この記事では、鎮痛作用のある薬剤として『ナトリウムイオンチャネルブロッカー』について解説していく。

 

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ナトリウムチャネルブロッカーは様々な部位に作用する

 

ナトリウムイオン(Na+)チャネルブロッカーと言われれば馴染みが薄いかもしれないが、リドカインやブピバカイン塩酸塩などの『局所麻酔』、メキシエレチン塩酸塩やフレカイニド酢塩酸などの『抗不整脈薬』が、Na+チャネルブロッカーに該当する。

 

鎮痛として用いられるNa+チャンネルブロッカーが関与する部位は、下記のように多岐にわたる。

 

①侵害受容器の興奮を抑える

②一次侵害受容ニューロンの興奮の伝導を抑える

③脊髄に作用する

 

 

①に関して:

侵害受容器に閾値以上の刺激が加わると活動電位が生じ、これが大脳に伝導され、痛みとして知覚される。

そして、この活動電位の大きさは細胞外からのNa+の流入量が影響しているため、Na+チャネルを、Naチャネルブロッカーにて遮断すると鎮痛効果が得られる。

末梢受容器における活動動電位を抑えるだけであれば、スプレータイプや塗り薬が存在する。

 

 

②に関して:

痛みを伝える活動電池は侵害受容器から発生するが、これが一次侵害受容ニューロンを伝導する際にNa+チャネルが関係している。

また、末梢神経の損傷によって生じた神経障害性疼痛は、神経の損傷部位や後根神経節あるいは神経腫から活動電位が発生する異所性興奮(発火)がみられ、これにもNa+チャネルの活性化が関与している。

つまり、Na+チャネルブロッカーは一次侵害受容ニューロンにおいて、活動電位の伝導を阻害する作用や、異所性興奮を抑える作用があり、これによって鎮痛が得られる。

 

医師による神経ブロック注射はまさにこの作用を狙った治療法と言える。

関連記事⇒『神経ブロック注射:整形外科で良く用いられる鎮痛手法

 

 

③に関しては関連記事『感作とは?脊髄後角で起こること!』を参照

 

 

リドカイン:使用頻度の高いNaチャネルブロッカ

 

局所麻酔薬であるリドカインは表面麻酔、浸潤麻酔、伝達麻酔、硬膜外麻酔、脊椎麻酔としても使用されるが、点滴や皮下注射などで全身投与すると、神経伝達を遮断することなく、異所性の発火を抑制できる。

 

リドカインは毒性も低く組織浸透性が大なため、多くの神経ブロックに用いられているが、その他の薬剤としては、メピバカイン・ブピバカイン・ロピバカインなどがある。

 

また、錠剤タイプがあるメキシレチンは化学構造や薬理作用がリドカインと類似しているので「経口リドカイン」と呼ばれている。

 

副作用として、眩暈・悪心・嘔吐などが挙げられる。

 

 

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