この記事では、バイタルサインの一つである『血圧(blood pressure)』について解説していく。
後半には、オススメな血圧計(+α)も紹介しているので、ぜひ観覧して楽しんでほしい。
目次
血圧とは
血圧とは、心臓のポンプ作用で押し出された血液が血管を押す圧力のことである。
従って、心臓が血液を送り出す力、量、血管の詰まり具合などによって決まってくる。
末梢の結果にたくさん血がいっているときが収縮期血圧で、血管に力が一番加わっている状態と言える。
反対に心臓が拡張し、末梢の血管にあまり値がいっていない時が拡張期血圧で、血管には力があまりかかっていない状態と言える。
血圧の種類
血圧には以下の2つがある。
・最大血圧(収縮期血圧)
・最小血圧(拡張期血圧)
・脈圧
・平均血圧
最大血圧(maximal pressure):
最大血圧は心収縮が最大になったときの血管内圧で最高血圧や収縮期血圧ともいう。
最小血圧(minimal pressure):
最小血圧は心筋が弛緩し、心臓が拡張した状態で、血管内圧が最低になった状態である。
最低血圧や拡張期血圧ともいう。
脈圧(pulse pressure):
脈圧は最大血圧と最小血圧の差をいう。
平均血圧(mean blood pressure):
平均血圧は脈圧のl周期全体を通しての平均値を示すものであり臨床的には最小血圧に脈圧の1/3を加えたものを大体の目安とする。
血圧の基準値
血圧の基準値は以下の通り。
正常値:
最高血圧(収縮期血圧)→140mmg未満
最低血圧(拡張期血圧)→90mmg未満
異常値:
前述した「正常値」を超えると『高血圧』と定義される。
※個人差はあるが、160mmgを超える時は、特に注意が必要である。
※ただし、その人の正常値を把握して異常値であるかを判断する必要がある。そのため160mmg以下でも注意が必要な時は当然ある。
気温に注意:
寒いと血管が収縮して高血圧になり易い
※なので、入浴やトイレなどの移動時は、22~24度に室温調整して気温の急激な変化を防ぐことが望ましい。
もう少し具体的に『血圧の基準値』を解説
血圧の基準値に関しては、前述した項目をザックリと覚えておけば良いと思う。
ただし、もう少し詳しく知りたい人がいるかもしれないので、『高血圧治療ガイドライン2014』を参考に補足しておく。
※画像引用も高血圧治療ガイドラインより
もっと詳細な血圧の基準値を紹介
前述した基準値よりも、更に細分類化された基準値は以下になる。
分類 |
収縮期血圧 拡張期血圧 |
|
正常域血圧 |
至適血圧 |
<120 かつ <80 |
正常血圧 |
120-129 かつ/または 80-84 |
|
正常高血圧 |
130-139 かつ/または 85-59 |
|
高血圧 |
Ⅰ度高血圧 |
140-159 かつ/または 90-99 |
Ⅱ度高血圧 |
160-179 かつ/または 100-109 |
|
Ⅲ度高血圧 |
≧180 かつ/または ≧110 |
|
(孤立性)収縮期高血圧 |
≧140 かつ <90 |
血圧測定場面によって「3種類の血圧」がある。
血圧は、測定する場所によって以下の3つに分類される。
・診察室血圧(診察室で測定する血圧)
・家庭血圧(自宅で測定する血圧)
・自由行動下血圧(非観血的に15 or 30分間隔で24時間自由行動下に測定する血圧)
「自宅では血圧高くないのに、お医者さんの前で測ると何故か(緊張しているからか)高くなってしまう」といったように、血圧は測定する場所によって変化してしまう。
でもって、以下の表からも分かるように、家庭で定期的に測定した血圧記録を医師にみせると正確な血圧が把握でき、適切なアドバイス・薬剤の処方につながる。
※長期間、測定を継続するほどに正確な数値(季節変動なども含めて)が把握できる。
家庭血圧の測定ポイント
家庭内血圧を定期的に測定することが望ましいと前述したが、測定する際のポイントは以下となる。
装置:
・上肢カフ・オシロメトリック法に基づく装置
※要は、デジタルな血圧計のこと(手首じゃなく上腕を締め付けるタイプ)
※ちなみに、上記の血圧計は非常に評価が高いです。
測定条件(必須条件):
・朝起床後1時間以内⇒排尿後、朝の服薬前、朝食前、座位1-2分後
・晩(就寝前)⇒座位1-2分
評価:
・高血圧 ⇒朝・晩それぞれの平均値≧135/85mmHg
・正常域血圧⇒朝・晩それぞれの平均値>135/85mmHg
血圧測定時の注意点
基本的な測定方法:
- いつもと同じ時間・同じ部位で測定し、いつもの数値と比較する。
- 測定中は会話をしない(血圧は情動に影響されやすい)。
- 力を抜いてリラックスする(心臓より下で測定すると高めの値になる)。
- 測定部位を心臓と同じ高さにする(特に手首で計測する際は注意)。
- 食事や入浴後や活動後は血圧が高くなり易いため避ける。
- 片麻痺の場合は、健側(厳密には非麻痺側と表現)で測定する。
安静にて経過観察したにも関わらず、普段よりも高血圧な場合は以下の2点をチェックしてみる
- 降圧薬を飲み忘れていないか
- 不眠症の人の中には、交感神経が活発になっているが故に浅い眠りしか取れない人がおり、交感神経が優位となると血圧も高くなり易い。
※もちろん、不眠によりボーっとして副交感神経が優位となっている人もいる(その場合は、血圧は普段より低いかもしれない)
高齢者の高血圧・低血圧
最後に、高齢者の高血圧・低血圧について記載して終わりにする。
高齢者の高血圧
一般に血圧は加齢とともに上昇し、高血圧の頻度は増加する。
そして高齢者においては、収縮期血圧のみが上昇する『収縮期高血圧』が特徴である。
高齢者の低血圧
高齢者では脳血管障害・電解質異常・脱水・不整脈・動脈硬化などの『起立性低血圧』の危険因子を有することが多い。
また、降圧薬を服用している場合も起立性低血圧が生じるリスクがある。
※起立性低血圧に関しては以下の記事で詳細に解説している。
起立性低血圧 (廃用症候群シリーズ)―対処法や予防法も紹介するよ!
いずれにしても、高齢者の低血圧は『失神』・『転倒による骨折』・『頭部外傷』を生じる可能性もありるため、治療は重要となる。
高血圧はなぜ悪い?
最後に高血圧の弊害について記載して終わりにする。
なぜ血圧は高くなる?
たとえば「怒って血圧が上がる」などというときは、怒って興奮することで、心臓が収縮によって送り出す1回の血液量(心拍出量)が一時的に増え、血圧が上昇する。
その他、以下などの変化によっても血圧は上がる。
・末梢動脈の血管の抵抗が上がる
・大動脈の血管壁の弾力性の変化
・血液の粘調度が高まる
・体内を流れる血液量の変化
・・・・など。
なかでも、重要なのが「末梢動脈の血管抵抗」と言われており、これは加齢とともに起こる動脈硬化などが原因となって上がるとされている。
また、心臓がどんどん送り出す血液量が増えすぎてしまうのも、血圧上昇の大きな原因となる。
こういったことが起こる根本的な原因として、動脈硬化や腎臓病も考えられますが、は
っきりした理由のわからない場合も少なくない。
血圧が高いとなぜ悪いのか?
血圧が一時的に上昇するのは、よくあることで問題ないが、血圧がずっと高い状態が続くとさまざまな障害が起こる原因となる。
例えば『動脈硬化が促進され、血管に負担がかかること』の弊害は以下などが挙げられる。
- 脳卒中の原因になる:
負担がかかった血管にどんどん血液が流れようとすると、血管が破裂したり、あるいは狭くなった血管に血の塊が詰まって血液が流れなくなる、いわゆる梗塞が起こる。
※脳の血管でこれが起こると、脳出血や脳梗塞が起こるということ。
- 心疾患の原因になる:
たくさんの血液を流さなければならない心臓にも大きな負担がかる
そのため、心臓肥大となり、最終的には心不全を起こしたり、心臓に酸素が足りなくなる虚血性心疾患の原因になる。
- 腎臓病の原因になる:
血液をろ過して尿を作る腎臓にも負担がかる。
腎臓に病気があると、血圧が上がりますが、血圧が高いままにしておくと腎臓はますます悪くなり、その結果ますます血圧が上がるという悪循環に陥る。
塩分の取りすぎには注意しろ!
塩分をとりすぎると、水分がほしくなる。
これは人間のからだは浸透圧を一定に保つしくみとなっており、塩分濃度を薄めるために水分が必要になるからだ。
また、腎臓では過剰に摂取した塩分を体外に排出しようとし、水の再吸収が必要になります。こういった理由からも水分が多還に摂取されます。
水分の摂取量が増えると、からだの中を流れている血液(つまり循環血液の量)が増え、心臓が一度の収縮・拡張で送り出す血液量も必然的に増えてくる。
そうなると末梢動脈の抵抗も高まり、血圧の上昇につながってしまう。
また、塩分に含まれているナトリウムは末梢動脈壁の中に入って血管を収縮させることなども血圧上昇の一因となる。
厚生労働省の調査では、国民の塩分摂取量は1日12g程度と、理想的な塩分摂取量といわれる1日10gよりも多くなっている。
なので、血圧が高めの人は、10gよりもさらに少なめにしておいたほうが良い(もっと詳しい食事制限は医師と相談するように!!)
ちなみに『脱水の記事』では水分以外に塩分を摂取することの重要性も述べたが、ここで述べたように塩分の過剰摂取は良くないので、その辺りを以下の記事と合わせて読むことで知識を整理してみてほしい。
高齢者の脱水に注意せよ!!脱水への理解を深めよう(おすすめ商品も紹介)
医療従事者限定! オススメな血圧計+αを紹介
『上肢カフ・オシロメトリック法に基づく装置』でアマゾン好評かな商品を前述したが、取り敢えずもう一度紹介しておく。
でもって、私は通所リハビリに来初直後の利用者さんたちのバイタルチェックをテキパキと実施していく必要のある日があるのだが、冬場は上腕式血圧計だと厚着をしまくってしまっている人も多く、手首で測定できる血圧計が重宝する。
そんな『手首で測定する血圧計』でアマゾン好評かな商品は以下であった。
なぜか、当ブログで人気な血圧計+聴診器
「値段も効果で、アマゾン評価も不明だが、当ブログで人気な血圧計と聴診器」があり、それが以下になる。
以下はアマゾンの紹介文章(アマゾン取扱日:2017年4月)
エレマーノ2は、2004年に発売したエレマーノをリニューアルした製品です。
従来のダブルカフ方式の腕帯や自動測定法と聴診法が選択できるハイブリッド血圧であるといった特長を踏襲しています。
さらに以下のような改良を施しました。
・送気球の体積を約1.5倍にし、さらに大カフの容量を小さくしました。それにより、加圧回数の低減が見込めます。
・ラテックスアレルギーがある方に配慮し、腕帯と送気球の素材を非ラテックスに変更しました。
・標準腕帯のナイロン化や、本体の防水設計、清拭しやすいボタン形状など、消毒のしやすさを向上させました。
※ダブルカフ方式の腕帯:血圧計の測定ばらつき減少と脈波の弱い方も確実に測定することを目指して、阻血専用の大カフに血管の脈波検出専用の小カフを追加した設計の腕帯です。
※ハイブリッド血圧計:腕帯加圧後の減圧時に自動的に測定するモードと、医師や看護師が聴診器を用いて測定するモードがあり、患者さんの状態に応じた測定方式が選択可能な血圧計です。
厳密には、上記より値段が安くほぼ同時期に発売された『エレマーノ2 電子血圧計』が当ブログで人気の血圧計である。
※2つの血圧計の違いは「HRジョイント対応かどうか」らしいが詳しくは知らない。
※念のため、メーカーのHPにもリンクを貼っておく。
⇒『外部リンク:医療関係の皆様受向け情報 医用電子血圧計 エレマーノ2』
⇒『外部リンク:医用電子血圧計エレマーノ2 誤接続防止の国際規格に国内初対応』
いずれにしても、
ボタンを押すだけで血圧測定ができる出来る「自動測定法」と、
聴診器も使用して測定する「聴診法」のいずれもが選択できる商品という事になる。
高齢者の中には、自動測定法だと何度測定してもエラーになってしまう人も存在するため、そういう方には聴診法を用いるなどの使い分けも可能という事になる。
合わせて買われているおススメ聴診器はこちら!
エレマーノ2は聴診法による血圧測定も可能なのだが、
そんな「聴診法に必須なアイテム」が『聴診器』であり、
アマゾン評価が高く安価な商品としては以下がある。
かなり評価が高いので、この聴診器で十分な気がするが、当ブログで人気な聴診器は以下になる。
かなり高額だが「ブランド物であること」や「(高価とはいえ)かなりの値引きがなされていること」が影響しているのかもしれない。
※ちなみに、以下はブラックカラーを掲載しているが、(同じ価格で)色違いがあったりするので、他の色もチェックしてみてほしい。
聴診器については「おすすめグッズ」として新たに記事も設けたので、興味が当たら観覧してみてほしい。
リットマンの聴診器を紹介(聴診解説もあるよ)
血圧について関西弁で分かり易く解説した動画を紹介
以下は、血圧について解説した動画になる。
関西弁で、分かり易く解説されているので頭に入ってきやすい(かも 笑)。
※収縮期血圧の覚え方を自販機のペットボトル(140~90)など、色々な例え話とともに面白おかしく解説してくれている。
関連記事
以下には、血圧も含めた『バイタルサインの基準値』を総まとめしているので、合わせて観覧してみてほしい。