この記事では、バイタルサインの一つである『体温(body temperature)』『発熱(pyrexia)』について解説していく。
目次
体温について
人体の体温は以下の2つに分けられる。
核心温度:
人体内部の温度で一様な恒温状態にある。
外殻温度:
皮膚温とも呼ばれる。外部環境の温度変化に応じて熱放散の調整を行っている。
平常時の体温を把握しておくことで、体温異常を早期に発見できる。
高齢者は代謝が低下するため、一般成人より体温が低めだと言われているが、個人差があり、時間帯や活動後・室温・服装などによっても変化する。
発熱について
発熱とは「体温が異様に上昇すること」を指す。
発熱(体温)の測定部位や基準値について記載していく。
体温の測定部位
体温の測定部位で最もい一般的な部位は『腋窩』である。
その他の測定部位としては以下などがある。
・口腔温
・直腸温
・耳内温
腋窩温は、測定が簡便であるが皮膚温(外殻温)なため、核心温よりやや低い温度となる。
それに対して、口腔温・直腸温・耳内温は、核心温に近い温度が測定できる。
※ちなみに、アマゾンでベストセラーで好評な体温計は以下になる。
腋窩温の測定方法
体温(腋窩温)の測定方法は以下の通り。
- 体温計を腋窩前下部から後上方に向けて45°角度で挿入。
- (水銀体温計の水銀槽あるいは)電子体温計感温部が腋窩の最も凹んだ部分に当たるようにする。
- 上腕は体側に下垂し、腋窩腔を密着させる。
※高齢者は腋窩腔が広すぎる場合があり、その際は介助者が脇を締めるよう軽くサポートしつつ、腋窩の凹んだ部分に当たり続けるように保持してあげると正確に測定しやすい。
体温の基準値
体温の正常値・異常値は以下の通り。
体温の正常値:
腋窩温で35.5~37.5℃に分布する。
個人差があり、一般には『36.5℃前後』と覚えておこう。
体温の異常値:
・微熱 ⇒37.0~37.9℃
・中等度熱⇒38~38.9℃
・高熱 ⇒39.0℃以上
ザックリと上記だけ覚えておけば臨床では事足りると思う。
ただ、念のため、体温の表現方法(+数値)の一覧を以下に記載しておく。
・低温(虚脱熱)⇒36℃未満
・平熱(健常熱)⇒36.0~37℃未満
・軽熱(微熱) ⇒37.0~38℃未満
・中等熱(中熱)⇒38.0~39℃未満
・高熱 ⇒39.0~40.5℃未満
・最高熱(著高熱)⇒40.5~41.5℃未満
・過熱(過高熱)⇒41.5℃以上
ただし(重複するが)一般的な基準値よりも、対象者の平時の体温と比較することが重要である。
ちなみに私は低体温なので、37.0℃代になるとかなり調子が悪く、37.5℃を越すと寝込みたくなるほどである。
にもかかわらず、36.9℃以下であれば仮病だと思われ、学校を親に休ませてもらえなかったという苦い経験がある。
体温は変動するよ
体温は以下のように、どのタイミングで測定するかによって数値が変動するのは覚えておこう。
①日内リズム:
午前2~4時の朝方が低く、午後2~6時の夕方が高い。
②季節変動:
気温の低下とともに低下し、気温の上昇で高くなる。
③食後の上昇:
食後30~60分で上昇。
④入浴:
入浴後20~30分で上昇、60分で平常値。
⑤運動:
激しい運動では.39℃に上昇することも。
⑥精神的ストレス:
1~2℃の上昇することも
⑦女性ホルモン:
排卵日に体温の下降がみられる
ここまでの解説を動画で紹介
以下は、体温について解説した動画になる。
関西弁で、分かり易く解説されているので頭に入ってきやすい(かも 笑)。
高齢者に対する体温測定のポイント
高齢者に対する測定ポイントは以下の通り。
- 腋窩部に発汗があるときは、よく拭き取る。
- 痩せている人は、体温計の先が脇の中央に当たっているかを確認する。
※痩せている人・動いてしまう人はスタッフが身体+体温計を支える。
- 左右差があるため、測定側を決めておく
※麻痺側は皮膚が密着していると体温が高くなり易い為、健側(正しくは非麻痺側と表現)で測定する。
高齢者の体温異常(発熱)の原因
発熱の原因は多様であるが、高齢者で発熱があれば以下などに注意してほしい
・感染症
・肺炎
・熱中症
※もちろん、風邪やインフルエンザなどにも注意。
いずれにしても発熱は単独でおこることは稀であり、疾患特有な症状と同時に起こることが多いので、その症状を詳しく観察することが診断に非常に重要である。
発熱時の対応
発熱時には以下などの対応が一般的である(もちろん原因疾患への対応も)。
・心身の安静
・うつ熱がおこらないように着衣,換気など環境に配慮
・十分な水分補給(発熱時には発汗による脱水がおこりやすい)
※脱水があると解熱効果が低下する
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先ほども紹介したが、最後にもう一度だけ体温計を紹介して終わりにする。
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