この記事では、足背骨動脈の触診方法について記載していく。

 

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足背動脈が触診できる部位

 

足背動脈は以下の順に中枢から末梢へ走行する。

 

前脛骨動脈⇒足背動脈(⇒足底動脈弓)

 

そして、足背面動脈の触診するのに最適なのは以下になる。

 

第1・第2中足間を中枢に辿っていった楔状骨にぶつかる辺り(の少し中枢側)
 

 

上記の「赤い部分」が足背動脈の一部になるので、(第1・2中足骨基部の若干中枢側に)で、2-4指をそろえて動脈の走行に合わせて軽く当てると拍動を感じることが出来る。

 

また、以下も意識するとさらに正確さが増す。

 

(前述した楔状骨付近で、更に)長母指伸筋と総指伸筋の間

 

ここから先は、長母指伸筋と総指伸筋の間で足肺動脈が触れる点について記載していく。

 

筋も参考にした触診方法

 

内果・外果を結んだライン上においては、以下の順で筋腱・動脈が走行している。

 

内果⇒前脛骨筋⇒長母趾伸筋腱⇒足背動脈⇒長趾伸筋腱⇒・・・⇒外果

 

なので、以下により足背動脈が触知しやすくなる。

 

手順1

足関節を背屈(+内反)させ、「内果⇔外果」の間で前脛骨筋腱を浮き上がらせる。

非常に太い腱なので、どんな人でも簡単に触診できる。

当たり前すぎるので、長趾伸筋が分からないという人だけ、手順1(前脛骨筋の触診)から始める。

手順2

次に母趾を伸展させ、「内果⇔外果」の間で(前脛骨筋の隣を走行している)長母趾伸筋を浮き上がらせる。

 

長母趾伸筋腱と長趾伸筋腱の鑑別

長母趾伸筋は母趾末梢側へ走行していくので、この走行を確認することで長趾伸筋腱と鑑別できる(長趾伸筋腱は2~5趾の末梢へ走行するが、母趾には走行しないので鑑別できる)。

 

以下は長母趾伸筋腱を浮き上がらせている(+その外側を沿うように足背動脈が走行している)状態を示している。

 

※一応、足背動脈(赤い線)だけでなく長母指伸筋腱(青色のライン)も掲載(写真の右側)。

 

 

長母趾伸筋腱が確認できたら、リラックスしてもらい、その外側へ沿って走行している足背動脈を触診してみよう。

 

 

※グリグリと力を入れすぎたら逆に分からなくなってしまうので、拍動が感じられない場合は(触診部位があっているか以外に)手指に力が入り過ぎていないかをモニタリングしながら実施しよう。

 

 

足背動脈で脈拍触診する意義

 

脈拍触診で最も有名なのは橈骨動脈だ。

 

それ以外にも「総頚動脈」「大腿動脈」など、もっと脈が振れやすい部位も存在する。

 

そんな中で足背動脈を触診する意義は以下になる。

 

末梢循環障害に陥っていないかをチェックするため

 

末梢循環障害としては、例えば以下の疾患が該当し、これらの評価をする際は一つの指標として機能する。

  • 糖尿病
  • 閉塞性動脈硬化症

 

糖尿病に関しては以下の記事でまとめてある。

⇒『糖尿病はサイレントキラー!重症化する前からの対策が必須な件!

 

ちなみに深部静脈血栓症も循環障害ではあるが、「静脈」の血栓症であることもあり、評価の指標にはならないとする意見もある(多少の意義があるとしている文献もあるが)。

 

※深部静脈血栓症への評価としてはHomans徴候などのほうが有名であり、詳しくは以下の記事で説明している。

⇒『深部静脈血栓症の意味・予防・治療・禁忌を整理しよう

 

 

足背動脈・後脛骨動脈! 脈拍触診はどっちがおススメ?

 

足背動脈の触診は、抹消循環障害の評価に活用できると前述したが、同様に活用できる部位に「後脛骨動脈」がある。

 

でもって、足背動脈と後脛骨動脈では、「足背動脈のほうが皮下にあり触診しやすい」と言われている。

 

とはいえ、後脛骨動脈のほうが分かりやすい人もいるので、両方が触診できるに越したことはない。

 

※また「抹消循環障害で触知しにくい」のではなく、「自身の触診場所が誤っているだけ」な可能性もあるので、両方触診できるようにしておこう。

 

後脛骨動脈の触診方法に興味がある方は以下の「関連記事」を参考にしてみてほしい。

 

関連記事

 

後脛骨動脈以外の脈拍触診部位として以下もあるので、合わせて観覧すると脈拍触診への理解が深まると思う。

 

⇒『後脛骨動脈の触診場所は? この部位で脈拍触診する意義も解説

 

⇒『上腕動脈の触診場所は?血圧測定でも大切だよ

 

ちなみに大腿動脈は「スカルパ三角」で触診可能で、スカルパ三角に関しては以下で解説している。

⇒『スカルパ三角(大腿三角)とは? 「(鼠経靭帯などの)構成」や「通るモノ」も解説