この記事では、上腕動脈の触診方法について記載していく。

 

上腕動脈の触診場所は「血圧測定時に聴診器を当てる部位」としても有名なので、ぜひ参考にしてみてほしい。

 

上腕動脈が走行している場所

 

上腕動脈は以下の順に中枢から末梢へ走行する。

 

腋窩動脈⇒上腕骨動脈(⇒肘窩で尺骨動脈・橈骨動脈に分岐)

 

そして、上腕動脈は以下の2部位で触診する。

  • 上腕の内側(「上腕二頭筋」と「上腕三頭筋」の間隙)
  • 上腕動脈末梢側⇒血圧測定時に聴診器を当てる部位

 

「上腕の内側」で触診

 

まず1つ目の触診部位は「上腕骨の内側」で具体的には以下の通り。

 

腋窩から上腕内側へ走行しており、「上腕二頭筋と上腕三頭筋の間隙」で触診する。

 

上腕の前面には上腕二頭筋が、

上腕の後面には上腕三頭筋が走行しており、

上腕の前面・後面に触れると弾力のある組織(筋肉)が確認できる。

 

ただし、内側には「上腕二頭筋と上腕三頭筋の間隙(つまり、どちらの筋肉も走行していない部位)があり、そこを触れると(筋肉のような)弾力が無い。

 

で、この間隙を「上腕動脈や尺骨神経」が走行しているので、それを触診していく。

 

この部位は、橈骨動脈・足背動脈の様にピンポイントでなくとも触診できる(上腕近位1/3~2/3のいずれの部位でも(上腕長軸に沿って内側で触知できる)。

 

上腕動脈を触診する際は、3指を(面を広くとるようにするため)寝かせて上腕内側に(腋窩動脈の延長として「腋窩から上腕遠位へ走行している上腕動脈」に)当てるとドクドクと拍動が触知できるはず。

 

もし分かりにくければ以下も試してみてほしい。

  • 触診指の角度を変えてみる。
  • 触診指の圧が強くなっていないかモニタリングしてみる。

 

 

上腕二頭筋腱の内側(血圧測定時に、聴診器を当てる場所)

 

「単純に上腕動脈を触知したいだけ」であれば、前述した「上腕の内側」が分かりやすい。

 

一方で、血圧測定(マンシェットを巻く+聴診器を上腕動脈へ当てての血圧測定)時に知っておく必要のある部位は異なる。

 

でもって「上腕動脈の末梢側」は以下の部位で触診していく。

 

肘窩より若干中枢側で、「上腕二頭筋腱移行部の内側」を触診

 

分からない場合は、上腕二頭筋の等尺性収縮をして上腕二頭筋腱を浮き上がらせて筋の走行を確認した上で(筋を弛緩させ)3本指を当ててみる。

「3指を寝かせた状態で、(肘窩より少し中枢側で)内側から二頭筋腱に向かって押し当てる」と3本指のどこかで触知可能となる。

 

 

この方法により上腕動脈の走行が分かれば、その走行上に聴診器を当てつつ血圧測定をしていく。何度か触診して大体の走行がイメージできれば、触診せずとも聴診器を適切な部位に当てれるようになる。

 

 

関連記事

 

上腕動脈以外の脈拍触診部位として以下もあるので、合わせて観覧すると脈拍触診への理解が深まると思う。

 

⇒『後脛骨動脈の触診場所は? この部位で脈拍触診する意義も解説

 

⇒『足背動脈の触診場所は? この部位で脈拍触診する意義も解説

 

ちなみに大腿動脈は「スカルパ三角」で触診可能で、スカルパ三角に関しては以下で解説している。

⇒『スカルパ三角(大腿三角)とは? 「(鼠経靭帯などの)構成」や「通るモノ」も解説