カルシウムイオン(Ca2+)チャネルブロッカーの作用がある薬剤としては以下の種類がある。
・心疾患に用いられる薬剤(ニフェジピン・ジルチアゼム塩酸塩・シルニジピンなど)
・抗てんかん薬(プレガバリン・ガバペンチン・バルプロ酸ナトリウムなど)
抗てんかん薬はCa2+チャネルブロッカーを含めて様々な種類が存在する
てんかんとは、脳に出現した異常興奮が全身に伝わって痙攣を起こす疾患である。
そして、てんかんに対して投与される薬剤が『抗てんかん薬』である。
※『抗てんかん薬』と『抗けいれん薬』は同じ意味で用いられている。
抗てんかん薬は、それぞれで作用機序が違う場合もあり一括に出来ない面もあるが、いずれも神経細胞の異常な興奮を抑える効果があり、Ca2+チャネルブロッカーも含めて下記のような種類がある。
①GABAの受容体やGABAそのものの産生を促すような薬剤:
ガバペンチンやバルプロ酸ナトリウムは、後述するCa2+チャネルブロッカーの作用に加えて、痛みの伝達物質であるグルタミン酸の作用抑制や、抑制性物質のγアミノ酪酸(GABA)の作用促進といった働きもあり、これらによっても鎮痛効果が発揮される。
また、GABAの作用促進という点では抗不安薬であるジアゼパムなども、てんかんに対する薬剤と言える。
関連記事⇒『慢性痛に対する抗うつ薬・抗不安薬の活用』
②Na+チャネルブロッカー:
Na+チャネルの働きを阻害して異常発火を抑制する
③Ca2+チャネルブロッカー:
Ca2+チャネルブロッカーは一次侵害受容ニューロンと二次侵害受容ニューロンの中継地点である脊髄後角において、下記のような働きにより中枢神経感作の軽減が期待される。
・一次侵害受容ニューロンの脊髄側末端部に存在するCa2+チャネルを遮断し、神経伝達物質の放出を抑える
・脊髄後角におけるNMDA受容体の活性化を契機とした二次侵害受容ニューロン内のCa2+濃度の上昇を抑制する。
プレガバリン:神経障害性疼痛の第一選択薬
てんかんの「異常興奮が生じる」という観点においては、原因は違っても神経障害性疼痛と共通点があると考えられている。
そのため、抗てんかん薬の中でも、特にCa2+チャネルブロッカーは神経障害性疼痛に対する鎮痛目的に用いられることがある。
そんなCa2+チャネルブロッカーの中でも、プレガバリンは、線維性筋痛症の治療薬として認可されている唯一の薬である。
また、プレガバリンは、線維性筋痛症のタイプを問わずに使用でき、半数以上の患者に改善効果がみられるため、第一選択薬(様々な治療薬のうち、最初に投与を勧められる治療薬のこと)とされることも多い。
プレガバリンは国際疼痛学会(IASP)において神経障害性疼痛の第一選択薬に推奨されており、線維性筋痛症以外にも、下記のように様々な疼痛に適用が拡大されている。
・帯状疱疹後神経痛
・有痛性糖尿性神経障害
・三叉神経痛
・神経障害が要因となっている腰痛など
一方で、副作用(一番多いのは傾眠、二番目は浮動性のめまい)が強く現れ、服薬を続けられない人もいる。
そのような場合は「他の抗けいれん薬(ガバペンチンなど)」への変更や、作用の異なる「他のタイプの薬剤(抗うつ薬・ノイロトロピンなど)」で症状の緩和を検討する。
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