はZOOMを利用して、皆で一緒にエクササイズを練習したり、講義を受けたりして終了。

 

その後、再び複数の動画が視聴可能となっており、それらを視聴後、オンライン試験に合格したら認定をもらえるという仕組みのようだ。

 

 

今回のオンライン講習のメリット・デメリット

 

個人的に感じた、今回のオンライン講習における良かった点・気になった点は以下になる。

 

良かった点

  • 金銭的コスト(移動費・宿泊費)の節約になる
  • 時間的コストの節約になる

 

「LSVT BIG認定講習会」は東京で開催されることがほとんどなので、遠方に住んでいる人であるほど金銭的コストが高くなる(特に移動費)ので、これが節約できる点は有難かったのではないだろうか。

 

また、現地まで往復する移動時間に加え、数日間の宿泊先から会場までの移動時間などなど、オンラインであれば全ての時間的コストが節約出来る。

 

でもって、「LSVT BIG認定講習会」を受ける限り、オンラインで十分完結できる内容だと感じた。

 

受講費自体が「94,600円(税込み)」と決して安い金額ではないため、「受講料以外の金銭的コストを極力抑えたい」と考える人にとっては、オンラインは魅力的だったのではないだろうか。

 

ただ、今回はオフライン(会場は東京)を想定しており、その受講申し込み者+キャンセル待ちだけが対象だったため、狙って今回のオンライン講習を受けることは不可能だ。

 

ただし今後の講習に関して、今回の一件で「オンライン講習をするための素地(システムが構築)が出来上がった」ので、オンライン講習も取り入れながら開催される可能性はゼロではないと感じる。

 

 

気になった点

  • お世辞にも低額な受講料とは言えない。
  • 海外のセミナーは高額なものが多い。。
  • しかもLSVT BIGは、基本的にハンズオフなアプローチなため、オンラインでも可能な無いようなわけだし、もう少し受講料安くならないのかな。

 

気になった点の詳細は、前述した「良かった点」の理由の中にも含まれているため割愛する。

 

 

「LSVT BIG」の概要

 

この記事では、「LSVTの適応」と「特徴」について記載していく。

 

LSVT BIGの適応・非適応

 

LSVT BIGの「パーキンソン病を有している人」が主な対象となる。

 

これは、LSBT BIG(+LSBT SLOUD)が1980年代後半にリーシルバーマンという女性を含めたパーキンソン病患者のアプローチとして研究がスタートしているため。

 

またLSVT BIGの対象に関して、以下のようにも言われている。

  • 発症時期⇒発症後、早くに実践するほど効果的
  • 重症度 ⇒軽度・中等度のほうがであるほど効果的

 

後期パーキンソン病について

ただし、これは「後期・重度なパーキンソン病患者は非適応」ということを意味しているわけではない。

ちなみに、後期・重度なパーキンソン患者へ施行する場合は以下の点に留意する。

  • 様々な機能障害などに対する工夫が+αで必要になってくる
  • 「外部キューがあれば自身が動ける状態」ををゴールに設定する場合も
  • 介護者の介護負担が減るレベルの動作獲得をゴールに設定する場合も

 

パーキンソン病以外について

パーキンソン病患者でなくとも、試験的に実施して、効果的な場合は適応となる(パーキンソン病だけにしか効果が無いという訳ではない)。

 

 

LSVT BIGの特徴

 

LSVT BIGの特徴は以下になる。

  • 週4回のセッションを4週連続で実施(計16回のセッション)。
  • 1回のセッションは1時間。
  • 正常な動作を再訓練・強制すること(大きな動作を意識することが重要)。
  • 通常よりも大きな努力(7~9/10レベル)をしてもらう。
  • 自己校正を促す。
  • 効果持続のための課題・宿題を出す。
  • 日常生活で訓練動作の持続的使用を促す。

 

4回/週を4週連続で実施

患者がセッションを一週間に4回こなすことが全く不可能という場合、この患者にはLSVT BIGを提供することはできない。

※その場合にLSVT BIGと類似した内容を用いたとしてもLSVT BIGとは呼べない。

それだけ「 4回/週を4週連続で実施すること自体」がLSVT BIGの重要なコンセプトの一つと言える。

※多少の例外はあるが割愛。

 

「大きな動作」・「高い努力量」を意識

パーキンソン病は全ての動作が小さくなってしまいがちなため、常に大きな動作を心掛けてもらう。

大きな動作を心掛けるためには「自身が最大に近い努力量(7~9/10)」で動作をするような意識も必要。

これはセッション中もそうですし、日常生活(課題・宿題時も含む)においても同じです。

「大きな動作を常に意識しながらの動作」もLSVT BIGの重要なコンセプトの一つである。

 

自己校正を促す

自己校を促すとは以下を意味する。

  • 運動などの「適切な大きさ」を認識(+その認識を持続してもらう)
  • 運動などの「適切な大きさ」を常にモニタリング・修正する癖をつけてもらう

 

特に自己校正を意識してもらう作業は、能動的でなければならない。

パーキンソン病患者は、自身の動作が小さくなりがちだが、それを正常だと認識してしまいがちなため、そのボディーイメージの是正には「自己校正を伴う動作の反復」が重要となる。

 

ビデオ撮影をすると「自分は、こんなに小さな動作だったのだな」「大きく(大げさに)動作しているつもりだが、自分が思っているより大げさじゃないな(普通だな)」と自己校正しやすい。ただ、自己校正は何度も繰り返さなければ、元に戻り易い。

 

従って、(重複するが)能動的に問題解決へ取り組もうとする意志を持ちつつ、「大きな動作の意識」「(大きな動作に必要な)高い努力を意識」しつつ短期集中的な体験を通して、重要な要素を心身に染み込ませる必要性がある。

 

例えば、立ち上がり動作に関しては以下のように、なるべく大きく立ち上がってもらう(「極端なほど大きく」ではないので誤解なきよう)。

 

LSVT BIGの「主体性や対話をメチャクチャ重要視した治療法」という点は、マッケンジー法に共通したものを感じた。

 

一方で、パーキンソン病の随伴症状として抑うつ傾向もあるため、活動へのモチベーションを高めたり、自己効力感を引き出すような対話・ビフォーアフターの提示など、様々な工夫も重要だと感じた。

 

 

「LSVT BIG」の具体的な方法

 

LSVT BIGは、以下から構成される。

  1. 日常生活課題
  2. 機能的要素課題
  3. 階層的課題
  4. 大きな歩行
  5. 「効果持続のための課題」も含めた『宿題』

 

①~④は前述した「1回60分のセッション内」+自宅で実施してもらう内容となる。

⑤はセッション外に「約1か月毎日」実施してもらう内容となる。

 

最大日常課題

 

最大日常課題は以下の7つから構成される。

 

日常生活課題

  1. 床から天井 – 8回
  2. 側方から側方 – 左右各8回
  3. 前方へのステップ – 左右各8回
  4. 側方へのステップ – 左右各8回
  5. 後方へのステップ – 左右各8回
  6. 前方への揺れ動きとリーチ左右各10 回(最大20回まで)
  7. 側方への揺れ動きとリーチ左右各10 回(最大20回まで)

 

最大日常課題は「機能的要素課題も含めて」少なくとも30分以上は実施する(4週間のうちに徐々に減らしていくが、4週間目でも、最低でも30分は実施する)。

 

そして後半は、最大日常課題(+機能的要素課題)が減る分、「階層的課題+大きな歩行」に割く時間が増える。

 

上記の日常生活課題はテンプレが存在するが、テンプレのままでは活用できない人もパーキンソン患者も存在し、その際は臨機応変に工夫する。

 

例えば以下の様な場合に工夫を要する。

  • バランス能力が低下し不安定
  • 整形外科的疾患(脊柱管狭窄症・変形性関節症など)や心疾患(起立性低血圧、心・呼吸器疾患)を合併している
  • 認知機能の低下により「宿題の内容を覚えられない(宿題としても日常生活課題を実施してもらう)」
  • 抑うつ傾向・意欲の問題
  • 後期パーキンソン病で病態が進行している

 

上記は、日常生活課題に限った話ではないが、様々な工夫のアイデアがセミナーでは提示されている。

 

 

機能的要素課題

 

機能的要素課題としては「毎日、行う頻度が高い行為」であり、1セッションの中で繰り返し実施してもらう。

 

機能的要素課題は、評価用紙を活用しつつ問診の中で決定していく。

評価用紙は「初回評価」と「終了時評価時」の2回記入してもらう。

 

ポイント

機能的要素課題を決める際のポイントは以下の通り。

  • 患者に合った内容
  • 単純な運動(⇔複雑な行為は、後述する階層的課題で実施)
  • 短時間で可能な行為(繰り返し反復できる行為)

 

ルール

機能的要素課題のルールは以下の通り。

  • 上記に合致する内容を5つ決め、1セッションの中で各5回反復する
  • 16回のセッションの途中で変更しない(⇔後述する「階層的課題」は徐々に難易度を高めたりなどセッションを重ねるごとに調整する)
  • 時間配分に関して、16回のセッションの最初は「①最大日常運動訓練+機能的要素課題」の時間を多くする(45分くらい)が、後半になると「②大きな歩行+階層的課題」の時間を多くする(①30分②30分といった感じの時間配分)。
  • 「椅子からの立ち上がり」を必ず加える(なので、実際は立ち上がり以外の4つを決めていくことになる)

 

例え

機能的要素課題の例えは以下の通り。

  1. 椅子からの立ち上がり(起立⇔着座)
  2. ドアの開け閉め
  3. 足を上げて車から昇降
  4. 蛇口をひねる
  5. 服のボタンをとめる

 

重複するが、毎日行う5つの課題を選択し、各5回ずつ反復してもらう。

この中には、必ず「椅子からの立ち座り動作」を入れる。

 

(大きな動作を意識しながらの)立ち上がり動作のポイントは以下の通り。

  • 下に大きく腕を伸ばしながら立ち上がる
  • 大きく押し上げるように
  • 大きく手を前方へ伸ばしながら着座する

 

目的

機能的要素課題の目的は以下の通り。

  • 日常的に行っている動作(患者の日常において非常に意味のある動作)を選択することで、日常で過剰なくらい繰り返すことで、過剰に学習してもらう。
  • 日常生活において、動作の大きさを自分で調整できるようにする(この動作を自身で再調整できるようになってもらう)
  • 家でも大きな動きを「思い出させる」
  • 「選択した課題」を日常でこなす度に、自己校正を思い出させるような内容にすることで、日常生活で常に「大きく動作する」というポストイットが体中に貼り付いているイメージを作り出すことが出来る。

 

臨機応変

先ほど「機能的要素課題のルール」として16回のセッション中に「1度決めた課題は途中で変更しない」と記載したが以下を目的に微調整するのはOK。

  • 成功頻度を上げるために調整(難易度を低く)
  • 自信をつけるために調整(難易度を低く)
  • 動作の安全を確保する
  • 並存疾患(血圧・痛み・可動域制限など)を考慮して調整する。
  • 常に、患者に最も適した調整は何だろうかと自身の経験に基づいて考えてみる。
  • 難易度を高く

 

例えば「立ち上がり動作」の難易度調整としては以下のアイデアがある。

  • 座面を低くする
  • より柔らかく、より深い座面を使う。
  • 速度を上げる
  • 二重課題を与える

 

これにより神経可塑性を活性化させ、複雑な日常生活課題もこなせるようになる。

 

※絶対に「簡単にできる」といった退屈なものにしないこと(7~9割の努力を要する課題に調整すること)

 

効果的なキューを発見できていれば、課題が難しい際に取り入れるなどもOK(フリックなど)。

 

 

日常生活でも実践してもらう

目標は、日常生活において大きな動作、大きな努力について考える状態に患者を繋ぎとめるあるいは彼らがキューを出すようにすること。

単純な機能課題を過剰なほど学習、大きな動作と大きな努力が日常生活へと持ち込まれ継続されるようにする。

 

 

階層的課題

 

「(前述した)機能的要素課題」と「階層的課題」の違いは以下の通り。

  • 機能的要素課題=シンプルなもの
  • 階層的課題=複雑なもの

 

  1. 「機能的課題記録用紙」を用いて、 患者が困難な機能を特定する。

  2. それを細分化して「機能的要素課題」として分離して単純化させて訓練しつつ、「階層的課題」として徐々に統合的な課題として訓練していく。

 

 

課題が見つからない場合は、以下の質問をしてゴールを明確にする。

  • 何があなたに喜びをもたらしますか?
  • 何を今後も続けて行えたらいいなと思いますか?

 

階層的課題のルールは以下の通り。

  • 階層的課題は1~3つ選択する(⇔機能的課題は必ず5つだった)。
  • 4週間かけて段階的に複雑化させていく(⇔機能的課題は内容を変更しない)
  • (最大日常運動訓練や機能的要素課題と同様に)大きな努力、大きな動作及び質を用いる。

 

内容を複雑化する例としては以下な感じ。

 

1週目:

階層的課題の中で最も難しい「単位」から始める。一連の動作を分解して各単位毎に練習する(多めのフィードバック)

2週目:

練習した単位を一つの流れとして練習する。何度も反復する(適度なフィードバック)

3週目:

行動全体の練習。(フィードバックは減らし、自身で内部キューを出せるように)

4週目:

障害物もある状態、二重課題なども加えながら。

 

 

大きな歩行

 

1回60分のセッションの中に「大きな歩行(歩幅と腕の振りを意識した歩行練習)」も取り入れる。

 

ルール

「大きな歩行」のルールは以下の通り。

  • 機能的要素課題と一緒に、治療の後半で行うようにする
  • 60分内で「大きな歩行」に割く時間配分は自由
  • 大きな振り・大きな歩幅を意識
  • どちらの腕(or足)から始めるかは気にしない(とにかく大きく振る。これらに意識を向けると、普通の歩き方が難しくなってしまう)。
  • 必要であれば補助具を用いる。補助具を用いても大きな歩行をすることは可能。

 

 

パーキンソン病患者のボディーイメージから「大きな振り・大きな歩幅を意識しながら歩く」というのは、最初はぎこちなく感じることが多い。

 

しかし、実際には自身が思っているよりも「大げさな歩行」になっていないため、ビデオなどを通じて自己校正を促すのがおススメ。

 

難易度調整

最終的には以下などのアイデアで、段階的に難易度を高める。

  • 坂道
  • 障害物が多い場所
  • 不整地
  • 側・後進歩行などの応用歩行
  • 二重課題
  • 声掛けにより速歩や方向転換などスイッチ

 

 

「効果持続のための課題」を含めた『宿題』

 

ここまでは、1回のセッション時に実施する内容について述べてきたが、ここから先は「宿題」について述べていく。

 

目的

宿題は、以下の意味で重要かつ必要不可欠な要素となる。

  • 各セッションで得られた効果(運動機能・自己校正の構築)を持続させるため
  • 各セッションの内容を日常生活に落としこみ、成功体験を積み・自己効力感を高めるため(あるいは課題を発見するため)

頻度

宿題の頻度は以下の通り。

  • 訓練が無い日⇒1日2回
  • 訓練がある日⇒1日1回

 

ルール

宿題のルール以下の通り

  • 最大日常生活訓練回数(最低各4回)
  • 機能的要素課題(5種類を各5回)
  • 階層的課題(「やって下さいね」と大まかに。次回にどうだったか報告してもらう)
  • 大きな歩行(日常において少し歩くにしても、数キロ歩くにしても、常に『大きく歩く』というのを心掛けてるよう伝える。「歩行訓練の時間」を日常で設けてもらうのもOK)。
  • 『効果持続のための課題』を出す。

 

 

4週間のセッション終了後のフォローアップ

 

16回のセッション(約1か月)が終了した後も、以下を日常で実施してもらう。

  • LSVT BIGのエクササイズを毎日
  • 効果持続の課題を、これからは自身で見つけるように(周囲の人に、効果を見せびらかす機会を作ること)

 

また、パーキンソン病は進行性の疾患なため、フォローアップ再調整の機会を作ることが望ましい。

 

頻度は特に決められていないが、3~6か月(or1年)に1回くらいの期間で定期的にフォローアップするのが理想。

 

フォローアップの目的は以下の通り。

  • 自己校正の再適正化
  • 再動機付け

 

 

おススメ動画

 

もっとじっくりとコンセプトについて理解したい方は以下の動画を参考にして下さい。

 

 

LSVT BIGの情報収集はこちらから

 

以下は公式ホームページとなる。英語サイトだが、Googleクロームでアクセス⇒サイト画面で右クリック⇒日本語翻訳を選択することでGoogleが日本語翻訳してくれるので英語が苦手でも問題なく観覧できる。

 

このコンセプトに興味がある方はぜひ!

 

⇒『LSVT Global公式ホームページ(外部リンク)