この記事では、膝関節痛に対するアプローチとして用いられる『ヒアルロン酸注射』について解説していく。

 

目次

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ヒアルロン酸って何だ?

 

ヒアルロン酸は人体内に存在する成分で、高分子で粘り気と弾性がある成分である。

 

ヒアルロン酸は、皮膚・関節液・目(の硝子体)などに含まれている。

 

※例えばヒアルロン酸は「水分の保持」という役割があるため、ヒアルロン酸の多い皮膚は水分を多く保つことができ、肌にハリや潤いが違ってくる。

 

※例えばヒアルロン酸は「関節では動きをスムーズにする潤滑油」のような役割があるため、ヒアルロン酸を注射することで、関節の動きが良くなる可能性がある。

 

 

変形性膝関節症に対するヒアルロン酸注射

 

変形性ひざ関節症によって軟骨がすり減ってくると、関節液に含まれるヒアルロン酸も減少していまう。

 

そこで、不足分なヒアルロン酸を外から注射で補うことによって、ひざの機能改善をめざす治療法が行われることがある。

 

日本でも古くから(20年ほど前から)行われている治療法、以下などの効果が期待できるとされている。

  • 関節の動きがよくなる
  • 炎症が抑えられる
  • 痛みの閾値(感じやすさ)が改善される

 

 

ヒアルロン酸注射が適応となる基準

 

ヒアルロン酸注射を適応とする基準は、医師によって異なる。

 

ただし、関節の軟骨の破壊が中等度以上にまで進行している場合は非適応(っというか効果が薄い)と言われている。

 

※注射をする部位に湿疹など皮膚の異常が見られる場合は非適応

 

※ちなみに、ひざに水(関節液)が大量にたまっている人は、(非適応ではないが)先に水を抜く必要がある。

 

関節液が溜まるとは?

 

膝関節は関節包という袋に包まれており、その中には通常1〜3mの関節液がある。

膝の関節軟骨がすり減って、そのかけらが関節包を刺激すると、炎症を起こして関節液が過剰に分泌され、ひざに水がたまる(これを関節水腫と呼ぶ)。

「関節水腫」は炎症による副産物ではあるが、関節包は多量の水がたまる事自体も、痛みの原因になり得る。

 

※この場合、水を注射針で抜くと、痛みがとれる。ただし、関節の炎症が治まらないかぎり、関節液は再びたまり、痛みが誘発される。

 

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⇒『関節水腫による膝蓋跳動(floating patella)を解説(動画あり)

 

 

ヒアルロン酸注射の頻度

 

この記事では「膝関節痛に対するヒアルロン酸注射」と題して記事にしているが、膝にフォーカスした場合、ヒアルロン酸駐車はヒアルロン酸注射は関節の中だけでなく、押して痛みを感じる部位へ注射しても効果があると言われている。

 

※例えば、膝蓋腱炎や鷲足炎などの一部

 

 

ヒアルロン酸注射の頻度に関する意見も医師によって様々だが、週1回との意見が多く、それを4〜5回実施。

 

※注射の効果は、膝の状態によって個人差がある。

 

※症状が改善するかどうか様子を見て、効果がなければ、さらに数回注射を追加することもある。

 

※注射を続けるには、1回の注射の効果が2〜3日以上持続することが望ましい。

 

 

ヒアルロン酸注射の副作用

 

ヒアルロン酸注射によって以下などが生じることもある(稀な例も記載している)

 

・膝が腫れたり熱感が生じることがある。

・注射後1~2日、注射をした部分に重たい感じが残る。

 

 

ヒアルロン酸は飲んでも効くのか?

 

今回は膝関節に直接ヒアルロン酸を投与する『ヒアルロン酸注射』の記事となる。

 

しかし一方で、ヒアルロン酸を経口摂取する(口から摂取する)商品も存在し、TVのCMで頻繁に流れていたりする。

 

※ちなみにヒアルロン酸は、美容の世界でもおなじみの健康成分で、「天然の保水成分」と呼ばれ、関節痛やドライアイの緩和、美容維持などの効果があるとして、中高年を中心に人気があったりする。

 

ただし、ヒアルロン酸は飲んでも分解されて全身に散らばってしまう。

 

※そもそも、分解されなかったとしても、摂取したヒアルロン酸が都合よく当該関節(治したい関節)、肌や目といった特定の部位に届くことは不可能。